飲食店の内装解体費用の相場は1.5万円~4万円/坪が目安です。例えば、20坪の飲食店なら30万円~80万円が目安です。
本記事では飲食店の解体費用の相場と、解体の流れや解体費用を安く抑えるコツを紹介します。
- 飲食店の解体費用の相場がいくらか知りたい
- 解体工事の流れを知りたい
- 解体費用を安くおさえるコツを知りたい
▼解体費用の基礎知識について知りたい方はこちらの記事をご確認ください。
【工事種別】飲食店の解体費用相場
飲食店の解体費用相場は、店舗の広さや解体の種類によって異なりますが店舗あたり30万円~80万円が目安です。解体費用は「坪単価×坪数」で計算し、坪単価は1.5万円〜4万円です。
▼工事種別|解体費用の相場
種類 | 相場 | 20坪の場合 |
内装解体 | 1.5万円~4万円/坪 | 30〜80万円 |
スケルトン解体 | 3万円~5万円/坪 | 60〜100万円 |
現状回復 | 解体内容によって変わる | 解体内容によって変わる |
私の家の解体費用はいくら?
内装解体:1.5万円~4万円/坪
内装解体の費用相場は、1坪あたり1.5〜4万円です。例えば20坪の飲食店を内装解体する場合、30〜80万円が費用の目安です。
スケルトン解体:3万円~5万円/坪
スケルトン解体の費用相場は、1坪あたり3〜5万円です。例えば、20坪の飲食店をスケルトン解体する場合、60〜100万円が費用の目安です。
スケルトン解体とは、内装すべてを解体し、テナントの構造部分のみ残す施工方法です。
内装はもちろん、天井や床材、配管も撤去し、基礎部分が剥き出した状態まで解体します。
原状回復:解体内容によって変わる
現状解体の解体費用は解体内容によって変わるため、テナントの管理者に確認しましょう。
原状回復とは、テナントに入居する前の状態に戻す施工です。
よって、契約後に設置したものはすべて解体・撤去の対象となります。
逆に、契約時に設置されていた内装は撤去してはいけません。例えば、入居時からドアやカウンターなどの内装が設置されていたのであれば、撤去せずに返却します。
私の家の解体費用はいくら?
【業態別】飲食店の解体費用相場
飲食店といっても様々な業態があります。ここでは業態別に飲食店の解体費用相場を紹介します。
▼業態別|飲食店の解体費用相場
業態 | 坪単価 / ㎡ | 65㎡(約20坪)の相場 |
カフェ・喫茶 | 5,500円 | 35万7,500円 |
ファミリーレストラン | 6,500円 | 42万2,500円 |
中華料理店 | 8,000円 | 52万円 |
焼肉屋 | 8,000円 | 52万円 |
ラーメン店 | 6,000円 | 39万円 |
カフェ・喫茶:5,500円 / ㎡
カフェや喫茶店などは、客席を仕切る間仕切り壁が少なく、比較的構造がシンプルな造りであることが多いです。そのため、費用は比較的安く抑えられます。
なお、65㎡(約20坪)のカフェ・喫茶の解体費用は35万7,000円です。
ファミリーレストラン・居酒屋:6,500円 / ㎡
ファミリーレストランはボックス席で客席が仕切られていることが多く、居酒屋も個室タイプのものや掘りごたつなどが設置されており、解体撤去しなければならない設備が比較的多いです。
そのため、解体費用が高くなりやすいです。また、排気ダクトを増設している店舗が多く、その撤去費用も必要になります。
なお、65㎡(約20坪)のファミリーレストランの解体費用は42万2,500円です。
中華料理店:8,000円 / ㎡
中華料理店では、ほとんどの店舗が床面に防水工事をすることで、水を流して掃除をできるウェットキッチン構造になっています。ウェットキッチンの場合、床を解体して排水管を取り外す必要があるため、費用が高くなります。
また、厨房設備を撤去する際、油汚れがひどいと工事器具が摩耗するため、その損耗分の料金も加算されてる場合があり、解体費用は高くなります。
なお、65㎡(約20坪)の中華料理店の解体費用は52万円です。
焼肉屋:8,000円 / ㎡
焼き肉屋は、排気ダクト、無煙ロースター、間仕切り壁などが設置されていることから、解体の際は費用が高額になります。
またガス火を使用している店舗では、ガスの配管設備を取り除くために床を壊さなければならず、その分の工事費も加算されます。
なお、65㎡(約20坪)の焼き肉店の解体費用は52万円です。
ラーメン屋:6,000円 / ㎡
ラーメン屋は、間仕切りないカウンター式のテーブルが多く、設置されている設備も少ないので、費用は比較的安いです。
ただし、床がウェットキッチンである場合は、床を解体する必要があり、費用が高くなります。
なお、65㎡(約20坪)のラーメン屋の解体費用は52万円です。
私の家の解体費用はいくら?
