所有している土地を更地にした場合、もしくは更地を所有している場合、その更地の固定資産税がどれくらいかかるかが気になる人は多いと思います。更地の場合とそうでない場合で、どれほどの差があるかがわからないと不安にもなるでしょう。また、更地にした後にどうすれば固定資産税の負担を減らせるかが気になる人もいるかと思います。
本記事では、更地の固定資産税の計算方法や、更地の固定資産税の負担を減らす方法などについて解説しています。
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更地の固定資産税の計算
更地の固定資産税は、課税標準額(固定資産税評価額)に、税率の1.4%をかけることで求めることができます。更地の固定資産税評価額は、地価公示価格の70%程度を目標に決められています。これを式にすると以下のようになります。
固定資産税評価額=地価公示価格×70%
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固定資産税評価額は、毎年市区町村から送付される、固定資産税納税通知書にて確認することができます。
固定資産税の計算方法
固定資産税は、課税標準額に一定の税率(標準税率は1.4%)をかけることで求めることができます。そして、課税標準額とは固定資産税評価額に一定の系数をかけたものになります。これらを式にすると以下のようになります。
宅地の固定資産税は非住宅用地と住宅用地の2つに分類されます。住宅用地とは居住を目的とした建物が存在している土地のことで、非住宅用地とはそれ以外の宅地を指します。つまり、更地は非住宅用地に該当します。
そして、更地(非住宅用地)と住宅用地では上記の式にある「一定の係数」が異なります。
更地(非住宅用地)
更地(非住宅用地)の一定係数は原則70%となるため、課税標準額は地価公示価格に70%をかけたものです。つまり、更地(非住宅用地)の固定資産税を求める式は以下の通りです。
更地(非住宅用地)の固定資産税=課税標準額(地価公示価格×70%)×1.4%
住宅用地
住宅用地の一定係数は条件によって変わり、1/6もしくは1/3となります。つまり住宅用地の固定資産税は以下のように求めることができます。
住宅用地の特例
住宅用地には小規模住宅用地と一般住宅用地の2種類があります。住宅用地に対する課税標準の特例について、それぞれ係数が異なります。
小規模住宅用地とは、住宅1戸につき200㎡以下の住宅用地のことで、課税標準額を評価額の1/6とする特例措置があります。いっぽう一般住宅用地は小規模住宅用地以外のことで、350㎡の住宅用地に住宅が1戸ある場合、200㎡分が小規模住宅用地で、残りの150㎡が一般住宅用地となります。そしてその150㎡分の住宅用地の課税標準額を評価額の1/3とします。
因みに、小規模住宅用地の特例は住宅1戸につき200㎡までの部分が対象であるため、例えば400㎡の住宅用地に住宅が2戸ある場合は400㎡に特例が適用されます。
住宅用地に該当する土地
住宅用地の面積は家屋の敷地面積に、下記表の一定の率を乗じて求めます。その範囲は家屋の床面積の10倍までが住宅用地となります。
家屋 | 居住部分の割合 | 住宅用地の率 |
---|---|---|
専用住宅 | 全部 | 1 |
併用住宅 | 4分の1以上2分の1未満 | 0.5 |
併用住宅 | 2分の1以上 | 1 |
地上5階以上の耐火建築物である併用住宅 | 4分の1以上2分の1未満 | 0.5 |
地上5階以上の耐火建築物である併用住宅 | 2分の1以上4分の3未満 | 0.75 |
地上5階以上の耐火建築物である併用住宅 | 4分の3以上 | 1 |
出典:越谷市ホームページ
- 居住を目的に建築され、店舗・事務所などの業務用に供する部分のない住宅のこと。
- 居住を目的とした居住部分と、店舗や事務所、賃貸住宅などの業務用に供する部分が合わさり一つとなった建物のこと。
負担水準
土地の固定資産税は、時価が高くなると一緒に高くなります。そのため、土地の評価額が急上昇した場合などに、そのまま税額が上がらないように負担調整措置が取られます。
負担調整では負担水準を計算して課税標準額が決まります。負担水準の求め方は以下の通りです。
負担水準が70%を超える場合、当該年度の評価額の70%相当額を課税標準として計算します。60%~70%の場合、一律に前年度の税額が据え置きになります。60%未満の場合、前年度課税標準額に今年度評価額の5%を上乗せという措置が取られます。
通常前年度の課税標準額と当該年度の新評価額に大差がなく、負担水準は70%を超えることが多いです。そのため更地(非住宅用地)の課税標準額は、固定資産税評価額に70%をそのままかけることがほとんどです。
土地が200㎡以下の場合の固定資産税
敷地面積が200㎡である場合の固定資産税について計算していきます。
例として、面積が200㎡で固定資産税評価額が1,000万円の土地があり、この土地がそれぞれ更地の場合、住宅用地で住宅が1戸建っている場合の固定資産税について考えます。
更地
固定資産税:700万円×1.4%=9.8万円
つまり、面積が200㎡で固定資産税評価額が1,000万円の土地の場合、更地の固定資産税は9.8万円になります。
住宅用地
固定資産税:167万円×1.4%=2万3,000円
面積が200㎡で、固定資産税評価額が1,000万円の住宅用地の固定資産税は2万3,000円となります。
上記の結果から、住宅用地の場合に比べて、更地の場合の固定資産税が4倍以上も高くなることがわかります。
敷地面積が200㎡を超える場合の固定資産税
敷地面積が200㎡を超える場合の固定資産税について計算していきます。
