滅失登記費用の相場は、土地家屋調査士に依頼する場合、概ね5万円です。ただし、建物の種類や土地の広さによっては、追加で1万~3万円かかることもあります。自分で手続きすることも可能ですが、時間がかかり、交通費や書類取得費用が必要なため、調査士への依頼と比較して検討しましょう。
この記事では、滅失登記の費用相場を土地家屋調査士に依頼する場合と自分でやる場合に分けて解説します。また、滅失登記の期限や流れ、必要書類、滅失登記をしなかった場合どうなるかについても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
- 滅失登記の費用相場がいくらか知りたい
- 自分でやりか土地家屋調査士に依頼するか決めたい
▼解体費用の基礎知識について知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
滅失登記費用の相場はいくら?
滅失登記の費用相場は、土地家屋調査士に依頼する場合で4万円~5万円です。ただし、自分でやる場合で1,000円~3,000円となっています。
土地家屋調査士に依頼する場合、費用には必要書類の取得や登記記録の調査など一連の手続きが含まれます。自分でやる場合、必要書類を集めるのに1,000円程度、その他交通費やコピー代等が含まれています。
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土地家屋調査士に依頼する場合
滅失登記を土地家屋調査士に依頼する場合の費用相場は、必要書類の取得や報酬も含めて4万円~5万円が相場です。
また、木造2階建て住宅と物置の滅失登記を土地家屋調査士に依頼したときの費用相場は、全国平均で4万7,022円となっています。
しかし、建物の規模が大きい場合や所有権など各種権利の証明に多くの書類が必要な場合には、これよりも費用が高くなります。
地域ごとの費用相場
滅失登記を土地家屋調査士に依頼する場合の費用相場は地域によって異なります。
地域・エリア | 建物滅失登記の最高値 | 建物滅失登記の最低値 | 建物滅失登記の平均値 |
---|---|---|---|
関東 | 86,780円 | 20,900円 | 47,450円 |
近畿 | 90,000円 | 20,000円 | 47,021円 |
中部 | 88,000円 | 20,000円 | 48,048円 |
中国 | 77,000円 | 27,100円 | 46,661円 |
九州 | 80,038円 | 18,000円 | 47,392円 |
東北 | 88,750円 | 25,000円 | 48,038円 |
北海道 | 74,900円 | 19,000円 | 42,237円 |
四国 | 76,206円 | 25,000円 | 43,742円 |
引用:令和元年度 土地家屋調査士報酬に関する実態調査 日本土地家屋調査士会連合会
イレギュラーなケースの費用相場
滅失登記を土地家屋調査士に依頼する際、イレギュラーが発生すると別途で費用がかかります。
イレギュラーなケースとは以下のようなケースのことを指します。
- 相続発生時に戸籍調査が必要なケース
- 分合筆による所在変更が必要なケース
- 広大な借地上建物を滅失登記するケース
- 抵当権が残っているケース
- 解体証明書がないケース
- 登記上の住所を変更するケース
土地家屋調査士によって追加料金が異なるため、依頼する際に一度確認することをおすすめします。
自分でやる場合
滅失登記を自分でやる場合の費用相場は、1,000円~3,000円となっています。
法務局の窓口で申請する場合、登記事項証明書にかかる600円と地図などの情報にかかる450円が必要となります。
また、事前にオンラインで請求を行なったのち、窓口で交付を受ける場合には、登記事項証明書が480円、地図などの図面が430円なので合わせて910円まで費用を減額することができます。
しかし、必要書類を集めるための費用以外にも、交通費やコピー代などの実費がかかるため、結果に1,000円~3,000円ほどかかります。
もし、滅失登記を自分でやる場合には、費用を大幅に抑えることができますが、完了までにかなりの時間を要してしまいます。
そのため、日中に仕事をしている方は土地家屋調査士に依頼することをおすすめします。
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滅失登記では登録免許税がかからない
土地や建物に関係する登記手続きについて、代表的なものだと分筆登記や相続登記などでは登録免許税がかかります。
しかし、滅失登記に関しては登録免許税やその他の税金もかかることがありません。
ただ、滅失登記をしないままでいると、建物に対して固定資産税や都市計画税が課税され続ける可能性があります。
そのため、建物の解体をした後はすぐに滅失登記をすることをおすすめします。
滅失登記の期限
ここでは、滅失登記の期限と滅失登記をしないとどうなるかについて解説します。
建物の解体後1ヵ月以内に行う
滅失登記は、所有者または所有権の登記名義人が建物の解体後1ヵ月以内に済ませる必要があります。
住宅や店舗などの建物は、建物の構造や所有者などの状況が客観的にわかるよう登記されています。
そのため、建物の解体を行ったときには、建物がなくなったことを結果を登記記録に反映させる必要があります。
滅失登記をしないと罰金を科される
不動産登記法第164条では「申請をすべき義務がある者がその申請を怠ったときは10万円以下の過料に処する」とあるように滅失登記をしないと罰金が科されます。
また、滅失登記は土地家屋調査士に全ての手続きを委任しても2週間程度の期間がかかり、自分でやる場合にはさらに時間がかかります。
このように、滅失登記には意外と時間がかかるため、建物を解体したらすぐに登記の準備や土地家屋調査士を探すことをおすすめします。
参考:不動産登記法 第164条
滅失登記をしないと税金がかかり続ける
滅失登記をしない場合、登記記録に建物が残っているため、解体したはずの建物に固定資産税や都市計画税がかかり続けます。
固定資産税・都市計画税は1月1日時点での登記を根拠としているため、滅失登記をせずに年を越すと継続して課税されます。
逆に、滅失登記が完了した建物は固定資産税の課税台帳から抹消されるため、翌年1月1日以降の課税対象から外されます。
滅失登記は誰に依頼する?
