2022年1月に発表された「首都圏マンション市場動向2021年(年間のまとめ)」(株式会社不動産経済研究所・作成)によると、首都圏の新築分譲マンションの平均価格は6,260万円で、過去最高の金額を更新したとされています。
そのため首都圏で6,000万円以上の新築マンションを購入する方は少なくないといえます。
購入に際しては、住宅ローンの融資を受ける方も多いでしょう。本記事では、6,000万円の家を住宅ローンで買える人の年収と返済プランについてシミュレーション、年収が不足する場合の対策や、無理なく返済するコツも併せて解説します。
6000万円の家を買える人の年収の目安
6,000万円の家を住宅ローンを組んで買う場合、適正年収は1,000万円〜1,200万円です。
頭金の額や金融機関によっては年収750万円から融資を受けられる可能性はありますが、毎月の返済額が大きな負担となりやすいでしょう。
適正年収の根拠となる計算方法について、以下、「年収倍率」をもとに解説します。
物件価格は世帯年収の5倍〜6倍が目安
購入できる物件価格の目安としては、一般に、年収の5〜6倍程度が望ましいとされます。
この年収と物件価格との比率を「年収倍率」と呼びます。たとえば6,000万円の物件価格から適正年収を逆算する場合、6,000万円を5で割った1,200万円、6で割った1,000万円の範囲が適正となります。
ただし、金融機関では年収の8倍までを借入可能金額として提示することがあるため、6,000万円を8で割った750万円の年収でも住宅ローンを組める可能性があります。
最低年収は750万円
年収750万円で6,000万円の住宅ローンを組んだ場合、毎月の返済金額の目安としては18万円程度になります(借入金額6,000万円、ボーナス払いなし、返済期間35年、固定金利1.4%の場合)。
税込み年収が750万円の場合は、手取りの年収は約570万円のため、手取りの月収は48万円程です。
そのうちの18万円を住宅ローンに支払うと、返済負担が月収の4割近くとなり、家計を圧迫する可能性もあるでしょう。この場合、物件の見直しや頭金の増額なども検討しておきましょう。
適正年収は1000万円〜1200万円
年収倍率を5〜6倍として計算すると、6,000万円の家を買える人の年収は、前述のように1,000万円〜1,200万円です。
税込み年収が1,000万円の場合は、手取りの年収は約800万円となるため、手取りの月収は約67万円です。
ここから毎月18万円の返済を行う場合、返済額は月収の3割以下に抑えることが可能です。繰上げ返済や住宅ローン控除を利用して返済負担を軽減すれば、さらに余裕のある返済プランとなるでしょう。
6000万円の家を買う際に押さえておきたい住宅ローンの基礎知識
6,000万円の家を住宅ローンを使って購入する場合、年収以外にも以下のポイントに注意が必要です。
- 金利
- 返済方法
- 返済負担率
- 税金
- 諸費用
それぞれの計算方法や金額についても解説します。
3種類の金利とメリット・デメリット
住宅ローンの金利は、以下の3つの種類から選択できます。
- 変動金利型
- 固定金利型
- 固定期間選択型
「変動金利型」は、半年ごとに金利の見直しが行われるため、金利相場の影響を受けます。ただ、金利が急上昇したとしても、従前の返済額の125%までとする制限があるため、返済額の急激な上昇はありません。
「固定金利型」は、借入時の金利が完済まで続く金利タイプで、返済額が一定です。「固定期間選択型」は、3年・5年・10年などの期間を決めて固定金利を適用し、その後は変動金利に変更可能なタイプです。
いずれにしても、住宅ローンの借入金額は多くなるほど、金利の影響も大きくなるため、6,000万円の住宅ローンを組む場合には金利のタイプを慎重に判断する必要があります。
「元利」均等返済と「元金」均等返済の選び方
住宅ローンの返済方法は、下記の2種類があります。
- 元利均等返済(がんりきんとうへんさい)
- 元金均等返済(がんきんきんとうへんさい)
「元利」均等返済は、毎月一定の返済額(元金+利息)でローンを返す方法です。毎月の返済額が変わらないため返済計画が立てやすいメリットがありますが、総返済額は元金均等返済よりも高くなるのがデメリットです。
「元金」均等返済は、初回の返済額(元金+利息)が最も多く、返済するに連れて返済額が少なくなり、元利均等返済に比べて、元金の減少が早く総返済額も少なくなるメリットがあります。
多くの金融機関では元利均等返済を勧められますが、資金に余裕がある場合は元金均等返済を検討しても良いでしょう。
借入金額の目安になる年収倍率・返済負担率
住宅ローンを組む際には、「年収倍率」と「返済負担率」の考慮が重要です。年収倍率は前述の通り、年収に対する物件価格の比率で、5倍〜6倍が適正とされます。
返済負担率とは、年収に対する1年間の返済額の割合です。たとえば年収1,000万円の方の年間返済額が200万円の場合、返済負担率は20%となります。
また、返済プランを立てる際には「税込み年収(額面年収)」ではなく「手取り年収」で返済負担率を計算すると理想的です。住宅ローンの審査では税込み年収で借入限度額が算出されますが、税込年収と手取り年収には差があるため、手取り年収で計算すると実態に合った返済プランとなります。
なお、適正な返済負担率は、手取り年収の20〜25%以下です。たとえば手取り年収が800万円の方であれば、返済金額が年間160万円〜200万円の範囲内に収めると、余裕のある返済プランとなります。
住宅ローン以外に必要な税金・諸費用
住宅ローンを利用してマイホームを購入する際には、物件価格以外に約5〜10%の「諸費用」が発生します。諸費用に含まれるのは、以下のような項目です。
