80坪の土地の活用方法では、マンション経営は高い収益性を得る選択肢の一つです。
ただし更地からマンションを新築する場合、高額な建築費が発生するため、事前に詳細な収支シミュレーションを作成しておくことをおすすめします。
そこで本記事では、80坪のマンションの建築費と収支シミュレーションの計算方法、高収益を実現するポイントなどをご紹介します。
80坪の土地にかかるマンション建築費の相場
最初に、80坪の土地にマンションを建てる場合の、建築費の相場・計算方法について解説します。
建築費の予算を決める際や、アパートローンの借入金額を調べる際のご参考にしてください。
マンション建築費は坪単価・延べ床面積で計算
マンションの建築費は、「坪単価 × 延べ床面積」の計算式で大まかに調べることが可能です。
たとえば坪単価が100万円、延べ床面積が80坪の場合には、8,000万円の建築費が必要となる計算です。
ただし建築費の計算で使用するのは、建築面積(建坪)ではなく延べ床面積のため、マンションの階数が多くなるほど建築費が高額になる点に注意してください。
建築費の坪単価は、マンションの構造・地域や依頼するハウスメーカーによっても異なります。
構造ごと・地域ごとの坪単価は後述します。
マンションの構造ごとの坪単価
マンション建築で主に採用される鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造のそれぞれの坪単価は、下記の通りです。
- 鉄骨造(S造):83万円~110万円
- 鉄筋コンクリート造(RC造):83万円~110万円
- 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造):96万円~125万円
参考:国土交通省:建築着工統計調査 住宅着工統計 第34表(2021年度)
鉄骨造は最も安価にマンションを建てることが可能ですが、法定耐用年数が短く、耐久性や遮音性にやや劣る点に注意が必要です。
鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造は坪単価が100万円以上の高額な建築費を必要とする一方で、法定耐用年数が長く、家賃相場も高めとなるため高い収益性を見込むことができます。
どの構造を選択するかの判断は、地域の賃貸ニーズや競合物件の構造を確認してから進めると良いでしょう。
マンションの地域ごとの坪単価
主要都市ごとにマンションの建築費の坪単価をまとめると、下記の通りです。
東京 | 神奈川 | 大阪 | 愛知 | 福岡 | 北海道 | |
S造 | 123万円 | 91万円 | 79万円 | 67万円 | 69万円 | 72万円 |
RC造 | 117万円 | 100万円 | 85万円 | 83万円 | 77万円 | 89万円 |
SRC造 | 154万円 | 142万円 | 76万円 | 97万円 | 90万円 | 106万円 |
東京などの大都市圏ほど人件費が高額になるため、坪単価も上昇する傾向にあります。
また、建築するマンションの設備のグレードやエレベーターの台数、建物の形状によっても建築費は変動します。
そのため最終的な金額は、ハウスメーカーの建築プランや見積もりで確認しましょう。
建ぺい率・容積率でマンションの規模が決まる
80坪の土地で建てられるマンションの規模を調べる際には、「建ぺい率」「容積率」が重要になります。
建ぺい率とは、その土地で建てられるマンションの建築面積(建坪)の上限を指します。
容積率は、その土地で建てられるマンションの延べ床面積の上限です。
たとえば建ぺい率60%・容積率200%の80坪の土地では、建築面積48坪、延べ床面積160坪の規模が上限となる計算です。
また、地域によっては駐車場を確保するために建築面積を調節する必要がある場合や、日影規制により建物の高さが制限されるケースもあります。
法規制を満たしながら収益性の高いマンションを建築するためには、ハウスメーカーや建築会社との十分な打ち合わせが必要です。
80坪のマンション建築費の内訳
80坪のマンションの建築費の内訳として、「本体工事費」「付帯工事費」「諸費用」の3種類が存在します。
それぞれの費用が建築費全体に占める割合は、下記の通りです。
- 本体工事費:約7割
- 付帯工事費:約2割
- 諸費用:約1割
上記の費用項目について、それぞれ解説します。
本体工事費
本体工事とは、マンションの建物自体の建築費を指します。
建物の土台や柱、屋根などの躯体工事に加えて、内装・外装工事、室内の設備工事に必要な費用を含みます。
本体工事費は、前述した「坪単価 × 延べ床面積」の計算式で大まかな目安を確認することも可能です。
付帯工事費
付帯工事費とは、ライフラインの引き込み工事や、庭や駐車場などの外構工事、地盤改良工事に必要な費用を指します。
敷地内でマンションの建物以外の整備に必要な費用を指し、「別途工事費」とも呼ばれます。
ハウスメーカーや建築会社によって、付帯工事費が坪単価に含まれている場合もあるため、見積もりを比較する際には内訳や明細を確認しておきましょう。
諸費用
マンションを新築するための諸費用には、印紙税・登録免許税・不動産取得税、火災保険料、ローン保証料などが含まれます。
なお、諸費用の金額はローンに含めることができず、現金での支払いが必要です。
新築のための自己資金・頭金とは別に、建築
費の約1割は現金で用意する点に注意しましょう。
マンション経営を始める可能性が出てきたら、複数の企業にプランを提案してもらうのがおすすめです。
なぜなら、マンションの建築費の見積もりや賃料設定など経営プランによって収益が1,000万円以上変わることもあるからです。
建築費がいくらなら収益性の高いマンション経営ができるのか、利回りはどのくらいが適切なのか、気になるところを建築会社に相談してみましょう。
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活用事例:「アネックス アリオス」 地域の暮らしに貢献する店舗・クリニック併用の賃貸マンション
エリア | 神奈川県 |
土地面積(㎡) | 1733.38 |
工法 | プレハブ工法 重量鉄骨ラーメン構造 |
80坪のマンションの実質利回りは?
