空き家を維持管理するのは労力や手間がかかるので、いっそのこと更地にしたいと考える方は多いです。
本記事では、更地にすると固定資産税が高くなり理由と、高くなる理由、どれだけ高くなるか、おさえる方法をわかりやすく解説しています。
私の家の解体費用はいくら?
▼家の解体費用の関する基礎知識はこちらの記事を参照ください。
更地にすると固定資産税は高くなる
冒頭で触れたとおり、更地にすると固定資産税は高くなってしまいます。
更地にすると軽減税率(住宅用地の特例)が外れる
固定資産税の計算式(家付き土地の場合)
家付き土地の場合、固定資産税は次の計算式で概算できます。
住宅用地の特例が適用されるため、固定資産税評価額に軽減税率が掛け合わされた金額が、土地の課税標準額となっています。
▼固定資産税の計算式(家付きの場合)
固定資産税の計算式(更地の場合)
しかし、更地にしてしまうと、軽減税率が外れてしまい、計算式は以下のように変わります。
▼固定資産税の計算式(更地の場合)
軽減税率が外れると固定資産税は高くなる
軽減税率の値は土地の面積に応じて決まり、200㎡以下なら1/3、200㎡超えなら1/6となっています。
▼固定資産税の軽減税率(住宅用地の特例)
対象 | 種類 | 軽減税率 |
200㎡以下の土地部分 | 小規模宅地の特例 | 1/3 |
200㎡超えの土地部分 | 一般住宅用地の特例 | 1/6 |
- 200㎡(2,400万円分)に1/3
- 固定資産税 = 2,400万円 × 1/3 × 1.4% = 11.2万円
- 50㎡(600万円分)に1/6
- 固定資産税 = 600万円 × 1/6 × 1.4% = 1.4万円
- 合計で12.6万円
同じ例で、土地のみの場合で計算すると次のようになります。
- 3,000万円×1.4% = 42万円
- 合計で42万円
私の家の解体費用はいくら?
更地の固定資産税はどれだけ高くなる?
高くなるのは概ね3倍~4倍まで
私の家の解体費用はいくら?
更地前後の固定資産税をシミュレーション
- 家の評価額:500万円
- 土地の評価額:3,000万円
- 土地面積:350㎡
■家つき土地の場合(軽減税率が適用)
土地面積が350㎡なので、200㎡までは1/3、残りの150㎡には1/6の軽減税率が適用されます。
①家の固定資産税
=500万×1.4%=7万円
②土地の固定資産税
=3,000万×1.4%×(200/350×1/3)+(150/350×1/6)=10.8万円
空き家の固定資産税
=①7万+②10.8万=17.8万
■更地の場合(軽減税率が適用外)
軽減税率の適用が外されるので、1.4%の税率がそのまま掛かります。
①家の固定資産税
=500万×1.4%=7万円
②土地の固定資産税
=3,000万×1.4%=42.8万円
空き家の固定資産税
=①7万+②42.8万=49.8万円
都市計画税の増税にも注意しよう
更地にする場合、都市計画税の増税にも注意しましょう。
都市計画税も家付き土地には軽減税率(住宅用地の特例)が適用されており、200㎡以下で1/3、200㎡超えで2/3となっています。
▼都市計画税の軽減税率(住宅用地の特例)
対象 | 種類 | 軽減税率 |
200㎡以下の土地部分 | 小規模宅地の特例 | 1/3 |
200㎡超えの土地部分 | 一般住宅用地の特例 | 2/3 |
- 家の評価額:500万円
- 土地の評価額:3,000万円
- 土地面積:350㎡
■家つき土地の場合(軽減税率が適用)
土地面積が350㎡なので、200㎡までは1/3、残りの150㎡には2/3の軽減税率が適用されます。
①家の固定資産税
=500万×0.3%=1.5万円
②土地の固定資産税
=3,000万×0.3%×(200/350×1/3)+(150/350×2/3)=4.2万円
空き家の固定資産税
=①1.5万+②4.2万=5.7万円
■更地の場合(軽減税率が適用外)
軽減税率の適用が外されるので、1.4%の税率がそのまま掛かります。
①家の固定資産税
=500万×0.3%=1.5万円
②土地の固定資産税
=3,000万×0.3%=9万円
空き家の固定資産税
=①1.5万+②9万=9.5万円
私の家の解体費用はいくら?
