築50年のアパートの建て替えにはどんな費用がどれくらいかかる?老朽化が進む建物の売却・転用も含めて解説

築50年のアパートの建て替えにはどんな費用がどれくらいかかる?老朽化が進む建物の売却・転用も含めて解説

賃貸アパートには税務上の「法定耐用年数」が定められています。築50年になると、木造や鉄骨造、鉄筋コンクリート造を含め、すべてのアパートが法定耐用年数を超過してしまいます。

しかし、適切な維持管理を行っていれば、法定耐用年数に関わらず、実際の耐用年数(寿命)を延ばすことができるでしょう。一方、老朽化により空室率が上昇して収益性が悪化した場合や、節税対策を行いたい場合などは、建て替えも選択肢となります。

本記事では、築50年のアパートを建て替えるメリット・デメリットと注意点、建て替え時期の見極め方、発生する費用について解説します。

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アパート建築費については以下の記事をご覧ください。

【3月更新】アパート建築費はいくら?坪単価相場や予算別・坪数別の実例を紹介

築50年のアパートの建て替えにかかる費用の種類と目安

築50年のアパートを建て替える際には、大きく分けて以下の3つの費用が発生します。

  • 立ち退き料
  • 解体費用
  • 建築費用

それぞれの費用相場について解説します。

入居者がいる場合の「立ち退き料」

築50年のアパートでもメンテナンスがされていれば、入居者がいることも多いでしょう。その場合には、建て替えの前に、入居者に退去してもらうことと、立ち退き料を支払う必要が発生します。

料金に決まりはありませんが、一般的には、一戸あたり家賃の6ヶ月分程度が相場です。立ち退きが完了しなければ、工事を進められず機会損失が増加してしまうため、入居者が円滑に退去できるよう工夫をしましょう。

具体的には、6ヶ月以上前から期限に余裕を持って退去の打診を行い、立ち退き料の支払いの意思を示すことが大切です。なおかつ、入居者と日頃から良好な関係を築けている場合には、円満に立ち退きを了承してもらえる可能性が高まるでしょう。

更地にするための「解体費用」

アパートの解体費用は、「アパートの延べ床面積 × 坪単価」によって金額の目安を計算できます。解体費用の坪単価は、アパートの構造によって相場が異なり、以下のようになっています。

  • 木造:4万円〜6万円
  • 鉄骨造:7万円〜8万円
  • 鉄筋コンクリート造:8万円〜9万円

ただしアパートの解体では、重機が出入りする道路状況、発生する廃材の量、アスベストの有無などによって金額は変わります。

敷地面積が広いと重機で効率的に工事が進められますが、敷地面積が狭ければ、手作業での解体工事が必要となるケースもあるため、複数の業者から見積もりを取って比較検討をすることが大切です。

なお、解体工事は新築工事を依頼するハウスメーカー・建築会社に依頼すると、スムーズに建て替え工事も進められます。


▼解体費用の基礎知識について知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

家の解体費用の相場はいくら?金額の決まり方や工事の流れまで解説

物件を新築する「建築費用」

新しいアパートの建築費用も、「アパートの延べ床面積 × 坪単価」の計算式で概算できます。国土交通省が毎年実施している「建築着工統計調査」によれば、全国平均で構造別の建築費用は以下の通りです。

  • 木造:約56万円(平米単価17万円)
  • 鉄骨造:約83万円(平米単価25万円)
  • 鉄筋コンクリート造:約86万円(平米単価26万円)
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造:約90万円(平米単価27万円)
  • コンクリートブロック造:約73万円(平米単価22万円)
出典:建築着工統計調査 住宅着工統計 第34表(2021年度)

解体費用と同じく、「延べ床面積」で計算するため、階数が増えるごとに費用は嵩みます。

さらに、建築確認申請料やアパートローン手数料、保険や登記にかかる諸費用や、外構工事や地盤改良工事なども発生する場合には、さらに高額になることも考えられます。

施工会社によっても費用が変動するため、複数の業者から見積もりを取るようにしましょう。

実際にアパート建築費がいくらになるのか知りたい場合は、こちらのツールで試算してみましょう。

アパート建築費シュミレーター

新築アパートを建築する際は、アパート本体(躯体)、仕上げ、設備それぞれに建築費用がかかってきます。
試算条件を入力していただくと過去の建築事例をもとに、建築する際の概算費用を試算することができます。

試算条件を入力する

試算条件を入力し、「この条件でシュミレーションする」をクリックしてください。 予想建築費が、画面下部に表示されます。

坪数

建ぺい率

%

容積率

%

未記入(不明)の場合は建ぺい率60%、容積率200%で自動試算

土地所在地

構造

 

坪単価

万円

<参考>構造別坪単価

木造 : 坪単価 73万円

軽量鉄骨造 : 坪単価 125万円

重量鉄骨造 : 坪単価 108万円

鉄筋コンクリート造 : 坪単価 108万円

試算結果

予想建築費 万円

内訳

(坪数 × 建ぺい率 × 容積率) × 構造別の坪単価*1 = 予想建築費

*1 構造別の坪単価は、建築着工統計調査 住宅着工統計 第34表中の 「共同住宅」における「工事予定額」に基づいています。

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  1. 本当にシュミレーション通りの建築費用で建てられるかな?

