マンションに住んでいる方や、これから住むことを検討されている方の中には、犬を飼ってみたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
アパートやマンションなどの集合住宅では、管理規約を守ったうえで責任を持って飼育をすれば、飼うことができます。
本記事では、マンションで犬を飼うときの流れや制限の具体例、注意点や飼育のポイントを解説します。
下記の記事では、ペット可のマンションの基礎知識について解説しています。こちらもぜひお役立てください。
ペット可のマンション購入前に押さえておくべき基礎知識
マンションで犬を飼うときの流れ
マンションで犬を飼うときの流れは以下の3ステップです。
- 管理規約を確認する
- マンションの管理者や保有者に相談する
- 管理規約や契約内容に従った飼育をする
下記では、それぞれの項目について、注意点などを解説します。
①管理規約を確認する
マンションで犬を飼いたいと考えたときに、まずはじめに管理規約を確認します。
管理規約には、飼育可能なペットの種類や頭数、大きさなどの制限がある場合があります。そのため、ペット可のマンションでも管理規約には必ず目を通すようにしましょう。
②マンションの管理者や所有者に相談する
マンションによってはペットを飼う前に、もしくはペットを連れて入居する前には管理者や所有者に事前に相談が必要な場合もあります。
分譲マンションであれば、共用部分に管理人室が完備されている場合があります。また、賃貸マンションであれば、マンション所有者や仲介業者にコンタクトをとって相談することが可能です。
事前の相談によって、利用規約では確認しきれなかったマンション内のルールや、飼育までの流れなどを教えてもらうことができます。
また、いざ飼育するとなった場合に発生するトラブルが起こりにくくなることが期待できるため、必ず事前の相談をするようにしましょう。
③管理規約や契約内容に従った飼育をする
ペット可の物件は、ペットならばどのような飼育をしても良いというわけではありません。飼育者としての責任を持って、マンションでの犬との生活を楽しんでください。
犬を飼うならルーフバルコニー付きマンションもおすすめです。下記の記事も参考にしてください。
ルーフバルコニー付きマンションとは?購入のメリットやデメリットを紹介!
マンションで犬を飼うときの制限とは?
マンションで犬を飼うときには、管理規約や契約内容の制限として以下のようなものがあります。
- 犬種やサイズの規定
- 頭数制限
- 共用部分の利用条件
マンションごとのルールや契約に従って愛犬探しを始めましょう。
犬種やサイズの規定
賃貸契約書のペット可特約の条項には、犬種や身長の制限がある場合があります。
マンション物件では、10キロ未満の小型犬のみの飼育と制限している場合が一般的です。以下の表は、小型犬から大型犬までの標準体重の目安を表したものです。
名称 | 標準体重の目安 |
小型犬 | 10kg未満 |
中型犬 | 10kg以上25kg未満 |
大型犬 | 25kg以上 |
マンションによっては、大型犬歓迎という物件や中型犬までの制限がある物件もあります。また、サイズによっては下記のように頭数制限を設けている場合もあるため、注意が必要です。
頭数制限
ペット可物件の募集広告の備考欄や賃貸契約書のペット可特約の条項には、頭数制限が設けられている場合があります。
頭数制限とは、犬・猫問わず、ペットの飼育を「◯頭まで可能」というように設けている制限のことです。
複数のペットを室内で飼育すると、物件の劣化が早くなることもあります。物件所有者は資産価値の低下を防いだり、修繕工事の期間短縮をしたりするためにこの頭数制限を設けています。
「大型犬は1頭まで、中型犬以下は2頭まで」というように、犬種やサイズの規定と併せて確認しておきましょう。
共用部分の利用条件
マンションは集合住宅のため、他の入居者も利用するエレベーターや廊下、階段といった共用部分が設けられています。共用部分での入居者同士のトラブルを回避するために、マンション所有者や管理者が、共用部分における利用条件を設けている場合があります。
例えば、共用部分ではペットは抱きかかえなければいけない、キャリーに入れなければいけないなどが挙げられます。
マンションの共用部分と専有部分の違いについてはこちらの記事を参考にしてください。
マンション共用部分と専有部分とは?違いを知って快適な生活を手に入れよう!
