現役時代は賃貸に住み、定年後にマンションを購入する方も少なくありません。
人生100年時代と言われる中で、リフォームの自由さや「終の棲家」への憧れから、老後に分譲マンションを一括購入される方も多くいます。
本記事では、定年後のマンション購入におけるメリット・デメリット、賃貸・分譲やマンション・戸建てを比較しながら老後の住まい選びについて解説します。
戸建て・マンションの老後の住みやすさの違い
定年後のマンション購入を考えたときに気になるのが、戸建てとどちらを選ぶかではないでしょうか。
マイホームを新たに購入する、もしくは住み替える物件として、戸建てとマンションのどちらを選ぶべきか、それぞれの住みやすさを元に検討してみましょう。
【戸建て】自由だが手間も多い
定年後に戸建てに住む場合、自由にリフォームや増改築ができるメリットがあります。
体力の低下に合わせてバリアフリーリフォームを実施したり、子どもが同居する場合に二世帯住宅に増築することも可能なため、ライフスタイルの変化に柔軟に対応することができます。
一方でマンションのように管理会社がメンテナンスしてくれるわけではないため、自身で屋根や外壁、水回りのリフォームを定期的に実施しなければなりません。
このように戸建てでは維持管理やメンテナンスの手間がかかるというデメリットが挙げられます。
【マンション】制限が多いが管理が楽
定年後にマンションに住む場合には、物件の維持管理は管理会社に一任できるため、メンテナンスや管理が楽になるというメリットがあります。
ただし管理組合のルールによってペット飼育が禁止されていたり、リフォームにも制限が生まれたりと、自由度がやや低下するのがデメリットとして挙げられます。
定年後にマンション購入するメリット
定年後の住まいとして、マンションを借りるのではなく、購入する場合のメリットについては、以下の通りです。
- 物件選びの選択肢が広がる
- 子供に資産を残すことができる
- リフォーム・リノベーションの自由度が高まる
それぞれ詳しく解説します。
物件選びの選択肢が広がる
定年後であれば、職場の近くや子どもの学校の近くなど立地条件に縛られることが減り、幅広い選択肢の中からマンションを選べます。
夫婦二人の住まいであればコンパクトな間取りのマンションも適しているため、ファミリー向け以外のマンションも候補に入ります。
このような特徴から、仮に近隣に病院がある、階段の上り下りが少ないなど、マンションの条件を絞ったとしても、豊富な選択肢の中から理想の住まいを選べるようになります。
子供に資産を残すことができる
資産として残せる可能性があることもマンション購入のメリットとして挙げられます。
特に近年、都心部におけるマンションの価格は上昇しており、場合によっては高い価値のまま、資産を残せる可能性もあります。もちろん戸建ても築年数や立地によって同じように資産を残すことができますが、近年の新築マンション価格の高騰を受けて、マンションではよりその可能性が大きいと言えるでしょう。
また現金よりも、相続税を算出する際の課税評価額が低くなるため、相続税対策にもなります。
リフォーム・リノベーションの自由度が高まる
賃貸マンションでは、ほとんどの場合リフォームやリノベーションは不可となっています。
しかしご自身で購入したマンションは、専有部分であれば自由にリフォーム・リノベーションが可能で、バリアフリーリフォームなどより暮らしやすい住居を作ることが可能になります。
定年後にマンション購入するデメリット
定年後にマンションを購入する場合のデメリットとして考えられるのは、以下の3つです。
- 住宅ローンの審査が厳しい
- 気軽に引っ越しができない
- 維持費や管理費が発生する
それぞれのデメリットもしっかり押さえておきましょう。
住宅ローンの審査が厳しい
定年後に購入するマンションでは、住宅ローンの審査が厳しくなる傾向にあります。
一例として、住宅金融支援機構の「フラット35」では、申込時の年齢が70歳未満、80歳までに完済する必要があります。
そのため自己資金を増やすことで借入金額を減らし、返済金額を短くする工夫が求められます。
気軽に引っ越しができない
ご自身でマンションを購入した場合、賃貸と比べて気軽な住み替えは難しくなります。
定年後は大きなライフスタイルの変化は多くありませんが、近隣トラブルや騒音問題などが発生する可能性はゼロではありません。
その際にも気軽に引っ越すことは難しく、住み替えの自由度が下がる点に注意が必要です。
維持費や管理費が発生する
戸建てと比較して、管理会社にマンション管理を委託するための維持費・管理費が毎月発生する点もデメリットです。
現金で一括購入、もしくは住宅ローンを完済しても、住居費が完全にゼロになるわけではないことを覚えておきましょう。
定年後に賃貸マンションに住むメリット
