鉄筋コンクリート造の解体費用は、「坪単価」に「延べ床面積」を掛けて計算すると大まかな金額を把握できます。たとえば、坪単価5万円、延べ床面積100坪の場合、「5万円 × 100坪 = 500万円」が解体費用の目安となります。
本記事では、鉄筋コンクリート造の解体費用の相場・内訳と、解体工事の流れ・工法などを解説します。解体費用を安く抑えたいと考える方は、ぜひご参考ください。
▼解体費用の基礎知識について知りたい方はこちらの記事をご確認ください。
3階建て鉄筋コンクリート造の解体費用の相場
3階建て鉄筋コンクリート造の解体費用は、「坪単価」に「延べ床面積」を掛けて計算すると大まかな目安を把握できます。
たとえば、坪単価5万円、延べ床面積100坪の場合、「5万円 × 100坪 = 500万円」が解体費用の目安となります。
なお、鉄筋コンクリート造の解体費用の坪単価は、3.5万円〜8万円が相場です。ただし、地域や立地条件によって金額は左右されるため、あくまでも目安と考えましょう。
最終的な解体費用は、解体業者に現地調査を依頼して、詳細な見積もりを取得した上で確認すると安心です。
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解体費用の内訳
鉄筋コンクリート造の解体費用の内訳として、主に以下の3つが挙げられます。
▼鉄筋コンクリート造の解体費用
- 本体工事費用
- 付帯工事費用
- 諸費用
本体工事費用
本体工事費用には、建物の解体工事に加え、足場の組み立てや養生シート・囲いの設置などに必要な仮設工事費用が含まれます。
見積もりでは「内部造作撤去」「上屋撤去」「下屋撤去」などの項目で費用計上されるほか、足場材・養生材の本体費用・運搬費用などの項目も使用されます。
付帯工事費用
付帯工事費用とは、敷地内にある建物以外の構造物を撤去するための費用です。
ブロック塀や物置の撤去、庭木の伐採・抜根費用などが含まれ、建物の解体費用とは別に請求される項目となります。
諸費用
諸費用には、解体工事を行うにあたって必要な届出・申請の代行手数料や、重機回送費用、工事車両の駐車費用などが含まれます。
その他、廃棄物の処分費用が追加で請求されるケースや、解体後の土地の整備に掛かる整地費用が計上されるケースもあるため、解体業者の見積もりで十分に確認しておきましょう。
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3階建て鉄筋コンクリート造の解体費用が高くなる要因
3階建て鉄筋コンクリート造の解体費用は、現場の状況によって相場より高くなる場合があります。本章では、3階建て鉄筋コンクリート造の解体費用が高額になる要因について解説します。
▼3階建て鉄筋コンクリート造の解体費用が高くなる要因
- 都心部での解体工事の場合
- 重機を使用できない場合
- アスベストを含む場合
それぞれ詳しく解説します。
都心部での解体工事の場合
解体費用の相場は、地方よりも大都市の方が高くなりやすい傾向があります。背景として、解体工事の大半を占める人件費や重機のレンタル費用・保管費用が、都心部の方が割高なことが挙げられます。
また、解体工事の際に出る廃棄物の処理場が都心部に少ないことも背景のひとつです。遠方の処分場へ廃棄物を運ぶため、人件費やガソリン代などの運搬費用が増加します。
重機を使用できない場合
前面道路が狭く重機を搬入できないケースや、隣家との距離が近く慎重な重機操作を必要とするケースなどでは、解体費用が大幅に増加することがあります。
重機が使用できない場合には手壊し解体によって建物を取り壊しますが、耐久性の高い鉄筋コンクリート造の建物では工期が大幅に延びる可能性があります。
工期が延びると日数分の人件費が上乗せされるため、前述した解体費用の相場を大きく上回る点に注意が必要です。アスベストを含む場合
建物の建材にアスベストが使用されている場合、特殊な調査・撤去作業にかかる費用が上乗せされます。
