住宅ローンを組む際には、ぜひ住宅ローン控除の制度を利用したいものです。
しかし、金額については細かな計算や諸条件の考慮が必要なため、還付金について把握しきれていない方も多いのが現状です。
本記事では、住宅ローンの控除によって戻ってくる還付金について、具体的な事例と還付金の額をあげながら詳しく解説します。
住宅ローン控除の全体像について理解したいという方はこちらの記事もご覧ください。
住宅ローン控除における還付金とは
住宅ローン控除とはマイホームを購入するときに住宅ローンを利用した場合、一定の条件を満たすと住宅ローンの年末残高において0.7%が控除され、還付される制度です。
住宅ローンを利用する場合、この控除と還付金制度は支払いの負担を軽減する税制上の処置ですので、以下に述べる条件や手順、内容などを把握のうえ上手に還付金を得られるようにしましょう。
2022年度以降に適用される、住宅ローン控除について
2022年度からは住宅ローン控除に関して、新しい制度の内容が適用されます。
特に大きな変更点として、住宅ローン総額の1.0%が0.7%へと変更になった点です。また2022年度以降では、控除期間が10年から13年へと延長されています。
入居年 | 2021年度 | 2022年4月から2025年3月 |
控除率 | 1.0% | 0.7% |
控除期間 | 10年 | 13年 中古物件は10年 2024年以降は10年 |
住宅ローン控除の還付金を受け取る条件は?年収は関係ある?
住宅ローンの控除が受けられる条件も、2022年度以降では、下記の通り変更されています。
- 年間の合計所得が2,000万円以下
- 購入する住宅の床面積は40㎡以上
- 1982年以降に建築された住宅
- 住宅ローンを受ける人が居住用として住宅を購入すること
これらを満たしていなければ還付金を受け取ることができません。
その他にも、住宅ローンの控除には多数の条件が定められており、住宅の種類によっても以下の通り控除額が変わります。
住宅の種類 | 1年間の最大控除額 | 残高の上限 | 控除期間 |
認定住宅 | 35万円 | 5,000万円 | 13年 |
ZEH水準省エネ 住宅 | 31.5万円 | 4,500万円 | |
省エネ基準適合住宅 | 28万円 | 4,000万円 | |
その他住宅 | 21万円 | 3,000万円 |
その他、住宅ローン控除の還付金を受け取る条件に関しては、国税庁のHPなどに詳しく記載されているため、マイホーム購入時には必ずチェックしておく必要があります。
住宅ローン控除の還付金はいくらくらい受け取れるのか
住宅ローン控除における還付金額は、2022年度以降、単純計算で年末の住宅ローン残高の0.7%程度になります。例えば認定住宅を購入し、3,000万円の借入残高が年末に残っている場合、0.7%となる21万円が還付可能です。
還付金は所得税の控除という内容でマイホームの購入者に還付されます。ただし、その年に納めた所得税が、住宅ローン控除に対して上回るか下回るのかといった点も金額に関係してきます。
納めた所得税が21万円に満たない場合、控除額は納めた所得税分が適用になります。
住宅ローン控除の還付金を受け取るための手順は?
住宅ローン控除の条件や、還付金の実際の金額について解説してきました。
これらの還付金を得るために、必要な手続きとしてはマイホームを購入した翌年度に、確定申告による申請をすることです。給与所得者が住宅ローン控除を利用するために確定申告を行う場合、必要な書類は下記の通りです。
- 源泉徴収票
- 建物・土地の登記事項証明書
- 土地や建物の請負契約書が売買契約書(コピー)
- 住宅ローン残高証明書
- 本人確認書
なお、確定申告を行うのは初年度のみとなっており、2年目以降は年末調整により、住宅ローン控除の還付金を受け取ることができます。
申請方法は
- 税務署へ直接提出
- 郵送
- e-tax(オンライン)
などの方法が利用可能で、近年はe-taxによるオンライン申請の数が増えています。
住宅ローン控除の還付金はいつ受け取ることができる?