更地にせず放置しても固定資産税は高くなる
固定資産税の上昇を防ぐために、空き家をそのままにしておくことはおススメできません。本章では、空き家を放置するデメリットを解説しています。
特定空き家に指定されると固定資産税は高くなる
特定空き家に指定されると、通常の住宅用地特例が適用されなくなり、固定資産税の優遇措置が外れるため、更地と同様の負担が発生します。
具体的には、通常の住宅用地の評価額がそのまま適用されるため、固定資産税が最大で6倍にまで増加することもあります。
特定空き家に指定される状態とは
以下のような条件に該当すると、特定空き家に指定されるリスクが高まります。
▼特定空き家に指定される条件
- 倒壊の危険がある:老朽化が進み、建物が崩れる危険がある場合。
- 衛生上の問題:ゴミや廃棄物の放置などで、衛生環境が悪化している場合。
- 景観を損なっている:周辺の景観に悪影響を与えている状態。
- 安全面に問題がある:不審者が侵入しやすく、防犯面で危険がある場合。
これらの状態が見られると、自治体から改善や修繕を求める通知が届くことがあります。
特定空き家に指定されるまでの流れ
▼特定空き家に指定される流れ
- 自治体の調査:倒壊の危険や衛生問題などがある空き家を自治体が確認
- 所有者への通知:空き家の問題点を知らせ、改善を求める通知の送付
- 改善指導:所有者が改善しない場合、具体的な修繕や清掃を求める指導の実施
- 勧告命令:指導に従わない場合、特定空き家に指定する勧告や命令が出されます。
- 特定空き家の指定:固定資産税の優遇措置が外れるため税額が増加します。
空き家を放置しても、すぐに特定空き家に指定されるわけではありません。指定されるまでには、自治体による通知、指導、勧告や命令が続きます。
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更地の固定資産税を払わないとどうなる?
更地にしても空き家を放置しても、固定資産税が高くなることは解説しました。
固定資産税の支払いは煩わしいものです。払わずに済む方法はないか、考えてしまうのも当然でしょう。
しかし、支払わない場合、以下のような段階的な措置が取られます。
▼更地の固定資産税を払わないとどうなる?
- 督促状の送付
- 財産の差押え
- 差押えた財産の公売
- 新しい不動産取引や契約で不利に
1. 督促状の送付
固定資産税の支払い期限を過ぎると、市区町村から督促状が送られてきます。
督促状には、指定された期日までに支払うよう指示が記載されます。
2. 財産の差押え
督促状の期日までに支払わない場合、財産の差押えが行われることがあります。
▼差押えの対象となる財産は以下のようなものです
- 銀行口座の預金
- 不動産(更地そのものが含まれる場合も)
- 自動車などの動産
差押えの前に再度通知が送られることが多いですが、最終的に差押えが実行されます。
3. 差押えた財産の公売
差押え後も支払わない場合、差押えた財産が公売(競売)にかけられる可能性があります。
公売による収益で固定資産税の未納分が補填されます。
4. 新しい不動産取引や契約で不利に
固定資産税の滞納は信用情報に直接影響しません。
しかし、地方自治体とのトラブル記録が残ったり、新たな不動産取引や契約で不利になる場合があります。
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更地の固定資産税を抑える方法
本章では、更地の固定資産税の負担を減らすにはどうしたらよいのかについて説明します。
▼更地の固定資産税の負担を減らす方法
- 土地活用をする
- 土地を売却する
- 農地に転用する
- 建物の解体は1月1日以降に行う
土地活用をする
土地活用をすることで固定資産税の負担を減らすことができます。
特に、アパート経営やマンション経営などの賃貸経営を行うことで、住宅用地の特例で固定資産税の軽減措置が適用されることに加えて、家賃収入も得ることができます。
駐車場経営は固定資産税対策にならない?
駐車場経営は固定資産税対策にならないのかどうかについてですが、結論から言うと税金対策にはなりません。
なぜなら、住宅用地の特例が適用されるのは居住を目的とした建物が建っている場合であり、駐車場経営は居住を目的としてはいないため更地扱いになるからです。
そのため、もともと建っていた住宅を解体して駐車場にした場合などは、固定資産税の負担が大きくなる可能性があります。
駐車場経営はわずかな機器設備の設置をすればよいので、開始までが短期間で済みます。やめるときもスムーズにやめられるので、更地にした後の暫定的な土地活用として行なうのも良いでしょう。
土地を売却する
更地をどう活用したらよいのか分からなかったり、そもそも活用する気が無かったりする場合、売却してしまうのも一つの手です。
固定資産税は土地を所有しているだけでかかるため、使い道がないのであれば早めに売却することをおススメします。
農地に転用する
更地を農地に転用することで特例を受けることができるため、固定資産税を安くすることができます。
農地には区分があり、それによって固定資産税の計算方法が異なりますが、基本的には更地のときより安くなります。
建物の解体は1月1日以降に行う
土地の固定資産税は1月1日時点での状態で決められるため、建物を解体して更地にする場合はそれ以降に行なうようにしましょう。
例えば住宅に関して、1月1日以降に解体することでその1年は住宅用地の特例が適用されます。
しかし、1月1日より前に解体した場合、1月1日時点では更地の扱いとされるため、住宅用地の特例が受けられなくなります。
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