登記簿謄本とは、土地や建物などの不動産所有者の住所氏名や構造・地目などが記載された証明書のことで、法務局で取得することができます。登記簿謄本と登記事項証明書は細かい使い分けをせず、ほぼ同じ意味として使われることが多いため気にする必要はありません。
登記簿謄本に関して、取得にはどれくらいの費用がかかるのかが気になっている方も多いのではないでしょうか。そのため、本記事では登記簿謄本の取得費や閲覧にかかる費用、請求から取得までの流れを解説しています。
登記簿謄本の取得費用
登記簿謄本の取得費用は、窓口や郵送で請求した場合1通につき600円かかります。オンラインによる請求の場合、郵送受取で1通につき500円、窓口受取で1通につき480円の手数料がかかります。登記簿謄本の手数料や手数料の納付方法は、請求方法や取得方法によって異なります。
法務局の窓口で交付請求 | 1通600円 |
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オンラインによる交付請求 | 郵送受取の場合:1通500円 |
窓口受取の場合:1通480円 | |
郵送による交付請求 | 1通600円 |
法務局の窓口で請求・取得
登記簿謄本を法務局の窓口で請求・取得する場合は、1通600円の手数料がかかります。複数まとめて請求することも可能ですが、その際は通数分の手数料を支払います。
法務局の印紙売り場で収入印紙を購入し、交付申請書に貼って提出することで納められます。
オンラインで請求・取得
登記簿謄本はオンラインで請求・取得することも可能で、オンラインで請求し郵送による取得の場合は1通500円、窓口で取得する場合は1通480円の手数料がかかります。
手数料が安かったり窓口での待ち時間がなかったりなどのメリットもありますが、請求がやや難しいというデメリットもあります。
郵送で請求・取得
登記簿謄本を郵送で請求・取得する場合、1通600円の手数料がかかります。
郵送で請求する場合、交付申請書の記入後に必要な分の収入印紙を貼り付け、切手を貼った返信用封筒も同封して法務局へ郵送します。郵送時間が追加でかかるため、窓口での請求と比べると取得までに時間がかかりますが、1週間以内には受け取ることができます。
登記簿謄本を法務局で取得する場合の流れ
登記簿謄本を請求してから取得するまでの流れは以下の通りです。
- 最寄りの法務局へ行く
- 証明書発行請求機で情報を入力する
- 手数料を収入印紙で納める
- 交付申請書に必要事項を記入する
- 収入印紙と一緒に申請書を提出する
①最寄りの法務局へ行く
登記簿謄本は基本的に、全国どこの法務局の窓口でも取得することができます。法務局のホームページにて、最寄りの法務局を探すことができます。
また、登記簿謄本は不動産の所有者に関わらず、誰でもどの不動産に関しても取得が可能です。そのため、取得するために必要な証明書等はなく、土地建物を特定する情報(地番や家屋番号等)と手数料があれば問題ありません。
なお、取扱時間は平日の8時30分~17時15分までとなっていて、休日や夜間は対応していないため注意が必要です。
②証明書発行請求機で情報を入力する
証明書発行請求機で、「不動産登記」「商業・法人登記」の2種類から「不動産登記」を選択し、画面に従い情報を入力していきます。
請求内容や手数料を確認して名前を入力すると、整理番号表が発行されるため受け取ります。因みに、同一の証明書を請求できるのは10通までなので気を付けましょう。
③手数料を収入印紙で納める
法務局の窓口で交付請求する場合は、1通につき600円の手数料を納めらなければなりません。請求する分だけの収入印紙を購入します。収入印紙は郵便局などで購入することができますが、通常、法務局に印紙売り場があるため、事前に用意せずともその場で購入することができます。
収入印紙の用意が出来たら待合室で待機します。名前を呼ばれたら整理番号票と引き換えに申請用紙を受領し、必要事項を記入します。
④交付申請書に必要事項を記入する
登記簿謄本を取得するには、法務局で登記簿謄本交付申請書を記入して提出する必要があります。交付申請書に関しては、法務局の窓口に置いてあるものや、ホームページからダウンロードしたものを使います。
交付申請書に住所氏名、地番や家屋番号を記入します。土地の地番は法務局が全ての土地につけている数字で、住所とは異なります。分からない場合は法務局にあるブルーマップなどで確認することができます。建物に関しては、家屋番号が分かっていると良いでしょう。
交付申請書の見本書き方の例は法務局のホームページで確認することができます。
⑤収入印紙と一緒に申請書を提出する
必要事項を記入した交付申請書に収入印紙を貼り付け、法務局の登記事項証明書請求窓口に提出することで請求が完了となります。
提出後、特に混雑していなければ10分~20分程度で交付されます。
登記簿謄本を取得する際の注意点
登記簿謄本を請求・取得する際に気を付けるべき点について紹介します。
登記簿謄本には有効期限がある
登記簿謄本は審査や契約に用いる場合、提出先によっては有効期限が設定されていることがあります。基本的に三ヶ月以内に取得したものであれば使用可能で、その期限を過ぎると再度取得をし直さなければなりません。
なぜ期限があるかというと、取得してから期間が空いている登記簿謄本は登記情報が変更されている可能性があるためです。そのため、早めに準備することも大切ですが古いものでは証明書として有効ではないため、登記簿謄本は必要になった時に取得するようにしましょう。
登記簿謄本は3種類ある
不動産の登記簿謄本は、土地、建物、建物(区分所有)の3種類があります。それぞれ一区画の土地、一個の建物につき1組の用紙となっています。登記簿謄本は表題部、甲区、乙区の3つの項目よって構成されています。
