新居を探している方の中には、リフォーム済みの中古物件に興味を持っている方も多いのではないでしょうか。
新築物件と同様に内装や設備が新品である一方、費用を新築価格よりも安く抑えて購入できるため、魅力的な物件です。
しかし、中古物件ならではの注意点には気をつけなければなりません。本記事では、リフォーム済みの中古物件のメリットとデメリットを紹介し、購入するときの注意点やポイントについて解説していきます。
リフォーム済み中古物件とは
リフォーム済み中古物件には、一般・個人投資家によるリフォーム物件と、不動産会社によるリフォーム物件の2種類があります。
一般・個人投資家の場合は、不動産の売買を専門に行っているのではなく、相続や持ち家の売却によるケースが中心です。
不動産会社の場合
不動産会社が物件を買取り、リノベーションやリフォームを実施して販売に出すパターンです。
不動産会社は、潤沢な資金やリフォーム業者との繋がりを持っているため、市場に出回っているリフォーム済み物件の多くが、この不動産会社が所有している物件となっています。
一般・個人投資家の場合
上述した不動産会社が販売を行っているものではなく、個人が所有している物件が売りに出されていることもあります。
例えば不動産賃貸業を行っている個人投資家が、出口戦略として物件を売却するケースや、相続などによって家をリフォームして売却するケースなどです。
しかし、売却時の工事費用を捻出することが困難な場合が多いため、総数はあまり多くはありません。
リフォーム済みの中古物件の購入にかかる諸経費
リフォーム済みの中古物件には、物件価格以外にも、以下のような諸経費がかかります。
費用項目 | 費用相場 |
印紙税 | 2万円 |
不動産取得税 | 0円〜固定資産税評価額の3% |
登録免許税 | 固定資産税評価額の0.1%〜2% |
司法書士報酬 | 1〜13万円前後 |
固定資産税精算金 | 固定資産税評価額の6分の1×1.4%(標準税率)の日割り金額 |
仲介手数料 | (物件価格×3%+6万円)×1.1 |
一般的に、中古物件を購入する場合の諸経費の相場は、物件価格の6〜10%程度です。
中古物件では、あらかじめ物件価格が決まっているので、新居取得までに必要な総費用が掴みやすいと言えるでしょう。
住宅購入にかかる諸費用について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
リフォーム済みの中古物件を購入するメリット
リフォーム済みの中古物件には、以下のようなメリットがあります。
- 新築物件よりも安く購入できる
- 実際に内覧して決められる
- すぐに入居できる場合がある
費用を抑えたい、スピード感を持って物件を決めたいという方にとっては、非常に魅力的な物件です。
新築物件よりも安く購入できる
ほとんどのリフォーム済み物件では、内装や外装、トイレやキッチンといった設備までリフォームされています。
そのため、新築同様の清潔感と完成度の物件を、新築物件を建築するよりも安く購入できるところが最大のメリットです。
新築物件とリフォーム済み中古物件の費用相場を以下の表でまとめてあります。なお、リフォーム費用や中古物件の費用は、物件の大きさやタイプによって大きく変動するため、あくまで相場になります。
物件状態 | 費用相場 |
新築物件(建築費用+土地代) | 4,000万~4,400万円程度 |
中古物件 | 2,500万円程度 |
リフォーム費用 | 400万~1,000万円 |
リフォーム済み物件(中古物件費用+リフォーム費用) | 3,200万円程度 |
※戸建て住宅の場合
費用面で比較した場合、新築住宅に比べてリフォーム済み物件は相場に対して約25%抑えられることが分かります。
実際に内覧して決められる
住宅費用は大きな金額が動く売買取引になり、ローンを組むことも一般的です。未完成の物件をローンを組んで購入し、完成後に物件を見た後、イメージと違うこともあります。
しかしリフォーム済みの中古物件は、新築物件と比べ、すでに完成した状態で売り出されています。購入前に内覧をすることが可能のため、実際に完成した物件をチェックしてから決めることができます。
中古住宅を購入する際の注意点について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
すぐに入居できる場合がある
リフォーム済みの中古物件は、すでに完成している物件のため、物件保有者と購入者の条件や日程が合えば、入居までの流れがスムーズに進む場合が多いです。
また現金一括購入などで、準備の期間がより少なくなる場合には、水道や電気の開設とともに入居することができることもあります。
リフォーム済みの中古物件を購入するデメリット
リフォーム済みの中古物件は、メリットが多くある一方で、以下のようなデメリットもあります。
- リフォーム費用が見積もられている
- 見えない部分の老朽化に気が付かない場合がある
- 住宅ローンで不利になる場合がある
リフォーム費用が見積もられている
中古物件は、リフォーム済みの物件とリフォームなしの物件があります。
リフォーム済みの物件では、中古物件に付加価値を生み出しているため、リフォームなしの物件に比べて価格設定が割高になっている場合があります。
例えば、リフォームなしの中古物件にリフォーム工事を施した場合、購入者が自分で物件のリフォームをしなくても良いというメリットを享受できる一方で、実際にかかった工事費用から10~15%上乗せして利益にしてしまうというケースも考えられます。
