「両親から土地を相続したものの、どうしてよいのかわからない」「使っていない土地に維持費や税金ばかり払い続けている」など土地の運用について悩んでいる人は多いと思います。
土地の資産運用は、成功すれば大きな利益を得ることができますが、その反面、費用や手間、トラブル発生時の対応も必要になることもあります。
そのため、リスクや手間を減らして土地の運用をしたいと考えるのは当然でしょう。
そこでこの記事では、土地活用による資産運用で失敗しないためのコツや立地ごとの運用方法の選び方、少ない資金で始められる土地の運用方法を解説しています。
コツや運用方法の選び方をしっかりと把握して、土地活用による資産の運用を初めてみましょう。
土地活用方法でお悩みの際は土地活用ランキングの記事もご覧ください。
低予算で始める土地の資産運用
ここでは、少ない資金で始められる土地の資産運用方法を紹介します。
- 駐車場経営
- トランクルーム経営
- 太陽光発電
- 土地の借地契約
- 建物のリースバック
- 土地信託
- 等価交換
駐車場経営
駐車場経営とは、所有している土地に駐車場設備を設置し、その利用者から駐車料金を徴収して収入を得る土地の運用方法です。
経営の種類として、個人や法人と契約を結び、月ごとに賃料を徴収する「月極駐車場経営」と時間制で駐車料金を徴収する「コインパーキング経営」があります。
どちらの経営方式を採用するとしても、駐車場経営では立地が重要になってきます。
月極駐車場経営では、会社や工場が近くにある、長期的に利用してくれる人が見込める場所で始めると失敗のリスクが少なくなります。
また、コインパーキング経営では、ショッピングモールやスーパーなどの、一時的に車を止める場所がほしいと思われる場所が近い土地が向いています。
1台分の駐車スペースがあれば始められるため、狭い土地の資産運用においてもおすすめです。
メリット
駐車場経営には、経営を始めるための初期投資が少ない点や手軽に始めることができる点がメリットがあります。
精算機を設置し、駐車スペースを区切るだけで経営を始めることができるため、多くの場合、初期費用が100万円以下でおさまります。
また、月極駐車場では更地でも貸し出すことができることから、最短で1週間ほどで経営を始められることもあります。
デメリット
駐車場経営では、賃料収入がそこまで多くないことや固定資産税の節税ができないことがデメリットになります。
アパート経営やマンション経営などに比べて駐車場経営は、利用単価が低くなってしまうため、多くの利用者がいてもそこまで多くに利益を上げることはできません。
また、駐車場経営といっても、土地の上に居住用の建物を建ていないことから、固定資産税の節税にならないこともデメリットでしょう。
トランクルーム経営
トランクルーム経営とは、所有している土地にコンテナを設置し、その利用者から賃料を得るという土地の運用方法です。
もうひとつの経営方式として、建物を建築し、その部屋の一部をトランクルームとして貸し出すという方法もあります。
屋外にコンテナを設置するタイプでは、ある程度集客がうまくいけば、郊外の土地であったとしても運用することができます。また、管理の手間も少なくてよいため、自宅から離れていても問題ないでしょう。
メリット
トランクルーム経営には、立地によって経営が左右されることが少ないため、賃貸経営に向いていない土地でも始められるメリットがあります。
たとえば、30坪以下の狭小地や土地の形が三角形や台形の変形地であっても問題ないでしょう。
コンテナ型のトランクルーム経営であれば、土地の条件が悪くてもコンテナを設置するだけでよいことから、費用や手間をかけずに始められることもメリットです。
デメリット
トランクルーム経営では、併設の駐車場が必須であったり、借り手がつくまでの期間が長いというデメリットがあります。
特に、郊外のトランクルームでは、電車や徒歩で行ける場所でない場合、併設の駐車場が必要になります。
また、賃貸物件の集客とは異なり、トランクルーム経営にはメジャーな集客方法がありません。そのため、借り手が見つかりづらく、収益化するまでに時間がかかります。
太陽光発電
太陽光発電は、所有している土地に太陽光パネルを設置し、発電した電力を電力会社に買い取ってもらい、収入を得るという土地の運用方法です。
特に、150㎡以上の広い土地や十分に日光の当たる土地が、太陽光発電に向いています。
