賃貸併用住宅は二階建てや高層階にするだけではなく、三階建てで建築することもできます。三階建ての賃貸併用住宅にはさまざまなメリットがあり、多くの魅力があります。
ただし、建築時にはポイントや注意点もあるため、それらも踏まえてプランを考えなければなりません。三階建てにする場合にはどのような点が重要になるのかを知り、賃貸併用住宅をスムーズに建築しましょう。
賃貸併用住宅の特徴をおさらいしたい方は合わせてこちらの記事も参考にしてください。
三階建ての賃貸併用住宅を建てるメリット
賃貸併用住宅を三階建てで建築するメリットは、次の3つがあげられます。
- 建築コストを抑えられる
- ライフスタイルの変化に対応できる
- プライバシーが守れる
3つのメリットから、三階建ての賃貸併用住宅ならではの魅力を知っていきましょう。
建築コストを抑えられる
高層階の建築物と比較すると、三階建ての賃貸併用住宅は建築コストを抑えられる点がメリットです。高層階の建築物だと、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造になり、建物構造の特徴から建築費用は高くなります。
三階建てなら木造や軽量鉄骨造など、単価の安い構造で建築できるため、低コストで建築して住居と賃貸経営両方の実現が可能です。
ライフスタイルの変化に対応できる
三階建ての賃貸併用住宅は、自由に使えるスペースが多いため、将来的にライフスタイルが変化したとしても柔軟に対応できます。例えば結婚や出産、親の介護などで一緒に暮らす人数が増えた場合は、賃貸部分を居住スペースにして、自宅部分を広く取ることができます。
反対に子供の独り立ちなどで広い部屋が不要になった場合は、自宅部分の一部を賃貸部分に回して収益性を高めることも可能です。自身のライフスタイルに合わせて使い方を変えられる点は、賃貸併用住宅ならではのメリットです。
プライバシーが守れる
三階建ての賃貸併用住宅なら、自宅部分をワンフロアにすることで、隣室に入居者がおらず、お互いのプライバシーを守りやすいです。入居者が隣室にいないことで、騒音トラブルも起きづらく、入居者とも良好な関係を築きやすい点は大きな魅力です。
ワンフロアで住む場合は、平屋の感覚で暮らせるため、部屋を広く使うことができ、自宅部分が手狭に感じる心配もありません。
また、賃貸併用住宅のデメリットについて確認しておきたい方は以下の記事をご覧ください。
三階建て賃貸併用住宅の建築費用を抑えるには
高層階の建築物よりも建築コストの低い三階建ての賃貸併用住宅ですが、一般的な戸建て住宅と比較すると割高になります。そのため、三階建ての賃貸併用住宅を建築するなら、コストをいかに抑えるかが重要です。
- 賃貸部分の仕様を落とす
- 部屋の数を少なくする
- 複数の建築プランを比較する
工夫して建築し、少しでもコストを抑えましょう。
賃貸部分の仕様を落とす
建築コストを抑え、かつ自宅を豪華にしたいなら、賃貸部分の仕様を落としましょう。賃貸部分のグレードを下げたり、間取りをシンプルにしたりすることで、総建築費は抑えられます。
また、節約した費用で自宅部分にお金をかけられるため、同じ費用をかける場合でも、工夫次第で自宅部分を充実させることは可能です。さらに低コスト化を図るなら、自宅部分もシンプルな設計にするとよいでしょう。
部屋の数を少なくする
自宅と賃貸ともに部屋の数を少なくすることで、建築コストは抑えられます。部屋の数が多いほどコストは高くなってしまうため、不用意に部屋を増やさないようにしましょう。
部屋は数を少なくするだけではなく、シンプルな間取りを選ぶことで建築コストを引き下げることができ、低コストで三階建ての賃貸併用住宅を建てられます。
複数の建築プランを比較する
依頼する建築会社によって、かかるコストは異なります。そのため、少しでも費用を安くするには、複数社の建築プランを比較し、もっとも割安なものを選びましょう。
同じ内容で依頼しても、建築会社によってかかる費用だけではなく、受けられるサービスも異なります。費用が安いのはもちろんですが、それだけではなく提供しているサービスの内容も確認して、もっともお得なものを選ぶことが大切です。
三階建ての賃貸併用住宅を建てるときのポイント
三階建ての賃貸併用住宅を建てるときには、押さえておきたいポイントがいくつかあります。
- 収益性を重視して設計する
- 実績のある建築会社を選ぶ
- 三階建てが建てられる土地かをチェックする
ポイントを把握して、スムーズに賃貸併用住宅を建築しましょう。
収益性を重視して設計する
