マンションに住んでいる限り、必ず訪れるのが大規模修繕工事です。周期はマンションごとに異なり、また費用はその都度大きく変わります。中には100万円を超える負担を求められるケースもあります。
そんな大規模修繕工事に対し、安全面で重要だとわかってはいるけど、費用のことを考えるとできるだけ先伸ばしたいと考える方もいるでしょう。。
今回はそんなマンションの大規模修繕を行なう前に知っておきたい知識を解説します。
いざ大規模修繕の時期が来たときに慌てず済むよう、本記事を読んで、自分のマンションがいつ頃どんな修繕を行う可能性があるのか考えましょう。
中古マンションの購入を検討している方はこちらの記事もご覧ください。
中古マンション購入で失敗して後悔しないために!14個の失敗例と対策
マンションの大規模修繕とは?
マンションの大規模修繕とは、一般的に12年周期で行なわれる工事のことです。大規模修繕は、年数が経つことでマンションが劣化するのを防ぐという目的があります。大規模修繕が必要な理由
マンションでは、定期的な修繕や小規模なメンテナンスは管理組合の修繕計画に基づき、こまめに行なわれます。
しかし外壁塗装や配管の交換、防水工事などといった大掛かりな工事は、大規模修繕のときにまとめて行なうのが一般的です。
なおマンションの大規模修繕が必要な理由は安心、快適に過ごすということだけではなく、劣化による事故を防ぐことも含まれます。
マンションや戸建ては建築基準法に基づいて建てられているため、基本的には最低限の耐震性や防水性は担保されています。また新耐震基準のマンションは特に、耐震性も十分に兼ね備えています。
しかし、やはりどれだけ優れた建材を使っていても風雨や紫外線の影響を受けて年月とともに劣化が進んでいきます。
そして場合によっては外壁のタイルが剥がれ落ちて通行人にケガをさせるなどの事故が起こる可能性もあります。
実際に、神奈川県逗子市で2020年2月に市道に面するマンション敷地内の斜面が崩落しそれに巻き込まれた女子高生が死亡するという事故も起きています。
この事故では被害者が出ただけではなく、遺族が管理組合に対して損害賠償を求め、責任者を業務上過失致死で訴えるなどに発展しています。
以上のように、マンションの大規模修繕は建物の維持管理という側面だけではなく、劣化による事故を防ぐという役割も担っているのです。
大規模修繕工事が12年周期で実施される理由
大規模修繕が12年周期で行うべきとされる理由は、国土交通省の「建築基準法に関する施行規則」にあります。その内容は以下のとおりです。
築10年を経過した建物(外装材がタイル張り、石貼り、モルタル塗り)について ・外装改修工事を10年以上行っていない ・外壁全面打診調査を10年以上行っていない 上記に該当する場合、3年以内に外壁の全面打診調査もしくは修繕工事を行う必要がある <建築基準法 国土交通省通告第282号より> |
上記の内容を要約すると「築13年以内には外壁に異常がないかを叩いて調べる全面打診調査か、修繕を行うように」と記載されています。
さらに国土交通省の発行している「長期修繕計画作成ガイドライン」では、以下の記述があります。
外装や屋上防水などを行う大規模修繕工事の周期が12年程度 |
このような通告があるため、築13年目を迎える前の築12年が大規模修繕の時期とされています。
なおコストパフォーマンスを考慮し、大規模修繕という形でさまざまな工事が一気に行われるのが一般的です。
しかし、近年では大規模修繕の周期を12年でなく18年周期に延長するサービスが登場しています。
具体的には野村不動産や東急コミュニティなどの不動産会社が、積極的にサービスを展開しています。建物の安全を保ちつつ、大規模修繕の回数を抑えることで住民の負担を軽減できるとのことです。
実際に大規模修繕のコストが払えない事例も多かった中で、このサービスは注目を集めています。
特に首都圏の新築分譲マンションでは、すでに8~9割が「18年周期」を採用しています。今後は18年周期の大規模修繕が主流となる可能性があります。
大規模修繕の周期について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
マンション大規模修繕の周期や準備のタイミングは?ガイドラインの内容も詳しく解説
大規模修繕費用はいくらかかる?