アスベストの撤去費用は、1平米あたり2万円〜8.5万円が相場です(除去面積が300㎡以下の場合)。ただし、アスベストが使用されている面積や量によって金額は変動し、なかでもビルの撤去費用は高くなりやすい傾向にあります。
また、アスベストの除去費用は自治体によっては補助金を受けられる場合もあるため、役所の窓口に問い合わせると良いでしょう。
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3階建て鉄筋コンクリート造の解体費用を安く抑えるコツ
解体費用は高額ですが、事前の対策や工事を進める際の工夫により、安くできるケースも少なくありません。本章では解体費用を安く抑えるコツとして、以下の4つをご紹介します。
▼鉄筋コンクリート造の解体費用を安く抑えるコツ
- 複数の解体業者に見積もりを依頼する
- 天候が安定する時期・閑散期に発注する
- 残置物・庭木を撤去しておく
- 補助金を利用する
一つずつ解説します。
複数の解体業者に見積もりを依頼する
解体費用の見積もりを取る際には、1社のみに依頼するのではなく、2社〜3社以上の解体業者に依頼することが大切です。
複数の見積もりを比較することで、解体費用の相場を把握しやすくなり、値引き交渉を行う判断材料にもなります。
現地調査や問い合わせの際に業者の対応を確認して、信頼できる業者を見極める際にも役立つため、できるだけ複数の業者に見積もりを依頼しましょう。
天候が安定する時期・閑散期に発注する
解体費用が高額化する要因として、前述の通り、工期の遅延が挙げられます。
工期を短縮し解体費用の削減を図るためには、天候が安定する春・秋ごろに工事を依頼したり、解体業者の繁忙期である12月〜翌3月を避けることが効果的です。
春・秋ごろは閑散期でもあるには、解体費用の見積もりが割安になるケースや、価格交渉に応じてもらいやすくなるケースもあります。残置物・庭木を撤去しておく
解体工事の際、建物に不用品や庭木が残っていると、そのぶん撤去費用・処分費用が上乗せされます。
解体に伴う廃棄物は「産業廃棄物」として扱われ、高額な処分費用を必要となります。よって、可能な限りご自身で処分しておくことをおススメします。
家財道具は粗大ごみとして排出したり、リサイクル業者に引き取ってもらったりすると、解体費用の削減につながるでしょう。補助金を利用する
自治体によっては建物の解体に補助金が利用できる場合があります。
補助金には「建物の解体」と「付帯物(ブロック塀)の除去」の費用のいずれに、別々の制度が使えます。
建物の解体補助金
- 現行の耐震基準を満たしていない
- 倒壊の危険性が高い
- 空き家になって1年誰も住んでいない
例えば、東京都港区では耐震改修工事を要する非木造の分譲マンションの場合、耐震改修工事に要する費用相当分の1/3(上限7,000万円)が支給されます。(参考:東京都港区自治体公式HP)
ブロック塀の解体補助金
たとえば、横浜市の「ブロック塀等改善事業」では、地震の際に倒壊する恐れがあり、道路に面した1m以上の高さのあるブロック塀の除却・新設工事で補助金が受けられます。なお、上限は最大50万円となっています。(参考:横浜市自治体公式HP)
▼解体費用を安くする方法についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
3階建て鉄筋コンクリート造の解体方法
鉄筋コンクリート造の建物では、建物の状況や周辺環境に合わせて、複数の解体方法が検討されることがあります。
代表的な解体方法として挙げられるのは、以下の3種類です。
▼3階建て鉄筋コンクリート造の解体方法
- 圧砕機工法
- ブレーカー工法
- 転倒工法
それぞれの工法の特徴について解説しましょう。
圧砕機工法
圧砕機工法とは、ショベルカーなどの重機に大型のハサミの形をしたアタッチメントを装着し、鉄筋コンクリートを噛み砕くように解体する方法を指します。
鉄筋コンクリート造の解体工事では最も一般的に採用される工法であり、騒音や振動を抑えられるメリットがあります。