例として、面積が350㎡で固定資産税評価額が2,000万円の土地があり、この土地がそれぞれ更地の場合、住宅用地で住宅が1戸建っている場合の固定資産税について考えます。
更地
固定資産税:1,400万円×1.4%=19万6000円
つまり、面積が350㎡で固定資産税評価額が2,000万円の土地の場合、更地の固定資産税は19万6000円になります。
住宅用地
面積が350㎡の土地の場合、200㎡以下が小規模住宅用地となり、残りの150㎡が一般住宅用地となります。
課税標準額=2,000万円×(200㎡/350㎡)×1/6+2,000万円×(150㎡/350㎡)×1/3
課税標準額=1.143万円×1/6+857万円×1/3
課税標準額=190万5,000円+256万円
課税標準額=446万5,000円
面積が350㎡で、固定資産税評価額が2,000万円の住宅用地の固定資産税は6万2,510万円になります。
上記の結果から、住宅用地の場合に比べて、更地の場合の固定資産税が3倍近くも高くなることがわかります。
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なぜ更地の固定資産税が高くなるのか
土地の固定資産税を計算するとき、対象の土地が更地か住宅用地かによりに乗ずる係数が変わり、固定資産税の税額も変わります。
この係数に関して、更地の時が一番高くなるため課税標準額も高くなり、更地の固定資産税が高くなる、という仕組みです。
また、更地の固定資産税が住宅用地に比べて6倍になるといった話を聞くことがあるかもしれませんが、1章の計算を見て貰えれば分かるように、3倍~4倍が一般的です。
更地にして住宅用地の特例である軽減措置が適用されなくなることで、「1/6ではなくなる」ため「6倍になる」という認識を持った人が多いと思いますが、実際は更地でも負担調整措置がとられ、固定資産税評価額に70%がかけられるため6倍にはなりません。
更地の固定資産税の負担を減らす方法
本章では、更地の固定資産税の負担を減らすにはどうしたらよいのかについて説明します。
土地活用をする
土地活用をすることで固定資産税の負担を減らすことができます。
特に、アパート経営やマンション経営などの賃貸経営を行うことで、住宅用地の特例で固定資産税の軽減措置が適用されることに加えて、家賃収入を得ることができます。
しかし、更地に建物を建てることで土地の固定資産税は安くなっても、新たに建物の固定資産税が課されることになる点には注意しましょう。また、賃貸経営には管理費や修繕費などの恒常的にかかる費用もあるため、まずは自分で調べたり、ハウスメーカーなどに相談したりすることが大切です。
土地を売却する
更地をどう活用したらよいのか分からなかったり、そもそも活用する気が無かったりする場合、売却してしまうのも一つの手です。
固定資産税は不動産を所有しているだけでかかるため、使い道がないのであれば早めに売却することをおすすめします。更地を売却することで、税負担を減らすだけでなくまとまったお金を得ることができます。
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農地に転用する
更地を農地に転用することで特例を受けることができるため、固定資産税を安くすることができます。
農地には区分があり、それによって固定資産税の計算方法が異なりますが、基本的には更地のときより安くなります。
ただし、農地に地目変更するためにはいくつかの必要な届け出があることと、木を数本植えただけなどでは農地としてみなされず、耕作の目的に供される土地でなければならないことには注意しましょう。
建物の解体は1月1日以降に行う
土地の固定資産税は1月1日時点での状態で決められるため、建物を解体して更地にする場合はそれ以降に行なうようにしましょう。
例えば住宅に関して、1月1日以降に解体することでその1年は住宅用地の特例が適用されますが、1月1日より前に解体した場合、1月1日時点では更地の扱いとされるため、住宅用地の特例が受けられなくなります。
また、更地に住宅を建てる場合は、上記と同じ理論で1月1日に竣工が間に合うようにすると得ができます。
駐車場経営は税金対策にならない?
駐車場経営は税金対策にならないのかどうかについてですが、結論から言うと税金対策にはなりません。なぜなら、住宅用地の特例が適用されるのは土地に居住を目的とした建物が建っている場合であり、駐車場経営は居住を目的としてはいないため更地扱いになるからです。
そのため、もともと建っていた住宅を解体して駐車場にした場合などは、固定資産税の負担が大きくなる可能性があります。ただし、「建物を解体して駐車場経営をすると固定資産税が6倍になる」といった噂を聞くことがありますが、それはありません。2章でも話しましたが、住宅用地の特例が適用されなくなり「1/6」ではなくなっても、負担調整措置が取られるためです。
また、駐車場経営は初期費用が高くなく、ランニングコストもあまりかからないため、うまくいけば固定資産税分の出費を利益によって賄うことができます。
駐車場経営はわずかな機器設備の設置をすればよいので、開始までが短期間で済みます。そのため、やめるときもスムーズにやめることができるので、更地にした後の暫定的な土地活用として行なうのも良いでしょう。
固定資産税の計算方法をしっかりと理解しよう
更地の固定資産税や、住宅用地との税額の違いを理解したいのであれば、計算方法を理解することが必要です。更地の固定資産税は、課税標準額に乗ずる率が高いため一緒に高くなります。
住宅用地に比べて、更地の固定資産税は6倍ではなく3倍~4倍程度が一般的ですが、それでもかなり差があります。更地にするかどうかを迷っている人は、更地にすると固定資産税がどう増減するのかを理解して検討しましょう。
記事のおさらい