「首都圏新築分譲マンション市場動向2022年2月」(株式会社不動産経済研究所公表)によると、首都圏の新築分譲マンションの平均価格は7,418万円、中でも東京23区では9,685万円が平均価格となっています。
そのため7,000万円の家を購入される方は少なくないといえます。同時に、購入時に7,000万円の住宅ローンを組む方も多いでしょう。
金融機関から7,000万円の融資を受けるには、相応の年収が必要となります。本記事では、住宅ローンを利用して7,000万円の家を買える人の年収について、最低ラインと適正ラインについて解説します。
7000万の家を買える人の年収の目安
7,000万円の家を買える人の年収は、最低限875万円、適正範囲は1,167〜1,400万円です。
税込み(額面)でこれらの年収を越える方であれば、7,000万円の住宅ローンを組むことは可能です。ただし、ローンを組める年収と無理なく返済できる年収は異なるため、慎重にシミュレーションを行う必要があります。
ここでは適正年収の根拠となる計算方法を解説します。
世帯年収の5〜6倍の物件価格が適正
物件価格から適正年収を計算する場合、「年収倍率」で5〜6倍の範囲が望ましいとされます。
年収倍率とは、年収に対する物件価格の比率のことで、年収1,000万円の方が7,000万円の物件を購入する場合には7倍となります。
住宅金融支援機構による2020年度の「フラット35利用者調査」によれば、物件の種類別の平均年収倍率は、下記の通りとなっています。
融資区分 | 平均年収倍率 |
土地付注文住宅 | 7.4倍 |
マンション | 7.0倍 |
建売住宅 | 6.8倍 |
注文住宅 | 6.7倍 |
中古マンション | 5.8倍 |
中古戸建 | 5.5倍 |
中には7倍以上の年収倍率となっている融資区分もあり、金融機関によっては年収倍率8倍のローンの限度額が提示されることもありますが、7〜8倍になると無理をしかねない返済額となる点に注意が必要です。
最低年収は875万円
7,000万円の新築マンションを購入する場合に、住宅ローンを年収倍率の8倍の借入限度額まで借りるとすると、「7,000万円÷8=875万円」の年収があれば良いこととなります。
この場合、頭金なしの固定金利で住宅ローンを組むと、毎月の返済金額の目安は約21万円です(借入金額7,000万円、ボーナス払いなし、35年ローン、金利1.4%の場合)。
具体的な生活上の出費をシミュレーションすると、税込み年収が875万円の場合、手取り年収は約640万円、1ヶ月あたりの手取り収入は約53万円となるため、ローン返済額の21万円は手取り月収の約4割に達してしまいます。
そのうえ住宅を購入すると、「固定資産税」や「都市計画税」が発生し、マンションは「修繕積立費」や「管理費」も固定費用となります。
そのため、場合によっては手取り年収の半分が住居関連費への出費となってしまい、現実的な返済プランとはいえなくなるでしょう。
対策としては、頭金を多く入れて借入金額を抑えたり、物件を見直したりすることが考えられます。
適正年収は1167万円〜1400万円
7,000万円の住宅ローンを組む場合の適正年収は、適正な年収倍率が5〜6倍のため、5と6で割った1,167〜1,400万円です。
前項の計算の通り、毎月の返済金額の目安を約21万円とすると、税込み年収1,200万円の場合は、手取り年収が約880万円となり、手取りの月収は約73万円となるため、月々の返済負担を3割以下に抑えられます。
固定金利ではなく変動金利を選んだり、頭金を入れて借入金額を減らしたりすることで、さらに余裕のある返済プランを立てられるでしょう。
7000万円の家を買うための返済プランを年収別にシミュレーション
7,000万円の家を、頭金なしで、住宅ローンを組んで購入した場合の、毎月の返済額と「返済負担率」をシミュレーションしてみましょう。
返済負担率とは、年収に対する年間の返済金額の割合です。返済負担率は手取り年収の20%〜25%以下が無理のない返済プランとされています。
税込み年収と手取り年収では2割〜3割の差があることもあるため、余裕のある返済プランのためには手取り年収で計算することが適切といえます。なお、シミュレーションの条件は以下の通りです。
- 借入金額:7,000万円
- 借入期間:35年
- ボーナス払い:なし
- 金利:変動金利0.5%
- 月間返済金額:18.17万円(金利1.5万円 + 元金16.67万円)
- 年間返済金額:218.04万円
年収900万円の返済プラン
税込年収900万円の手取り年収を約650万円とすると、返済負担率は「218.04万円 ÷ 650万円 = 0.335」つまり33.5%です。
手取り収入の30%以上を住宅ローンの返済に費やすことから、仮に借入可能額として提示されたとしてもローンを組むのは控えた方が良いでしょう。
頭金を用意して借入額を減らしたり、収入合算・ペアローンで世帯年収をもとに返済プランを立てるなど、返済負担率を下げる対策が必要です。
年収1000万円の返済プラン
税込年収1,000万円の手取り年収を約780万円とすると、返済負担率は「218.04万円 ÷ 780万円 = 0.279」つまり27.9%です。
30%は下回るものの、やや厳しい条件の返済プランと言えます。
ただし今後収入が上がる見込みがある場合や、お子さんがおらず教育資金を貯蓄する必要がない場合などは、年収1,000万円でも7,000万円の住宅ローンは現実的な借入金額です。
年収1200万円の返済プラン
税込年収1,200万円の手取り年収を約880万円とすると、返済負担率は「218.04万円 ÷ 880万円 = 0.247」つまり24.7%です。
返済負担率が25%を下回り、適正年収の範囲内にも収まるため無理なく返済できる収入水準といえます。