マンションの住民としては「大規模修繕の費用はどのくらいかかるの?」「修繕費用が追加徴収されることはないの?」と不安に思われている方も多いでしょう。そのため、事前にマンションの大規模修繕費用相場を知っておくことが大切です。
大規模修繕費用について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
マンションの大規模修繕の費用相場や内訳 | 費用を抑えるコツも解説
一戸当たりの相場は75~125万円
マンションの大規模修繕では、一戸あたり75~125万円の費用がかかります。国土交通省の「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によれば以下のとおり、半数以上が一戸あたり75万円以上の費用を負担していることがわかります。
負担額 | 割合 |
---|---|
50~75万円の負担 | 13.8% |
75~100万円の負担 | 30.6% |
100~125万円の負担 | 24.7% |
また東京都市整備局の統計調査によると、1回の大規模修繕工事にかかる総額が1000万円を超えるマンションは全体の約8割以上です。
中には3000万円以上かかっている例もあり、大規模修繕は総じて高額な費用がかかる工事なのです。
修繕費用が追加徴収されることもある
基本的には毎月支払っている修繕積立金から拠出される大規模修繕費用ですが、場合によって費用が追加徴収されることがあります。また、築年数に伴い毎月の修繕積立金が増額される可能性があることを知っておきましょう。
マンションの状態にもよりますが、修繕する箇所と修繕費は回数を重ねるごとに増えていくのが一般的です。そのため、1回目が比較的少額で収まったとして、2回目以降も同じ金額ということはありません。
そのため多くのマンションでは、修繕積立金が数年ごとに増額する「段階増額型方式」をとっています。段階増額型方式とは「その時点での所有者が、大規模修繕費用を支払うべき」とする考え方のことです。
この積立方式は将来的に住み替えや売却を前提としている方にとって、はじめから高い積立金を払う必要がないためお得です。
一方で、生涯必要になる費用を竣工当初からできるだけ均等に徴収する「均等積立方式」をとっている管理組合もあります。
生涯長く住む予定の方にとっては、こちらの方式のほうが毎月の支出が安定するため、安心です。
しかし均等積立方式を採用するマンションは、まだまだ少ないのが現状です。
特にマンションの長期修繕計画のプランが30年以下の場合は、「段階増額型方式」により修繕積立金が増額される可能性が高いでしょう。
また長期修繕計画の修繕項目はときに漏れがある場合もあります。
たとえば以下のような大きな費用がかかる項目が抜けている場合、大規模修繕工事が実施される際に修繕費が不足し、多額の一時金を求められる可能性があるため注意しましょう。
- 機械式駐車場
- エレベーター
- 給水配管、排水配管、ガス管の取り替え
- 建具の取り替え
このように、修繕積立金が追加徴収されるケースは珍しくありません。
イレギュラーな出費に悩まされないよう、今後修繕積立金の増額があるのか、一時金を支払う可能性はあるのかは長期修繕計画を確認して把握しておきましょう。
長期修繕計画は管理組合が管轄しているので、情報を知りたい場合は自分から開示を求める必要があります。
大規模修繕工事の内容と具体的な流れ
工事の内容をあらかじめ把握しておけば、予期せぬ工事で生活が不便になることもありません。工事の見通しが立ち、「いつまで続くんだろう…。」という不安感もなくなるはずです。またマンションの大規模修繕は、1回目と2回目の大規模修繕で工事内容が異なります。ご自身の住むマンションではどのような工事が行われるのか、ぜひチェックしてみてください。
1回目の大規模修繕工事の内容と流れ
