建物を解体して更地にしようとしている方の中には以下のような悩みや疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
- 更地にかかる固定資産税が高いのはなぜ?
- 更地の固定資産税を減らす方法は?
- 空き家を放置するとどうなる?
この記事では、更地の固定資産税が高いのはなぜかを解説します。
また、住宅用地の特例や空き家を放置すると更地よりも固定資産税が高くなる理由、更地の固定資産税を減らす方法についても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
不動産にかかる固定資産税について基礎的な知識を知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
更地の固定資産税が高いのはなぜ?
更地の固定資産税が高いのはなぜかというと「住宅用地の特例」という軽減措置が適用されないからです。
更地に住宅を建てると、その土地は住宅用地になります。
住宅用地では固定資産税が1/6になりますが、更地の状態では軽減措置が適用されません。
そのため、土地にかかる固定資産税を減らすには、住宅を建てて土地を有効活用することが効果的です。
更地の固定資産税はどうやって決まる?
更地の固定資産税は以下の3つの要素から決まります。
- 広さ
- 場所
- 利用され方
広さ
土地の固定資産税は登記簿の地積部分に記載された広さを基準に決められています。
しかし、登記簿に記載された情報から大きく乖離している場合には、現状に合わせられます。
また、土地の固定資産税の基準となる路線価は、1平米あたりの評価額となっていることから、そこに土地面積を乗じて算出される評価額は広ければ広いほど高くなります。
場所
土地の固定資産税は、場所によっても大きく評価が変わってきます。
各場所の評価は用途地域の区分に始まり、状況類似地区の区分、その中での標準的な宅地の選定とその価格の算定、街路ごとの価格の設定(路線価)という流れで決まります。
そして、各土地ごとに個別評価がなされ、地価上昇や地価下落に伴う評価額の修正も考慮し、評価額が決まります。
利用のされ方
土地の固定資産税は、利用のされ方によっても評価が異なります。
土地の利用され方は、登記簿上の地目を参照します。たとえば、地目が「田」や「畑」となっている土地よりも「宅地」になっている土地の方が評価が高くなります。
また、地目が「田」や「畑」となっていても、家が建っている場合には現状が優先され、宅地として評価されます。
固定資産税の計算方法
固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)の固定資産の価格をもとに税額を計算し、その固定資産の所在する市町村が課税しています。
そして、固定資産税を計算するときには、以下の計算式に当てはめることで固定資産税の納める額を求めることができます。
固定資産税評価額
土地の固定資産税評価額は、毎年1月1日に定められる公示価格(土地を売買する際の時価の目安)の70%程度になることが多いです。
そのため、公示価格が3,000万円の土地であれば、固定資産税評価額は2,100万円になります。
また、土地を所有していると3年に一度、固定資産税評価額が変更される評価替えが行われます。
この評価替えにより税額の急激な上昇を抑えるために、土地にかかる固定資産税や都市計画税の負担調整措置が適用されています。
課税標準額
課税標準額とは、基本的に当該年度の固定資産税評価額を指します。
しかし、住宅用地のように特例措置が適用される場合や土地の税負担の調整措置が適用される場合には、課税標準額は当該年度の固定資産税評価額よりも低く算定されます。
住宅用地の特例
住宅用地の特例とは、土地の賦課期日において、住宅やアパートなど、人が居住するための家屋の敷地として利用されている土地(住宅用地)に適用される特例措置です。
住宅用地の特例では、土地の広さによって減額の割合は異なり、200㎡以下の部分については固定資産税が1/6に、それを超える部分については1/3になります。
土地の広さ | 固定資産税 |
---|---|
200㎡以下の部分 | 価格 × 1/6 |
200㎡超の部分 | 価格 × 1/3 |
参考:固定資産税の住宅用地の特例とはどのようなものですか。金沢市
併用住宅の場合
併用住宅とは、居住を目的とした住宅部分と、事務所や店舗などとして利用する事業部分を一つの建物の中に併せ持つ住宅のことです。
