親が亡くなった後に親名義の土地を相続すると、財産の額によっては相続税の申告・納付義務が発生します。国税庁が公表した「令和2年分 相続税の申告事績の概要」によれば、相続税が課税された件数の割合は、全相続件数の8.8%となっており、9割以上は相続税が発生していません。
また、土地や財産を譲る相手を自由に選ぶために、親が存命中に土地を贈与するケースもあります。
本記事では、親名義の土地を相続する2つの方法と、相続税・贈与税の計算方法、名義変更の手続き、相続における注意点について解説します。
どの土地活用を始めるかでお悩みの方は、以下の記事をご覧ください。
親名義の土地を相続する2つの方法
親名義の土地を受け取るケースは、「贈与」と「相続」の2通りがあります。
贈与は親が存命中に土地の名義を変更し、子どもや孫などに受け渡す方法で、贈与税や不動産取得税が発生します。相続と異なり、法定相続人以外の孫や兄弟などにも、自由に土地を譲渡できるメリットがあります。また、遺産分割の話し合いが不要のため、親族間でトラブルになりにくいのも利点です。
相続税と比べて贈与税の方が安く済む場合は、相続税の節税効果も得られます。一方で相続は、親が亡くなった後、法定相続人である配偶者や子どもに、土地が遺産として受け継がれる方法です。
相続する人が土地の名義変更(相続登記)を行い、相続税の支払いが発生することもありますが、相続登記の際にかかる登録免許税は、贈与時の5分の1になるメリットもあります。
親が存命中の土地相続(生前贈与)の手順
親が存命中に土地を譲り渡す場合は「生前贈与」に該当します。生前贈与の手順は以下の通りです。
- 土地の名義人を確認する
- 贈与契約書を作成する
- 土地の名義変更を行う
- 贈与税を申告・納付する
それぞれ詳しく解説します。
土地の名義人を確認する
土地の生前贈与を検討する際には、登記事項を調べて、その土地の名義人を確認しましょう。登記事項は法務局で「登記事項証明書」を申請して調べられます。
登記事項証明書の取得には、固定資産税の「納税通知書(課税証明書)」で確認できる土地の「地番」が必要になるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
贈与契約書を作成する
生前贈与を行う場合には、「贈与契約書」を作成し、贈与の証明をしましょう。贈与契約書には決まった書式はありませんが、以下の5項目を明記する必要があります。
- 贈与する日時
- 贈与する相手
- 贈与する財産
- 贈与の条件
- 贈与の方法
また、不動産の贈与契約書には200円の収入印紙を貼る必要がある点にも注意しましょう。なお、司法書士に依頼すれば、費用はかかりますが、書類の作成や手続きはスムーズです。
土地の名義変更を行う
生前贈与のために土地の名義を変更する際には、必要書類を用意して、法務局で登記申請を行う必要があります。土地の登記申請では、以下の書類が必要になります。
- 贈与する方の登記済権利証(登記識別情報)
- 贈与する方の印鑑証明書
- 贈与する方の固定資産評価証明書
- 贈与される方の住民票
- 贈与契約書
登記申請では「登録免許税」の支払いが必要となり、贈与の場合は固定資産評価額に2%を掛けた金額を納付します。
また、登記後には、贈与された人が「不動産取得税」を支払う義務が発生し、課税額は固定資産評価額の1.5%を掛けた金額です(宅地を令和6年3月31日までに贈与した場合)。
贈与税を申告・納付する
贈与税の申告・納税は、贈与された人が、贈与を受けた翌年の2月1日〜3月15日までに行う必要があります。親子間での贈与では、「暦年課税」と「相続時精算課税」のいずれかの課税方法を選択できます。
暦年課税は通常の贈与税の課税方式です。1人当たり年間110万円の基礎控除額があり、その年に贈与を受けた金額が110万円以下の場合は贈与税の申告・納税が不要です。
相続時精算課税は、贈与財産を相続財産とみなす制度で、課税の時期を、贈与時ではなく相続時に先送りできます。60歳以上の親や祖父母が、20歳以上の子や孫へ贈与するときに利用できる制度で、2,500万円までの贈与は非課税となります。
なお、相続時精算課税を利用する際には、相続時に「小規模宅地等の特例」の適用を受けられないデメリットがあるため、利用には十分な検討をしましょう。