上記の手続きを行い、受理されると、還付金を受け取れます。
基本的には指定された口座に還付金が振り込まれる前に、税務署から国税還付金振込通知書が届き、手続きが完了した旨が告知されます。その後1週間程度で還付金が振り込まれるとされてます。
なお、受け取ることができる時期は、申請方法によっても変わります。一般的に税務署に行って直接手続きした場合と郵送による手続きの場合は、申請後30~60日程度で還付金の振り込みが行われます。
e-taxを利用する場合は比較的早く還付金が振り込まれ、20日程度で振り込まれます。手続きが順調に進まず、記載ミスや手続き自体の不備などが起こってしまうと、還付金を受け取る時期が後ろに延びてしまいます。
初年度の手続きは、税務署で指示を仰ぎながら確定申告書を記載するなど、ミスなく行うこともポイントです。
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住宅ローン控除の還付金は所得税によっても左右される
還付金は、必ずしも年末ローン残高の0.7%が戻ってこないことは確認できました。以下では住宅ローンの還付金が想定よりも少なかった場合やケースについて具体的に述べていきます。
住宅ローン控除の還付金には上限がある
住宅ローンの控除額を下記の表にまとめました。
2022年と2023年
住宅の種類 | 認定住宅 | ZEH | 省エネ 住宅 | 一般の新築 | 2021年末 一般住宅 |
借入限度額 | 5,000万円 | 4,500万円 | 4,000万円 | 3,000万円 | 4,000万円 |
年間最大減税額 | 35万円 | 31.5万円 | 28万円 | 21万円 | 40万円 |
期間最大減税額 | 455万円 | 409.5万円 | 364万円 | 273万円 | 400万円 |
控除期間 | 13年 | 13年 | 13年 | 13年 | 10年 |
所得の上限 | 2,000万円 | 2,000万円 | 2,000万円 | 2,000万円 | 3,000万円 |
※ZEHとはゼロ・エネルギー・ハウスで高い断熱性能や省エネの仕組みで家庭での年間エネルギー消費量を正味でゼロとする住宅のことを指します
2024年と2025年
住宅の種類 | 認定住宅 | ZEH | 省エネ 住宅 | 一般の新築 | 2021年末 一般住宅 |
借入限度額 | 4,500万円 | 3,500万円 | 4,000万円 | 2,000万円 | 2,000万円 |
年間最大減税額 | 31.5万円 | 24.5万円 | 21万円 | – | 40万円 |
期間最大減税額 | 409.5万円 | 318.5万円 | 273万円 | – | 400万円 |
控除期間 | 13年 | 13年 | 13年 | – | 10年 |
所得の上限 | 2,000万円 | 2,000万円 | 2,000万円 | 2,000万円 | 3,000万円 |
上記の表に基づき、例えば2022年に一般の新築住宅を購入し、年末の住宅ローン残高が5,000万円だった場合、残高の0.7%だと35万円が還付されるという計算になります。
しかし、年間21万円が控除額の上限となるため、最大21万円の控除しかできません。
住宅ローンの控除額には年間の上限がある点や、住宅の種類などでも最大控除額が異なるため、単純に0.7%として計算していると還付金が予想より少なかったというケースが出てきてしまいます。
所得税で控除できない場合はどうなる?
納めた所得税が15万円で、還付対象金額が21万円だった場合、納めた所得税の15万円しか控除できません。
このように、所得税よりも多い住宅ローン控除の還付金に関しては、翌年の住民税か控除される仕組みとなっています。ただし、住民税の控除においても上限が設定されており、2022年度以降の住宅ローン控除において住民税の最大控除額は97,500円となっています。
なお、住民税から控除される場合、
- 所得税から住宅ローン控除を使用し控除しきれなかった金額
- 所得税の課税総所得金額に7%を乗じて得た金額
のどちらか小さい額が控除される金額となります。
所得税に関しては、一旦所得税を納めた後に住宅ローン控除が還付されるようになっていますが、住民税に関しては徴収する予定の住民税が軽減することになります。
還付金を受け取ることができるわけではありませんので、所得税と住民税では住宅ローン控除の扱いが異なることを理解しておきましょう。
住宅ローン控除の相談をする際はどこにするべき?
本記事でご紹介した通り、住宅ローンの控除では様々な知識や計算が必要になり、家の種類などに応じて金額も変わってきます。
また必要書類も多く、抜け漏れが発覚し、提出が遅れることによって、場合によっては還付金を受け取れないなどの事態も出てくるでしょう。
そのような事態を防ぐため、あらかじめ相談先を把握しておくことが大切です。
住宅ローンの控除についてはまず、国税庁のHPで確認しましょう。なお、初年度での住宅ローン控除で必要になる、確定申告についてはチャットボットで質問できるようになっています。
また各地域の税務署で相談するのも手です。なお、国税庁のHPでは各地域の税務署の住所と電話番号が記載されています。電話相談は無料となっており、回答などもすぐに得られるでしょう。
また、銀行や不動産会社では住宅ローン相談会などが開かれていることもあります。最近ではオンライン上で開かれていることもあるため、参加しやすくなっています。
住宅ローンの還付金をしっかり理解してお気に入りのマイホームを建てよう
住宅ローン控除はマイホーム購入に際し利用したい制度ではありますが、きちんと理解しておかなければ、思ったような還付金の額面を受けられないことがあります。
また購入する家の種類や条件などに応じて金額も変わってきます。
そのため、まずはHPで記載項目を確認し、不安であれば住宅ローン相談会などでしっかりと説明を受けるのがおすすめです。
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