土地や建物なのどの不動産を相続することになった場合、どのような手続きが必要なのでしょうか。
本記事では不動産を相続するまでの流れを詳しく説明します。さらには相続税の計算方法や相続した土地の活用方法についても解説しています。
記事を最後まで読めば、突然土地を相続することになっても問題なく手続きを進められることができるでしょう。
「まずは不動産売却の基礎知識を知りたい」という方は、こちらの記事をご覧ください。
不動産相続の手続きと流れ
- 遺言書の有無を確認
- 相続人の確定
- 相続財産の価格を調べる
- 遺産分割協議を行う
- 相続登記
被相続人が亡くなり、不動産を相続することになれば不動産の名義変更(相続登記)をしなければなりません。相続登記については2024年から義務化されることが決まっています。
相続人が一人であれば問題ないですが、複数いる場合や被相続人が生前、複数の不動産を所有していた場合、相続登記をする前に以下の手順を踏む必要があります。
1章では相続登記までの流れを簡単に紹介します。
【手順①】遺言書の有無を確認
被相続人が亡くなったら、まずは遺言書の有無を確認します。
今回イエウールでは不動産相続を経験された方100人を対象に独自のアンケート調査を実施。「不動産を相続する際に遺言書はありましたか」という質問に対して、メモはあったが遺言書ではなかった人を含めると81%もの人が遺言書がない状態で不動産を相続をしています。
遺言書があれば、基本的には遺言書に記載されている内容に従って相続が行われます。遺言書がない場合は、遺産分割協議か法定相続分をもとにして「誰が何を相続するか」決めることになります。
【手順②】相続人の確定
遺言書の有無を確認して遺言書がない場合、相続人を決める必要があります。
不動産などの財産を相続できる人やその割合は民法によってしっかりと決まっています。相続において、財産を受け取る人を法定相続人(相続人)といい、財産の相続割合を法定相続分といいます。
まず、法定相続人になれるのは、被相続人の配偶者のほか、子ども(直系卑属)、父母(直系尊属)、兄弟姉妹(傍系血族)です。
そして、法定相続人には優先順位が決まっており、順位が上の相続人が健在の場合、相続人にはなれません。
第1順位 | 直系卑属(子ども、孫など) |
---|---|
第2順位 | 直系尊属(親、祖父母など) |
第3順位 | 兄弟姉妹 |
<参考>国税庁:No.4132 相続人の範囲と法定相続分
【手順③】相続財産の価格を調べる
次に相続財産の価格を調べる必要があります。不動産の価値を確認する方法としては、下記の3つがあります。
・課税明細書確認する
・登記簿謄本を取得する
・不動産鑑定士に依頼する
不動産の価値を確認する方法は主にこの3つですが、参照先によって金額が異なるので注意してください。
どの参照先の価値を基準とするかについては自由に決めることができます。そのため、相続人全員が納得する価値を決めるための協議が必要です。
【手順④】遺産分割協議を行う
遺言書がない場合、遺産分割協議を行うことになります。遺産分割協議とは相続人全員で遺産の分け方を話し合う手続きでのことです。
現金のように簡単に分割できない不動産は、「現物分割」「換価分割」「代償分割」「共有名義」といった4つの不動産の分割方法を解説します。分割方法については2章で詳しく解説しています。
遺産分割協議を行った際、その取り決め内容を証明するための遺産分割協議書を作成する必要があります。
様式に関する決まりはありませんが、下記の作成例を参考にすると良いでしょう。
【手順⑤】相続登記
ここでようやく、不動産の名義変更が行えます。相続登記の申請は不動産所在地の管轄法務局の窓口かオンライン、または郵送で行います。
相続登記時には必要書類と「登記申請書」「相続関係説明書」に加え「登録免許税」と印鑑が必要になります。
登記申請書
登記申請書は法務局のホームページから雛形をダウンロード・確認することができます。用紙は通常のコピー用紙で問題ありません。
不動産の住所や課税価格は、固定資産評価証明書や登記謄本を参照しましょう。登記申請書の記入例は、以下のようになります。
また、登記申請書は遺産分割方法によって様式と記入例が異なるので注意してください。
相続関係説明図
相続関係説明図は、被相続人と相続人の関係がまとめたものです。様式に関する決まりはありません。下記は、相続関係説明図の一例です
登録免許税
登録免許税は、不動産の名義を相続する人の名義に変更する際にかかる税金です。