1回目の大規模修繕工事は、主に以下の流れで進められます。- 仮設工事
- 下地補修工事
- タイル補修工事
- シーリング工事
- 外壁塗装工事
- 鉄部塗装工事
- 防水工事
ステップ①:仮設工事
最初に行なわれるのが仮設工事です。仮設工事とは、建築工事期間中に設ける一時的な施設や設備の施工を行う工事のことで、仮の囲いや養生、工事用の電力・用水などの設置する工事を示します。仮設工事では外壁塗装に用いる足場を建設するため、窓のすぐ外で人が作業したり、日差しがさえぎられる場合があります。また足場を建設する際は、鉄骨を組み合わせる音もするでしょう。
なお仮設工事にかかる費用は、本体工事費に含まないという施工業者もあります。
そのため管理組合で見積もりをとる際は、仮設工事費がどうなっているかについてもチェックしておく必要があります。
ステップ②:下地補修工事
続いて行なわれるのは、下地補修工事です。下地補修工事とは、外壁や屋根を塗装する前に細かい劣化やひび割れなどを補修する工事のことを意味します。下地補修工事はマンションの外観を保ったり、強度を上げたりするだけでなく、塗装の仕上がりを左右する重要な工事です。なおこの段階でも窓のすぐ外で人が作業したり、日差しがさえぎられる場合があります。
ステップ③:タイル補修工事
続いてタイル補修工事を行います。タイルの補修工事は、タイルの劣化や浮きを補修する工事です。見た目に問題がなくとも、調査診断で見つかるタイルの浮きは少なくありません。外観だけではなく、タイルの落下による危険性を防ぐ工程となっているためマンションの大規模修繕工事は必須です。
なおタイル補修工事も外壁に関する工事のため、窓のすぐ外で人が作業したり、足場で日差しがさえぎられる場合があります。
ステップ④:シーリング工事
外壁のベースを補修し終わったら、シーリング工事に入ります。シーリングとは、外壁のタイルとタイルのつなぎ目にあるゴムのような素材のことです。シーリングの剥がれやヒビを補修することで建物内部や鉄部への浸水を防ぎ、建物の劣化が防げます。また、シーリングの補修は建物の気密性を高めて、断熱性の向上も期待できる工程です。
なおこの工程では、ベランダや窓の外、玄関前の廊下などに作業員が出入りします。
ステップ⑤:外壁塗装工事
ステップ①~④の下準備が終わったら、いよいよ外壁の塗装工事です。外壁の塗装工事はマンションの外観を保つ以外にも、防水性や断熱性を保つ役割を担っています。外壁の塗装工事は平均10.8年に一度実施するべきとの調査もあるため、マンションの大規模修繕では必須の工事です。
なお外壁塗装には「上塗り」「中塗り」「下塗り」という工程があり、中塗りから塗料が乾燥するまでの3日間は匂いが気になる場合もあります。
また、塗料を吹き付けて塗装する場合はスプレーの音が気になる場合もあります。
匂いや音に敏感な方は窓を開けず、窓から遠い部屋で過ごしたり休日は外へ出かけたりするなどの対策を取りましょう。
ステップ⑥:鉄部塗装工事
外壁塗装が終わったら、鉄部塗装工事に入ります。大規模修繕もいよいよ終盤です。鉄部の塗装工事とは、扉や外部の階段、手すりなどに使用されている鉄部の塗装を施す工事のことを意味します。共有部分の見た目や耐久性を保つために実施するものです。
錆が発生しているところは、ブラシを用いて錆を落としてから塗装していきます。なおこの工程は、マンション資産価値を保ち買い手を付けやすくするためにも重要な工程です。
また鉄部塗装も外壁塗装と同様、音や匂いが気になる場合があります。
ステップ⑦:防水工事
最後に防水工事を行います。防水工事とは、屋上や各部屋のバルコニー、廊下といった箇所を雨水や汚れからコンクリートを守るための工事です。防水工事には、シート防水やFRP防水などあらゆる防水の種類があり、防水工事の種類によって見積もりや工法が変わります。
2回目以降の大規模修繕工事の内容は?