このようなケースもあるため、リフォームなしの物件を購入し、ご自身で業者に依頼した方が安く済む場合もあります。
見えない部分の老朽化に気が付かない場合がある
リフォーム済み物件は、見た目が新築同様になっているかもしれません。しかし、築年数が経っていると、内部の柱や梁に劣化が見られ、新築物件や築年数がまだ浅い物件と比べて建物の寿命が短くなっていることもあります。
リフォーム済みの中古物件では、壁の中や表装材の裏の柱など、見えない部分の確認が難しいため、建物の躯体部分の老朽化や断熱性能の低下に気が付かない場合があることに注意が必要です。
住宅ローンで不利になる場合がある
中古物件は新築物件に比べて購入資金を抑えることができますが、いずれにせよ充分な予算が必要です。そこで、住宅ローンを利用するのが一般的です。
金融機関にとって住宅ローン申請者の審査基準は、年齢や勤務先、勤続年数や年収といった個人の信用と、住宅の資産価値や立地といった物件自体の価値が影響してきます。
そのため、新築住宅に比べて資産価値が低い中古物件は、住宅ローンの審査で不利になるケースもあります。
リフォーム済み中古物件を購入するときの注意点・確認事項
リフォーム済み中古物件のメリットとデメリットを理解したうえで、購入を検討したい場合は、物件の検討段階で以下の確認事項をチェックしてください。
- リフォームをした場所と範囲
- リフォームにかかった費用
- 耐震基準について
- 保険内容の詳細
リフォームをした場所と範囲
リフォーム済みの中古物件は、すでに工事が完了しているため、目に見えない施工部分が存在します。
そこで、リフォーム・修繕箇所について、いつ、どのような工事を行ったのかを詳細に把握しておきましょう。
不動産会社の所有する物件の場合、リフォーム時の工事内容を記録した資料や写真を残している場合もあります。
リフォームにかかった費用
リフォーム済みの中古物件は、内装と外装、設備をすべて変えるフルリフォームのほかに、劣化部分の工事や設備交換などを部分的にリフォームをする場合があります。
内覧時に以下の表を参考にしてリフォームにかかった費用を聞くことで、過剰な上乗せがないか確認することが可能です。
施工箇所 | 費用相場 |
キッチン | 100万~150万円 |
トイレ | 30万~40万円 |
洗面 | 20万~30万円 |
浴室 | 100万~120万円 |
外壁 | 90万~120万円 |
屋根 | 50万~100万円 |
居室 | 40万~150万円 |
耐震基準について
リフォーム済みの中古物件では、築年数がある程度経っている物件も売りに出されていることもあります。そこで耐震基準については要チェックです。
というのも、1981年6月以降に確認申請を受けた建築物は「震度6以上の地震に耐えられること」を基準とする「新耐震基準」に沿って建設されていますが、1981年6月以前に確認申請を受けた建築物については旧耐震基準(震度5強程度の地震で、ほとんど建築物が損傷しない)となっているからです。
場合によっては耐震工事を行う必要も出てくるため、どの時点で建設されたのか、そしてどちらの耐震基準になっているのかについてはしっかりと確認しておきましょう。
保険内容の詳細
中古物件を購入する場合は、住宅瑕疵保険やリフォーム瑕疵保険に入っているかも確認しておきましょう。
万が一リフォーム箇所において不具合が出た場合、これらの保険に加入しておくことで、再工事の際に補修費などを補償してくれます。
安心してリフォーム済み中古物件を購入するための事前対策
中古物件の購入を安心して行うためには以下のようなポイントを押さえる必要があります。
- 売買契約書の隅々まで目を通す
- ホームインスペクションを受ける
- 現地の確認は悪天候の日を選択する
売買契約書の隅々まで目を通す
売買契約書には、売買代金や敷地権利の範囲、契約違反時の対応、特約などといった重要事項が記載されています。
契約書の内容をしっかりと確認することで、もしトラブルが発生しても冷静に対応することができるでしょう。
ホームインスペクションを受ける
上述した通り、リフォーム済みの中古物件のデメリットは、基礎部分や躯体部分が見えないため住宅の強度が把握できないという点が挙げられます。
この解決策として住宅診断(ホームインスペクション)を受けることが有効です。費用相場は5万~10万円程度で、2〜3時間の調査で住宅強度や耐震性能を診断してくれます。
なお、ホームインスペクションを依頼するときは、売主ではなく、買主側が業者の準備をするのがおすすめです。
ホームインスペクションについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
現地の確認は悪天候の日を選択する
中古物件のトラブルとして多いのが雨漏りや湿気によるカビの発生による問題です。悪天候時に内覧することによって、あらかじめ雨漏りやシミの有無、床下浸水や下水の状況を確認できます。
確認を怠らずに納得したリフォーム済みの中古物件選びを
リフォーム済みの中古物件は、新築同様の見た目でありながら、費用を抑えて購入することが可能です。しかし、見えない部分の強度や工事内容の把握が難しいという点もあります。
物件購入時に、リフォーム内容の確認や工事費用の妥当性を確認することが大切です。また、契約内容や保証の内容を確認することで、安心して中古物件を購入することができるでしょう。
リフォーム済みの中古物件を含む新居を探したい方には、物件検索サイトHousii(ハウシー)がおすすめです。未公開物件を含む、多くの物件情報を掲載しているため、よりあなたに合った物件を探すことができるようになります。