年収1400万円の返済プラン
税込年収1,400万円の手取り年収を約990万円とすると、返済負担率は「218.04万円 ÷ 990万円 = 0.220」つまり22%です。
1,400万円の年収があれば、7,000万円の住宅ローンは無理なく返済が可能で、繰上げ返済に回す資金も蓄えられるでしょう。
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7000万円の家を買う前に押さえておきたい注意点
7,000万円の家を住宅ローンで購入する際には、適正年収と返済負担率以外にも注意点があります。
ここでは以下の3つのポイントを解説します。
- 変動金利では金利上昇リスクに注意
- 税金・諸費用も計算しておく
- 定年までに完済できる返済プランを立てる
変動金利では金利上昇リスクに注意
住宅ローンの金利には、固定金利型・固定期間選択型・変動金利型の3種類が存在します。
固定金利は、借入時の金利が完済まで続く金利タイプで、返済額が一定のため返済プランが立てやすいメリットがあります。「フラット35」でも固定金利が採用されています。一方、金利水準は3種類の中で最も高くなっていることが注意点です。
固定期間選択型は、3年・5年・10年など最初の一定期間を固定金利で返済し、それ以降は変動金利に変更可能な金利タイプです。変動金利と固定金利の中間のタイプと言えます。
変動金利は、金利相場の影響を最も受けるタイプですが、3種類の中では最も低金利となっています(2022年4月現在)。
金利が低いことから変動金利を選ぶ方も多くいますが、今後も現在の低金利の水準が続くとは限らず、金利が上昇すれば総返済額も増加する点に注意が必要です。
税金・諸費用も計算しておく
家を購入する場合、住宅ローンの申し込みにかかる手数料や保険料に加え、固定資産税・都市計画税の納税義務が発生します。
住宅を購入する際の諸費用は、新築物件であれば物件価格の3〜5%程度が目安となります。7,000万円の物件の場合、頭金とは別に210〜350万円程度の諸費用を用意する必要がある点に注意しましょう。
固定資産税・都市計画税は、物件の評価額によって納税額が決まり、支払いは毎年続きます。好立地にある物件など資産価値の高いマイホームを取得した際には、これらの税負担も高くなるでしょう。
定年までに完済できる返済プランを立てる
住宅ローンの借入期間は、一般的に35年程度です。
仮に30歳で35年ローンを組むと、完済時の年齢は65歳です。そのため30歳以降に35年ローンを組むと、定年退職後も住宅ローンの支払いが発生する可能性があります。
定年が延長される可能性や、退職金を住宅ローンに充てられる可能性もありますが、老後資金の貯蓄も考慮しながら返済プランを立てる必要があるでしょう。
7000万円の家の住宅ローンを無理なく完済するポイント
最後に、7,000万円の家を購入する際の住宅ローンを無理なく完済するためのポイントを3つ紹介します。
- 住宅ローン控除で節税する
- 余裕がある時期に繰り上げ返済する
- 金融機関を比較検討する
それぞれ解説します。
住宅ローン控除で節税する
住宅ローンを組む際には、毎年のローン残高の0.7%が所得税から控除される「住宅ローン控除」を積極的に活用しましょう。
住宅ローン控除は2022年4月現在、物件の種類によって借入金額5,000万円、控除金額455万円の上限が設けられており、今後、段階的に縮小される見込みとなっています。
そのため住宅ローン控除を最大限受けるためには、早めのタイミングで家を購入し、頭金を増やして借入金額を5,000万円以下に抑えるなどの工夫が効果的です。
なお、イエウールの以下の記事では、22年度の税制改正後の住宅ローン控除について詳しく解説しているのでご参照ください。
2022年最新版!住宅ローンが控除される条件をわかりやすく詳細解説
余裕がある時期に繰り上げ返済する
返済の資金に余裕がある場合などは、積極的に繰り上げ返済を行いましょう。
繰り上げ返済とは、毎月の返済額とは別に、まとまった金額を返済する方法です。返済額は元本のみに充当されるため、元金が減ることとなり、その分の支払い利息が消えるため、総返済額を減らすことができます。
一方、繰り上げ返済の注意点は、返済金額に10万円以上や100万円以上などの下限が設けられていたり、無料から数万円の手数料がかかる場合があることです。
金融機関やローンの種類によって異なるため、事前に確認しましょう。
金融機関を比較検討する
住宅ローンの金利は金融機関によって異なります。
たとえばメガバンクの三井住友銀行・三菱UFJ銀行では0.475%〜、みずほ銀行では0.375%〜が2022年4月現在の変動金利です。
一方で固定金利の「フラット35」では、35年ローンで1.440%〜の年利が設定されています。他にもネット銀行や地方銀行など、選ぶ金融機関によって金利や条件は変動します。
総返済額は金利によって大きく変わることから、住宅ローンは複数の銀行を比較・検討した上で申し込むと良いでしょう。
7000万の家を買える人の年収は1200万円以上が目安
7,000万円の家を住宅ローンで購入する場合の適正年収は、1,167万円〜1,400万円です。融資を受けられる最低限の年収は875万円程度ですが、ローンの返済が生活を圧迫しないためにも、頭金の額を増やして借入金額を抑える工夫などが必要です。
また、借入金額が7,000万円前後になる場合は、金利を比較検討したり、適切な返済負担率を計算したりして無理のない返済プランを立て、住宅ローン控除などの制度も有利に使いましょう。
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