2回目の大規模修繕は、1回目に比べてより踏み込んだ工事が必要となります。たとえば1回目では行なわなかった「給水管の交換工事」なども必要です。その他の工事内容や流れは大きく変わりませんが、12年と24年では建物の劣化具合が異なります。具体的には紫外線や雨風により、建物の劣化が進んでいることが多くあります。
そのため、同じ工事でも2回目の方が工事期間が長く、費用も高くなる傾向にあるのです。
また、3回目以降の大規模修繕となると配水管やサッシ、電気設備などの工事を実施することもあるほか、バリアフリー設計にグレードアップさせる場合もあります。
工事回数ごとに劣化具合や工事内容が変わってくることを頭に入れておきましょう。
2回目以降の大規模修繕工事の内容
大規模修繕でメンテナンスする箇所は、築年数によっても変わってきます。以下の一覧表は、工事内容と平均実施時期です。修繕箇所 | 平均実施時期 |
---|---|
外壁塗装工事 | 10.8年 |
鉄部等塗装工事 | 8.2年 |
屋上防水工事 | 10.3年 |
給水管工事 | 14.2年 |
排水管工事 | 14,2年 |
※国土交通省の「マンションの改修・建て替え等について」より抜粋
大規模修繕の対象となるのは、主に外壁やベランダ、屋上などのマンションの共用部分です。
しかし管理組合によっては、宅配ボックスやオートロックを新たに設置するなど、設備に付加価値をつける工事をするケースもあります。
築11~15年目の大規模修繕工事
築11~15年目は、第1回の大規模修繕工事を行ないます。経年劣化と今後の修繕費用を抑えるためにも、特に11~12年目のタイミングで大規模修繕を実施する管理組合が多いです。また、実施後は長期修繕計画の見直しを実施します。
具体的な修繕箇所としては、鉄部、外壁、屋根、電灯設備、廊下・バルコニーなどのマンションの構造部分だけではなく、インターホンなどのマンションの設備も交換します。
築21~25年目の大規模修繕工事
築21年を過ぎた頃、第2回の大規模修繕工事を行います。第二回の大規模修繕工事では給水管設備の交換を実施することが多いです。なぜなら、給水管の耐用年数は25~30年とされているからです。
国土交通省の調査によると、築30年越えのマンションが建て替えを検討する一番の理由は「配管や給水設備の劣化」であり、全体の54,1%を占めているそうです。
配管や給水設備の寿命がそのまま中古マンションの寿命となることも少なくなく、多くのマンションでは二回目の大規模修繕工事で補修を行います。
築31~40年目の大規模修繕工事
第3回の大規模修繕工事では、外壁塗装や仮設工事などに加えて、床防水工事なども実施します。築30年を超えるとマンションの劣化がかなり進行している上、住民の高齢化が起こっているケースも少なくありません。
そのため修繕積立金の回収状況も考慮した上で、工事内容を検討していくケースが多いでしょう。
また、築年数が古いマンションの購入を考えている方はこちらの記事もご覧ください。
築30年のマンションはあと何年住める?メリットから選び方のポイントまで解説
築50年の中古マンションは何年住める?耐震性から購入時の注意点まで解説
施工期間は規模によって異なる
工事の期間についてはマンションの規模や工事内容によって異なります。しかし一般的な施工期間の目安は以下のとおりです。マンションの規模 | 施工期間 |
---|---|
50戸以下の小規模マンション | 着工開始から2~3ヶ月 |
50戸以上の大規模マンション | 着工開始から5~8ヶ月 |
なお上記は、着工開始から工事完了までの期間です。大規模修繕工事の場合、工事の計画から着工までは通常1~1年半かかるとされています。
具体的には修繕工事の計画、見積もりの取得、住民説明会の開催など、工事を開始するまでの工程は多数あります。
そのため大規模修繕工事は2年越しで行なわれるのです。工事を主催する側の場合は、時間に余裕を持って取り組む必要があります。
大規模修繕工事で起こるトラブルと対処法
マンションの大規模修繕では、以下のようなトラブルが起こり得ます。- 修繕費用がかさむ
- 修繕の意見がまとまらず手間がかかる
- 工事に伴う騒音がうるさい
- 工事期間が想定より長引く
- 工事の仕上がりがイメージと違う
マンションの住民も、工事を主催する側も、あらかじめ大規模修繕について知識を持っておくことでトラブルを防げる場合があります。
では、それぞれのトラブルがどのようにして起きるのか、防ぐためにはどうすればよいのか詳しく見ていきましょう。
【トラブル1】修繕費用がかさむ
住民が毎月払う修繕積立金とは別に、一時金としてまとまった額の支払いを求められることがあります。徴収される金額はマンション毎に異なりますが、場合によっては100万円を超える場合もあります。そんな大金をすぐに払ってほしいといわれても、「そんな簡単に払えない」という方は多いでしょう。こうしたトラブルを避けるべく、マンションの購入前にチェックしておきたいのが、長期修繕計画です。