それぞれ順番に、不動産の所在地や大きさなどの物理的な情報、物件の所有権に関する情報、所有権以外の権利関係が記載されています。これらは種類によって見方が変わるため注意しましょう。
登記簿謄本をオンラインで取得する場合の流れ
登記簿謄本はオンラインでも請求することができます。オンラインでの請求は、法務局の窓口にわざわざ行く必要がなく、手数料が他と比べて安いというメリットがあります。
一方で、オンラインによる請求は特別な設定が必要で、手続きが難しいところもあるためしっかりと確認しておきましょう。
オンライン申請システムに登録する
まず初めに登記・供託オンライン申請システムで利用者登録をします。連絡先や自宅・会社の住所などの情報を登録します。この際、300円の登録料がかかります。
登録が完了したらシステムを利用できるようになり、以降はログインだけすればよいので、IDやパスワードを紛失しないようにしましょう。
因みに、オンライン申請サービスの利用時間は平日の8時30分~21時までとなっていて、時間外や土日祝日などの休日は利用が出来ないことに注意が必要です。
証明請求作業を行う
登録完了後、サイトトップの画面左側にあるかんたん証明書請求を選択します。IDとパスワードを入力したら、証明書請求メニューから不動産を選びます。
そして必要事項の入力後、取得したい登記簿謄本の種類を選択します。登記簿謄本は記載される内容によって下記の4種類に分けられます。
- 全部事項証明書
- 現在事項証明書
- 一部事項証明書
- 閉鎖事項証明書
全部事項証明書
全部事項証明書は、その名の通り登記内容の全ての情報が記載されているため、基本的にはこちらを使用することが多いです。
現在事項証明書
現在事項証明書は、現在効力のある登記事項のみが記載されていて、抵当権などの以前に抹消されたものの履歴は記載されていません。過去の記載する必要のない情報がある場合に使います。
一部事項証明書
一部事項証明書は、特定の一部の登記情報のみを記載したい場合に取得しますが、一般的にはあまり利用されません。同じ不動産の権利者が複数の場合に、自分の情報のみを取り出すために使います。
閉鎖事項証明書
閉鎖事項証明書は、全部事項証明書に記載されない、閉鎖された不動産の情報を記載したものです。過去にさかのぼって古いものを閲覧するために参照されます。
取得方法を選択する
登記簿謄本をオンラインで請求する場合、取得方法が法務局の窓口で受け取るか、郵送で受け取るかの二つがあるためどちらかを選択します。
この時、窓口で受け取るか郵送で受け取るかで取得費用が変わります。また、郵送を選択した場合は窓口での取得は出来ないため気を付けましょう。
手数料を納付する
取得方法を決めたら手数料の納付方法を選びます。納付に関しては、金融機関のインターネットバンキングやペイジーマークのあるATMで行えます。
前述した通り窓口で取得するか郵送で取得するかで手数料が変わり、窓口では一通480円、郵送では一通500円かかります。
登記簿謄本をオンラインで取得する際の注意点
登記簿謄本をオンラインで請求することには注意点もあります。
正確な住所が必要
登記簿謄本の発行には当該不動産の正確な住所が必須になります。ここで注意が必要なのが、実際の住所と登記上の住所が異なる場合があることです。
所在地ではなく登記上の住所が必要であるため、固定資産税通知書や権利書などで正確な住所を把握しておく必要があります。
交付までの日数の把握が必要
オンライン申請では窓口と郵送の二つの取得方法がありますが、どちらにするかにより交付までの日数が異なります。
窓口交付の場合は時間さえ合えば即日受け取りが可能ですが、郵送の場合は申請から交付まで1~3日程度かかります。
申請するタイミングや郵便の状況によって日数は前後することがあるため、余裕をもって取得するようにしましょう。また、すぐに必要な場合は窓口で直接申請して交付してもらったほうが確実です。
正式な書類の発行が必要
不動産の取引が理由で登記簿謄本が必要な場合、必ず正式な書類を発行しましょう。登記情報提供サービスではオンライン上で登記情報の確認ができますが、これを印刷したところで実際の不動産取引で使えるわけではありません。
また、登記簿謄本は種類によって記載内容が異なるため、どれが必要な書類なのかも確認しておく必要があります。取引の内容と登記簿謄本のな種類が合わないと、再度取得をし直さなければならないため注意しましょう。
登記簿謄本の閲覧費用
登記所が保有する登記情報をインターネットを通してパソコンなどで確認することができる、登記情報提供サービスというものがあります。登記情報提供サービスによって登記記録の全部の情報を得るのに、1件当たり332円の利用料金がかかります。
登記情報提供サービスの注意点
登記情報提供サービスを利用する際の注意点として、不動産登記情報を請求する場合は地番か家屋番号を用いて当該不動産を特定する必要があることと、法務局で発行されるものとは違って証明書としての効力がないことが挙げられます。実際に不動産取引を行う場合は、法務局の窓口や郵送などの方法で登記簿謄本の取得が必要です。
しかし、請求をした時点で最新の登記情報を確認することが出来たり、プリントアウトできるため、不動産に関する権利関係などで自分で調査や確認をするだけであればお勧めできるサービスです。
登記簿謄本の取得費は請求・取得方法で変わる
登記簿謄本の取得費は、請求・取得方法によって変わります。取得ではなく閲覧だけをできるサービスもあるため、自分に合った方法を利用しましょう。
また、請求方法に関して、手間や料金は他の方法よりかかるかもしれませんが、確実性を取るなら法務局の窓口ですることをおすすめします。
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