そのため、賃貸経営では利益の見込めない田舎の土地であったとしても、太陽光発電であれば運用することができることがあります。
メリット
太陽光発電では、田舎の土地でも始められるメリットのほか、初期費用を抑えて、経営を始めることができます。
再生可能エネルギー発電の場合、太陽光パネルを設置するために、自治体から補助金を受け取ることが可能です。この補助金を利用することで、費用を減らして土地の運用を始められます。
デメリット
太陽光発電では、台風や地震などの災害で破損してしまう可能性がある点や利回りが低い点がデメリットになります。
太陽光パネルは、それほど頑丈には作られていないため、大きな災害に遭うと破損してしまう可能性があります。また、電力の買取価格がそこまで高くないため、あまり利回りが高くありません。
土地の借地契約
借地として土地を貸すという土地の運用法は、所有している土地を事業者、法人、個人に貸し出すことで定期的な利益を得るという方法です。
借地契約には、契約更新のある「普通借地権」と契約更新のない「定期借地権」があります。また、定期借地権の中にも、一般定期借地権・建物譲渡特約付借地権・事業用定期借地権の3種類があるため、どの契約を結ぶのかが大切になります。
メリット
借地として土地を貸すときには、ほとんど費用をかけずに土地の運用を始めることができることがメリットです。
加えて、土地を貸した後も手間や費用をかけることなく、賃料を受け取ることができます。
また、貸した土地に居住用の建物が建てば、住宅用地の特例を適用させることができるため、固定資産税の節税にもなります。
デメリット
借地では、何十年単位で土地を貸し出すため、貸している間は自由に土地を利用することができなくなります。
そのため、借地契約中に再開発などが盛んになり、もっと儲けられるチャンスが訪れても、自分の都合で契約を解除することはできません。また、契約内容によっては借主が契約延長を希望すれば延長することができます。
したがって、借地契約を結ぶときには、契約の種類や契約内容に注意する必要があります。
建物のリースバック
土地の資産運用におけるリースバック方式とは、土地の所有者が、土地を借りたい事業者から「建築協力金」を受け取り、建物を建築し、その建物を使って事業者が事業を行う方法です。
土地の借地契約と似ている制度ですが、貸し出す対象が建物であったり、その建物を地主が建築するという点で借地とは異なります。
また、リースバック方式は、コンビニエンスストアや介護施設などでよく採用されている方式となります。
メリット
リースバック方式の最大のメリットは、事業用の建物を建築するときに、事業者から建築協力金を受け取ることができます。
この建築協力金は、事業者から借りられる無利子のローンのようなもので、実質的な負担をなくして、建物を建てられます。
また、借地と比べて、建築費用を負担する分、賃料を高く設定できることもメリットになるでしょう。
デメリット
リースバック方式では、契約が終了すると更地ではなく、土地の上に建物が残った状態で返還されます。その建物は、事業用に建てた建物であることから、再利用が困難になります。
また、別の運用を始めようと考えたら、いま建っている建物を解体しないといけないため、解体費用が発生してしまいます。
土地信託
土地信託とは、土地を信託会社や信託銀行に預け、その土地で収益が出れば、諸経費などを差し引いた金額を配当金として受け取ることができる運用法です。
土地を運用するプロに委託することができるため、効率よく収益を上げることも可能となります。
土地信託には、土地が戻ってくる賃貸型と土地を手放す処分型の2パターンがあるため、どちらを選ぶのかが大切になってきます。
メリット
土地信託のメリットは、信頼できる土地を運用するプロに依頼できることです。
土地の運用の初心者がアパート経営などの賃貸経営を始めたとしても、借金地獄に陥ってしまうことも少なくありません。
そこで、土地信託では、赤字経営になるリスクを極限まで減らして、土地の運用をすることが可能になります。
デメリット
土地信託では、リスクを減らして運用することができる分、リターンも少なくなるということがデメリットになります。
アパート経営を自分で始めるときの手続きや資金の調達を信託会社が地主の代わりに行うため、リターンが減ることは仕方がないといえます。
