貸し倉庫経営は、アパート・マンション経営のように膨大な初期費用が不要のため、土地活用の方法の中では比較的始めやすいビジネスとして注目されています。
本記事では、貸し倉庫経営による土地活用方法について、基礎知識、メリット・デメリットなどについて解説します。
その他、土地活用方法について詳しくは以下の記事もご覧ください。
貸し倉庫経営とは?
貸倉庫とはその名前の通り、倉庫となるスペースを利用者に貸し出し、そこから利用料を得る仕組みです。
なお、似たような事業として、「トランクルーム」が挙げられます。以下ではそれぞれの特徴について解説します。
貸し倉庫
貸し倉庫とは倉庫スペースを貸し出すことです。
トランクルームとは違って、規模も大きいことから、法人の利用が多いです。
利用者とは不動産賃貸借契約を結び、物品の保管状態は利用者の自己責任に委ねられています。したがって、運営側の管理負担が軽減されます。
トランクルーム
物品の保管を行うのが、トランクルームです。一般にトランクルームと呼ばれる業態については、おおまかに「トランクルーム」と「レンタル収納スペース」に分けられます。前者は倉庫業法に基づいて国土交通省の認可のもと、倉庫会社が運営するもので、後者は賃貸会社が運営しており、倉庫業法に基づいておらず、同法の制約を受けないものです。
倉庫業法に基づくレンタルルームの方は、運営業者は預かった物の安全を保証する義務があり、寄託契約を締結した上で、利用者の物品の保管責任を負うことになります。一方、レンタル収納スペースの方は、賃貸借契約で利用者がスペースを借りていることになるため、荷物にトラブルがあった場合も自己責任となる場合が多くなっています。
いずれにしてもターゲットとしては個人向けになることが多いです。
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活用事例:杉並の活用事例
エリア | 東京都 |
土地面積(㎡) | 140 |
延べ床面積(㎡) | 230 |
工法 | 木造2×4工法 |
建築費用(円) | 8,000万 |
貸倉庫の種類
貸し倉庫には屋内型と屋外型の2種類があります。以下ではそれぞれの特徴について、詳しく解説していきます。
屋内型
空き部屋や空きフロアを購入、もしくは借り、収納スペースとして貸し出す方法です。
屋内型のメリットとしては、屋外型と比べてコンテナを設置する設備投資が安く済むこと、屋内なので収納スペースの温度管理がしやすいこと等が挙げられます。
屋外型
土地にコンテナを設置して運営を行う方法です。
屋内型と比べて、土地のスペースを確保できれば、多くのコンテナを設置することができるため、その分収益も高くなります。
また土地を所有している場合はコンテナの撤去も簡単なため、転用性が高く、万が一収益が出なかった場合の撤退もしやすくなっています。
貸し倉庫経営のメリット
貸し倉庫経営では他の土地活用方法と比べて、以下のようなメリットがあります。
- 初期費用を抑えられる
- 高利回り
- 管理の手間がかからない
- 立地条件に影響されにくい
それぞれの項目について詳しく解説します。
初期費用を抑えられる
規模や管理方式にもよりますが、貸し倉庫経営は他の土地活用の方法と比べても初期費用が安いことが挙げられます。
代表的な土地活用として、アパートやマンションなどが挙げられますが、これらは数千万単位での初期費用が必要になります。
しかし貸し倉庫経営で費用がかかるのはコンテナ代が中心(屋外型の場合)となり、およそ数百万程度の初期費用で始めることが可能です。
高利回り
上述した、初期費用を抑えられるという特徴に関連して、貸し倉庫経営では高利回りであるという点も特徴です。
マンション・アパート経営の利回りは8%程度が相場となっていますが、貸し倉庫経営の場合10~20%の高利回りが見込めると言われています。
集客や経営が上手くいけば、運営をスタートしてから早くに費用回収ができ、その後も安定した収益が見込めるようになるのです。
管理の手間がかからない
貸し倉庫ではメンテナンスがほとんどかからない点もメリットです。
アパートやマンション経営ではエレベーターなどの共有部分の定期的な検診・掃除が必要です。管理会社に委託はできるというものの、その分委託料が発生します。
一方で貸し倉庫の場合、このような手間は発生せず、管理コストや委託するまでの手間も抑えられるようになります。
立地条件に影響されにくい
アパートや駐車場、コインランドリー経営など、土地を活用した事業・投資は多数ありますが、共通して見られるのが立地に影響されやすいことです。
特にアパート経営やコインランドリー経営の場合、需要のない土地で開業してしまうことで、長く赤字が続いてしまい、初期費用の回収が困難になり、徹底を余儀なくされることもあります。
一方、貸し倉庫経営で求められるのは、倉庫としての機能が果たせるのかどうかです。頻繁に立ち寄る・利用するものではないため、物品が運びやすい、収納環境が整っているなど、少ない諸条件をクリアすることで始めることができます。
貸し倉庫経営のデメリット
貸し倉庫経営のデメリットとしては以下の内容が挙げられます。
- 税制優遇措置が受けられない
- 集客までに時間がかかる
- 金融機関からの融資を受けにくい
税制優遇措置が受けられない
アパートやマンションなどの賃貸経営の場合、「住宅用地の特例」が適用され、土地の固定資産税が最大6分の1に減額されます。