登録免許税がいくらかかるかは不動産の評価額×0.4%で計算し、1,000円以下の端数は切り捨てます。
不動産の評価額は固定資産評価証明書に記載されていますので、相談手続きと合わせて登録免許税がいくらかかるのか確認しておきましょう。
登録免許税の納付は次のいずれかの方法で登録免許税を納付します。
現金納付 | 金融機関や税務署で納付した後、領収書を「登録免許税納付用紙」に貼付して法務局に提出する |
---|---|
印紙税での納付 | 法務局や郵便局の窓口で収入印紙を購入し「登録免許税納付用紙」に貼付して法務局に提出する |
電子納付 | オンライン申請時のみ選択可。申請から2日以内にインターネットバンキング・ATM・モバイルバンキングのいずれかの方法で申請用ソフトから納付処理を行う |
不動産の相続手続きは複雑な面もあり、司法書士に依頼する方も多いです。司法書士に相続手続きを依頼する場合、司法書士報酬として6万円~10万円がかかります。書類の発行にかかる費用や登録免許税などは、実費として別でかかりますので注意してください。
また、令和7年(2025年)3月31日まで不動産評価額が100万円以下の場合には、登録免許税は課されません。
<参考>国税庁:登録免許税の税額表
不動産を相続する際の分割方法
「不動産を含めた遺産はどのように分割しましたか?分割方法を教えてください」という質問に対して62%の人が現物分割で不動産を相続しています。
現金のように簡単に分割できない不動産は、「現物分割」「換価分割」「代償分割」「共有名義」といった4つの不動産の分割方法を解説します。
現物分割
現物分割は、相続財産である不動産や現金、株式を現物のまま各相続人に分配する方法です。
たとえば「不動産が長男、自動車が次男、現金が長女」のように分割したり、土地を相続人の人数に応じて分筆して相続します。
換価分割
換価分割は、不動産を売却して得た現金を相続人の間で分配する分割方法です。
例えば、相続する不動産を3,000万円で売却し、2人の相続人で分割する場合、1人1,500万円ずつの現金を相続します。
代償分割
代償分割は、特定の相続人が不動産などの現物を相続する代わりに、他の相続人に金銭などの代償金を支払う分割方法です。
たとえば、相続人が兄弟2人の場合、長男が3,000万円の不動産を相続する代わりに、法定相続分に見合った代償金(1,500万円)を次男に支払います。
共有分割
共有名義は、現物を複数の相続人で共有する方法です。
不動産を共有名義にするには、各相続人が所有する割合を持ち分割合として登記する必要があります。
不動産を相続する際に必要な書類と費用
不動産相続時に必要な書類や費用を把握しておくことで実際に相続する際、スムーズに手続きを進められることができるでしょう。ここでは必要書類や費用について説明します。
必要書類
相続登記をする際は多くの書類が必要になります。また、相続パターンによって書類が異なるので注意が必要です。
遺言書がある場合
必要書類 | 取得先 | 取得費用 |
---|---|---|
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 | 被相続人の本籍地の市町村役場 | 450円/1通 |
被相続人の住民票の除票 | 被相続人の本籍地の市町村役場 | 300円/1通 |
法定相続人の戸籍謄抄本 | 各相続人の本籍地の市町村役場 | 450円/1通 |
不動産を相続する人の住民票 | 相続人の居住する市町村役場 | 300円/1通 |
登記申請書 | 法務局のHPから自分で作成 | 0円 |
固定資産税納税通知書等 | 毎年4月~6月に郵送される | 0円 |
遺言書 | ‐ | 0円 |
遺言書パターンでは、遺言状と被相続人の戸籍謄本、不動産を相続する人の戸籍謄本等が必要になります。
また、遺言書には公正証書遺言と自筆による遺言の2つがあります。公正証書遺言は、公証人立ち合いのもと作成され公証役場で保管されます。自筆による遺言は、保管場所が自由であり被相続人の自宅であることもあれば誰かに預けられているケースもあります。
不動産の相続手続きを進めていくなかでも遺言書は必要になりますので、大切にとっておきましょう。
遺産分割協議を行った場合
遺産分割協議によって遺産分割を行った際に必要になる追加書類は、以下の通りです。
必要書類 | 取得先 | 取得費用 |
---|---|---|