少人数で工事を進められるため人件費も削減できますが、粉塵が発生しやすいため散水・養生しながら作業を進めることが大切です。
ブレーカー工法
ブレーカー工法とは、人力によるハンドブレーカーもしくは重機を使用した大型ブレーカーを利用して、ノミ(杭)で打撃を繰り返すことにより解体する方法です。
ハンドブレーカーは小回りが利くことから狭い場所や部分的な解体に使用されるケースが多く、効率的に工事を進められるメリットがあります。
ただし騒音・振動・粉塵いずれも発生しやすい工法のため、十分な対策が必要となるのがデメリットです。
転倒工法
転倒工法は、柱や壁、煙突などの解体で用いられる方法で、解体部分を地面に引き倒してから細かく解体することが特徴です。
柱や壁の上部にワイヤーを取り付け、内側にゆっくり転倒させてから破砕するため、粉塵の発生が少なく、狭い作業スペースでも効率的に解体を進められるメリットがあります。
ただし転倒工法には高度な専門技術を必要とするほか、転倒・解体と二度手間が発生する点がデメリットに挙げられます。
▼解体工事の種類についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。ご参照ください。
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3階建て鉄筋コンクリート造の解体工事の流れと期間
本章では解体工事の流れと期間について解説します。
解体工事の流れ
3階建て鉄筋コンクリート造の建物では、足場・養生シートの設置を行った後、屋根や内装の解体工事からスタートし、3階・2階の解体、1階と基礎の解体という流れで進みます。
建物の解体が完了すると、地中埋設物が残っていないかを確認し、土地を平らにならす整地作業を経て引き渡しとなります。
解体にかかる工期
3階建て鉄筋コンクリート造の解体に必要な工期は、延べ床面積100坪の建物の場合で1ヶ月程度が目安です。ただし解体工事の工期は、建物の規模や重機使用の可否によっても大きく異なります。
そのため最終的な工期は解体業者に問い合わせ、事前にスケジュールを確認しておくと安心です。
解体工事が遅れる原因
解体工事が遅れて工期が延びると、その分だけ人件費が高額になり解体費用が増加する原因となります。
解体工事が遅れる要因として挙げられるのは、「悪天候」や「地中埋設物の発見」、「近隣トラブル」などです。
悪天候
雨や雪が降る時期は解体工事の遅延が発生しやすくなるため、梅雨や冬場は工期が延びやすい季節と言えます。
足元が濡れていると慎重な作業を要し、工期が長引きやすくなる傾向がある点にも注意が必要です。
地中埋設物
地中埋設物とは、以前の建築工事・解体工事の際に捨てられたと思われる瓦礫や廃棄物、井戸や浄化槽などのことを指します。
このような地中埋設物は見積もりの際に調査することが難しく、解体工事の途中で埋設物を発見し追加の費用・工期を要するケースもあります。
近隣トラブル
騒音や振動の影響により近隣トラブルが発生すると、トラブル対応のために解体工事を中断せざるを得なくなります。
トラブルが長引くと工期が大幅に遅延することも考えられるため、事前に近隣へのあいさつを行ったり、トラブルの際には解体業者と協力して対処したりする姿勢が必要です。
私の家の解体費用はいくら?
3階建て鉄筋コンクリート造の解体費用は相見積もりで確認を
3階建て鉄筋コンクリート造の建物は、木造や平家と比較して解体費用が高額になりやすく、数百万円、数千万円の解体費用が発生するケースもあります。都心部の物件やアスベストを含む物件では、追加費用が発生するため、解体業者からの見積もりで最終的な金額を必ず確認しておきましょう。
解体費用を抑えるためには、複数の業者からの相見積もりを取る方法や、解体工事の発注時期を調節する方法などが挙げられます。外構の解体やアスベストの除去などで使用できる補助金がないか、自治体や解体業者に相談しながら工事を進めると良いでしょう。
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