実際の建築費用の見積もりは坪数やアパートの材質だけでなく、建築会社の工法や設備のグレードによって大きく変動します。
建築費用の見積もりをとる際は、複数の建築会社で相見積もりをおこなって比較・検討をしましょう。
イエウール土地活用なら、 最大で10社の建築費の見積もりを一括請求 することができます。

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築50年のアパートの建て替え時期の見極め方

築50年のアパートでは、いずれの構造であっても「法定耐用年数」を超過します。

そのため所得税の計算の際に、税の軽減となる減価償却費の計上ができず、アパート経営の利益に対して税負担が増加することも少なくありません。法定耐用年数は、以下の通りに定められています。

構造法定耐用年数
木造・合成樹脂造22年
木骨モルタル造20年
鉄骨鉄筋コンクリート造47年
鉄筋コンクリート造”
れんが造・石造・ブロック造38年
鉄骨造(鉄骨材の肉厚が3mm以下)19年
鉄骨造(鉄骨材の肉厚が3〜4mm)27年
鉄骨造(鉄骨材の肉厚が4mm以上)34年

出典:国税庁ホームページ「主な減価償却資産の耐用年数表

ただし法定耐用年数は、建物の実際の寿命とは異なる税務上の目安です。建物のメンテナンスが行き届いている場合など、入居者が入りやすい物件は、無理に建て替える必要もありません

建て替えのタイミングを考える際には、建物の傷み具合や空室率、リフォーム費用との比較などを参考にすると良いでしょう。

アパート建て替えの基礎知識!建て替えるメリットとタイミングを解説

空室率が50%を超える

築50年のアパートでは、設備や外観が時代に合わず、空室率が高まることが多くあります。築年数が50年前後で、空室率が上昇し、収益性が下がったタイミングは、アパートの建て替えを検討する時期といえます。

入居者が少なくなれば、建て替えに伴う立ち退き料も抑えられるため、低コストで建て替えができます。一方、大規模なリノベーションを行うことで、古風な雰囲気を活かしつつ、最新の設備とデザインを導入して物件価値を高め、十分な空室対策ができたという事例もあります。

新築アパートに建て替えるか、建て替えよりも安価で済むリノベーションにするかなど、優良業者と慎重に検討すると良いでしょう。

リフォーム費用が高額になる

大規模な修繕リフォームが必要となるタイミングや、耐震・断熱リフォームを検討する際に、アパートの建て替えを行うのも良いでしょう。

これらのリフォーム費用は高額になりやすく、50年という築年数も踏まえれば、費用対効果が低いことも考えられます。

建て替えて、時代やニーズに合った間取り・デザインとすることで、集客効果が得られ、空室対策のための広告費なども抑えられるでしょう。

築50年のアパートを建て替えるメリット

築50年を経過したアパートは、リフォームよりも建て替えた方が、家賃収入を増やせるメリットがあります。建て替えにより得られるメリットは、以下の通りです。

  • 収益性・資産価値が高まる
  • 所得税対策になる
  • 相続税対策になる

それぞれ解説します。

収益性・資産価値が高まる

築50年のアパートから新築アパートに建て替えれば、高めの家賃を設定できるほか、アパートの売却を考える際にも有利になり、収益性・資産価値が高まるでしょう。

老朽化したアパートでは、多くの修繕費が発生するため、新築よりも維持費がかかり、入居者を集めるための広告費も割高になる傾向にあります。

所得税対策になる

築50年のアパートは法定耐用年数を超過しているため、「減価償却費」が計上できず、税負担が大きくなることは前述の通りです。

新築アパートに建て替えると、この減価償却費が再び計上できるようになり、所得税の節税が可能となります。この節税効果は法定耐用年数に達するまで受けられるため、長期的な対策となります。

相続税対策になる

家主が亡くなった際、アパートに対して課税される相続税は、入居率が低いと相続税負担が増えてしまう可能性があります。

空室の部分は更地と同様の高い税率が適用されることもあり、財産評価額から住宅であることにより減じられる措置が適用されない可能性があるためです。

また、アパートローンなどの融資を受けて建て替えた場合には、自身が亡くなった際の財産総額から、借入金額を差し引くことができます。その結果、相続財産の評価額が下がり、配偶者や子どもが納付する相続税を軽減できるメリットもあります。

