相続財産に不動産があるときの遺留分の計算方法は?遺留分侵害請求について解説

相続財産に不動産があるときの遺留分の計算方法は?遺留分侵害請求について解説

相続が発生した方の中には、以下のようなお悩みをお持ちの方もいらっしゃると思います。

こんな悩みの人にピッタリ
  • 遺言書の内容に納得がいかない
  • 遺留分侵害額請求をして財産を取り戻したい
  • 遺留分はどれくらい請求できるのだろうか?
  • 遺留分請求で不動産はもらえる?
  • 遺留分侵害請求の流れは?

この記事では、相続財産に不動産があった場合の遺留分の計算方法について解説します。

また、相続財産に不動産があった場合の遺留分シミュレーションや遺留分の不動産を評価する方法、遺留分侵害請求権と遺留分減殺請求との違い、遺留分侵害請求の流れについても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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不動産の相続について基礎的な知識を知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。

不動産売却の5つのコツを解説!失敗しないために知っておくべき心得とは

不動産相続における遺留分の計算方法

ここでは、不動産相続における遺留分の計算方法について解説します。
まず、遺留分は以下の計算式で求めることができます。

  • 遺留分=遺留分を算定するための財産の価額 × 遺留分割合 × 遺留分権利者の法定相続分
また、以下の流れで計算すると簡単に遺留分を求めることができます。
STEP
  • 相続財産全体の評価額を求める
  • 期間内の贈与分を加える
  • 相続債務額を差し引く
  • 法定相続分と遺留分割合を乗じる
  • 遺留分侵害額を求める
それでは順番に確認していきましょう。

相続財産全体の評価額を求める

遺留分を計算するときは、まず相続財産全体の評価額を求めます。

被相続人の所有していた預貯金や現金、不動産、貴金属、株式などが財産になります。

現金であれば、額面どおりに評価額を計算しますが、不動産の場合は相続開始時の価格が基準となります。

また、不動産や非上場株式などの評価が必要な財産については、当事者間で合意すれば評価方法を自由に決めることができます。

たとえば、評価額4,000万円の不動産と預金700万円を相続した場合、相続財産全体の評価額は以下のようになります。

  • 相続財産全体の評価額:4,000万円(不動産)+ 700万円(預金)= 4,700万円

この場合、相続財産全体の評価額は4,700万円をもとに遺留分の計算をしていきます。

期間内の贈与分を加える

もし、被相続人が誰かに生前贈与を行っていた場合、生前贈与した財産の価額を相続財産全体の評価額に加えて計算します。

このとき、対象になる財産は、相続人に対する生前贈与であれば相続開始から10年以内、相続人以外に対する生前贈与なら相続開始から1年以内に行われたものになります。

また、相続人に対する生前贈与の場合、結婚や養子縁組の際に受けた贈与や生計の資本として受けた贈与に限られています。

たとえば、先ほどの例に生前贈与で300万円をしていた場合、相続財産全体の評価額は以下のようになります。

  • 相続財産全体の評価額:4,700万円(相続財産)+ 300万円(生前贈与)= 5,000万円

この場合、相続財産全体の評価額は5,000万円をもとに遺留分の計算をしていきます。

相続債務額を差し引く

生前贈与も含め、相続財産全体の評価額が求められたら、そこから相続債務額を差し引きます

相続債務には、被相続人名義の借金やローン、買掛金や未払家賃が該当します。
たとえば、相続財産全体の評価額が5,000万円であるのに対し、相続債務が1,000万円あれば以下のように相続財産を求めることができます。

  • 相続財産の評価額:5,000万円(相続財産全体の評価額)-1,000万円(相続債務)= 4,000万円
この場合、相続財産 4,000万円を基準に遺留分を計算します。

ただ、被相続人名義の債務であっても、保証債務がある場合には、控除の対象にならないことに注意が必要です。

法定相続分と遺留分割合を乗じる

相続財産全体から相続債務額を差し引いたら、遺留分を算定するための財産の価額が求められます。

そして、遺留分を算定するための財産の価額が求められたら、法定相続分と遺留分割合を乗じて、遺留分を計算します。
法定相続分と遺留分割合は、以下の通りとなっています。