マンションで犬を飼うときの注意点
マンションで犬を飼育するときには以下のような注意点を押さえておく必要があります。
- 賃貸の場合は家賃が上がる可能性がある
- 退去時の修繕費用が高額になる可能性がある
- 留守番時の対応を考える必要がある
- 苦情が届く場合がある
賃貸の場合は家賃が上がる可能性がある
賃貸マンションの場合は、そもそもペットを飼うことができる物件数が少ないため、家賃が上がる可能性があることに注意しましょう。
実際に賃貸物件検索サイト「HOMES」では、全国のアパート・マンションの総物件数約473万件に対してペット可物件は約150万件と、全体の約31.8%にとどまっています。(2022年2月14日時点)
退去時の修繕費用が高額になる可能性がある
賃貸物件では、借主負担での修繕費用が必要になる場合もあります。
犬を飼っている物件では、工事箇所が多くなったり、表装材を一気に交換する必要が出てくることもあるからです。
また住宅設備もにおいや傷によって劣化し、その分修繕費用が高額になる傾向にあります。
留守番時の対応を考える必要がある
旅行や出張で長時間家を空けてしまう場合、世話をしてくれる人や施設を用意しておかなくてはなりません。
対策方法としては、動物病院やペットショップなどが運営するペットホテルやペットシッターがあります。以下の表は、預け入れの種類とペット1頭の1泊分の費用相場です。
預け入れ方法 | 費用相場 |
ペットホテル | 2,000円~3,000円前後 |
ペットシッター | 2,000円/時間~ |
このように、マンションで犬を飼育するときには、預入先の確保と預け入れる場合の費用がかかることに注意しましょう。
トラブルが発生したり苦情が届いたりする場合がある
マンションで犬を飼育するときに多いトラブルの原因は、共用部分で入居者の方に噛みついてしまうことや鳴き声による騒音です。
場合によっては、相手にケガやストレスを与えてしまい、損害賠償責任に問われることも考えられます。多くの入居者が共同で生活をしているマンションでは、飼育希望者が犬を飼うことによるリスクを認識してペットの飼育をする必要があります。
下記の記事では、マンションの騒音トラブルについて解説しています。こちらもぜひ参考にしてください。
マンションの騒音トラブルの対処法を解説!2種類の音からデシベル数の限度を解説
マンションで犬を飼うときのポイント
マンションで犬を飼育するときには以下のポイントを押さえておくことが効果的です。
- 近隣住民への配慮を忘れずに
- しっかりとしつけをする
- 定期的に手入れをしてあげる
- ベランダでは細心の注意を
- 床や壁に傷対策を施す
- 周辺環境のリサーチを行う
近隣住民への配慮を忘れずに
マンションは多くの入居者がいるため、中にはペットへの苦手意識を持つ方もいます。
マンションは鉄筋コンクリート造りが一般的ですが、犬の鳴き声は鉄管を伝って下の階や隣の部屋に響くこともあります。
突然の騒音はトラブルの原因となりますので、犬を飼い始めるときや引っ越しのときに、周囲の住民へのご挨拶を行うようにしましょう。
しっかりとしつけをする
トイレトレーニングや無駄吠えをさせないためのトレーニングなど、マンションで犬を飼うときには、最低限のモラルやマナーが守れるように、しつけをすることを忘れてはなりません。特に共用部分での糞尿は、他の住居人とのトラブルの原因になりえます。
また、専有部分においても修繕費用が高くなったり、においの原因となったりします。
無駄吠えをさせないためのトレーニングの期間中は、以下のような工夫をすることも有効です。
- 隣の壁から1m以上離してペットハウスやゲージを設置する
- 玄関や窓付近にペットハウスやゲージを設置しない
- 床にマットを敷く
犬は周囲の音や外の人気を敏感に察知して無駄吠えをしてしまいます。
ペットハウスやゲージを外の音が聞こえる範囲内に設置しないことで、無駄吠えをしないようにしつけがしやすくなります。
定期的に手入れをしてあげる
犬のにおいの問題や抜け毛の問題は、定期的な手入れによって解消することが可能です。
犬のシャンプーの頻度の目安は、2週間に1回程度とされています。なお、犬は自分のにおいが取れてしまうことを嫌う性質があるので、毎日のシャンプーは控えてあげましょう。また、抜け毛対策として定期的なトリミングが有効です。トリミング費用の相場を以下の通りまとめているので参考にしてください。
犬のサイズ | トリミング費用相場 |
小型犬 | 3,000円〜8,000円程度 |
中型犬 | 5,000円~8,000円程度 |
大型犬 | 7,000円〜10,000円以上 |
トリミングの頻度の目安は、1~2か月に一度程度です。適切な頻度で手入れをしてあげることで、マンションでのトラブルの原因を作らないことにもつながるでしょう。
ベランダでは細心の注意を
マンションやアパートのような集合住宅のベランダで、愛犬を飼育したり、ブラッシングしたりする行為は控えましょう。
ベランダでは、他の入居者が洗濯物を干している場合があります。犬の抜け毛やにおいが洗濯物についてしまうことで、トラブルにも繋がりかねません。
中には、マンションの規約や契約内容にベランダに犬を連れていくことを禁止する内容が盛り込まれている場合があります。
管理規約の確認時に、ベランダやバルコニーの飼育条件や制限の確認をしておきましょう。
床や壁に傷対策を施す
退去費用が多くかかってしまうことを予防するために、専有部分の床や壁に傷対策を施すことが効果的です。
例えば、犬が接する低い位置の壁には、クロスの上から取替え可能なシールタイプの壁材を張り付けたり、フローリングや畳材の上からラグマットやコルクマットを敷いたりといった方法を検討してみましょう。
退去時の修繕費用を抑えるだけでなく、愛犬にとっても歩きやすい環境を整えることにもつながります。
周辺環境のリサーチを行う
マンションで犬の飼育をするときに、盲点となるのが散歩のためのコースの確保です。
マンションで放し飼いで飼育する場合でも、同じ空間に長時間閉じ込められていると、犬もストレスがたまります。
1日に1回はマンションの外に出て散歩に連れて行ってあげられるように、周辺環境のリサーチをしておきましょう。
下記の記事では、マンションの周辺環境の調べ方について解説しています。こちらもぜひご活用ください。
マンション購入前に確認すべき治安など周辺環境の調べ方
犬と暮らせるマンションを探すには
マンションでは、あらかじめ管理規約でペット飼育の条件や制限が設けられていたり、賃貸契約書のペット可特約の条項に詳細情報が記載されていたりする場合があります。
愛犬との快適な生活を送るためには、このようなルールや最低限のマナー、モラルを守って、飼い主としての責任を持った飼育をする必要があります。
マンションで犬を飼育したいと考えている場合は、まずマンションの管理規約を確認してみましょう。
ペット可マンションやペット共生型の物件を探している方は「Housii(ハウシー)」の利用がおすすめです。未公開物件を含む多くの物件情報を掲載していますので、是非一度ご覧になってはいかがでしょうか。
下記の記事では、マンションで猫を飼うときの注意点について解説しています。こちらもぜひお役立てください。
猫をマンションで飼うときの注意点は? 事前に確認すべきこととトラブル対策