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 | 被相続人の本籍地の市町村役場 | 450円/1通 |
被相続人の住民票の除票 | 被相続人の本籍地の市町村役場 | 300円/1通 |
法定相続人の戸籍謄抄本 | 各相続人の本籍地の市町村役場 | 450円/1通 |
不動産を相続する人の住民票 | 相続人の居住する市町村役場 | 300円/1通 |
登記申請書 | 法務局のHPから自分で作成 | 0円 |
遺産分割協議書 | 法務局のHPから自分で作成 | 0円 |
法定相続人全員の印鑑証明書 | 役所・コンビニ | 300円/1通 |
固定資産税納税通知書等 | 毎年4月~6月に郵送される | 0円 |
遺産分割協議パターンでは、被相続人や相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書等が必要になります。
遺産分割協議書や相談関係説明図などは相続人が作成しますが、インターネット上から雛形をダウンロードできますので、作成は難しくありません。
法定相続分で相続する場合
必要書類 | 取得先 | 取得費用 |
---|---|---|
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 | 被相続人の本籍地の市町村役場 | 450円/1通 |
被相続人の住民票の除票 | 被相続人の本籍地の市町村役場 | 300円/1通 |
法定相続人の戸籍謄抄本 | 各相続人の本籍地の市町村役場 | 450円/1通 |
不動産を相続する人の住民票 | 相続人の居住する市町村役場 | 300円/1通 |
登記申請書 | 法務局のHPから自分で作成 | 0円 |
固定資産税納税通知書等 | 毎年4月~6月に郵送される | 0円 |
法定相続パターンでは、相続人分の戸籍謄本と相続関係説明図などが必要になります。3つのパターンのなかでも最も必要となる書類が少ないです。
費用
不動産を相続する流れや必要書類が把握できたら、次に気になるのが相続時にかかる費用ではないでしょうか。ここでは不動産を相続する際にいくらかかるのか、不動産を相続する際にかかる費用を説明します。
登録免許税
登録免許税は、不動産の名義を相続する人の名義に変更する際にかかる税金です。
登録免許税がいくらかかるかは不動産の評価額×0.4%で計算し、1,000円以下の端数は切り捨てます。
司法書士に依頼した場合
不動産の相続手続きは複雑な面もあり、司法書士に依頼する方も多いです。
司法書士に相続手続きを依頼する場合、司法書士報酬として6万円~10万円がかかります。
証明書発行にかかる費用
不動産を相続する際に発行する証明書の費用は、相続人の人数や状況次第で異なりますが目安として1500円~3000円ほど必要になります。
相続税
相続税は、被相続人から相続人へと財産が相続された際、その財産に課される税金です。相続税の計算方法など詳しくは5章で説明します。
相続財産の総額が基礎控除額を超えている場合のみ相続税が課されます。相続税の計算方法
大切な方が亡くなって心身ともに忙しい時期ですが、被相続人が亡くなった翌日から10ヶ月以内に行わなくてはいけないのが相続税の申告です。
相続税は、被相続人から相続人へと財産が相続された際、その財産に課される税金です。相続財産の総額が基礎控除額を超えている場合のみ相続税が課されます。
「発生した相続税はいくらでしたか?」という質問に対して45%の人は相続税が発生していません。相続税が発生した人のうち一番多い割合が100万円以下の27%でした。
相続税の基礎控除額の計算式は以下の通りです。
・相続税の基礎控除額 = 3,000万円 + ( 法定相続人の人数 × 600万円 )
4000万円₋3000万円+(1人+600万円)⁼400万円
この場合は、400万円に対して相続税が発生します。
基礎控除を上回らなければ相続税は発生しません。アンケート結果にもあるように、実際に相続税が発生する人は6割ほど、相続税が発生しても、多くの場合が100万円以下であることが多いです。
不動産の相続税評価格
土地や建物は相続税を計算するとき、市場での取引価格ではなく、定められた画一的な方法で評価します。これを相続税評価額と呼びます。
不動産のうち、建物(家屋は)評価額は「固定資産税評価額×1.0%」で計算します。
固定資産税評価額とは固定資産税などを計算するために自治体が設定しているものです。