併用住宅のうち、居住部分の割合が4分の1以上の建物の敷地について住宅用地の特例が適用されます。
しかし、併用住宅の居住部分の割合が下記の要件を満たしていない場合や、併用住宅用家屋の総床面積の10倍を超えた部分に該当する土地には、住宅用地の特例が適用されません。
地上5階以上の耐火建築物である併用住宅
居住部分の割合 | 率 |
---|---|
1/4以上1/2未満 | 0.5 |
1/2以上3/4未満 | 0.75 |
3/4以上 | 1 |
上に掲げる家屋以外の併用住宅
居住部分の割合 | 率 |
---|---|
1/4以上1/2未満 | 0.5 |
1/2以上 | 1 |
更地と建物付きの土地の固定資産税の違い
今回は、この計算式をもとに住宅用地の特例が適用されている場合とされていない場合の固定資産税を比べてみましょう。なお、土地や建物の条件は以下の通りとします。
- 土地の固定資産税評価額:4,200万円
- 建物の固定資産税評価額:1,400万円
- 土地の面積:150㎡
また、より詳細に土地や建物の固定資産税を計算したい場合は以下の記事をご覧ください。
更地の場合
更地の場合、住宅用地の特例が適用されないため、固定資産税の計算式に当てはめるだけで固定資産税額を計算することができます。
- 更地の固定資産税:4,200万円 × 1.4% = 58万8,000円
建物付きの土地
建物が建っている場合、建物にも固定資産税が課されます。
しかし、土地には住宅用地の特例が適用されるため、土地の固定資産税は1/6に軽減されます。
それでは、土地と建物の固定資産税を計算してみましょう。
- 土地の固定資産税:4,200万円 × 1.4% × 1/6 = 9万8,000円
- 建物の固定資産税:1,400万円 × 1.4% = 19万6,000円
- 土地と建物の固定資産税の合計:9万8,000円 + 19万6,000円 = 29万4,000円
このように、住宅用地の特例が適用されることで、土地の固定資産税が大幅に軽減されます。
そのため、住宅用地の特例が適用されていない更地の固定資産税が高いと感じるのは当然といえるでしょう。
また、より詳細に固定資産税をシミュレーションしたい場合は以下の記事をご覧ください。
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空き家のまま放置すると固定資産税が高くなる
建物が老朽化しているものの、更地にすると固定資産税が高くなるならそのまま放置すればいいかと考える方もいらっしゃると思います。
実際、老朽化した空き家を放置し続けると、さまざまなリスクがあることに加えて、更地以上に固定資産税を負担することなる可能性があります。
そこで老朽化した空き家を放置するとどうなるかについて解説します。
空き家を放置すると特定空き家にしてされる
老朽化した空き家を放置し続けると「特定空き家」に指定される可能性があります。
「特定空き家」とは、そのまま放置されると倒壊などの危険性が高く、周辺の生活環境に悪影響を及ぼしている空き家のことです。
この「特定空き家」に指定されると住宅用地の特例の適用から除外され、最悪の場合50万円以下の過料が徴収されることもあります。
さらに放置を続けると、行政が所有者に代わって空き家の対処を行うことになります。行政代執行を行った場合、行政代執行によってかかった費用が所有者に請求されます。
特定空き家は更地よりもの固定資産税が高くなる
空き家を放置し続け、特定空き家に指定されると住宅用地の特例の適用から除外されることから、固定資産税が6倍に跳ね上がります。加えて、空き家に対しても固定資産税がかかります。
こうなると更地の状態よりも固定資産税を負担することになります。
無駄に固定資産税を支払わないためにも、空き家は放置せず、解体・活用・売却のいずれかを検討して特定空き家に指定されないようにしましょう。
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更地の固定資産税を安くする方法
ここでは、更地の固定資産税を安くする方法を5つ解説します。
- 住宅を建てる
- 土地活用を始める
- 取り壊しは1月1日以降に行う
- 竣工は1月1日に間に合わせる
- (空き家が建っている場合)リノベーションして貸す
住宅を建てる