解体費用が高くなりやすい飲食店の特徴
解体費用が高くなりやすい飲食店の特徴は、以下の通りです。
▼解体費用が高くなりやすい飲食店の特徴
- アスベストを含む内装がある
- 内装にコンクリートが利用されている
- 2階以上のテナントでエレベーターがない
- 昼間に作業できない事情がある
- トラックを駐車させるスペースがない
当てはまる項目がないか、1つずつ確認していきましょう。
アスベストを含む内装がある
アスベストを含む内装がある場合、アスベスト飛散防止のために作業基準を満たさなければなりません。
アスベストは人体に悪影響を及ぼす有害物質のため、飛散を防ぎながら解体する必要があるからです。
内装にコンクリートが利用されている
内装にコンクリートが利用されていると、はつり工事が必要となり、余分な手間がかかります。
はつり工事とは、コンクリートを削ったり切ったりする作業です。粉砕したり打ちこわしたりするために、人の手で繊細な作業が行われます。
よって、技術が必要になるぶん追加費用が発生するため注意しましょう。
2階以上のテナントでエレベーターがない
2階以上のテナントの飲食店で、エレベーターがないと費用が高くなりやすいです。
解体工事の際は機材を搬入し、解体で出た廃棄物を搬出しなければなりません。
エレベーターがなく、階段しかない場合は作業員が手で持って上り下りする必要があります。
また、エレベーターがない場合、人件費がかさんだり工期が長期化し、設備や廃材の搬出に労力と時間がかかるため費用が上乗せされます。
昼間に作業できない事情がある
昼間に作業できない事情があって早朝や夜間に解体作業を進める場合、人件費が上乗せされます。
▼昼間に作業できない理由
- 騒音・振動がほかのテナントに迷惑がかかる
- 昼間だとテナント近くにトラックを駐車できない
- 騒音規制法で作業時間が限られている
昼間に作業できないと作業員に支払われる日当が高くなったり、工期が長期化したりするため、費用が上乗せされます。
トラックを駐車させるスペースがない
設備や廃材の搬出にはトラックが必要ですが、敷地内に駐車スペースがなければ駐車場を別途確保しなければなりません。
そのため、駐車場代が実費で請求される可能性があります。
さらに、遠くの駐車場しか見つけられなかった場合、運搬する手間を考慮して追加費用が発生します。
私の家の解体費用はいくら?
