一口に司法書士と言っても、不動産の登記を専門にしている人や、商業・法人の登記申請を専門にしている人など、司法書士の業務は多岐にわたります。そして、人柄も司法書士によって十人十色でしょう。つまり「良い司法書士」とは、「自分に合った司法書士」という意味でもあります。
本記事では、良い司法書士の選び方や、司法書士に依頼する際の流れについて解説しています。
良い司法書士の選び方
自分に合う良い司法書士を選ぶ際に基準となるのは以下の通りです。
- 話をしっかりと聞いてくれるか
- 専門的な知識があるか
- はっきりと事実を伝えてくれるか
- 分かりやすい説明をしてくれるか
- 費用が明確か
- 頼りになるか
話をしっかり聞いてくれるか
司法書士の中には全く人の話を聞かず、自分の意見だけを一方的に押し付けてくる人もいますが、当然それは良い司法書士とは言えません。
相談に乗っている以上、悩みや希望などをしっかりと聞くべきです。そのため、希望や疑問点などをしっかりと聞き、それを踏まえて話してくれる人が良いでしょう。
専門的な知識があるか
冒頭でもお話した通り、司法書士の業務内容は様々で、人によって経験値や専門知識に差があります。それならベテランの司法書士の方が良いという考えになるかもしれませんが、若手でも多く経験を積んでいたり、本を読むなどして経験不足を補ったりしている人もいます。
とはいえ、経験を一つの判断基準とするのは間違っていません。自分が依頼したい分野を特に熟知している司法書士に依頼することが重要です。
はっきりと事実を伝えてくれるか
司法書士の中には、手続きを進めるうえで問題点が出ても説明せずにとりあえず受諾したり、制度の不備を悪用するような人もいます。その場合損をするのは依頼者であり、裁判沙汰になり損害賠償を請求される事態になることもあります。
そのため、悪いことは悪い、できないことはできないとはっきり伝えてくれる司法書士を選ばなければなりません。
分かりやすい説明をしてくれるか
司法書士の業務の性質上、専門的な用語を使う場面が多いと思われます。そういった場合に、専門用語を分かりやすくかみ砕いて説明してくれるかどうかも判断基準の一つになります。
司法書士にとっては何度も受けている案件の場合もあるため、つい説明が不十分になってしまう人もいます。そのため、丁寧に理解できるまで説明してくれる司法書士を選ぶようにしましょう。
費用が明確か
司法書士に依頼した際の費用は、印紙代などの実費と司法書士の報酬の二つとなります。そして、報酬に関しては司法書士が自由に決められるため、最初に費用の説明をはっきりとしてくれる人を選びましょう。
しかし、業務によっては最初の段階では検討がつかず、進行してないとわからないこともあります。そういった場合でも、おおよその費用を教えてくれるかどうかも判断材料の一つです。
頼りになるか
司法書士に依頼する際は、頼りになるかどうかが重要な観点です。
司法書士になったということは、司法書士試験を合格しているため知識量はあるということです。しかし、知識があれば頼れるかというと、それはまた別の話です。つまり、こればかりは一度会って直接話して判断する必要があります。
司法書士を場所で選ぶのはどうなの?
司法書士を場所という観点から選ぶ際の注意点について解説します。
そもそも場所は関係ない?
司法書士事務所に依頼する際、最寄りが良いのか不動産の近くが良いのか、というところで迷うかもしれません。結論から言うと、「どちらでもあまり変わりません。」
現在はインターネットでパソコンから登記簿や図面類が取れて、登記申請までできてしまいます。司法書士が法務局へ行かなくても登記申請ができるため、場所という観点ではどこの司法所事務所に依頼しても変わらないことになります。
司法書士によっては対応エリアが決まっているところもありますが、直接会って相談する場合を除き、場所は関係なく依頼しやすいところに相談すると良いでしょう。
近くの事務所に依頼したほうが良い
場所はあまり関係ないと言いましたが、何か問題が発生したときにすぐに対処してもらえるため、おすすめは近くの事務所に依頼することです。
手続きに必要な書類が不足している時にそれを持っていったり、打ち合わせを複数回したりする場合、近くの事務所だと便利ですし、気持ちの面で安心できると思います。
事務所探しはインターネットを活用する
司法書士事務所を探すときは、検索サイトで「地名+司法書士事務所」と調べるか、近くで探したい場合は地図アプリで「司法書士事務所」と検索すると探すことができます。
上記の方法でうまく探せなかった場合は、日本司法書士会連合会のホームページで司法書士事務所、及び司法書士の検索をすることができるため活用すると良いでしょう。
司法書士事務所についての情報はその事務所のホームページを見るか、電話をするかして得るしかありません。その際に自分が依頼したい業務を取り扱っているかなどを確認しましょう。
司法書士を費用で選ぶのはどうなの?
