もくじ
土地の用途地域とは何?
都市の中に大きな工場や巨大なビルが、乱雑にごちゃごちゃと建設されると、たとえば環境被害や住環境の悪化が考えられます。小さなアパートの隣に、大型マンションが建ってしまい、日当たりなどが良くない物件になってしまうかもしれません。
住みにくい場所には人は当然長くは住んでくれませんし、多くの人が集まる都市部ならなおさらです。
そこで活躍するのが、都市計画法という法律です。
計画的な街づくりのための法律で、これを決めることで人が住みやすく、かつ商業がしやすく、工業が発達しやすい環境を整えていきます。
用途地域は地域地区の1つ
この都市計画法第4条3項、8条1項において、地域地区を定めることができます。地域地区とは都市計画区域内の土地を、どのような用途に使うべきでどこまで使っても良いか、21種類に分類した地区の分け方です。
たとえば景観が美しい場所を景観地区に、城下町などを伝統的建物保存地域に指定するなど、街並みや景観保存。
火災などの災害が起きやすい地域についても区分けをすることで、対策をしやすくする目的があります。
この中の1つが、用途地域です。
用途地域は、都市を住宅地、商業地、工業地などの13種類に区分することで、住み分けと効率的な土地利用を目指します。
種類ごとに建設できる建物の種類や用途の制限が決められており、このルールに則って建物を皆が作ることで、自然と土地活用が効果的に行われるというわけです。
ルールなので、用途地域という名称の地域があるわけではありません。
また、すべての地域に対し、用途地域が適応されるわけではありません。
都市計画法の元に、以下の3つが対象となります。
・市街地区域:すでに市街地か10年以内に街になる場所、森林や農地などが見られない
・非線引き区域:市街化するかどうかなどを決めないエリア
・準都市計画区域:田舎の方ではあるが重要な地域なため制限を設けられる
※参考:都市計画法
市街地区域は必ず用途地域を決めることが必要ですが、非線引き区域と準都市計画区域は必要に応じて決定されます。
とても細かく決めることと、街づくりに大きな役割を果たすルールなので、市町村が決定します。
したがって物凄く山に近く、市街地でもなんでもない地域の場合、用途地域のルールが適応されていないということもあります。
※参考:国土交通省
- 住み分けの区分
- 用途地域はルール
- 街づくりに役立つ
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用途地域の種類
それではまず、用途地域の種類について大まかに説明します。住居系
住居系にあたる区域は全部で8種類あり、基本的に工場は建てられません。また住居の高さや広さについても制限があり、住み心地の良い環境が十分に守られるようになっています。
小中学校や小規模なお店、ホテルなども建てられる区域と、自動車関連施設などの建設が認められた区域もあります。
基本的に住環境が最優先となるため、静かで住み心地の良い環境が多くなります。
しかしもし、あなたが「将来的は家でお店を開きたい」と考えている場合、小規模なお店(コンビニなど)の建設も認められていない地域や、住居ばかりで人通りが少ない地域だと困ることもあるかもしれません。
新たに土地を購入する際、そうした将来設計も含めて、用途地域を活用していきましょう。
こうしたルール上の不安点は、信頼できる不動産会社に相談するのが一番です。
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近年追加された田園住居地域
平成30年4月(2018年4月)より、新たに導入された住居系の用途地域が田園住居地域です。これは農業と住居の調和を促進しつつ、今まで以上に農業をやりやすい環境と、良好な住居の環境を保護することを目的としています。
農業レストランや一日体験農園など、新たな取り組みの場所ともなる地域です。
これまでの法律上、市街化区域においては一定の条件の場所を除き、住居のための土地にすることを規制する法律はありませんでした。
しかし田園住居地域では、地域の中の農地について建築物の建築など、農地以外の活用をする場合は、市町村長の許可を得る必要があります。
また田園住居地域に指定された場合、その土地の利用には制限がかかります。
もしこれから土地を購入する場合、あるいは土地を売りに出す場合については、この土地利用制限について売買など契約時に相手方に説明をする必要が出ます。
すでに規制の仕組みとしては導入されているため、今後市町村がどのように対応するかによって、私たちの生活や土地へ関わってくることでしょう。
※参考:公益社団法人全日本不動産協会
商業系
商業系の用途地域は、近隣住民の日用品購入のための地域と、銀行や映画館、百貨店などが集まる地域の2種類に分かれます。ただ住居の建築が禁止されているわけではないため、こちらも制限の範囲内においてアパートやマンション、住居が建設が可能です。
メインとなって建てられる建築物の性質上、にぎやかな地域になりやすい傾向があります。
騒音や臭いなどの被害が出る可能性もありますが、反対に夜間も人通りが多い地域と言えます。
工業系
工場は、建設できる工場の規模や内容によって、3種類に区分されます。軽工場やサービス施設など環境被害がそれほど懸念されないものが主になる地域から、どんな工場でも建てられるが学校や病院、ホテルなどは建てられない地域。
そして工場専用で、住宅やお店、学校などは建てられないものの、どんな工場でも建てられる地域の3つです。
工場を建てるための地域を探している、あるいは工場と住居を一緒に建てられる場所を探している、という人にとっては、ルール上でも重要な区分です。
また工場を集めて建設すると、工場同士のやり取りもスムーズになり、工業地帯として発展しやすくなります。
同じ使い道の施設が集まることで相乗効果を期待するためにも、用途地域は重要な役目を果たしているのです。
- 将来設計に影響
- 新たな指定も
- 相乗効果期待