先に紹介したとおり、長期修繕計画を見てきちんと修繕項目が網羅されているかどうかを確認しましょう。
大規模な修繕工事が抜けている場合、いざ大規模修繕を行なう段階になってお金が足りず、追加費用を徴収される可能性が高いです。
また、大規模修繕の主催者側は網羅的な長期修繕計画を作成し、余裕を持って毎月の修繕積立金をプールしておくことが求められます。
もしすでにマンションを購入している場合は、大規模修繕のわずらわしさから逃れるために家を売却するという選択肢もあります。
【トラブル2】修繕の意見がまとまらず手間がかかる
修繕委員会の中で意見がまとまらず、時間や手間が余計にかかってしまうケースもあります。前述したように、大規模修繕はマンションの住人が修繕委員会を組織して進めていきます。そのため定期的に集まり、修繕内容などについて話し合いを行なわなければいけません。このとき、住民同士で意見が割れて話し合いが長期化することもあります。
すると人によっては、ストレスを強く感じる可能性があるでしょう。
元々時間がない方やほかの方と顔を合わせるのが苦手な方は、修繕委員会のメンバーにはじめから参加しない選択肢を取るのも1つの手です。
【トラブル3】工事に伴う騒音がうるさい
マンションの大規模修繕では、足場の組み立て・解体やタイルの張り替え、高圧洗浄機の利用などで、さまざまな騒音が発生します。いずれも大規模修繕に必要なことなので致し方ありませんが、長期間そのような騒音を聞き続けなければならない住民にとっては、大きなストレスになるでしょう。
マンション住民側は、防音グッズを準備したりテレビの音を普段より少し大きめにしたりして、工事の音が気になりにくいような環境を自分で構築するように心掛けましょう。
施工会社が行える対策は、マンション住民に対して事前に説明会を開くことです。騒音が発生する期間と騒音の程度について、きちんと説明することに尽きます。
【トラブル4】工事期間が想定より長引く
大規模修繕が想定より長引く可能性もあります。想定外の工事によるスケジュールの乱れや人手不足などによって工事期間が長引くと、住民は不便な生活を我慢するしかありません。多くの人がうんざりしてしまうでしょう。
工事が長引く要因の1つに、「想定外の工事が発生する」といったことが挙げられます。
たとえば外壁の高い部分を洗浄しやすくするために予定していなかった足場を新たに組んだり、より快適な作業空間を作るために休憩所を設置する理由などからです。
これらの工事を不必要に行うようなことがあると、大規模修繕の期間が延びますし、コストも余計にかかってしまいます。
大規模修繕の主催者側は、建物の事前調査や工事内容の確認を細かく行うことで、想定外の工事が発生するリスクを抑えましょう。
ほかにはマンションの管理組合が大規模修繕に主体的に取り組んで、管理会社や施工会社に任せきりにせずに、工事の進捗状況を定期的に確認することが大切です。
【トラブル5】工事の仕上がりがイメージと違う
外壁塗装した後の色や質感が、イメージと違う仕上がりになることも少なくありません。こうしたトラブルを防ぐには、管理組合が施工会社と連携し、できるだけ塗料やタイルなどのサンプルを見ておくことが重要です。
またこのとき、室内ではなく外に出て太陽光の下で色や質感を確認しましょう。蛍光灯下や室内の暗い場所では、素材の見え方が変わるため、注意が必要です。
大規模修繕を行うまでの流れ
マンションの大規模修繕を行なうまでの流れを簡単に説明すると、以下のとおりです。工事をすることは分かっていても、実際にどのような流れで大規模修繕が進んでいくのかは分からないという人も少なくないでしょう。
大規模修繕は特に、住民の生活に大きく影響するため、事前にスケジュールを知っておくと安心です。
【ステップ1】修繕委員会の結成
まずは、大規模修繕を計画的に進めるために「修繕委員会」を設立する必要があります。修繕委員会とは、管理会社や外部のコンサルティング会社との窓口になって、大規模修繕を主導する委員会です。
メンバーは一般的に、マンションの住民から選出されます。修繕委員会のメンバーに選ばれた住民は、業者との窓口になるので次第に発言力が強くなるというメリットがあります。
ただし修繕委員会のメンバーになったからといって、自分たちで決定する権限は与えられません。
なおメンバーが集まらない場合は、マンションの理事会が委員会の業務を担うこともあります。
【ステップ2】コンサル会社の選定
修繕委員会のメンバーが決まったら、次に修繕工事の流れを検討します。この時、場合によってコンサルティング会社を選定し依頼します。コンサルティング会社はプロの目線で修繕の流れや業者の選定、修繕工事のチェック(手抜きをしていないかの確認)などをしてくれるのが一般的です。
