危険度が高いブロック塀にもかかわらず放置すると、深刻な事故を引き起こすリスクがでてきます。倒壊したブロック塀の下敷きとなり、裁判を起こされた事例もあるため、他人事ではありません。
ただ、解体となれば費用の不安もでてくるでしょう。
そこで、本記事ではブロック塀の解体費用の相場や、すぐに解体が必要なのかの判断ポイントを解説しています。解体費用の抑え方も解説していますので、ぜひ確認ください。
▼解体費用の基礎知識について知りたい方はこちらの記事をご確認ください。
ブロック塀の解体費用の相場
ブロック塀(コンクリートブロック塀、石積みブロック塀)の解体費用の相場は10万円~25万円です。1㎡あたり5,000円~10,000円なので、敷地面積が15坪なら4万円~8万円、25坪なら6.4万円~12.8万円が解体費用の目安といえるでしょう。
▼ブロック塀の解体費用の相場
㎡単価 | 15坪の敷地面積の場合 | 25坪の敷地面積の場合 |
5,000円~10,000円/㎡ | 4万円~8万円 | 6.4万円~12.8万円 |
ただし、同じようなブロック塀に見えても、ブロック塀の状態や周辺状況などによって解体費用が変わってきます。
例えば、同じ大きさのブロック塀だとしても、かなり古く今にも崩れそうなブロック塀の場合は通常の解体よりも危険度が増すため、解体費用が高額になります。また、ブロック塀を解体した後の廃棄処分費用やガソリン代をふくむ運送費があがることによって、解体費用が高くなってしまうケースもあります。
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ブロック塀解体費用の内訳
ブロック塀の解体費用の内訳を把握しておくと、見積もりを取得した際に何にいくらかかっているのか把握しやすくなります。以降では、ブロック塀の解体費用の内訳を解説しています。
▼ブロック塀の解体費用の内訳
- 人件費
- 運送費
- 廃材処分費
- 現場諸経費
人件費
人件費はブロック塀を解体するために必要とされる解体作業員の人数によって決まります。また、解体作業員の人数は、ブロック塀の大きさや状態、かかる日数や作業工程によって決まります。
例えば、ブロックを手で壊すのか重機で壊すのかでも、必要な人数は違います。手で壊すとなれば、重機よりも人手が必要です。さらに、日数もかかるため費用が加算されます。作業員一人当たりの相場については、令和4年3月から適用の公共工事設計労務単価が一つの目安です。ただし、全国平均値であるため、地域によって違います。
引用:令和4年3月から適用する公共工事設計労務単価について 国道交通省pdf
運送費
運送費は、解体工事で使用する重機を工事現場まで運送するためにかかる費用のことです。
運送費は主に「(解体業者が重機を保有していない場合)重機レンタル費用」「廃材運搬のためのトラック使用料」「ガソリン・交通費用」がふくまれています。なお、重機やトラックの使用料は場合によりますが、5,000円~10,000円/日が一つの目安となっています。
廃棄処分費
廃材処分費用は、解体したブロック塀を廃棄するためにかかる費用です。ブロックは、粗大ごみや不燃ごみとしては捨てられません。建築廃棄物の取り扱いです。一般的なブロック塀の処分費用の目安は1,000円/個です。ただし、量が多いと1万円前後になる可能性もあります。
現場諸経費
現場諸経費とは、工事が完了するまでの人件費や運送費など直接工事にかかわる費用以外の経費です。現場諸経費は業者ごとで独自に決められますが、直接工事に関わる費用の10%〜15%ほどが目安です。労務管理費や保険料、機材が損傷した時の交換費用なども含まれます。しかし、業者ごとに現場の運営の仕方が違い、保険の入り方1つにおいても違いがあるため、現場諸経費に差が出てきます。
見積もりは単位と総額を確認
解体費用の見積もりは、1平方メートルや数量から見積もりを出される場合が一般的です。しかし、ブロックの解体においては、1平方メートルではなく1メートルの値で算出する場合があります。また、数量は関係なく、ワンセットいくらとしている解体業者もあるため、内訳ではなく、最終的な総額での確認をお勧めします。
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解体費用を安くおさえるポイントと補助金について
本章では、解体費用を安くおさえるポイントと補助金について解説します。
▼解体費用を安くおさえるポイントと補助金について
- ブロック塀周りの不用品は自分で処分する
- ブロック塀の補助金は工事前に申請する
ブロック塀周りの不用品は自分で処理する
解体するブロックまわりに不用品がある場合は、できるだけ事前に自分で処分しておきましょう。
解体しようとしているブロックの周辺に不要なものがたくさんある場合は、解体前に工事の邪魔になるため、処分する作業が加わります。場合によっては処分のために人員を増やしたり、作業の日数が増やされたりするため、人件費が加算されてしまうケースがあります。
ブロック塀の補助金は工事前に申請する
ブロック解体の補助金は、解体工事前に申請することが必須となります。ただし、補助金の制度の有無や審査条件は自治体によって異なります。自分が利用できるか知りたい方は、自治体の公式HPから確認するようにしましょう。
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解体が必要なブロック塀の見分け方
ブロック塀の倒壊で事故が起きた場合は所有者が責任を負わなければなりません。実際に、地震によりブロック塀の下敷きになり死亡した遺族が、ブロック塀の所有者を刑事と民事で訴えたケースもあります。
本章では、ブロック塀を解体すべきかのチェックポイントを、わかりやすくかみ砕いた形で解説していきます。