更地に住宅を建てることで住宅用地の特例が適用されるため、固定資産税を安くすることができます。アパートやマンションを建てて賃貸経営を始めても良いですし、一戸建てを建てて自分たちが住んでも住宅用地の特例が適用できます。
ただ、所有する土地が広い場合にはアパートやマンションを建築することをおすすめします。
住宅用地の特例は、住宅1戸につき200㎡の固定資産税を1/6に軽減することができます。つまり、住宅2戸なら400㎡、住宅3戸なら600㎡まで固定資産税を1/6に軽減されます。
そのため、戸数を多く確保できるアパートやマンションであれば200㎡を超える広い土地でも固定資産税を大幅に安くすることができます。
土地活用を始める
更地の固定資産税を安くする方法ではありませんが、更地で土地活用を始めるのも1つの選択肢になります。
たとえば、駐車場経営や太陽光発電を始めることで、住宅用地の特例を適用することはできませんが、毎月安定した収入を得ることができます。
このように、土地活用を始めることで定期的な収入を得ることができるため、その収入を固定資産税の支払いに充てることが可能になります。
また、土地活用では所有する土地の立地や特徴によって向いている活用方法が違ってきます。
そのため、まずは土地活用プラン比較サービスである「イエウール土地活用」を利用して、お持ちの土地に適した土地活用方法を探してみましょう。
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取り壊しは1月1日以降に行う
もし、空き家を解体するのであれば1月1日以降に取り壊しを行いましょう。
固定資産税は、その年の1月1日を基準に固定資産税の納める額が決まります。
そのため、1月1日以前に建物を解体してしまうと、住宅用地の特例が適用されないため、高額な固定資産税を納めることになります。
また、建て替えの一環で建物を解体する場合には、以下の5つの条件をすべて満たすことで1月1日に建物が無くても住宅用地の特例を適用することができます。
- ①当該土地が、当該年度の前年度に係る賦課期日において住宅用地であったこと。
- ②当該土地において、住宅の建設が当該年度に係る賦課期日において着手されており、当該住宅が当該年度の翌年度に係る賦課期日までに完成するものであること。
- ③住宅の建て替えが、建て替え前の敷地と同一の敷地において行われるものであること。
- ④当該年度の前年度に係る賦課期日における当該土地の所有者と、当該年度に係る賦課期日における当該土地の所有者が、原則として同一であること。
- ⑤当該年度の前年度に係る賦課期日における当該住宅の所有者と、当該年度に係る賦課期日における当該住宅の所有者が、原則として同一であること。
竣工は1月1日に間に合わせる
更地に建物を新築する場合には、1月1日に建築が完了しているようにスケジュールを調整することが重要です。
先ほども説明したように、固定資産税はその年の1月1日を基準に固定資産税の納める額が決まります。
そのため、賦課期日である1月1日に建物の竣工が間に合わなければ、更地の状態に対して固定資産税が課されることになります。
住宅用地の特例を適用させるためにも、1月1日には建物の竣工を間に合わせるようにしましょう。
(空き家が建っている場合)リノベーションして貸す
老朽化した空き家が建っている場合には、リノベーションを行い、賃貸に出すこともできます。
リノベーションをして賃貸に出すことで、空き家になることはなく、特定空き家に指定される可能性も低くなります。
しかし、賃貸需要がないエリアで賃貸に出しても入居者は集まらないため、事前に戸建の賃貸需要があるかを確認しておきましょう。
また、リノベーションの費用相場は350万円~2,000万円前後とされており、どの部分をリノベーションするかによって費用相場は大きく異なります。
そのため、リフォーム会社に相談してからリノベーションに取り掛かることをおすすめします。
更地の固定資産税が高いのは住宅用地の特例が適用されないから!
更地の固定資産税が高い理由は、住宅用地の特例という特例措置が適用されないからです。
更地の状態では、住宅用地の特例が適用されず、固定資産税が最大6倍、都市計画税が約3倍にも跳ね上がります。
そのため、更地ではアパートや一戸建てを建てたり、土地活用を始めて、固定資産税を下げることが重要になります。
また、空き家を放置するのもリスクがあるため、解体・活用・売却のいずれかを検討して特定空き家に指定されないようにしましょう。
記事のおさらい