等価交換
等価交換とは、土地をデベロッパーに譲渡(売却)して代わりに建物を建ててもらい、建物の価値に対する土地の価値の割合に応じて建物の所有権を得る土地の運用方法です。
所有権を持っている部分は、自分で自由に利用することができるため、自分で住んだり、賃貸物件として貸し出すこともできます。所有部分を賃貸物件として貸し出すことで、利益を上げることも可能になります。
メリット
等価交換は、初期費用をかけることなく始めることができる点が最大のメリットでしょう。
どんなに広大な土地を持っていて、そこにマンションや商業施設を建てるとなると、莫大な費用が発生します。こういった費用が一切かからないことで、リスクを最小限におさえることも可能になります。
デメリット
等価交換では、立地が良くなければ、引き取り手が見つからないということがデメリットになります。
また、引き取り手のデベロッパーが見つかったとしても、土地の所有比率や事業の内容等の話し合いでかなりの労力がかかることもデメリットです。ただ、等価交換は自分の土地の一部を手放すことになるため、しっかりと検討しましょう。
土地の資産運用で失敗しないためのコツ
ここでは、土地活用による資産運用で失敗しないためのコツを紹介します。
土地活用は、事前の情報収集が成功か失敗かを分けるカギとなります。土地活用を検討されている方は、失敗例についてもみておくとよいでしょう。
自己資金と土地に適した運用法を選ぶ
誰も訪れない場所に広告看板を設置しても広告主は現れず、日陰になる場所に太陽光パネルを設置しても望むような効果は得られません。
土地には向き不向きがありますし、自己資金が少ないのに無理して多額の融資を受けた場合には借金返済に苦しむことになります。まずは計画の段階で、所有する土地がなにに向いているのかを見極め、自己資金の中で無理せずなにができるのか考えてみましょう。
例えば駅から近い土地ならば、マンションを運営しても入居者を見つけやすく収益が入りやすいです。しかしマンションを建設するところから始めるのは難易度が高く、自己資金も多く必要です。
もしも自己資金が少ないならば、オーナーがデベロッパーに土地を提供し、デベロッパーの建てたマンションの一部を区分所有するという方法もあります。自己資金がなくても区分マンションを所有することができる点がメリットですが、土地を手放さなければなりません。
また変形地や狭小地の場合は、自己資金も少なくてすむトランクルームや広告看板設置を考えてもよいでしょう。
大事なことは、土地の向き不向きと自己資金を考えて、土地の活用方法を決めることです。
また、土地にある法規制によっては活用方法が限られる可能性があるため注意が必要です。
無理のない範囲でローンを組む
更地をそのまま貸すのでない限り、土地活用にはお金がかかります。アパートやマンションなどの賃貸物件を運用しようと思えば、初期投資に数千万円かかるでしょう。
その場合は資金がなくても、土地を担保にして金融機関から融資を受けられます。融資をうけることで、レバレッジをかけてより多くの利益が見込めますが、ハイリスクハイリターンで、失敗した場合には担保にしていた土地自体を失いかねません。
アパートやマンションの経営ではフルローンも可能ですが、失敗したときのことも考慮に入れて無理のないローンを組むことが重要です。自己資金が少ない場合には、少ないなりの運営方法が多数あります。まずはどのような土地運用方法があるのか調べてみましょう。
補助金のある運用方法を選ぶ
土地活用方法によっては、補助金を国から受けられるものがあります。サ高住といわれるサービス付き高齢者向け住宅や、保育園などが補助金の対象にあたります。
サ高住は国からの補助で初期費用を抑えられ、なおかつ時代のニーズにマッチしているので最近人気のある土地活用方法です。補助金を受けるためには一定の要件を満たす必要がありますが、最高で1,000万円の補助金を受けられます。
保育園の運営で補助を受ける場合には、「認可保育園」であることが重要です。許可を受けずに運営する場合は補助の対象とならないので注意してください。
また少し前までは太陽光発電の設置に補助金が出ていましたが、2022年1月現在ではすでに終了しています。しかし、自治体によっては助成金を出している場合があるので、太陽光発電を設置する予定ならば自治体の助成金有無を確認するとよいでしょう。
