相続登記における登録免許税はいくらかかる?計算方法や免税の条件なども

相続登記における登録免許税はいくらかかる?計算方法や免税の条件なども

相続の際、相続登記を行い取得した不動産の名義を変更します。相続登記には登録免許税が課されます。登録免許税は相続登記をする際に必ず納付する必要があるので、自分で計算ができるようにしておきましょう。

本記事では登録免許税の計算方法や、免税措置の条件などについて解説しています。

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不動産の相続について基礎的な知識を知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。

不動産相続の手続きと流れ!相続登記の義務化についても解説します

相続登記にかかる登録免許税の求め方

相続登記の際にかかる登録免許税の税率は0.4%で、課税標準(不動産評価額)にかけることで登録免許税を求めることができます。これを式にすると以下の通りです。

課税標準(不動産評価額)×税率0.4%(1,000分の4)

それでは、登録免許税を求める際の手順について説明していきます。

出典:国税庁ホームページ:「No.7191 登録免許税の税額表

不動産評価額を調べる

市区町村役場で管理している固定資産課税台帳の価格があるなら、その価格が不動産評価額となります。これは、毎年市区町村役場から通知される固定資産課税明細書で確認することができます。

また、固定資産課税明細書の紛失などにより確認ができない場合、市区町村役場で発行される固定資産評価証明書により確認することができます。

固定資産課税明細書

毎年4月~5月頃に固定資産税の納税通知書が納付書とともに送られますが、これに付随する明細が課税明細書です。この書類には不動産の評価額が記載されています。

何もせずに送られてくるものであるため、わざわざ役所に書類を取りに行く必要はありません。

固定資産評価証明書

課税明細書がない場合は固定資産評価証明書を用意しましょう。これは不動産評価額などの情報が記載された証明書であり、各市町村が管理しています。

この書類は市役所の市税課などで発行してもらうことが可能で、発行手数料が1物件300円程度かかり、請求するのに戸籍謄本の添付が必要です。

必要な戸籍謄本は、被相続人との続柄がわかる請求者自身の戸籍と、死亡の記載がある被相続人の戸籍です。

登録免許税の計算手順

不動産の評価額が分かったら登録免許税の計算に移ります。

全ての不動産の評価額を合算する

同一の申請書で複数の不動産の登記申請をする場合、不動産評価額を合計したうえで計算することになります。

評価額の1,000円未満の端数を切り捨てる

不動産評価額の1,000円未満の端数は切り捨てます。例えば、不動産評価額が4,000万1,950円だとすると、1,000円未満の端数を切り捨てて4,000万1,000円が課税標準となります。もし不動産評価額がそもそも1,000円に満たない場合は、課税標準は1,000円となります。

また、複数の不動産の登記申請をする場合は、不動産評価額の合計から1,000円未満の端数を切り捨てることになります。

課税標準に税率をかける

相続のための、登記名義変更の際の税率は0.4%(1,000分の4)です。課税標準にこの税率をかけることで登録免許税を求められます。

100円未満の金額を切り捨てる

課税標準に0.4%をかけて出た額の、100円未満の端数を切り捨てたものが登録免許税となります。例えば、計算して求められた額が10万3,555円だとすると、100未満の端数を切り捨てて、10万3,500円が登録免許税となります。

登録免許税の計算例


不動産の相続は、建物と土地を全て引き継ぐケースや土地の持分を引き継ぐケース、建物と土地の持分を引き継ぐケースなどがあります。

ここでは建物と土地を全て引き継ぐケースと、建物と土地の持分を引き継ぐケースについて登録免許税の計算をします。

建物と土地を引き継ぐケース

評価額が350万5,500円の建物と、800万5,000円の土地を引き継いだ場合、まずはこの二つを合算します。

350万5,500円+800万5,000円=1,151万500円

1,000円未満を切り捨てるため、課税標準は1,151万円となります。これに税率である0.4%をかけます。

1,151万円×0.4%(1,000分の4)=4万6,040円

以上の計算から、評価額が350万5,500円の建物と800万5,000円の土地を引き継いだ場合、登録免許税額は4万6,000円となります。

建物と土地の持分を引き継ぐケース

一つの建物と土地を被相続人を含めた複数人で共有している場合などは、建物と土地の被相続人の有している持分を引き継ぐということになります。

この場合、まずは建物と土地それぞれの全体の評価額に被相続人の有している持分割合をかけます。上記の建物と土地をそれぞれ1/2ずつ引き継ぐとすると以下のように計算できます。

建物:350万5,500円×1/2=175万2,750円
土地:800万5,000円×1/2=400万2,500円

この二つを合算し、1,000円未満を切り捨てます。

175万2,750円+400万2,500円=575万5,250円

575万5,000円が持分の課税標準となり、これに税率である0.4%をかけます。

575万5,000円×0.4%(1,000分の4)=2万3,020円

100円未満は切り捨てとなるため、評価額が350万5,500円の建物と800万5,000円の土地をそれぞれ1/2ずつ引き継いだ場合、登録免許税額は2万3,000万円となります。

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登録免許税の免税措置を受けられるケース


平成30年の税制改正により、次の場合は相続登記にかかる登録免許税の免税措置が取られるようになりました。

  • ①相続により土地を取得した人が相続登記をせずに死亡した場合
  • ②不動産の価額が100万円以下の土地に係る場合

さらに、令和4年の税制改正により、免税措置の適用期限が令和7年3月31日までに延長されました。同時に、②の免税措置の適用対象が全国の土地に拡充され、不動産の価額が100万円以下の土地であればこの免税措置が適用されるようになりました。