法定相続分

法定相続人ごとに各相続人の取り分として法定相続分が決められています。

法定相続人法定相続分
配偶者と子配偶者 1/2子1/2
配偶者と直系尊属配偶者 2/3直系尊属 1/3
配偶者と兄弟姉妹配偶者 3/4兄弟姉妹 1/4

参考:相続人の範囲と法定相続分 国税庁

遺留分割合

民法に定められた遺留分権利者と遺留分割合をまとめると以下のようになります。

遺留分権利者遺留分割合
配偶者1/2
子供1/2
直系尊属(被相続人の父母、祖父母)1/3
兄弟姉妹遺留分なし

参考:民法第1042条

【パターン別】遺留分割合と法定相続分

相続人のパターンごとに遺留分割合と法定相続分をまとめると以下のようになります。

相続人のパターン遺留分割合法定相続分各人の遺留分
配偶者と子供1人1/2配偶者:1/2配偶者:1/4
子供:1/2子供:1/4
配偶者と子供2人1/2配偶者:1/2配偶者:1/4
子供A:1/4子供A:1/8
子供B:1/4子供B:1/8
子供2人1/2子供A:1/2子供A:1/4
子供B:1/2子供B:1/4
配偶者と被相続人の母1/2配偶者:2/3配偶者:1/3
被相続人の母:1/3被相続人の母:1/6
配偶者と被相続人の弟配偶者:1/2配偶者:3/4配偶者:1/2
配偶者の弟:遺留分なし被相続人の弟:1/4遺留分なし

計算例

ここでは、4,000万円の財産を配偶者と子供2人で相続をした場合の遺留分を計算します。

  • 配偶者の遺留分:4,000万円 × 1/4 = 1,0000万円
  • 子供の遺留分:4,000万円 × 1/8 = 500万円
このように、配偶者の遺留分は4,000万円×1/4で1,0000万円、子供の遺留分は4,000万円×1/8で500万円となります。

遺留分侵害額を求める

遺留分額が求められたら、最後に実際に請求する遺留分侵害額を計算していきます。
遺留分侵害額の計算式は以下の通りです。

  • 遺留分侵害額=遺留分額 - 遺留分権利者が受けた遺贈又は特別受益の額 - 遺留分権利者の具体的相続分に相当する価額 + 遺留分権利者が承継する債務
遺留分侵害額は、遺留分から遺留分侵害請求を行う人が実際に相続したり、贈与された金額を差し引き、債務を継承するならその分の金額を加えて計算します。

たとえば、遺留分額が1,000万円で、生前贈与で150万円を受け取っていた場合、遺留分侵害額は以下のようになります。

  • 遺留分侵害額:1,000万円(遺留分)- 150万円(生前贈与)=850万円

このとき850万円を遺留分侵害額として請求することができます。

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相続不動産の遺留分シミュレーション

ここでは、不動産を相続した際の遺留分をシミュレーションしていきます。
今回の条件は以下の通りです。

  • 相続人:子供2人(子供A・子供B)
  • 生前贈与:死亡する5年前からAとBにそれぞれ700万円ずつ
  • 遺言:子供Bに預金1,500万円、評価額の合計が9,000万円の土地や建物

遺留分を求めるにはまず、遺留分を算定するための財産の価額を計算します。

遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始時に持っていた財産に、生前贈与した財産を加えた額から、債務を差し引くことで求められるため、今回の条件だと以下のようになります。

  • 遺留分を算定するための財産の価額=1,500万円(預金)+ 9,000万円(不動産の評価額)+ 1,400万円(贈与の価額)+ 0(相続債権全額)=1億1,900万円