賃貸併用住宅を建築するなら、収益性を重視して設計することが大切です。賃貸併用住宅は投資目的だけではなく、節税対策で建築する人もいますが、どちらにしても経営して利益が出るのは大前提のポイントです。
安定して利益を得るには、ターゲット層のニーズを満たす必要があります。どのような設備や間取り、デザインが好まれるかを事前に調査しておき、周辺物件に負けない、競争力の高い賃貸併用住宅を建築しましょう。
実績のある建築会社を選ぶ
失敗なく賃貸併用住宅を建築するには、実績のある建築会社を選ぶことが大切です。確認しておきたいのは単に手がけた物件の数が多いかではなく、賃貸併用住宅の建築実績が豊富であるかどうかです。
建築会社によっては賃貸併用住宅の建築をしたことがなく、ノウハウが蓄積されていないこともあります。賃貸併用住宅の建築に強みのある建築会社は少ないですが、ノウハウのある業者に依頼することで、自身の希望を実現しやすくなります。
三階建てが建てられる土地かをチェックする
エリアによって用途地域が定められており、用途地域ごとに建築できる建物の規模は異なります。エリアによっては高さの制限があり、三階建ての賃貸併用住宅の建築ができないこともあるため、事前に確認しておかなければなりません。
用途地域は「地名+用途地域」で検索すると確認できます。建築予定地ではどのような規制があるのかをチェックし、規制の範囲内で建築可能かどうかを判断することが大切です。
三階建ての賃貸併用住宅を建てるときの注意点
三階建ての賃貸併用住宅を建てるときには、注意したいポイントがいくつかあります。
- 住宅ローンが使えない場合がある
- 自宅部分の位置をよく考える
- 将来的に売却するのは難しい
3つの注意点を把握して、失敗のないように賃貸併用住宅を建築しましょう。
住宅ローンが使えない場合がある
賃貸併用住宅でも住宅ローンは利用できますが、ローンが組めるのは自宅部分の床面積が全体の51%以上ある場合です。例えば三階建てで一階を自宅、二階と三階を賃貸部分にした場合は、自宅部分の床面積が51%を下回るため、住宅ローンは利用できません。
事業用のアパートローンを利用することで融資は受けられますが、住宅ローンよりも金利が高いため、利息の支払い負担は大きくなります。住宅ローンの利用を検討しているなら、自宅部分の床面積が51%になるように設計しましょう。
自宅部分の位置をよく考える
賃貸併用住宅では、自宅部分をどこにするかはよく考えなければなりません。例えば一階を自宅部分にした場合は、階段の上り下りがないため体力的な負担は軽減されますが、上階からの生活音が気になる場合があります。
また、一階だと日当たりが悪い場合もあり、日照の問題に悩まされるケースがあることも理解しておきましょう。二階が住宅だと、上下階の入居者の生活音が気になるため、おすすめできません。
三階が住宅なら日当たりがよく住みやすいものの、階段の上り下りが負担になったり、下階の入居者に生活音が響かないように配慮したりする必要があります。
自宅は一階か三階のどちらかがおすすめですが、どちらの場合もメリットとデメリットの両方があることは理解しておきましょう。
将来的に売却するのは難しい
土地活用をした場合の出口戦略として売却があげられますが、賃貸併用住宅は特に売るのが難しいです。一般的な戸建て住宅の場合なら、自宅を探している人が買主になります。賃貸住宅ならアパートやマンション経営をしたい人が、買主の候補としてあげられます。
しかし、賃貸併用住宅は自宅と賃貸両方の要素を併せ持つため、自宅のみを買いたい人と賃貸物件のみ欲しい人は対象になりません。
賃貸併用住宅の購入を検討する人がターゲットとなり、売る相手が限定的になるため、売却の難易度が他の建築物よりも高いことは理解しておきましょう。
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三階建ての賃貸併用住宅の建築を検討しよう
自宅部分を広く使ったり、賃貸部分を増やしたりと、三階建ての賃貸併用住宅は幅広い用途で使用できます。ライフスタイルの変化にも柔軟に対応できる三階建ての賃貸併用住宅は便利ですが、建築費をいくらかけるかや、自宅部分をどこにするかは念入りに考えなければなりません。
建築の依頼先は慎重に決める必要があり、複数社の建築プランを比較することで、より自分に合った賃貸併用住宅を建てやすくなります。三階建てならではのポイントを正しく理解して、自分の希望を満たす賃貸併用住宅を建築し、上手に収益化を目指しましょう。
また、賃貸併用住宅についてもっと知りたい方は以下の記事をご覧ください。