送付されてくる課税明細書にある「価格」の欄を見ると、固定資産税評価額が記載されています。固定資産税評価額は都税事務所や、市(区)役所または町村役場で確認することもできます。
土地については路線価方式・倍率方式のいずれかの方法で評価されます。
路線方式
路線価方式は、路線価が定められている地域の土地の評価額方法です。道路に面する宅地の1平方メートルあたりの価格のことで、千円単位で表示されています。
毎年7月を目安に更新されており、国税庁ホームページの路線価図で確認することができます。
<参考>国税庁:令和4年分の路線価等について(2022年)
この場合、土地の相続税評価額は路線価×補正率×面積で求めることができます。
例えば路線価が「300c」と表記されていた場合、これはこの道路に隣接する土地を1平方メートルあたり300,000円で評価することを意味しています。
路線価300c、補正率1%、面積180平方メートルだった場合、300c×1%×180で計算することができ、評価額は5,400万円と分かります。
倍率方式
路線価が設定されていない地域では倍率方式が採用されています。
倍率方式における土地の評価額は、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算します。
例えば、固定資産税評価額が1,000万円の土地が倍率1.1倍のエリアにあるのであれば、1,000万円×1.1=1,100円と計算できます。1,100万円がその土地の相続税評価額です。
<参考>国税庁:令和4年分財産評価基準を見る
不動産の種類で異なる相続方法
不動産を相続する場合、相続する不動産の種類によって相続方法が異なります。また、種類ごとに注意しておきたい点を解説します。
土地のみを相続する場合
相続した不動産が土地のみの場合の分割方法や注意点を紹介します。
相続方法
土地のみを相続する場合、現物分割で土地を分けるのが一般的です。
代償分割、換価分割、共有のいずれも相続人の同意の上であれば選択することが可能です。
代償分割で相続時に平等に分割した場合、後から土地が値上がりし、他の相続人とのトラブルになるケースも考えられます。事前に相続人同士でしっかりと話し合っておくようにしましょう。
注意点
土地を相続した場合には翌年から固定資産税が発生することを頭に入れておきましょう。更地の場合、固定資産税に関する軽減措置がないため満額支払う必要があります。
戸建てを相続する場合
相続した不動産が土地の上に建物が建っている場合の分割方法や注意点を紹介します。
相続方法
戸建てを相続する場合、現物分割が難しいため、それ以外の分割方法を採用します。
相続する不動産に相続人の誰かが住んでいて、そのまま居住を続ける場合は代償分割がよく用いられます。こうした場合は、他の相続人に代償金を支払う必要があります。
換価分割を選んだ場合、売却金を分割しやすくなります。
共有による相続は、不動産を売却する際など権利関係が複雑化しトラブルになる可能性があります。
注意点
戸建てを相続した場合、そのまま放置してしまうことも多いですが、しばらく放置し続けると「特定空き家」に指定されてしまいます。
戸建てを相続する場合、小規模住宅用地の特例により固定資産税の軽減措置を受けることができますが「特定空き家」に指定され、助言や指導に従わずにいると住宅用地特例の対象から除外されてしまうこともあります。
区分マンションを相続する場合
相続した不動産が区分マンションの場合の分割方法や注意点を紹介します。
相続方法
マンションの相続方法は戸建てと同じく、現物分割以外の方法で分割します。
注意点
マンションを相続した場合、固定資産税が発生します。
土地の上にマンションのように 人が居住するための建物が建っている場合、戸建てと同じく住宅用地の特例措置が適用されます。
なお、タワーマンションについては、高層階の方が固定資産税評価格が高く設定されています。
不動産相続の手続きは自分でできる?おすすめの相談先
「相続手続きは誰かに依頼しましたか?」という質問に対して、54%の人が司法書士に依頼しています。
不動産相続の手続きは、自分ですることも可能ですが、書類の取得や作成が難しく、専門家に依頼するのが一般的です。この章では不動産相続をする際、悩み別におすすめの相談先を紹介します。
相続の手続きに関することなら司法書士
司法書士は、相続人に代わって不動産の相続登記の手続きができる唯一の専門家です。
