頭金なしで賃貸併用住宅は建てられる?建てる方法や注意点も解説

頭金なしで賃貸併用住宅は建てられる?建てる方法や注意点も解説

「所有している土地を有効活用したい」「住宅ローンの返済を家賃収入で軽減したい」など、現在、賃貸併用住宅を検討している人もいるのではないでしょうか。

賃貸併用住宅は、マイホームと家賃収入を同時に得られる点が大きなメリットですが、建築するにはまとまった自己資金が必要なため、計画倒れに終わるケースもあるかもしれません。

しかし、賃貸併用住宅はローンの頭金なしで建築することが可能です。

ここでは、頭金なしで賃貸併用住宅を建てるメリットやその方法、また、賃貸併用住宅でフルローンを組むポイントや、気をつけるべき点について紹介します。現在、賃貸併用住宅を検討している人は必見です。

賃貸併用住宅の特徴をおさらいしたい方はこちらの記事を参考にしてください。

賃貸併用住宅とは?メリットデメリットから後悔しないためのコツまで解説します【専門家監修】

\建築費は?初期費用は?/

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賃貸併用住宅を建てるために必要な頭金は

賃貸併用住宅を建てるには、ある程度のまとまった資金が必要です。金融機関で融資を受ける際に必要な「頭金」の目安や、建築費以外の初期費用についても紹介します。

賃貸併用住宅の建築費はいくらかかる?相場や安く建てる方法を解説

賃貸併用住宅の新築価格は?実際に建てた方の実例もご紹介

総建築費用の10~30%が目安

賃貸併用住宅を建てるために必要な頭金は、総建築費用の10~30%が目安です。賃貸併用住宅の建築費の相場は、広さや構造、立地、また依頼するハウスメーカーなどによっても異なります。

金融機関から求められる頭金の割合は、不動産価値や年収、家族構成、また、ほかの借入金や担保余力などから総合的に判断されます。

なお、頭金を多めに支払うことで、ローンの金利が軽くなるケースや、融資の審査に通らなかった場合、頭金を多めに払うことでローンが受けられるケースもあります。

検討する際は、複数の金融機関に相談して、融資の条件や金利の設定などを比較すると良いでしょう。

無理に多く支払う必要はない

頭金を多く支払うと、借入額が減りローンの返済が軽くなるのがメリットです。しかし、頭金を出し過ぎて手元の資金が減ることで、生活費が足りなくなる可能性もあります。

そのため、頭金は無理をして多く支払う必要はありません

また賃貸併用住宅は、キッチンやバス、トイレなどを賃貸用に設置する必要があるため、構造的に通常の住宅よりもローン金額は高い傾向にあります。

頭金は、収入や生活費、総建築費などを考慮し、ローンや自己資金とのバランスを考えて、無理のない範囲内で支払うことが大切です。

初期費用は必ずかかる

賃貸併用住宅を建てるにあたっては、建物を取得する費用のほかにも初期費用が必ずかかります。

賃貸併用住宅を建てる際、建物の取得費用は自己資金に加え借入金で賄うのが一般的ですが、初期費用は原則として全額自己負担です。

初期費用には、抵当権設定費用や依頼した司法書士に支払う司法書士費用、また、不動産を取得した際に必要な不動産取得税、売買契約書に貼って税を納める印紙税などの各種税金が発生します。

さらに、建築会社に支払う入居者募集費用や火災保険など、さまざまな初期費用が必要です。

【賃貸併用住宅にかかる初期費用】

登記費用・司法書士費用
・抵当権設定費用
各種税金・不動産取得税
・印紙税
・登録免許税
そのほかの費用・入居者募集費用
・火災保険料
・ローン事務手数料など

初期費用は、物件価格の7~10%と言われていますが、それ以上かかるケースもあるため1割以上見積もっておくと安心です。

頭金なしで賃貸併用住宅を建築する方法

住宅ローンやアパートローンの頭金を払わなくても、賃貸併用住宅を建てることは可能です。ここでは、頭金なしで賃貸併用住宅を建てる方法を紹介します。

ローコストで賃貸併用住宅を建てる方法について詳しくは、以下の記事をご覧ください。

賃貸併用住宅をローコストで建てる7つの方法について徹底解説!