マンション経営を始める際には、実質利回りや将来のランニングコストを踏まえた収支シミュレーションを作成する必要があります。
実質利回りとは、年間の家賃収入から税金・管理費・修繕費などの経費を差し引いた金額で収益性を計算したものを指します。
マンション経営では「表面利回り」という数値が使われることがありますが、表面利回りは経費を考慮せずに収益性を計算するため、あくまでも目安であることに注意が必要です。
それぞれの利回りの計算方法は下記の通りです。
- 表面利回り = 年間の家賃収入 ÷ 建築費
- 実質利回り = (年間の家賃収入 – 諸経費) ÷ 建築費
収益性の高いマンション経営のためには、少なくとも表面利回りが5%以上、実質利回りが3%以上になるよう収益プランを立てると良いでしょう。
80坪のマンションはアパートよりも収益化しやすい理由
80坪の土地でアパートではなくマンションを建てる場合、建築費が高額になる傾向にあります。
ただし長期的な収益性を考える場合、高額な初期費用を支払ってマンション経営を始めた方が有利になる可能性もあります。
アパートよりもマンションの方が収益化しやすい主な理由は、以下の3つです。
- 性能が高く耐用年数が長くなるため
- 家賃相場が高水準で推移するため
- 空室率を抑えられるため
一つずつ解説します。
性能が高く耐用年数が長くなるため
鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションは、木造などと比較して耐久性が高く、耐火性や耐震性の面でも優れています。
遮音性が高く高級感のある外観を実現できる点もメリットです。
また、収益性を考える上では、減価償却費を計上できる法定耐用年数の長さも考慮する必要があります。
たとえば木造アパートの場合、法定耐用年数は22年のため、23年目以降の所得税が高額になる可能性があります。
一方で、鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年と定められており、資産価値が落ちにくい点がメリットです。
家賃相場が高水準で推移するため
アパートと比較してマンションの場合には、家賃相場を高めに設定することが可能です。
築年数が経過しても家賃の下落幅は小さく、長期にわたって高水準の家賃収入が期待できます。
空室率を抑えられるため
地域の賃貸ニーズに合致したマンションは、アパートと比較して空室が発生しにくくなる点もメリットです。
建物の性能が高く入居者が集まりやすいことから、広告費や集客コストを抑えながら家賃収入を得ることが可能です。
競合物件との差別化を図ることで、高収益なマンションの安定経営も実現できます。
80坪のマンションで高収益を実現するポイント
最後に、80坪の土地にマンションを建築して、高収益のマンション経営を実現するコツについて解説します。
ポイントは以下の3つです。
- 差別化できる設備に投資する
- ニーズを踏まえた規模・間取りで設計する
- 複数のハウスメーカーからプランを取り寄せる
一つずつご紹介するので、それぞれの要点を踏まえてマンション経営を始めましょう。
差別化できる設備に投資する
マンションの収益性を高めるためには、費用を抑える部分と投資する部分を見極めて建築プランを立てる必要があります。
たとえば、建物の形状や間取りはシンプルなものを採用し、オートロックや複層ガラスなどの競合物件に少ない設備を差別化ポイントとして採用することも効果的です。
ニーズを踏まえた規模・間取りで設計する
80坪の土地でマンションを建築する場合、規模や間取りの自由度が比較的高くなりますが、地域のニーズに合わせたものを選ぶ必要があります。
地域の賃貸ニーズとして単身者向けの部屋の需要が多いのか、ファミリー向けの部屋の需要が多いのか、駐車場は1世帯1台なのか1人1台必要なのかなど、競合物件を参考にしながらニーズに沿った建築プランを建てましょう。
複数のハウスメーカーからプランを取り寄せる
マンションの建築プランを取得する際には、1社のみではなく、できるだけ複数の会社に依頼しましょう。
複数の会社の建築プランを取り寄せることで、その地域での相場を把握しやすくなるほか、価格交渉の材料としても役立ちます。
また、建築プランの明細や内訳についても確認し、収益性やメリットだけではなく、リスクやデメリットも踏まえた誠実なプランを提示してくれる会社を選ぶと良いでしょう。
マンション経営を始めるなら最初の情報収集が重要です。
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80坪のマンション建築費は坪単価と延べ床面積を要確認
80坪の土地でマンションを建築する場合、その地域の坪単価と建築予定の延べ床面積を確認することで、大まかな金額を算出することができます。
ただし、土地ごとの建ぺい率・容積率によって建てられるマンションの規模が異なるため、自治体の窓口などで確認してから建築プランを立てることをおすすめします。
また、マンション経営の場合やアパート経営と比較して、法定耐用年数が長く資産価値が減少しにくい点や、家賃相場が高く空室が発生しにくい点がメリットとして挙げられます。
複数の建築会社からのプランを取り寄せるなど、収益性を高める工夫によって安定したマンション経営を実現できるでしょう。
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