家の解体工事に関して、どういった流れで進んでいくのか、自分がやるべき準備はあるのかなどの疑問を持っている人は多いかと思います。
また、家の解体工事では少なくとも100万円〜200万円程度の解体費用を要することも多く、工事の期間や費用の内訳を把握しておきたい方も多いでしょう。
本記事では、家の解体工事の流れと工期・費用相場について解説しています。
▼解体費用の基礎知識について知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
家の解体工事を始めるまでの流れ
実際に家の解体工事を始めるまでには準備が必要であり、中には自分でしか行えないこともあります。作業がスムーズに進められるように、事前にしておくべきことをしっかりと把握しておきましょう。
家の解体工事を始めるまでの流れは以下の通りです。
- 見積もり比較・解体業者を選ぶ
- 建設リサイクル法の申請をする
- 道路使用許可申請をする
- 物件と周辺の調査をする
- 近隣住民へ工事の説明をする
- 家屋内の所有物を撤去する
- ガス・水道・電気を停止する
①見積もりを比較・解体業者を選ぶ
解体工事を依頼する際には、最初に見積もりを取り寄せて解体業者を選ぶ必要があります。見積もりの取得は、解体業者に問い合わせて現地調査を行い、1週間程度で手元に届きます。
中には電話のみで見積もり金額を確認できる場合もありますが、適正な価格で信頼できる解体業者を選ぶためには、複数の業者に問い合わせて相見積もりを取ると安心です。
現地調査の際には、担当者の応対や誠実さを考慮しながら、価格とのバランスを踏まえて決めることをおすすめします。なお、解体業者を決めた後は、作成した契約書の内容や、解体費用の支払い時期の確認も行っておきましょう。
②建設リサイクル法の申請をする
80平米以上の解体を行う場合など、建設リサイクル法の対象となる工事では、解体工事の7日前までに都道府県知事への事前申請を行う必要があります。
事前申請は解体業者に代行を依頼することも可能ですが、原則として施主が提出の義務を負います。提出を怠った場合には、罰則として20万円の支払いを命じられるケースもあるため注意が必要です。
③道路使用許可申請をする
道路使用許可申請は、工事車両の駐車に家の前の道路を使用する場合に、警察署で申請するもののことです。
必要な道路使用許可なしに解体工事を進めた場合、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられる可能性があるほか、解体工事が中断されることもあります。
道路使用許可申請も解体業者に代行を依頼することが可能ですが、代行手数料が発生する場合もあるため事前に確認しておきましょう。
④物件の調査をする
家の解体工事を行うには、建物にアスベストが使われていないかなどの調査が欠かせません。調査の結果によっては解体工事にかかる期間や費用が変わることもあるためです。
古い建物に使用されていることの多いアスベストは、長時間吸い続けると肺がんなどの病気の原因になる可能性があるため、解体する際は対策が必要になります。
⑤近隣住民へ工事の説明をする
工事が始まる前に近隣へ解体工事の説明をしておきましょう。解体工事は近隣からのクレームが発生することが多いため、事前の説明が重要です。
工期などを尋ねられた時のために、業者に立ち会ってもらうのが良いでしょう。後々のトラブルを防ぐため、工事で迷惑をかけることに対してのお詫びや工事の概要について伝えることも大事です。
また、日常的に使用できるような手土産を用意出来たらベストです。
⑥家屋内の所有物を撤去する
家屋内にある所有物の撤去を行います。この際、自分で不用品を処理することができるのであれば費用を抑えることができます。
粗大ごみや大型家電などの自分での処分が難しいものに関しては、業者に相談・依頼するのが良いでしょう。
⑦ガス・水道・電気を停止する
解体工事を進める前に家で使用していたガス・電気などのライフラインの停止を依頼しましょう。電話線やインターネット回線を引いている場合には、引き込み線の撤去を依頼する必要もあります。
停止の依頼をする際には、理由が解体工事であることを申し添えておきましょう。ただし、水道については解体工事の最中に粉塵を抑えるための散水に使用するので、停止の依頼ではなく工事で使用することを水道局に届け出ます。
これは解体工事に使用する水と、生活に使用する水とでは区分が異なることから、水道代の計算方法が変わるためです。
私の家の解体費用はいくら?