遺留分を算定するための財産の価額は1億1,900万円なので、そこに遺留分割合と法定相続分を乗じてAさんの遺留分を計算します。

  • Aさんの遺留分=1億1,900万円 × 1/2 × 1/2=2,975万円

Aさんの遺留分が2,975万円と計算できたら、次は遺留分侵害額を求めます。
遺留分侵害額の計算式は以下の通りです。

  • 遺留分侵害額=遺留分額 - 遺留分権利者が受けた遺贈又は特別受益の額 - 遺留分権利者の具体的相続分に相当する価額 + 遺留分権利者が承継する債務
今回の条件をこの計算式に当てはめると、生前贈与があるので以下のようになります。
  • 遺留分侵害額=2,975万円(遺留分額)- 700万円(特別受益)=2,275万円
以上から、Aさんの遺留分侵害額は2,275万円になります。
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遺留分の不動産を評価する方法

不動産の相続において遺留分がある場合、以下の4つの評価方法のどれかに従って評価します。

  • 地価公示価格
  • 相続税路線価
  • 固定資産税課税評価額
  • 不動産鑑定評価額
それではひとつずつ確認していきましょう。

地価公示価格

地価公示価格は、地価公示法に基づいて、国土交通省土地鑑定委員会が、適正な地価の形成に寄与するために、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を3月に公示しているものです。

一般の土地の取引に対して指標を与えることが役割となっているため、非常に参考になります。

ただ、田舎や地方の土地では周辺に参考となる標準地・基準地が少ないことがあります。

参考:地価公示 国土交通省

相続税路線価

相続税路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことであり、路線価が定められている地域の土地等を評価する場合に用います。

遺留分を計算する際に、相続税路線価をそのまま用いてしまうと、時価よりもかなり低く評価されてしまいます。

ただ、国税庁のホームページに掲載されているため、コストをかけることなく、簡単に評価を出すことができます。

参考:路線価図・評価倍率表 国税庁

固定資産税課税評価額

固定資産税課税評価額は、毎年不動産などの固定資産を所有している方に送られてくる固定資産税課税明細書をもとに対象不動産の評価額を概算する方法です。

こちらも相続税路線価と同様に、コストをかけることなく、簡単に評価を出すことができますが、時価よりもかなり低く評価されてしまうデメリットもあります。

不動産鑑定評価額

不動産鑑定評価額は、不動産鑑定士によって求められ、売手にも買手にも偏らない客観的な交換価値を表す正常価格です。

不動産鑑定士に、評価を依頼するため、いくらか費用がかかりますが、他の方法に比べて一番精度の高い時価が求められます。

また、不動産鑑定の費用は20万円~30万円が相場とされています。
不動産の鑑定にかかる費用は、不動産の評価額や所在地、調査目的によって異なるため、実際に依頼してみるまでわからないことに注意が必要です。

遺留分の請求で不動産をもらうことはできる?

ここでは、遺留分の請求で不動産をもらうことができるのかを民法改正を交えて解説します。

現行法では不動産をもらうことができない

現行法の遺留分請求では不動産をもらうことはできません

現行法では、遺留分侵害請求権が定められており、遺留分請求を行うと、遺留分と実際の相続分の差額について金銭の支払いを請求できるようになっています。
そのため、一部の相続人が不動産を譲り受けたとしても、現行法で遺留分請求では不動産そのものを請求することができないことに注意が必要です。

しかし、2019年の民法改正以前では、遺留分減殺請求権が定められており、遺留分相当の不動産の共有持分を取得できました。

また、現在でも遺留分減殺請求が一部のケースにおいて適応されるため、遺留分を侵害されたときは一度、専門家に相談することをおすすめします。

現行法・旧法の違い

2019年7月1日に民法が改正され、遺留分の請求について大きな変化がありました。
この民法改正以降に発生した相続では、遺留分減殺請求権が廃止され、現在の遺留分侵害額請求権が適用されるようになっています。

そして、遺留分侵害請求権と遺留分減殺請求権の主な違いは以下の通りです。

遺留分侵害額請求権遺留分減殺請求権
発生する権利金銭債権現物返還請求権
不動産や不可分債権が対象財産の場合対価として金銭請求ができる対象物が共有・準共有状態になる
どちらが適用されるか2019年7月1日以降に開始された相続2019年6月30日以前に開始された相続

遺留分侵害額請求権と遺留分減殺請求権の大きな違いは、不動産や不可分債権が対象財産の場合に請求できる権利です。

遺留分減殺請求権では遺留分に合わせて不動産の持分を取得できましたが、遺留分侵害額請求権では遺留分に合わせて金銭を要求することになっています。

現行法と旧法のどちらが適用される?