相続に関する法律の知識や不動産に関する知識など、幅広い知識を持っており、相続に関しての相談は司法書士にするのが一般的です。以下ではおすすめの税理士を紹介します。
西岡 容子(司法書士)
平成18年4月 熊本市にて「司法書士西岡合同事務所」を開設し、不動産登記全般、相続、遺言を中心とした業務を行い、現在に至る。
松岡 慶子(司法書士)
神戸大学出身。音楽関係のライターとして、音楽専門誌等に執筆経験がある。
2016年10月28日に大阪市中央区に「はる司法書士事務所」を開設。
保坂 真世(司法書士)
中央大学法学部卒業。横浜市内の司法書士事務所勤務を経て、2014年に横浜で「司法書士法人スターディオ」を開設。2018年に法人化し平塚支店を設置。
相続税のことなら税理士
相続税の相談や申告手続きは税理士にしか行なえません。
ただし、相続税を専門に扱っている税理士でないと対応できない場合があります。以下では相続税を得意とする税理士を紹介します。
伯母 敏子(税理士)
平成27年に税理士試験合格。平成28年4月に税理士登録、平成29年11月に「伯母敏子税理士事務所」として独立開業。
冨田 建(税理士)
「独立公認会計士 高度会計の専門家」。43都道府県で不動産鑑定業務経験があり税務会計の知識も生かし著書「弁護士・公認会計士・税理士のための不動産の法令・評価の実務Q&A」や各種媒体に執筆。
萱谷 有香(税理士)
不動産専門税理士。「叶税理士法人 東京事務所代表」。不動産投資に特化した税理士事務所で働きながら収益物件について税務と投資の面で多くの知識を得られたことを活かし、自らも不動産投資を手がける。
トラブルが生じた場合は弁護士
トラブルが起きた際、代理人として相続人の代わりに交渉を進められるのは弁護士です。
相続時にトラブルが生じた場合は弁護士への相談しましょう。以下ではおすすめの弁護士を紹介します。
梅澤 康二(弁護士)
東京大学卒業後、法律事務所に入所。2014年8月から「プラム綜合法律事務所」を設立。労務、一般民事、債務整理や相続問題など様々な法律相談に対応している。
阿部 栄一郎(弁護士)
早稲田大学、千葉大学法科大学院卒業、平成19年弁護士登録(東京弁護士会)。平成22年より「弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所」入所、現在に至る。
齋藤 健博(弁護士)
「銀座さいとう法律事務所」の代表。ラインで連絡先を公開し、ただちに連絡を取り合うLINE弁護士の先駆け的存在。弁護士ドットコム1位の実績を有している。
書類作成は行政書士
行政書士は、役所などに提出する書類を作成します。以下ではおすすめの行政書士を紹介します。
大熊 厚史(行政書士)
司法書士事務所で10年以上補助者として働いた後に、2016年8月に「行政書士ダンディ法務事務所」を開業。
藤野 慶和(行政書士)
大学卒業後、17年間政府機関職員として勤務、2015年に退職し、「ふじの行政書士事務所」を開業。不動産関連業務(各種許認可、宿泊業関連、CAD図面作成等)を中心に幅広く許認可業務を展開。
相続した不動産の活用方法
不動産を相続したら固定資産税がかかります。固定資産税を補うためにも相続した土地を活用することをおすすめします。
相続した不動産をどのように活用しているのか調べた結果以下の通りになりました。
更地の場合
相続した不動産が戸建てなどの建物が建っていない場合の活用方法を紹介します。
更地のまま貸し出す
更地のまま土地を貸し出す「借地」という土地活用方法があります。アパート経営などの賃貸経営と同じで土地を貸すことにより地代を受け取ります。
以前は、土地を貸してしまうと半永久的に返ってこないような制度となっていましたが、平成4年に新借家借地法が定められたことにより、契約終了後に土地が返還されるようになりました。
駐車場経営
相続した土地の活用方法として人気なのが駐車場経営です。
駐車場経営は更地でも簡単な整備で始められます。駐車場経営には月極駐車場とコインパーキングの2種類があります。
コインパーキングは舗装や機械の導入が必須ですが、月極であれば敷地の舗装も必須ではないため簡単な整備ですぐにでも始められます。初期費用を抑えられ、初心者でも気軽に始められる土地活用の一つです。
アパート経営
更地の土地の上にアパートなどの建物を建てて収益を得る方法です。
初期費用はかかりますが、アパート経営であれば利回りは約8%。10年ほどで黒字化できます。長期的に安定した収入を得たい人などにおすすめです。