マンションを購入するのではなく、賃貸で住むことによって得られるメリットには、以下のようなものがあります。
- 気軽な住み替えが可能
- 初期費用を抑えられる
- 固定資産税がかからない
各項目について詳細に解説します。
気軽な住み替えが可能
マンションの購入と比較して賃貸を選ぶことで、住み替えの自由度が高まるメリットがあります。
子どもと一緒に暮らしたい場合や、パートナーが亡くなって一人暮らしになった場合、都市部から田舎に移住したいと思った場合にも、賃貸マンションであれば容易に解約手続きが可能です。
初期費用を抑えられる
マンション購入の場合は高額な自己資金を用意する必要がありますが、賃貸であれば家賃の数ヶ月分の初期費用で住み始めることができます。
定年後の老後破産も社会問題となる中、少しでも初期費用を抑えて安価なコストで住みたい場合には、賃貸マンションも1つの選択肢となります。
固定資産税がかからない
賃貸マンションでは毎月家賃の支払いが発生しますが、持ち家の戸建て・マンションのように住宅ローンの支払いや固定資産税、修繕費用がかからないメリットがあります。
定年後に賃貸マンションに住むデメリット
定年後に賃貸マンションを選ぶことのデメリットは、以下の通りです。
- 年齢を理由に断られるリスクがある
- 家賃の支払いが生涯発生する
- ペット飼育やリフォームに制限がある
年齢を理由に断られるリスクがある
定年後、高齢になってから賃貸マンションに住みたいと考えても、年齢が理由で入居審査に通らないリスクがあります。特に一人暮らしの高齢者の場合、孤独死のリスクがあると判断され、入居を断られる可能性が高いです。
家賃の支払いが生涯発生する
マンションを購入する場合、住宅ローンの支払いが終わればそれ以降の住居費はほぼ発生しません。
しかし賃貸マンションは、住み続ける限り一生家賃の支払いが続きます。そのため物件によっては、長生きするほど家賃支払いの総額が増え、マンション購入よりもコストが高くつく結果になります。
厚生労働省が公表する「簡易生命表(令和2年)」でも、男性の平均寿命は81.64歳、女性は87.74歳となっており、日本人の寿命は年々伸び続けています。このようなデータも踏まえると、家賃の支払いが生涯続くことは大きなデメリットになるでしょう。
ペット飼育やリフォームに制限がある
賃貸マンションでは自由なリフォームができず、物件によってはペットの飼育が困難な場合もあります。
間取りを変更して住みやすく作り替えることも難しいため、快適な住まいを求めるのであれば、分譲マンションを購入することをおすすめします。
マンション購入の前に知っておきたい定年後ならではの3つの注意点
定年後だからこそ考えておきたい、マンション購入における注意点も存在します。具体的には、次の3つのポイントです。
- コスト以外の面からも判断する
- ローンは80歳までに完済するプランを立てる
- バリアフリー工事を検討する
各項目を押さえ、老後の理想の住まい選びを成功させましょう。
コスト以外の面からも判断する
マンションの購入か、賃貸かを考える際には、コスト以外の面からの検討も必要です。
本記事でご紹介した通り、マンションを購入すると、ご自身の所有物として資産になりますが、住み替えの自由度が下がるデメリットがあります。
逆に賃貸マンションの場合は、長く家賃を支払っても資産にはならない反面、自由な住み替えが可能です。老後の暮らし方や理想のライフプランを考え、コスト以外のメリット・デメリットも検討しましょう。
ローンは80歳までに完済するプランを立てる
「フラット35」を提供する住宅金融支援機構をはじめ、多くの金融機関では、住宅ローンの完済時年齢は80歳までと定められています。
そのため住宅ローンを組んでマンションを購入する場合には、80歳までに返済するプランを考える必要があります。
バリアフリー工事を検討する
定年後に購入するマンションでは、バリアフリーリフォームを実施することで、固定資産税の軽減や補助金の支給が受けられることもあります。
老後の体力の低下にも対応できる快適な住まいを作りながら、節税によってコスト削減が可能なため、マンション購入の際にはバリアフリー工事も併せて検討してみましょう。
定年後のマンション購入は多角的に検討しよう
定年後にマンションを購入する場合には、戸建てと比較して制限は多くなりますが、管理の手間が減る点、賃貸マンションと比較して自由にリフォーム可能で「終の棲家」が手に入る点など、それぞれのメリット・デメリットを総合的に考え判断する必要があります。
また、コスト面以外から比較したり、購入の際にバリアフリーリフォームを実施して節税に繋げることも検討することが重要です。
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