家の解体工事の流れ
解体業者と契約し、必要な申請やライフラインの停止などの準備が済んだら解体工事が始まります。解体工事の全体像を把握するためにも、実際にどのような流れで工事が進んでいくのかを知っておくことが大事です。
以下が家の解体工事の流れです。
- 外構の撤去をする
- 足場養生の組み立てをする
- 家屋の内部を解体する
- 家屋本体を解体する
- 廃材の処理をする
- 土地の整備をする
①外構の撤去をする
足場を組んだり重機を搬入したりする際に障害となる外構があれば、その外構の撤去工事から開始します。
主な工事内容として、ブロック塀やカーポート、樹木などの撤去工事が代表的です。また、家の中に残りの不用品がある場合には、効率的に分別するため、解体工事に入る前のタイミングで撤去・処分を行います。
②足場養生の組み立てをする
続いて、家の解体のために足場養生の組み立てを行います。その際、防音・防塵・防震用のシートで養生することで近隣への影響を最小限に抑えるなど、安全かつスムーズに工事を進めるためには欠かせない作業です。
養生シートの設置は法律で義務付けられているものではありませんが、工事トラブルを避けるためにも必ず設置を依頼しましょう。
③家屋の内部を解体する
家屋の内部から解体を行います。家屋内にある断熱材やたたみ、石膏ボードなどの手作業で撤去できるもの全てを解体していきます。建設リサイクル法により分別が義務付けられたものがあるため、家の解体をすべて重機で行うことはできません。
また、この作業では粉塵が出やすいため、作業員は保護メガネやマスクなどを着用し、必要な場合は散水にて粉塵を抑えます。
④家屋本体を解体する
家の解体工事は、建物の内部を手作業で解体後、重機を使用して解体する流れが一般的です。
壁・柱・屋根のみの状態となった後、ホコリの飛散を防ぐために水を撒きながら重機で解体作業を行います。
なお、立地条件の関係で重機を搬入できないケースなどは、躯体の解体も手作業で行う「手壊し解体」が行われることもあります。手壊し解体では、解体費用が高額になりやすい傾向にあるためご注意ください。
⑤廃材の処理をする
家の解体工事が完了すると、工事に伴って排出された木くずやガラス、コンクリートなどの廃材の撤去を行います。
鉄くずなどのリサイクル可能な資源と、処分が必要な廃棄物は分別して搬出されますが、廃材の量によっては追加費用が必要となるケースもあります。
⑥土地の整備をする
廃材の撤去・処分が完了したら土地の整備を行います。地中に残る埋設物がないかを確認し、土地を平らにならす整地作業を行い、問題がなければ解体工事は終了です。
ただし古い家の基礎などの地中埋設物が発見された場合には、撤去に追加費用が請求される可能性もあります。
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家の解体工事後は建物滅失登記を行う
解体工事の完了後には、法務局にて「建物滅失登記」の手続きを行う必要があります。多くの場合は解体業者や土地家屋調査士が手続きを代行しますが、自分で申請することも可能です。
専門家に依頼する場合は約5万円の手数料が必要ですが、自分で手続きをする場合、必要書類を揃える手間はかかりますが、費用は書類代の約1,000円に抑えられます。
そのため、解体費用を抑えたい方で時間的に余裕のある方は、建物滅失登記を自分で行うことも検討しましょう。
なお、建物滅失登記は解体工事の完了後1ヶ月以内に手続きすることが義務付けられています。ご自身で行う場合には、手続きまでのスケジュールに注意してください。
家の解体工事に必要な工期・費用相場とは?
家の解体工事を進める際には、解体完了までに何日かかるのか、解体費用をいつ払うのかが気になる方も多いのではないでしょうか。
ここでは解体工事に必要な工期・費用の相場についてご紹介します。
家の解体工事に掛かる日数
家の解体工事に要する日数は、工事作業のみで約1週間〜2週間程度が目安です。ただし、解体工事の工期は家の構造や延べ床面積、立地条件などによっても変動するため、見積もりの際に解体業者に確認を取ると安心です。
また、アスベストが含まれる家屋を解体する場合や、井戸・浄化槽などの地中に埋まった構造物がある場合にも工期が延びる傾向にあります。
なお、悪天候により工事が延長となった場合や、事前の調査で判明しなかった地中埋設物が見つかった場合、近隣トラブルへの対処が必要になった場合なども、工期は長くなります。
その他、必要書類の提出やライフラインの停止にかかる期間を考慮すると、解体工事を進めたい日程の3ヶ月前には解体業者選びを始め、各種手続きに進んでおくと安心です。
家の解体費用の相場と支払いタイミング
家の解体費用の目安は、家の構造ごとの「坪単価×延べ床面積」で計算します。
解体費用の坪単価は、地域や解体業者によっても変動しますが、大まかな相場は以下の通りです。
家の構造 | 解体費用の坪単価 |
木造 | 約2万円〜4万円 |
鉄骨造 | 約3万円〜4万円 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 約4万円〜6万円 |
なお、解体費用の計算は建築面積ではなく、1階部分と2階部分の床面積を合わせた延べ床面積を使用する点にご注意ください。そのため平屋と比べて2階建てや3階建て、地下室がある家の場合は解体費用が高額になる傾向にあります。
解体費用の支払いタイミング・方法として最も多いのが、工事完了後に全額を銀行振込で支払うケースです。大規模な解体工事になる場合には、着手金・最終金の2回払いなど、分割払いとなるケースもあります。
支払い方法は銀行振込が一般的で、クレジットカード払いや、分割払いには対応していない会社が多くなっています。
また、家の広さごとに解体費用を知りたい方は以下の記事をご覧ください。
流れを理解して家の解体工事を進めよう
解体工事の前後で必要な手続き・申請を含め、本記事で解説した内容をもとに解体工事を進めましょう。
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