建物が建っている場合
相続した不動産に建物が建っている場合の活用方法を紹介します。
そのまま貸し出す
相続した不動産が戸建ての場合は戸建て賃貸として、貸し出すことが可能です。
少し前まで被相続人が使用しており、綺麗な状態であれば、簡単な清掃や壁紙の張替え程度でそのまま貸し出すことも可能です。
アパートやマンションを相続した場合はそのままオーナーとして被相続人を受け継ぐことで家賃収入を得ることができます。
リフォーム・リノベーションして貸し出す
相続した不動産がしばらく使われていない場合、そのまま放置すると特定空き家に認定されてしまうためリフォームやリノベーションをして貸出しましょう。
リフォームたリノベーションにまでなると大規模な工事が必要となり費用も必要ですが、賃貸経営をするのであれば翌年の確定申告で経費として処理することができます。
お持ちの土地に最適な土地活用方法を見つけるためには選択肢を広げて複数のプランを検討してみることをおすすめします。日本最大級の比較サイトイエウール土地活用なら、土地所在地を入力するだけで土地活用プランを取り寄せることができます。
相続した不動産を売却する際の注意点
不動産を相続しても「管理ができない」「売ってしまいたい」と考える人も多いです。ここでは相続した不動産を売却する際の注意点を紹介します。
売却する際は相続登記が必須
相続した不動産を売却するにあたり、相続登記が必須になります。相続登記とは土地の名義人の変更のこと。土地の名義が被相続人のままであれば売却はできません。
相続人が複数いる場合は相続分割協議で話し合い、相続登記の名義人を決めます。相続した不動産の売却は換価分割での売却が前提となります。
売却して得た利益は課税の対象
相続した不動産であっても、売却して得た利益は課税(譲渡税)の対象となります。
相続した不動産を売却して利益が発生した場合には、譲渡税を収めなければなりません。加えて相続税も支払わなければならず、せっかく不動産を相続したのに支出が増えることになってしまいます。以下では相続した不動産を売却する際の特例を紹介します。
相続税の取得費加算の特例
相続した不動産を3年10か月以内に売却した場合、相続税額の一部を取得費に加算できる特例を「取得費加算の特例」といいます。
取得費が増加することで、譲渡所得にかかる税金を軽減できます。
3000万円の所得控除
相続した不動産が戸建てなどの建物の場合、相続人が空き家物件を売却しやすいように空き家の譲渡所得に対し3,000万円が控除される措置があります。
相続後、一定期間放置してしまった不動産に対しては、特例を受けられなくなるので注意が必要です。
「今持っている不動産を現金化したい」という方は、売却という形で手放すという選択肢もあります。一括査定サイト「イエウール」を使えば、無料で最大6社から査定を受けられるので高く売ってくれそうな会社が分かります。
相続が発生する前にしておいたほうがいい事
不動産の相続は複雑です。ですが、相続が発生する前にしておくことで相続時の手続きがスムーズになることもあります。ここでは相続が発生する前にしておいたほうがいいことを紹介します。
遺産分割対策として遺言書の作成を依頼
不動産を相続する際、遺産分割でそれまで仲の良かった兄弟姉妹、親戚同士が、相続が起こったがために遺産分割で争ってしまうのはよくある話です。
ですが、被相続人による遺言書があれば手続きをスムーズに進めることができます。
相続時に争族を起こさないためにも遺産分割対策として、将来被相続人になるであろう人に生存中から遺言書の作成を依頼しておくことをおすすめします。
相続税対策として生前贈与の相談
相続によって財産を受け取った場合、相続税が発生することがあります。
生前贈与した場合には「贈与税」が発生しますが、場合によっては生前贈与のほうが相続税より安く済みます。
不動産が将来値上がりすることが確実である場合、値上がりする前に生前贈与して贈与税を納めるほうが、値上がりした土地にかかる相続税よりも安くつき、結果的に相続税対策になります。
また、相続する不動産が収益物件である場合、その収益も財産として蓄積されるため、相続時は多額の相続税が課されます。
ですが、生前贈与すれば受贈者が収益を受け取ることになるので賃料収入は相続税の対象外です。
将来不動産を相続する可能性が高い場合は、土地の名義人に生前贈与の相談をしてみましょう。
【最新】不動産の相続登記は2024年から義務化!