しかし貸し倉庫の場合、倉庫自体は建物とみなされず、このような税制上の優遇措置がほとんど受けられません。
集客までに時間がかかる
貸し倉庫は新しいビジネスのため、認知度が低いです。
また、複数の情報サイトに広告を出せる賃貸用不動産のように広告媒体が多いわけではないので、集客につながりにくいという特徴があります。
金融機関からの融資を受けにくい
アパート・マンション経営を始める際には、その建物や土地を担保として融資を受けることができます。一方で倉庫自体は担保にはできず、賃貸経営と比べて金融機関から融資を受けづらいケースがほとんどです。
そのため、土地を所有していない方は、融資が断られるケースも踏まえて、自己資金を用意しておく必要があります。
土地活用を検討している方は、イエウール土地活用で複数企業から土地活用プランを取り寄せ、比較することが可能です。
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貸し倉庫の運用を始める上での注意点
貸し倉庫経営を始める前に、そもそもその土地がどのような土地なのか、そしてどのような管理で行うのかを決めておく必要があります。以下では各注意点について解説します。
貸し倉庫に適した土地かどうかを調査する
土地毎によって13種類の「用途地域」が定められており、建設できる建物が制限されています。
なお、自身の所有している、もしくは活用を考えている土地が下記の用途地域に該当する場合は倉庫業を営むことが可能です。
第一種住居地域
第二種住居地域
準住居地域
近隣商業地域
商業地域
準工業地域
工業地域
工業専用地域
用途地域は各市役所の窓口、もしくは「地域(市町村区)名+用途地域」にて検索することで、調べることができます。また貸し倉庫の利用者は主に車で物品を運ぶため、貸し倉庫を設置する場所の道路環境としては、敷地内で搬送車がUターンできる広さも必要になってきます。
管理方式を決めよう
貸し倉庫経営には大きく3つの管理方式があります。
それぞれ、運営・管理方法、業務形態、収入の仕組みが違うため、自分に合う管理方式で始めることをおすすめします。
自営方式・・・売り上げ管理・運営・集客など、全て自分自身で経営を行う方法です。業者などへの委託料も発生しないため、利益などが上がりやすくなります。しかしクレーム対処なども行わなければならないため、副業として考えられている方にはおすすめできません。
業務委託方式・・・利用者の集客や集金、貸し倉庫の清掃などの業務を外部に委託する方式です。
一括借り上げ方式 (リースバック方式)・・・土地と倉庫を専門の運営業者に借り上げてもらう方式です。運営業者からは売り上げに応じた配当金が支払われます。
管理や運営などを全て任せられますが、手数料や利益なども少なくなるため、時間的な効率を考える方にはおすすめです。
ライバル調査・ターゲットを決める(自営、業務委託方式の場合)
上記の内容で、貸し倉庫経営を行える土地だった場合、まずは立地調査を行い、ターゲットを決めます。
貸し倉庫経営は立地には左右されづらいものの、立地を細かく分析し、ターゲットを設定することで、より集客がスムーズに、そして結果的に収益を高められるようになるからです。
例えば土地が高速道路などに近い場合、大規模な事業者向けの貸し倉庫を設置・経営することで、より収益を見込めることができるようになります。また事業者の場合は月毎の契約ではなく、年毎の契約になることもあり、収益も安定するでしょう。
逆にマンションや住宅街の近くにあるような土地は家族層がメインのターゲットになります。引越し時や家に収納しきれなくなったものなどを保管することが目的になるため、屋内型の貸倉庫がおすすめです。
立地調査が難しい場合はその土地の近辺のライバルをチェックしましょう。実際に土地へ足を運ぶのがおすすめですが、時間がない方はオンラインマップなどを駆使することで効率的にライバル調査が可能です。
トランクルーム・設備を建設する(自営、業務委託方式の場合)
収納スペースとなるコンテナは、そのまま設置するだけでは建築基準法違反となるため、建築確認申請の手続きを行ってから運営を始めることが必要です。建築確認申請を通過するためには、JIS(日本規格協会)によって安全性が保障されたコンテナであることが必要です。ただし業務形態によっては申請が不要の場合もあります。
また各倉庫に機能を加えることで、ライバルとの差別化も図ることができるため、収益アップにつながることもあります。ターゲットによっても異なってきますが、アイディアとして、下記のような対策が有効です。
- 冷蔵庫や冷凍庫を設置して、様々な物品が保管できるような状態にする
- 大きさの異なるトランクルームを用意して、様々なニーズに応えられるようにする
- 支払い方法などを多数用意しておく
土地活用で貸し倉庫を始めよう!ただし事前調査も忘れずに
貸し倉庫は少額で始められ、転用性も高いことから、近年注目が集まっている土地の活用方法の1つです。
ただし節税効果が見込めないことや集客に繋がりにくいなどのデメリットもあります。またアパートやマンションとは違い、用途地域の制限や一定のスペースが必要になるなど、事前調査が欠かせません。
もし土地の活用に悩まれている方は「イエウール 土地活用」がおすすめです。現在所有している土地の価格や、貸し倉庫以外の土地の活用方法を把握することができます。是非一度、使ってみてはいかがでしょうか?