①相続により土地を取得した人が相続登記をせずに死亡した場合

出典:法務局ホームページ「相続登記の登録免許税の免税措置について

相続により土地を取得した人が相続登記をする前に亡くなった場合、その土地をその人の名義とするための相続登記に関して、令和7年3月31日までの間は登録免許税が課されなくなりました。

例えば、被相続人Aから相続人B(一次相続人)へ相続により土地の所有権が移った際に、相続登記をする前に相続人Bが亡くなった場合、相続人AからBへの名義変更(一次相続)をするための登記については非課税になります。これは、現に生存している人だけでなく、既に亡くなった人名義であっても相続登記を行うことが可能だからです。

また、上記の場合必ずしも相続人Cがその土地を相続している必要はなく、相続人Bが生前にその土地を第三者に売却していたとしても、一次相続の登記における登録免許税は非課税になります。免税措置を受けるためには「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と申請書に記載する必要があります。

因みに、この時相続人BからCへの相続(二次相続)による相続登記については非課税になりません。

一次相続人が一人の場合

一次相続の相続人がB一人の場合、AからBへの相続登記を省略し、AからCへ直接相続登記をすることができます。

これにより、本来二件で申請するところが一件で済み、申請書を二件作成する手間を省くことができます。また、一次相続が省略できることで、一次相続の登録免許税を考えなくてよくなります。

この相続登記は被相続人Aの一次相続人がB一人の際の法定相続による登記の場合と、遺産分割でB一人が不動産を取得した場合にも行えます。ただし、一次相続を省略して登記する場合、登記の原因として次のような記載が必要になるため注意しましょう。

「原因」〇年〇月〇日B相続、〇年〇月〇日相続

一次相続人が複数いる場合

一次相続人がB一人だけでなく複数いる場合、一次相続を省略してAからCへ相続登記を行うことは出来ません。そのため、一次相続と二次相続で2件の申請が必要になります。

ただ、前述した通り、遺産分割でB一人が不動産を取得していた場合は一次相続を省略することができます。

②不動産の価額が100万円以下の土地である場合

個人が令和7年3月31日までに土地の所有権の相続登記を行う際、これら登記に係る登録免許税の不動産価格が100万円以下である場合は登録免許税を課さないこととされました。

これは平成30年11月15日から令和7年3月31日までの間に受ける当該土地の相続による所有権移転登記、又は令和3年4月1日から令和7年3月31日までの間に当該土地の表題部所有者の相続人が受ける相続による所有権移転登記について、と定められています。

この免税措置を受けるためには「租税特別措置法第84条の2の3第2項により⾮課税」と申請書に記載する必要があります。

申請する一部の土地が非課税となる場合

複数の土地を一件の登記申請書で作成して申請する際に、そのうちの土地の一つの評価額が100万円以下の場合でも免税措置を受けることができます。

その際は、申請書の登録免許税の欄に「一部の土地(所在・地番の土地を記載。)について租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載が必要です。

複数の土地の一部が非課税となる場合、非課税となる不動産の表示の末尾に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載します。

出典:法務局ホームページ

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登録免許税の納付方法


登録免許税の納付に関しては、現金もしくは収入印紙にて行うことができます。

現金で納付

登録免許税は原則として現金で納付します。登記を受ける際は、登録免許税額に相当する金額を銀行などで納付し、領収書を登記申請書に貼り付けて登記所に提出します。

また、オンライン申請の場合には電子納付することが可能です。

収入印紙で納付

前述したとおり原則は現金での納付になりますが、登録免許税が3万円以下である場合、登録免許税額に相当する金額の収入印紙を登記申請書に貼り付けて登記所に提出することが認められています。

因みに、収入印紙は郵便局で購入することができ、大きな登記所では所内に印紙売り場があります。なお、実務上は3万円を超えても収入印紙で納付することが可能です。

納税期限

固定資産評価証明書に記載された不動産の評価額を基準に登録免許税を納付する場合、登録免許税が納付されないと登記が却下されてしまうため、登記が完了するまでにに納付する必要があります。オンライン申請を利用して電子納付する場合は、申請した日の翌日から起算して1日間(ただし、休日は除きます。)が納付期限となります。

因みに、証明書は最新年度のものを準備する必要があります。

手順を理解して登録免許税を計算しよう

まず最初に、登録免許税を求めるためには不動産評価額のわかる書類が必要です。書類を集めることが出来たら計算方法に注意して自分で求めてみましょう。

また、登録免許税を納付する際の注意点として、納付額が不足していると登記が完了しませんので、登録免許税を正しく計算できるようにしましょう。

初心者でもわかる!
記事のおさらい

登録免許税はどうやったら求められる?
課税標準(不動産評価額)に税率である0.4%(1,000分の4)をかけることで求められます。詳しくは相続登記にかかる登録免許税の求め方をご覧ください。

登録免許税が免除されることはあるの?
①相続により土地を取得した人が相続登記をせずに死亡した場合②不動産の価額が100万円以下の土地に係る場合、の二つの場合に免税措置が取られるようになりました。詳しくは登録免許税の免税措置を受けられるケースをご覧ください。
保坂 真世
監修者:保坂 真世(ほさか まよ)
中央大学法学部卒業。横浜市内の司法書士事務所勤務を経て、2014年に横浜で独立開業。2018年に法人化し平塚支店を設置。
個人向けに終活サポート・相続手続・障がい者の法的支援、法人向けに企業の法務手続等幅広く取り扱っております。特に相続案件は年間100件以上受任する実績がある。
監修日:2023年1月24日

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