飲食店の解体費用を少しでも抑えるコツ
本章では、飲食店の解体費用を少しでも安くおさえるコツについて解説します。
▼飲食店の解体費用を少しでも抑えるコツ
- 管理会社やオーナーに交渉する
- 余裕を持って見積もり依頼をする
- 廃棄物を減らしておく
ご紹介するコツは、どの飲食店にも実践できるコツばかりです。1つずつ確認し、少しでも節約しましょう。
コツ①管理会社やオーナーに交渉する
まず、テナントの管理会社やオーナーと交渉しましょう。
基本的に解体費用は飲食店側が負担しますが、なかには一部負担してくれる場合があります。次に入る企業や飲食店などによっては、内装や設備を解体しなくていいと判断されるかもしれません。
▼解体業者に依頼する前に確認すべきコツ
- 居抜き退去ができないか
- 設備の買い取りができないか
- 解体費用の一部を補助してもらえないか
コツ②余裕を持って見積もり依頼をする
退去日までに余裕を持って見積もり依頼をしましょう。解体作業の工程に無理があると、短期間で工事を終わらせなければならず余分な人件費がかかってしまうからです。
飲食店の解体の工期は、おおよそ10日程度です。
もちろん、建物の立地や作業できる時間、エレベーターの有無などの条件によって、長期化する恐れもあります。退去日が決まった時点で、一度見積もりを依頼すると安心です。
また、作業期間が確定すれば、解体が始まるギリギリまで営業できます。1日でも多く営業すれば売上が確保でき、経済的負担を軽減できます。
コツ③廃棄物を減らしておく
業者に処分してもらう廃棄物を少しでも減らしておけば、大幅に費用を抑えられます。
なぜなら、解体工事で発生した廃棄物は産業廃棄物として扱われるからです。産業廃棄物は一般ゴミの処理よりも費用がかかってしまい、量が多いと追加で請求される可能性があります。
▼廃棄物を減らすコツ
- 自分で粗大ゴミに出す
- リサイクルショップに引き取ってもらう
- 管理者に買い取ってもらう
業者に撤去・廃棄してもらうものをできるだけ減らし、節約しましょう。
私の家の解体費用はいくら?
飲食店の解体工事の手順
飲食店の解体費用の相場や費用を抑えるコツがわかったところで、実際に飲食店の解体工事をするときの手順について解説します。
- 管理者・オーナーと話し合い
- 設備を撤去する
- 電気・水道・ガスなどの契約を解除する
- 養生設置
- 内装・床材撤去
- 産業廃棄物の処理
- 清掃
具体的な作業内容を確認していきましょう。
ステップ①管理者・オーナーと話し合い
飲食店を閉店すると決意したら、管理者・オーナーとの話し合いの場を設けましょう。
退去日や解体の日程を確認したり、条件交渉をしたりするためにも打ち合わせは欠かせません。
基本的に契約内容に合わせて解体を進めますが、状況によって変更される場合があります。
勝手に解体を進めるのではなく、どのような状態で退去すればいいかをしっかり確認しましょう。内容が決まったら、解体業者に連絡をして解体の準備を始めます。
ステップ②設備を撤去する
工事の内容が決まったら、工事解体までに設備や設置物を運び出しましょう。
▼撤去する設備の種類
- 厨房設備
- カウンター
- テーブル
- 椅子
- 間仕切り(パーテーション)
設備や内装を残してテナントを返却すると、借主から管理者へ譲渡されたとみなされます
ステップ③電気・水道・ガスなどの契約を解除する
電気や水道、ガス、インターネット回線、電話回線などのライフラインは、工事開始前に契約を解除しましょう。
ただし、水道と電気は解体工事で使う場合があります。
そのため、事前に解体業者と必要かどうか相談する必要があります。
停止時期を打ち合わせしておくと無駄な費用を抑えられるでしょう。
ステップ④養生設置
解体工事が決まったら、業者が養生を設置します。解体作業によって発生する、破片・ほこりの飛散や騒音などを最小限に止めるために必要です。
エントランスやエレベーターなどの運搬経路も、重機や撤去物による傷がつかないよう養生をします。
ステップ⑤内装・床材撤去
養生が終わると内装の撤去が開始されます。内装の撤去は手作業が基本ですが、柱の解体やコンクリートのはつり工事には小型重機を使う場合もあります。
内装の撤去が終わったら、床材の撤去です。
床材を撤去すべきかどうかはテナントの管理者に確認をしましょう。床材は手作業で撤去されます。飲食店の解体作業には大きな音や振動が発生するため、ほかのテナントの迷惑にならない時間に作業をしなければなりません。
ステップ⑥産業廃棄物の処理
解体によって出た産業廃棄物は木片や金属、ガラス、コンクリートなどの素材ごとに分別されます。分別後、飲食店から運び出されて処理されます。
撤去工事で出たゴミは、すべて産業廃棄物として特別な処分をしなければなりません。
廃棄量が多いと中間処理施設で一次処理され、そのあと最終処分場で処分されます。
ステップ⑦清掃
最後に清掃を行なって解体工事は終了です。産業廃棄物を搬出したあとも、ちりやほこりが残っています。次の入居者のためにきれいな状態で返しましょう。
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