司法書士を費用で選ぶ際の注意点について解説します。
司法書士費用は事務所によって異なる
司法書士に依頼した場合、どこに頼むかによって金額は大きく変わるのか、ということも気になると思います。相場は5万円~15万円程度だと言われていますが、司法書士の費用・報酬は自由化されているため、各司法書士事務所によって異なります。
ただ、日本司法書士会連合会のホームページに司法書士の報酬というものがあり、そこでは2018年のアンケート結果をもとにした、司法書士の報酬のデータを見ることができます。取り扱っている業務ごとに目安がわかるため参考になるでしょう。
相見積もりが手間に見合わないことも
司法書士事務所に問い合わせて見積もりをする際、複数の事務所に見積もりを貰う相見積もりを行う人もいると思います。しかし、事務所によって大きな金額の差がない登記に関しては、手間のわりに節約にならないといったこともあり得るため、相見積もりはほどほどにするのをおすすめします。
不動産の登記費用は税金を含め高額になることが多いため、相見積もりをすることで節約になるかもしれませんが、会社や法人の登記費用などはそもそもそれほど高くないため相見積もりの効果は薄いです。
とはいえ、登記費用の見積もりは無料でしてくれることがほとんどですので、労力を惜しまないのであれば積極的にやるとと良いでしょう。
「今持っている不動産を現金化したい」という方は、売却という形で手放すという選択肢もあります。一括査定サイト「イエウール」を使えば、無料で最大6社から査定を受けられるので高く売ってくれそうな会社が分かります。
司法書士に依頼する流れ
司法書士に依頼する際の流れについて説明します。
- 問い合わせ
- 相談
- 見積もり~依頼
- 着手~遂行
- 書類の受け渡し~精算
- アフターフォロー
問い合わせ
司法書士へ依頼する際、電話やメール、ホームページなどを使い問い合わせをします。問い合わせの段階で依頼内容を司法書士へと伝え、仕事を引き受けてもらえるか、概算の料金はどれくらいかを確認できます。
問い合わせ後、より具体的に相談をするために面談の予定を決めます。この際、オンラインではなく、実際に事務所に行き事務所の様子を感じたり、直接司法書士と話すことをおすすめします。
相談
相談内容を解決するためにはどのような手続きが必要か、手続きをするうえで問題点があるかなどを提案・説明してもらいます。司法書士には守秘義務がありますので、他の人には話しづらいことや些細なことでも相談してみると良いでしょう。
司法書士への相談料は、一般的には30~60分で5,000円が相場ですが、初回無料の事務所もあります。
見積もり~依頼
面談が終わったら、提案された手続きの方法・料金の見積もりを確認します。依頼者と司法書士の双方が合意した場合は正式に依頼となります。
因みに見積もりは基本的に無料なので、複数の司法書士に見積もりを請求し、料金や対応を比較・検討してから依頼先を決めるのが一般的です。
着手~遂行
依頼の受諾後、司法書士は業務に着手します。司法書士によってはこの段階で着手金がかかるため、あらかじめ確認しておきましょう。
遂行までの期間は依頼内容によって異なりますが、数ヶ月~数年かかることもあります。長期間にわたる場合は、月に一回程度進捗を報告してもらうと良いでしょう。
書類の受け渡し~精算
業務の遂行後、作成書類の受け渡しを行い、司法書士から結果の報告を受けます。問題がなければ司法書士から請求書が発行され、依頼者は料金を支払います。
アフターフォロー
手続き上で確認したいことがあったり、後々わからないことが出てきたりした場合、アフタフォローを依頼できる場合もあります。
アフタフォローをしてもらえるか、料金が発生するかなどは依頼先によって変わるため、正式に依頼する前に確認しておきたいところです。
相続に強い司法書士の選び方
相続の依頼をしたいがために司法書士を探している、という方も多いでしょう。本章では、相続に強い司法書士を選ぶ際のポイントについて説明しています。
相続を専門分野としているか
相続に強い司法書士を選ぶ際は、相続を専門分野にしているかどうかというところがポイントの一つです。
司法書士は充分な知識を持っているとはいえ、一人一人に専門分野が存在しています。相続の問題を相談したいのに、異なる分野の人に相談しても期待した答えはなかなか返ってこないでしょう。
司法書士事務所を探す際は、専門分野を必ずチェックするようにしましょう。専門分野のチェックの際は、「自分が何を依頼したいのか」をよく考えることが大事です。
相続の状況全体を理解した提案をしてくれるか
司法書士に依頼する相続の仕事と言えば、相続登記を真っ先に思い浮かべる人も多いと思いますが、それだけではサポートは不十分です。相続とは相続法やその関連法令、家族の状況、資産構成などが混ざり合うため、それを適宜対処するのも司法書士の仕事です。
不動産の分割方法や遺留分対策など、相続税額に関わったり不十分だと後々トラブルに発展したりするようなことについて、先を見据えて提案してくれるのが良い司法書士と言えるでしょう。相続分野の実績を十分に持っているか
相続に強い司法書士を選ぶ際は、実際に扱った相続事例なども参考になります。解決件数や経験年数が多いほどその司法書士の能力が高いと言えます。
相続は思わぬアクシデントが発生しがちなので、様々なケースに慣れている人が良いです。そういった実績豊富な司法書士は常に落ち着いた対応が可能で、満足度の高い解決に導いてくれることでしょう。
また、司法書士事務所によっては特に自信のある解決事例を公開しているところもあるため、そういった観点から判断することもできます。
他の専門家と連携しているか
相続手続きには、司法書士の権限や知識が及ばない部分があります。そういったときに、その司法書士が他の専門家と連携を取れていると、解決までスムーズに事が運びます。
もし、連携が取れていないとなると、依頼者が他の専門家に最初から相談をしなければならないため、負担になるだけでなく、司法書士と異なるやり方で進められてしまうこともあります。
司法書士選びに困ったら
司法書士を選ぶ際は、自分が依頼したい内容や、自分が希望とするような人を選ぶようにしましょう。
司法書士に選びに苦戦している人は、一度思い切って近くの事務所に電話したり、ホームページの問い合わせフォームなどで問い合わせて見ると良いでしょう。