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親が亡くなった後の土地相続の手順
親が亡くなった後に土地を相続する場合、相続の開始から相続税の納付までの流れや手順は以下の通りです。
- 遺言書を確認する
- 相続人・相続財産を調査する
- 遺産分割協議を行う
- 土地の名義変更を行う
- 相続税を申告・納付する
それぞれ解説します。
遺言書を確認する
亡くなった方の相続手続きを行う際には、まず遺言書の有無を確認しましょう。遺言書が存在する場合には、原則として遺言書に書かれている通りに土地や現金を分割します。
ただし配偶者や子どもには、遺言書の内容に関わらず一定の遺産を受け取れる「遺留分」が定められています。遺留分は生前贈与した財産も対象です。
なお、自筆の遺言書が見つかった場合には、開封せずに家庭裁判所の検認を受ける必要があるため注意しましょう。法務局に保管されていた遺言書には検認は不要です。
相続人・相続財産を調査する
遺言書が存在しない場合には、「遺産分割協議」によって相続人それぞれの相続分を話し合う必要があります。遺産分割協議には法定相続人全員の参加が必要となるため、亡くなった方(被相続人)の戸籍謄本を取り寄せて法定相続人を特定しましょう。
また、対象となる相続財産を調査し、財産目録も作成しておくと良いでしょう。
遺産分割協議を行う
遺産分割協議では、相続人全員で遺産の分割方法を協議して合意し、「遺産分割協議書」を作成します。土地の名義変更(相続登記)にも必要となる遺産分割協議書には、相続人全員の署名と実印を押す必要があります。
なお、遺産分割協議において相続人が1人でも欠けていると、遺産分割協議書は無効になる点にも注意が必要です。
土地の名義変更を行う
遺言書または遺産分割協議によって土地の相続が決まった場合には、「相続登記」により土地の名義変更を行います。
相続登記には従来は期限がありませんでしたが、令和6年(2024年)4月から相続登記が義務化され、放置すると10万円以下の過料が科される可能性もあるため、早めに手続きを行いましょう。相続登記で必要になる書類と取得場所は以下の通りです。
書類名 | 取得できる場所 |
---|---|
登記事項証明書(登記簿謄本) | 法務局 |
相続登記申請書 | 法務局 |
被相続人の住民票の除票(本籍の記載があるもの) | 市区町村の役所 |
被相続人の死亡時から出生時までの戸籍謄本 | 市区町村の役所 |
相続人全員の戸籍謄本 | 市区町村の役所 |
相続人全員の印鑑証明書 | 市区町村の役所 |
不動産を相続する相続人の住民票 | 市区町村の役所 |
不動産の固定資産評価証明書 | 市区町村の役所 |
遺産分割協議書 | 自身で用意 |
登記事項証明書の取得には480円〜600円、住民票や戸籍謄本などの取得には自治体によって1通300円〜750円程度の費用が発生します。
相続登記で発生する「登録免許税」は、固定資産評価額に0.4%を掛けた金額です。贈与とは異なり、不動産取得税は課税されません。
相続税を申告・納付する
相続税の申告・納付は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内と定められています。相続税の支払いは現金一括払いが原則のため、土地などの不動産を相続した場合には納税資金を用意する必要があります。
相続税の計算でも贈与税と同様に、土地の評価額や基礎控除額を考慮する必要があり、次項で詳しく解説します。
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親名義の土地の相続税を計算する方法と手順
親名義の土地を相続した際には、以下の流れで相続税を計算します。
- 土地の評価額を計算する
- 基礎控除額を差し引く
- 相続税の合計を算出し相続人で按分する
なお、相続税の計算は土地のみではなく、現金や有価証券、著作権などの換金可能な全ての財産から、借入金やローンなどの債務を引いた「正味の遺産額」で計算します。
すべてを合算して相続税計算を行う必要がある点に注意しましょう。
土地の評価額を計算する