滅失登記は、土地家屋調査士に依頼します。
不動産の登記は、表題に関する登記と権利に関する登記に分かれており、代理人として申請できる人も異なります。
そして、表題に関する登記は土地家屋調査士、権利に関する登記は司法書士が代理人として申請します。
中でも不動産の滅失登記は表題に関する登記に含まれるため、司法書士ではなく土地家屋調査士に依頼します。
また、司法書士に依頼することもできますが、知り合いの土地家屋調査士に発注ことになることから費用が若干高くなることがあります。
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滅失登記の流れと必要書類
滅失登記を土地家屋調査士に依頼する場合の流れ・必要書類と、自分で申請する場合の流れ・必要書類について解説します。
土地家屋調査士に依頼する場合
滅失登記を土地家屋調査士に依頼する場合の流れは以下の通りです。
- 土地家屋調査士へ依頼する
- 土地家屋調査士が作成した委任状に署名・捺印する
- 登記完了証・閉鎖事項全部証明書を受領して完了
土地家屋調査士に依頼した場合、完了まで全体で3週間程度とみておけば問題ないでしょう。しかし、書類が不足していたり戸籍の収集が必要だったりした場合、それらの書類を整える期間が必要になります。
土地家屋調査士に依頼する場合に必要になる書類は、委任状・住民票・印鑑証明書の三つです。その他の書類はすべて土地家屋調査士が代理で作成し、関係者とやり取りしてそろえてくれます。
自分でやる場合
滅失登記を自分でする場合の流れは以下の通りです。
- 法務局にて対象の建物の調査を行なう
- 現地で対象の建物の調査を行なう
- 必要書類を準備する
- 登記申請書を作成し法務局へ提出する
- 登記完了証を受け取る
まず最初にどの建物が滅失したのかを特定する資料を取得します。その後現地で消滅した建物の調査をします。この際、地図を印刷して建物があったところに印をつけたり、写真を撮影したりするとスムーズです。
次に、必要書類を準備します。この作業が土地家屋調査士に依頼する場合と大きく異なる部分です。自分で行なう場合は慣れていないと1ヶ月以上かかる可能性もあるため、スケジュールに余裕を持たせる必要があります。
必要書類が集まったら登記申請書と一緒に法務局へ提出します。直接窓に行く・郵送する・インターネットで提出する、という三つの方法がありますが、不備があった場合は窓口で修正しなければならないため、直接窓口へ行って提出するのが良いでしょう。
申請書類が万全で滅失登記が問題なく完了すれば、不動産登記簿が閉鎖されることになります。完了予定日から3ヶ月以内であれば窓口で登記完了証がもらえ、また、閉鎖登記事項証明書を取得することで後から登記情報を得ることができます。
必要書類
以下は滅失登記を自分で行なう場合に必要となる書類です。
- 建物滅失登記申請書
- 建物滅失証明書
- 当該建物の登記事項証明書
- 当該建物周辺の地図
- 解体業者との代表者事項証明書
- 解体業者の印鑑証明書
建物滅失登記申請書と登記事項証明書は、建物のあった場所の管轄法務局の窓口やインターネットにて請求できます。また、建物滅失証明書、代表者事項証明書、印鑑証明書に関しては解体工事の施工業者が準備します。
滅失登記費用の相場は依頼するかどうかで変わる
建物滅失登記の費用は、土地家屋調査士に依頼する場合で5万円程度です。一方で、自分で行う場合は3,000円程度(交通費と申請費を含む)です。自分で行うほうが安く済みますが、日中に法務局の窓口に出向く等の時間がかかるため、状況にあったやり方を選びましょう。
自分で行う場合、必要書類を集めることは慣れていない人にとっては大変な作業になります。費用はかかりますが、期限内に確実に終わらせたいのであれば、早めに土地家屋調査士に依頼しましょう。
滅失登記を怠った場合は罰則があり、税金を余計に払わなくてはいけないため、期限内にしっかり行ないましょう。
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