1戸3~5万円のコンサルティング費用は掛かるものの、委託すればスムーズかつ確実に大規模修繕を進められるでしょう。
修繕委員会だけで大規模修繕を進めていくことが不安な場合はコンサル会社に委託するのも一つの方法です。
【ステップ3】施工業者の選定
次に施工業者の選定です。コンサルティング会社に業者選定も委託した場合、直接業者を選ぶ必要はありません。コンサルティング会社へ委託しない場合は、業界紙を使って公募をかけ業者を選定しましょう。
ただし、時期によっては建築ラッシュで公募が集まらなかったり、費用が高くなる場合もあります。
たとえば東京オリンピックが開催された時期は建築ラッシュとなり、業界全体が人手不足となっています。業者を選定する際は、時間に余裕をもって募集しましょう。
【ステップ4】説明会の実施
施工業者と工事内容を確認した後、居住者向けに住民説明会を開きます。この説明会では工事のスケジュールや工事内容、期間中の注意点等について説明します。たとえば外壁修繕中はベランダが使用できなくなることもあり、修繕工事中は日常生活への支障が少なからず発生する可能性があるのです。
もしあなたが説明会の主催者側ではない場合も、説明会には必ず参加しましょう。説明会に出席すれば大規模修繕に関する疑問点や不安を解消でき、住民側の意見を伝えることもできます。
主催者側と共通の認識を持つことで、後のトラブルを防ぐことにもつながるでしょう。
その際、住民側が特に確認しておきたいポイントは次のとおりです。
確認ポイント |
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【ステップ5】工事準備
住民の同意が得られたら、次は修繕工事の準備です。具体的には作業員の休憩所、仮設トイレ、資材倉庫、足場の設置などを行います。たとえば足場はマンションの外周に設置され、さらに透過性のあるメッシュシートで覆われるのが一般的です。
そのほか、現場事務所も設置され、机やパソコンなどの備品が設置されます。ここまでの事前準備が終わると、いよいよ修繕工事の開始です。
大規模修繕の時期に売却する場合のコツ
マンションの大規模修繕の時期に売却する場合のコツは、以下のとおりです。- 修繕費用が発生する2~3年前に売却する
- 一括査定を使って、売却価格を見積もってもらう
- イエウールを活用
大規模修繕では追加費用が徴収される可能性があるだけでなく、次回の修繕にむけて毎月の修繕積立金が値上げされるケースもあります。そうなる前に、マンションを売却したいと考える方は多いでしょう。
修繕費用が発生する2~3年前に売却する
修繕積立金が増額される2~3年前に売却しましょう。修繕積立金が増額された後に比べて買い手が付きやすく、スムーズに売却できます。具体的に計画が立ち、修繕費の金額が決まると、売却の契約時に重要事項として説明する義務が発生し不利な状況になりかねません。
つまり有利な条件で売却をするためには、大規模修繕の具体的な計画が始まる前に動く必要があります。
マンションの長期修繕計画が甘く、今後修繕積立金の増額や一時金支払いの可能性がある場合はすぐにでも行動を開始しましょう。
一括査定を使って、売却価格を見積もってもらう
マンションの売却価格を調べる時は、複数の不動産屋に査定を依頼しましょう。なぜなら不動産会社によって会社の「強み」や「得意とするエリア」が異なるので査定結果に差が出るからです。
マンションは立地や築年数によって自分が思っていた以上の価値がつくことがあります。査定結果が出そろった中で提案を比較することで、より高い査定額の提案を選ぶことができるのです。
イエウールなら最大6社を一括査定
複数の不動産会社に売却価格の査定を依頼するなら、「イエウール」をご利用ください。
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大規模修繕は第三者からの診断も検討しよう
大規模修繕の前には専門業者からの劣化診断を受けて、適切な施工内容を決めましょう。劣化診断とは、5年ごとの長期修繕計画の見直しのタイミングで実施する建物診断のことです。多くの場合はマンションの管理会社が無料で実施します。ただし、管理会社が実施する劣化診断では、適切でない周期での工事を迫られることもあるため注意しましょう。
なぜなら、管理会社からすれば工事をしてもらえればそれだけ儲かるので、ある種の営業として劣化診断を実施することがあるのです。
そのため、大規模修繕の時期に近くなったら、管理会社などではなく第三者の専門業者からの診断を受けるようにしましょう。
また、本記事をお読みの方の中には、これからマンション購入を検討しているという人もいらっしゃるかと思います。とはいえ、
- 物件が多すぎてどれを選んだらいいのかわからない
- 不動産会社に連絡したら電話営業されそうで嫌だ
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