- 印紙税
- 登録免許税
- 消費税
- 不動産取得税
- 仲介手数料
- ローン保証料
- 事務手数料
- 火災保険料
- 地震保険料
6,000万円の家を買う場合は、300〜600万円ほどの諸費用が発生します。このほか、頭金や引越し費用等も必要となるため、現金を多めに用意することが大切です。
また、不動産を所有すると毎年「固定資産税」や「都市計画税」が発生し、マンションであれば「管理費」「修繕積立金」もかかります。
6,000万円の家となると資産価値も高くなるため、相応の固定費用となります。返済プランを立てる際にはランニングコストも含めて検討しましょう。
6000万円の家の住宅ローン返済シミュレーション
ここでは、6,000万円の家を買う場合の、月々の住宅ローン返済額をシミュレーションしてみましょう。下記の条件に加えて、3つの返済期間と3つの金利ごとに毎月の支払額を算出しています。
なお、金利はみずほ銀行の住宅ローン金利で提示されている、2022年4月1日時点の最低金利を用いています。
- 借入金額:6,000万円
- 頭金:なし
- ボーナス払い:なし
- 返済方式:元利均等返済
選択金利/返済期間 | 25年 | 30年 | 35年 |
変動金利(0.375%) | 20.96万円 | 17.62万円 | 15.25万円 |
全期間固定金利(1.22%) | 23.21万円 | 19.91万円 | 17.55万円 |
固定金利選択(0.85%)※10年 | 22.21万円 | 18.89万円 | 16.52万円 |
上記の表のように、借入金額や返済方法は同じでも、金利と返済期間によって、月々の返済額は大きく変動します。そのため、金利と返済期間はよく検討する必要があるでしょう。
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6000万円の家を買える人の年収に届かない場合は?4つの対策
6,000万円の家を買える人の適正年収は、前述のように1,000〜1,200万円です。この年収に届かない場合には、次のような対策方法があります。
- 「住宅資金贈与の特例」で資金援助を受ける
- 収入合算・ペアローンを利用する
それぞれ具体的に解説します。
「住宅資金贈与の特例」で資金援助を受ける
「住宅資金贈与の特例」は、新築住宅を購入する際に、親や祖父母から資金援助を受けた場合、贈与税が一定金額まで非課税になる制度です。
令和3年度(2021年度)の税制改正で、2023年12月末日まで特例が延長されることになりました。特例の条件を満たす場合には、物件の種類によって500万円〜1,000万円までの贈与税が非課税となります(改正以降)。
また、贈与税には年間110万円まで非課税となる基礎控除もあります。そのため、たとえば5年間にわたり毎年100万円ずつ贈与を受け、かつ1,000万円の非課税枠も利用して贈与を受けると、1,500万円の購入資金が用意できることになります。
収入合算・ペアローンを利用する
夫婦2人の年収を併せて住宅ローンの審査を受ける「収入合算」や、夫婦それぞれが個別に住宅ローンを組む「ペアローン」を利用することにより、世帯年収をもとに融資を受ける方法もあります。
これにより、契約者1人の場合よりも審査に通りやすくなり、返済負担も軽減できます。しかし、もし配偶者が退職したり、離婚したりした場合には返済が困難となるため、注意が必要です。
6000万円の家の住宅ローンを無理なく返済するコツ
最後に、6000万円の家の住宅ローンを無理なく返済する3つのコツについて解説します。
- 住宅ローン控除を活用する
- 繰り上げ返済を行う
- 頭金を多めに用意する
各ポイントを把握し、余裕のある返済プランを立てましょう。
住宅ローン控除を活用する
住宅ローン控除は、年末時点のローン残高の0.7%が所得税から控除される制度です。
ただし2022年の改正後は、控除を受けられるローン残高の上限が5,000万円となるため、6,000万円の家をフルローンで購入する場合、全額は控除の対象とならない可能性があります。
そのため住宅ローン控除を最大限に活用するには、頭金を多めに用意して借入金額を抑えるなどの工夫をすると良いでしょう。
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繰り上げ返済を行う
住宅ローンの繰り上げ返済には2つのタイプがあります。
「期間短縮型」と「返済額軽減型」です。たとえば、100万円を繰上げ返済する場合、毎月の返済額が10万円とすると、期間短縮型では返済期間が10ヶ月短縮されます。
返済額軽減型の場合は、返済期間を変えずに、100万円分を平均して毎月の返済額から減らすこととなります。
頭金を多めに用意する
一般的に住宅ローンを組む際の頭金は、物件価格の1〜2割とされます。もし3割の頭金(1,800万円)を入れられれば、6,000万円の家の場合、4,200万円のローンで購入できるため、毎月の返済額に余裕が生まれます。手元の貯蓄がなくなる事態は避けるべきですが、できる限り頭金を増やすと良いでしょう。
6000万円の家を買える人の年収は1000万円前後が目安
本記事で解説してきた通り、6,000万円の家を買える人の年収は、1,000万円〜1,200万円が目安となります。
750万円の年収でも融資を受けられる可能性はありますが、毎月の返済負担が重くなりやすいでしょう。また、住宅資金贈与の特例やペアローン、住宅ローン控除なども活用すると良いでしょう。
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