土地の相続税の計算では、最初に土地評価額を調べる必要があります。土地の評価額は、国税庁ホームページの「路線価図・評価倍率表」をもとに、「路線価方式」または「倍率方式」により計算します。
路線価方式では、土地が面する道路ごとに定められている1平方メートルあたりの路線価に、土地の面積を掛けて評価額を算出します。仮に土地の路線価が20万円、土地の広さが100平方メートルの場合には、土地の評価額は2,000万円となります。
路線価が定められていない山林などの土地では、土地の固定資産評価額に、地域ごとに定められている倍率を掛けて評価額を算出します。
基礎控除額を差し引く
相続税の基礎控除額は「3,000万円 +(法定相続人の数 × 600万円)」の計算式で算出します。
法定相続人の数が多いほど控除額が増える仕組みとなっており、正味の遺産額が基礎控除額を下回れば、相続税は非課税です。
相続税の合計を算出し相続人で按分する
正味の遺産額が基礎控除額を上回る場合には、その差額である「課税遺産総額」を算出し、法定相続分の相続税を計算します。
たとえば、課税遺産総額が1,500万円で、配偶者と1人の子どもで相続する場合には、配偶者の相続税は「750万円 × 10% = 75万円」、子どもの相続税も「750万円 × 10% = 75万円」となる計算です。
法定相続分とは異なる割合で遺産を分割した場合は、それぞれの相続税を合計した150万円を、分割割合に応じて按分し、納付する相続税を決定します。
相続税対策を目的として土地活用を検討する土地オーナーの方は少なくありません。ただ、土地の広さや立地によって「どのくらい節税できるのか」が異なってきます。
賃貸経営や駐車場経営など土地活用の方法について考え始めたら、早い段階で信頼できるパートナーを見つけることをお勧めします。
それはハウスメーカーの営業担当だったり、税理士だったりするでしょう。相続税対策として何が最適なのか、いろいろな立場の人から話を聞くことが重要です。
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親名義の土地の相続税を軽減する節税対策
土地の相続税計算では、税負担を軽減できる控除・特例があります。相続税の対策となる制度について、ここで紹介します。
相続税の各種控除制度を利用する
相続税の控除制度には、「配偶者控除」「未成年者控除」「障害者控除」などが設けられています。
特に節税効果が高い配偶者控除は、1億6,000万円または法定相続分を上限に、相続税が非課税になる制度です。ただし親子間では利用できず、二次相続の際に法定相続人の数が減ることで基礎控除が減額され、子どもの税負担が増えるデメリットがあります。
そのため親の名義の土地を子どもが相続するケースでは、配偶者控除の利用には慎重な判断が必要です。
小規模宅地等の特例を利用する
「小規模宅地等の特例」は、相続した土地に実家が建っていた場合に、330平方メートルを上限に土地の評価額が80%減額される制度です。
たとえば1億円の評価額の土地が、特例によって2,000万円の評価額に減額される計算のため、高い節税効果が得られます。
ただし小規模宅地等の特例を受けるためには、相続以前から亡くなった方と同居している必要があるなどの条件があります。
土地の活用方法に迷ったときは土地活用プランの一括請求サービスを使うことをお勧めします。日本最大級の比較サイトイエウール土地活用なら、お持ちの土地に適した土地活用方法を探すことができます。
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親名義の土地の相続税は生前贈与や控除・特例で軽減できる
これまでの解説のように、親名義の土地相続で発生する相続税は、生前贈与や控除・特例を利用することにより、軽減できる可能性があります。
生前贈与には、親が自分の財産を譲りたい相手に譲渡できるメリットがあるほか、遺産分割でのトラブルを避けられる利点もあるため、親が健康なうちに検討しておくことをおすすめします。相続した土地は、家を建てて住んだり、売却したりする方法以外にも、土地活用で収益化を図ることも可能です。
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記事のおさらい