遺留分が侵害された場合、2019年6月30日以前に発生した相続では改正前の遺留分減殺請求を行います。

また、2019年7月1日以降に発生した相続では遺留分侵害請求を行うことになっています。

そのため、遺留分が侵害されているのであれば、まずは相続が発生した時期を確認することから始めましょう。

遺留分侵害請求の流れ

ここでは実際に遺留分侵害請求を行う場合の流れを解説します。

STEP
  • 遺留分侵害請求権の行使
  • 話し合いで解決を目指す
  • 遺留分請求額の請求調停
  • 遺留分侵害額請求訴訟
それではひとつずつ確認していきましょう。

遺留分侵害請求権の行使

遺留分が侵害されている場合、遺留分侵害額請求権を行使しましょう。

遺留分侵害額請求権を行使することで、不動産を引き継いだ相続人に遺留分に相当する金銭の支払いを請求できます。

この遺留分の請求を主張するには「相手方の了知可能な状態に置かれることをもって足りる」とされていることから、相手の郵便受けに届けばよいとされています。

そのため、内容証明と配達証明、特定記録付き郵便を用いて、相手に遺留分侵害額請求の意思を表示しましょう。

また、遺留分侵害額請求権は「遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知ったときから1年間」「相続開始から10年」で消滅してしまうことに注意が必要です。

話し合いで解決を目指す

相手に遺留分侵害請求の意思を伝えたら、まずは話し合いで解決を目指します

特に話し合うポイントは、侵害額がいくらかという部分でしょう。
遺留分侵害請求では、不動産の評価額を自由に決められるため侵害額がいくらかで揉めやすくなっています。

このとき、お互いに弁護士をたてて話し合いを進めることにより、感情の衝突を減らし、妥協点が見つかりやすくなります。
もし、話し合いで侵害額まで決まれば、まとまった内容で合意書を作成しましょう。

遺留分侵害額の請求調停

遺留分侵害請求の意思を伝えたものの、相手が話し合いに応じなかったり、話がまとまらない場合には家庭裁判所に調停の申立てを行います。

遺留分侵害額の請求調停を始めるために、「申立ての趣旨」や「申立ての理由」などを記入した申立書といくつかの必要書類を提出することで、調停の申立てを行うことができます。

遺留分侵害額の請求調停では、裁判官や中立の立場にある調停委員を交え、当事者同士で財産額や侵害額を話し合っていきます。

このとき、冷静に話し合える自信がない方や相手や専門家に上手く意見を伝えられなさそうな方は、調停を申し立てを弁護士に依頼することをおすすめします。

参考:遺留分侵害額の請求調停 裁判所

遺留分侵害額請求訴訟

遺留分侵害額の請求調停でも話がまとまらない場合には、遺留分侵害額請求訴訟を提起してまた一から争うことになります。

遺留分侵害額請求訴訟は、いわゆる「裁判」であるため、双方の主張を戦わせ、最終的にどちらの言い分が正しかったのかを判断します。
このとき、相手も弁護士をつけることが多くなることから、しっかりと準備して訴訟に挑む必要があるでしょう。

そして、お互いのすべての主張が揃えば、裁判所は審理を終えて判決を下します。
もし、裁判所の判決内容に不服がある場合は、14日以内に控訴を提起することができます。

しかし、14日以内にどちらからも控訴がなければ判決が確定し、裁判所の判決に従うことになります。

不動産相続の遺留分計算は専門家に相談

不動産の遺留分を正確に計算するのは難しいため、弁護士などの専門家に依頼した方が良いといえます。

また、遺留分侵害額請求を当事者間で直接行おうとすると争いが激化して話がまとまらないことも多いため、まずは弁護士に相談してみましょう。

弁護士に依頼することで、話し合いが激化するリスクを抑えることができるうえ、調停の手続きも進めてくれます。

不動産の相続の手続きや相続税については以下の記事が参考になります。

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