引用:ブロック塀の点検のチェックポイント 国土交通省pdf
▼解体が必要なブロック塀の見分け方
- 造られてから15年以上経過している
- 傾いている
- ひび割れがある
- 塀の高さや厚さが適切ではない
- 控え壁がない
造られてから15年以上経過している
ブロック塀が造られてから15年以上経過している場合、解体が必要な場合があります。
ブロックのコンクリートの厚みにより、耐久年数は変わります。12cmで約15年、15cmで30年ほど持つといわれています。ちなみに10cmだと12年ほどのようです。
ただし、メンテナンスにより、耐久年数がだいぶ変わります。ブロック塀は水が天敵のため、中に水分が入り込んでしまうと鉄筋の錆を招きます。表面に苔が生えてしまうと水分を含みやすくなってしまい、冬にはブロックの中に入り込んだ水分が凍るため、表面にひび割れを起こすのです。
そのため、ブロック塀のメンテナンスとしては、高圧洗浄機で苔など生やさないようにするのも大切です。また、コンクリート用の防水塗料を定期的に塗布すれば、内部への水の侵入を防いでくれます。
傾いている
傾きがある場合、内部の鉄筋が錆びて劣化しているか、中に鉄筋自体がない状態かもしれません。
控え壁がない場合もあります。ブロック塀をどうしても残したいのであれば、大掛かりな工事ですが、耐震強化ができる可能性はあります。
しかし、どちらも耐震性がなく、いつ崩れてもおかしくない状態のため、万が一にでも事故が起こった場合、所有者の責任問題です。
ひび割れがある
ひび割れは、小さいものであれば、ひび割れ用の補修材により自分で補修もできます。自身で補修できる条件としては、0.3mmより小さいひびです。目安は官製はがきの厚さです。
0.3mmを超えるひびであったり、ブロックが欠けていたりした場合は、自分で補修できないほど劣化が進んでいます。早めに業者に修理をしてもらうか、解体が必要でしょう。
塀の高さや厚さが適切ではない
塀の高さは2.2m以下、壁の厚さは15cm以上とするように、建築基準法で定められています。塀の高さが高過ぎるものや、壁が薄過ぎるものは、倒壊の危険性があります。
未だ、建築基準法に満たないものが、そのままにしてあるブロック塀はあるため、早めの対処が必要です。
控え壁がない
控え壁は、塀の高さが1.2mを超えるときに、3.4m以内の場所ごとに設置が必要です。控え壁が設置がされていない場合、あとから設置可能です。
ただし、ブロック塀の周囲に十分な場所が確保できなければ、工事ができない可能性があります。控え壁が突き出す長さは、40cm以上、厚さはブロック塀の厚さと同等かそれ以上必要です。
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ブロック塀解体工事の流れ
ブロック塀の解体工事の流れは以下の通りです。
- 相見積もりと現地調査の実施
- 解体作業の準備
- 施工日当日にブロック塀を解体
- 瓦礫の処理と清掃
まずは相見積もりのために解体業者に現地調査を依頼しましょう。現地調査では、解体業者がブロック塀を実際に確認したうえで、解体費用を見積もります。次に、解体作業の準備をしましょう。周辺住民に挨拶回りをしたり、解体工事の届け出を提出したりします。
施工日当日は、ブロック塀を解体します。崩落のリスクを最小限にするため、解体作業は上から下へ進めます。解体後は瓦礫の処理と清掃を行います。解体したブロックやその他の廃材を適切に分別した後で、現場を清掃し、安全な状態に戻します。
ブロック塀の解体工事で注意するポイント
本章では、ブロック塀の解体工事で注意するポイントを解説します。
▼ブロック塀の解体工事で注意するポイント
- ブロック塀の所有権者を確認する
- 近隣住民へ工事内容について説明を行う
ブロック塀の所有権者を確認する
ブロック塀の解体前にブロック塀の所有権者は必ず確認しましょう。
ブロック塀の解体工事をしたら、敷地の境目にあり、解体したブロック塀は隣人との共有財産だったケースは珍しくありません。共有財産であるブロック塀を勝手に解体はできません。逆に、改修費用を押し付けられる場合もあります。いろいろな形でのお隣との境界線問題は多いため、どちらの所有物なのか、はっきりとさせてお互いが認識できている状態にしておきましょう。
近隣住民へ工事内容について説明を行う
ブロック塀の解体工事の1週間から10日前までに近隣住民への説明を必ず行いましょう。解体工事で発生する粉塵や騒音、人やトラックの出入りや駐車などが、近隣に悪影響を及ぼすためです。
また、説明時は下記の内容を用紙に記入したものを持参しておくとよいでしょう。
▼近隣挨拶時の内容
- どんな工事をするのか
- いつからいつまで工事があるのか
- ご迷惑をかけるなどのお詫び
- ご協力のお願い等
- 施主
- 業者名と代表者名
- 緊急連絡先
粗品は、日常的に使用する洗剤やラップ等がおすすめです。挨拶する範囲は、両隣、向かい三軒、裏三軒といわれます。
また、工事で使用する重機やトラックを道路に駐車するときは、解体業者は申請して停めますが、駐車側の住民に対しても挨拶をおススメします。
ブロック塀を解体するならイエウール
本記事では、ブロック塀の解体費用や使用できる補助金制度、解体すべきかの判断基準について解説してきました。
倒壊するリスクが高いブロック塀は、放置して事故が発生すると所有者に責任が問われます。よって、解体の必要がある場合は所有者として解体費用も負担しなければいけません。
ブロック塀の解体費用は補助金を利用できますが、実際いくらになるかはブロック塀の大きさや、立地によっても異なります。
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記事のおさらい