都市計画法に基づく規制で建設物が制限されている
さて、都市計画法に基づいた規制で建設物が制限されている、という点についてはもうお伝えしました。表でまとめたので、建設物の制限についてこちらで詳しく確認してみましょう。
用途地域 | 種別 | 特徴 | 色 |
---|---|---|---|
住居系 | 第一種低層住居専用地域 | 低層住宅の良好な住環境を守るための地域。床面積合計50平方メートルまでの店舗なら可能。アパートや戸建て住宅主体で、基本的にコンビニも不可。ただし小学校は建設できる。 | 緑色 |
第二種低層住居専用地域 | 低層住宅、150平方メートルまでの店舗などが建てられる。アパートや戸建て住宅、コンビニなどが建てられる一方で、大学や病院などは当てはまな愛。 | 薄緑色 | |
第一種中層住居専用地域 | 中高層住宅のための地域、500平方メートルまでの店舗なら建てられる、公共施設や大学、病院も建てられる。 | 黄緑色 | |
第二種中高住居専用地域 | 第一種より更に広く1500平方メートルまでの店舗や事務所なども建てられる。住居のうち、マンションのような背丈の高いものも建てられる。 | 薄黄緑色 | |
第一種住居地域 | 住環境重視で3,000平方メートルまでの一定条件下の店舗、小規模ホテル、環境への影響がない小規模の工場が建てられる。 | 黄色 | |
第二種住居地域 | 第一種より広く10,000平方メートルまでなら店舗を建てることができ、建てられる店舗の種類も非常に豊富。パチンコ店のほか、高層マンションも建てられる。 | 薄橙色 | |
田園住居地域 | 農業関係の施設や農地と調和した低層住宅、ビニールハウス、生産施設、500平方メートルまでの農産物販売やレストランのための建物が建てられる。住環境も重視。 | 平成30年4月より新設 | |
準住居地域 | 国道や幹線道路沿いに多く、宅配業者や車庫など、自動車に関連する施設と住居のための地域。住環境が重視されない傾向にある。 | 橙色 | |
商業系 | 近隣商業地域 | 近隣住民が買い物をするための日用品系の店舗のほか、ホテルや映画館なども建てることができる。述べ床面積規制はない。駅前商店街のような住環境で性質上、人通りも多くにぎやか。 | 桃色 |
商業地域 | 商業などの利便の増進を目的とした地域で、ほとんどの商業施設のほか、ホテルやパチンコ屋、広義の風俗営業など特殊営業関係の施設も建てられる。大きな場所としては、東京の歌舞伎町などが例として上がる。工場以外の制限がなく、土地活用としてコインパーキングやテナントビルなども候補に上がる。 | 赤色 | |
工業系 | 準工業地域 | 軽工業など環境への悪影響がほぼない、あるいはゼロという施設や、サービス施設が建設できる。工業を強く意識する必要はない。 | 紫色 |
工業地域 | どんな種類の工場も建てられるものの、一方で学校や病院、ホテルの建設は禁止されている。 店舗の床面積についても制限あり。 | 水色 | |
工業専用地域 | どんな工場でも建てられる場所で、工場に特化している地域。学校や病院、ホテルはもちろん、住宅や店舗も建てることはできない。 | 青色 |
種類に合わせて、色が決められているのが分かりますか。
これは地図上で用途地域を分けるときに、それぞれに決められている色です。
ただこれだけだと、印刷時の微妙な色合いの違いや、色を識別できない人や個人の感じ方の差が出てしまうため、色についてもより詳しい分け方が決められています。
しかし覚えておくと、自分で土地に対して用途地域の種類などを調べるとき、パッと見て周りの環境も含めて、どんな場所か想像しやすくなります。
たとえば低層住宅のための地域のそばに、近隣住民の日用品の買い物に便利な近隣商業地域が沿っていれば、買い物に便利そうな地域と想像できます。
住宅のための土地を探している場合、現地に足を運ぶのが一番ですが、大まかに土地を絞る時に用途地域の種類を把握していると便利です。
また自分の土地に対してかけられている法的な制限について、簡単にですが知ることもできます。
- 使い方のルール
- 知ってると便利
- 色分けがある

自分の土地が用途地域か調べる方法
自分の住んでいる土地や、これから購入を検討する土地が用途地域か調べる方法は簡単です。Googleなど検索エンジンに「○○市(該当市町村名) 用途地域」と入力し、検索します。
すると「○○市行政地図情報」などその市町村の地図情報サイトが検索にヒットします。
行政地図情報は特に便利で、都市計画図や公共施設、環境、道路、交通など、様々な情報を一度に見ることができます。
この中に用途地域について色分けをした地図があるため、ここで確認しましょう。
サイトにもよりますが、市の場合は住所から探せるサーチ機能などが備わっていることもあるので、効率よく探せます。
また役所の窓口で都市計画図を閲覧させてもらう、という方法もありますが、こちらは不便なことも多いのでサーチ情報だけでは足りなかった場合に検討しておきましょう。
なお、ここで調べて無色(白色)だった場合は、都市計画図の中に含まれていたとしても、用途地域の指定がないということになります。
色がまたがっている?
稀にですが、自分の土地に2つの用途地域がまたがっていることがあります。この場合、どちらが優先される用途地域なのか分からないと、建物を建てる際のルールが分からないため、思い通りの建物にできるか不明確です。
また高さ制限もありますから、こうなると素人が判断するには難しくなってしまいます。
この場合はどんな判断になるか不明なため、市の担当課に相談することが重要です。
- 検索は簡単
- 無色なら指定なし
- 境界線は確認必須

土地を有効に活用するためには専門業者に相談をしてみよう
用途地域における制限は、建築物にとって重要なルールの1つです。覚えておいて損ではありませんが、どうしても素人目には難しいルールも多く、完璧に把握することは困難です。
制限をクリアして建物を建てたり、土地を有効に活用するためには、専門業者への相談が一番となります。
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