サ高住などの介護施設経営について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
始める前にプロに相談する
土地活用をする上で、情報収集は重要です。インターネットでも情報収集はできますが、実際に始める際にはプロからアドバイスを受けることが必要です。特にアパートやマンションの経営を考えている場合には、資金繰りや土地選びなどを専門家に相談した方がよいでしょう。
所有する土地でどのような土地活用種別が良いのか迷ったときは複数の土地活用プランを一括請求・比較できるサービスを使うことをお勧めします。イエウール土地活用なら、複数のプランを比較して収益性の高い土地活用方法を見つけることができます。
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土地の応じた資産運用方法の選び方
ここでは、土地の条件に応じた資産運用方法の選び方を解説します。
駅の近くにある土地
駅の近くにある土地は、ある程度の広さがあるならアパートやマンション経営が向いています。またコンビニ、商業ビル、オフィスビルなどを建てて貸し出しても、借り手が比較的見つけやすいでしょう。
もしも自己資金が少なくマンションやアパートを建てるための初期投資が難しいようならば、別の手段もあります。事業用定期借地権方式ならば、30年や50年という長期間で土地を事業者に貸し出します。
借りた側は契約した期間の間、土地を自由に使える権利を得られます。もちろんアパートやマンションを建てて収益を得ることも可能です。しかし契約期間が終了したら、土地を更地にして所有者に返却しなければなりません。
事業用定期借地権方式のデメリットは、なかなか取引相手の業者がみつからないことです。土地の所有者にとってはとてもよい方式なので、取引を結べる業者がいるかどうか一度探してみてもよいでしょう。
市街地から離れた土地
市街地から離れていたり、田舎だったりすると、アパート経営や駐車場経営をしてもなかなか入居者がみつかりません。人通りの少ない土地に向いているのは、貸金庫や資材置き場などです。これらは初期費用が少なくても始められるので、リスクも抑えられます。
ほかにも戸建ての賃貸住宅やゲストハウスの運営も可能かもしれません。しかしこれは観光地や外国人が訪れるような魅力的な土地や、古民家などの建築物がある場合に限られます。
また昨今土地活用方法として人気のあるものに、サービス付き高齢者住宅(サ高住)があります。地方や田舎は高齢化が進んでいます。サ高住は一定の要件を満たせば補助金が出るので、一考の余地があるかもしれません。
幹線道路沿いにある土地
交通量が多く、アクセス性に優れている幹線道路沿いにある土地は、集客しやすいのでコンビニや商業ビルなどの店舗経営が向いています。また店舗経営するほどの広さがなかったり、変形地だったりする場合には、広告看板を出してもよいでしょう。
幹線道路沿いの店舗運営には、大きく分けて2種類の事業方式があります。一つは「リースバック方式」で、これは土地の所有者が建物を建築し、店舗事業者が一括で借り上げる方式です。土地の所有者には、毎月定額の固定賃料が入ります。
もう一つは「事業用定期借地方式」です。これは更地を貸し出すもので、借り上げた事業者はその土地に建物や駐車場を作り、自由に経営できます。土地の所有者には、毎月定額の地代が入ります。
上の二つの方式は、貸し出し相手があってこそです。難しいのは、契約相手を見つけることかもしれません。
日当たりのよい土地
日当たりの良い土地は、立地条件が整っていればマンションやアパートの経営も可能ですが、そうでない場合は太陽光発電を設置してもよいです。
建物を建てられない市街化調整区域でも、太陽光発電パネルを野立てで設置できます。
土地の資産運用はメリットが多い
放置したままの土地を所有していても、固定資産税や維持費がかかるばかりです。マイナス収支の資産をプラスに変えるには、資産運用をしなければなりません。
土地には向き不向きがあるので、所有する土地の特徴と自己資金の観点から土地の活用方法を決める必要があります。悩んだ場合は専門家に相談するとよいでしょう。
土地を活用して資産運用することには、多くのメリットがあります。収益は低くても手間やリスクの低い投資方法もあるので、まずは情報収集から始めてみてください。
記事のおさらい