法改正により相続登記の義務化に加え、2024年以降に不動産を相続するであろう人は注意する点がいくつかあります。この章では従来の不動産相続の手続に加え変更点を解説します。
「あなたは2024年4月から相続登記が義務化されることを知っていますか?」という質問に対して、相続登記の義務化について、きちんと理解できている人はたった26%でした。
相続登記の義務化
これまでは、相続した不動産の相続登記が義務化されておらず、手続きをしなくてもペナルティを受けることはありませんでした。
しかし、令和3年の法改正により、令和6年4月1日から不動産の相続登記が義務化され、期限内に相続登記の手続きを行わないとペナルティを受けることになります。
今回の法改正で主な変更点は以下の2つです。
- 相続で不動産取得を知った日から3年以内に正当な理由がなく登記・名義変更手続きをしないと10万円以下の過料の対象になる
- 住所変更した場合も不動産登記が義務化され、2年以内に正当な理由がなく手続きをしなければ5万円以下の過料の対象になる
不要な土地は国が引き取ってくれる「相続土地国庫帰属制度」
相続登記の義務化が決まっていますが、相続する予定の土地を手放したい場合、土地を国に引き渡すことができる「相続土地国庫帰属制度」が令和5年(2023年)4月27日から始まりました。
引渡せる土地には「建物が建っていないこと」「有害物質に汚染されていない土地」などの条件があり、申請する場合は必ず法務省のページで確認しましょう。
また、申請する際には、審査手数料(1万4000円)を納付する必要があります。さらに土地管理費相当額の負担金(20万円)の納付が必要になります。
タワマン節税防止に関する新ルール
不動産を相続する際、不動産の価値は実際に売買されている市場価格ではなく、国税庁が公表する「路線価」などをもとに決められています。
土地に対して部屋の数が多いタワーマンションは、一戸当たりに対して土地の持ち分が小さくなります。よって、課税される価値が市場価格を大きく下回るため、節税効果が高いとされてきました。
ですが、国税庁は2024年1月を目途にタワーマンションの相続税に関する新たな計算ルールの適用を目指しています。
相続税に関する新たな計算ルールでは、必要に応じて評価額を市場価格に近付けることになるため、高層階ほど相続税が増える可能性があります。
調査概要
対象者 | 相続人として不動産を相続したことがある人 |
---|---|
調査人数 | 100名 |
実施期間 | 2023年8月8日~8月22日 |
調査項目
- 1. あなたの年代を教えてください
- 2. あなたが相続した不動産の所在地を教えてください。
- 3. あなたが相続した不動産の市区町村を教えてください。
- 4. あなたは2024年4月から相続登記が義務化されることを知っていますか?
- 5. 不動産を相続する際に遺言書はありましたか?
- 6. 相続手続きは誰かに依頼しましたか?
- 7. 相続手続きの依頼先はどこで見つけましたか?
- 8. 相続手続きを依頼しなかった(自分でおこなった)のはなぜですか?
- 9. 相続手続きを依頼した際にかかった費用を教えてください。
- 10. 不動産を含めた遺産はどのように分割しましたか?分割方法を教えてください。
- 11. 不動産を相続する際に相続税は発生しましたか?
- 12. 発生した相続税はいくらでしたか?
- 13. 相続した不動産は現在活用されていますか?
- 14. 活用方法として以下にあてはまる活用方法があれば教えてください。
- 15. おこなっている土地活用方法で「その他」を選択した方は具体的にご記載ください
- 16. 不動産相続の遺産分割協議で、相続人間でのトラブルなくおこなうことができましたか?
- 17. 「どちらかというとトラブルがあった」「ひどいトラブルがあった」と答えた方はどのようなことがありましたか?具体的に教えてください。
- 18. 総括して、不動産相続で特に大変だったことは何ですか?具体的に教えてください。