老朽化したアパートの建て替えの場合、旧耐震基準のアパートでない限り「建物の老朽化による強度不足」という理由だけで立ち退き料なしに立ち退きを要求することは難しいでしょう。そんなときは、施工会社に立ち退きの進め方など相談してみましょう。

いずれにしても、建て替えを検討し始めた段階で施工会社から新しいアパートの建築費用の見積もりをもらう必要があるでしょう。建築費用の見積もりをもらうときは複数の施工会社に問い合わせて建築プランを比較するのがポイントです。

イエウール土地活用ならアパートやマンションの建築実績豊富な大手ハウスメーカーに一括で問い合わせをすることができます。

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築50年のアパートを建て替えるデメリット

築50年のアパートを建て替える場合、リフォームや売却と比較すると、以下のようなデメリットがあります。

  • 高額な費用と長い期間が必要になる
  • 立ち退きの手間と費用がかかる

それぞれのデメリットを解説します。

高額な費用と長い期間が必要になる

アパートの建て替えでは、前述のように、立ち退き料・解体費用・建築費用などの費用が数千万円単位で発生するほか、アパートの新築が完了するまでに長い期間が必要となります。

建て替えに必要な期間の目安としては、以下の通りです。

  • 入居者へ立ち退きを打診・立ち退き完了:6ヶ月〜1年
  • 古いアパートの解体工事:1ヶ月
  • 新しいアパートの建築工事:3〜4ヶ月

大まかな目安として、1年〜1年半ほどの期間は家賃収入がゼロになることに注意が必要です。

不動産売却の5つのコツを解説!失敗しないために知っておくべき心得とは

立ち退きの手間と費用がかかる

アパートの建て替えの際に大きな壁となるのが、入居者の立ち退きです。家主の都合で立ち退きを依頼する場合、借地借家法第26条により1年前〜半年前の通知が必要と規定されています。

そのため、立ち退きには手間がかかるほか、立ち退き料も発生します。万が一入居者とのトラブルが発生した場合には、裁判となる可能性がある点にも注意が必要です。

築50年のアパートの土地活用を考える際の注意点

築50年のアパートの建て替えを検討するタイミングでは、建築当初と比べると、周辺環境や賃貸ニーズも大きく変化していることが考えられます。

そのため、新しいアパートへの建て替えのほかにも、戸建て賃貸や、駐車場経営など、別の土地活用への転用も検討する余地があるでしょう。最後に、築50年のアパートの活用方法における注意点を紹介します。

売却の際には更地が有利

築50年のアパートを売却する場合、資産価値が低いことから、良い立地条件でない限り買い手を見つけることが難しくなります。

担保としての価値も低いことから、買い手が購入のためにアパートローンを組む際にも、金融機関の審査で不利になってしまうという理由もあります。すぐに建て替えが必要なほど老朽化が著しいアパートの場合は、解体費用も買い手にとって大きな負担となります。

建て替え以外の選択肢も検討する場合には、可能であれば更地にすると活用の幅が広がり、売却や他の用途への転用にも有利となります。

アパートローンの審査基準と審査期間は?審査に通るための方法を紹介

アパートを建てるなら最初の情報収集が重要です。一括見積もり請求サービスイエウール土地活用なら、土地所在地を入力するだけで建築費の見積もりを取り寄せることができます。

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築50年のアパートは建て替え・売却・転用を考える時期

これまで解説したように、築50年のアパートの建て替えは、法定耐用年数だけではなく、空室率やリフォームの費用などを考慮して決める必要があります。

新築アパートに建て替えることで、収益性が改善し、節税対策にもなりますが、家賃が発生しない期間が1年程度発生してしまう点にも注意が必要です。

築50年のアパートの売却・転用も含めた土地活用について検討する際には、「イエウール 土地活用」もご利用されてはいかがでしょうか。

複数の大手ハウスメーカー・建築会社から、「イエウール 土地活用」を通じて複数の土地活用プランの提案を受けられます。ご自身にとって最適なプランを見つけられるので、ぜひお気軽にご活用ください。

初心者でもわかる!
記事のおさらい

築50年のアパートを建て替える場合、どんな費用がかかりますか?
築50年のアパートを建て替えるときには、入居者がいる場合の立ち退き料や今建っているアパートを解体する費用、新しく建てるアパートの建築費用がかかります。詳しくは、築50年のアパートの建て替えにかかる費用の種類と目安をご覧ください。

築50年のアパートは建て替えた方がよいでしょうか?
築50年のアパートは建て替えた方がいといえます。築50年にもなると節税効果も薄れ、空室も増加することになります。また、リフォームの回数も増え、修繕費用が高額になってきます。詳しくは、築50年のアパートの建て替え時期の見極め方をご覧ください。

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