住宅ローンを利用する

マンション・アパート経営の場合、事業目的のアパートローンを利用するのが一般的ですが、賃貸併用住宅は自宅前提の建築物のため、住宅ローンを利用することができます。

また、ローンを組む際は頭金の支払いが一般的ですが、建物の取得費用を全額融資してもらえるフルローンを利用すれば、頭金なしで賃貸併用住宅の建築が可能です。

ただし、フルローンを組むには、自宅部分の面積が2分の1以上あることが条件となります。

アパート・マンションなどの、住居以外の賃貸物件を建てる際に利用するアパートローンは、金利が高く審査が厳しいのが一般的ですが、住宅ローンの場合、比較的条件が緩いのが特徴です。

とは言え、頭金を支払わない分、毎月の支払額は高くなるため無理のない資金計画が必要です。

賃貸併用住宅は住宅ローンをフルで組むのがおすすめ! 条件や注意点を解説

アパートローンを利用する

賃貸併用住宅の賃貸スペースを住宅部分よりも多く、つまり2分の1以上取りたい場合は、アパートローンを利用することも可能です。

アパートローンは、取得費用以外にも、リフォーム費用などに使える自由度の高さがメリットと言えるでしょう。

ただし、アパートローンは、住宅ローンよりも長期的な支払い能力や購入金額などの審査基準が厳しく、金利も比較的高い傾向にあります。

フルローンを活用することで物件価格の全額を借入金で補えますが、返済額は住宅ローンよりも高額になる点は頭に入れておく必要があるでしょう。

融資を受ける際は、保証人や担保の準備をして審査に通りやすくするのがポイントです。

家族や友人のサポートを受ける

頭金ゼロで賃貸併用住宅を建てるには、家族や友人に資金のサポートを受けるのもひとつの方法です。サポートを受ける際は、事業計画を提示してきちんと説明することが大切です。

たとえ親子や友人でも、金銭の貸し借りはデリケートな問題のため、後々トラブルに発展するケースも皆無ではありません。

お金を借りる際は借用書を作成し、貸借金額や利息の有無、また支払いの延滞金額などを事前に決めておくのがポイントです。

なお賃貸併用住宅は、アパート・マンション経営と違い住宅も兼ねているため、家族であれば比較的理解が得られやすい面もあります。自己資金が用意できない場合は相談してみるのも良いでしょう。

頭金なしで賃貸併用住宅を建てるメリット

物件価格を全額融資してもらうフルローンを利用すると、頭金なしで賃貸併用住宅を建てることが可能です。それ以外にもメリットがいくつかあるので確認しておきましょう。

一方のでデメリットについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。

賃貸併用住宅のデメリットには何がある?|向いている人は?

資産形成がしやすい

頭金なしで賃貸併用住宅を建てるメリットのひとつに、資産形成のしやすさが挙げられるでしょう。初期費用は必要ですが、フルローンを利用すると、自己資金0円で賃貸併用住宅を建てることができます。

それ以外の手元にある資金はプールすることができるため、急に修繕費などが必要になった場合でも、借入することなく資金を回すことが可能です。

また、万が一所得が減った場合の生活費なども確保しやすく、全額自己資金による投資よりも、安定性の高い賃貸経営が期待できます。

言うまでもありませんが、フルローンの審査は比較的条件が厳しいため、検討する際は、条件を満たす準備が不可欠です。

住宅ローン控除が受けられる

ローンで賃貸併用住宅を建てると、住宅ローン控除制度が受けられます。一定の条件を満たすことで、年末時点の住宅ローン残高に対する1%を、所得税から差し引ける減税制度です。

控除を受けるには、床面積の2分の1以上が住居用で、住宅の床面積が50平方メートル以上、また控除を受ける年の所得金額が合計で3,000万円以下などの条件があります。

所得税から控除できなかった残りの部分は、住民税から一部差し引くことが可能です。借入残高は4,000万円までとなっており、控除額は年間40万円が上限で10年間、ないし13年間適用できます。

【住宅ローン控除の上限と適用期間】

住み始めた日令和元年10月1日~令和2年12月31日令和3年1月1日~12月31日
所得税から差し引かれる控除の上限【1~10年目まで】
年末の住宅ローン残高の1%(最大40万円)
【11~13年目まで】
「建物価格×2%÷3」または「年末のローン残高の1%」のいずれか低い金額
最大40万円
控除可能な期間13年10年
住民税から差し引かれる控除の上限13万6,500円13万6,500円

なお、「住み替え」が理由で賃貸併用住宅を取得し、今まで住んでいた自宅を売却する際に減税制度を適用した場合は、住宅ローン控除を受けられないケースもあるので注意しましょう。

家賃収入を返済に充てられる

家賃収入をローン返済に充てられるのも、頭金なしで賃貸併用住宅を建てるメリットのひとつです。

一般的にローンの返済は自己資金で賄う必要があるところ、賃貸併用住宅の場合、賃貸部分の家賃収入をローン返済に充てることができます

またローンだけではなく、固定資産税などの税金も家賃収入から賄えるため、返済の負担を減らすことが可能です。

ローンの支払いが終了した後の家賃収入は、そのまま貯えにできるのが賃貸併用住宅の大きなメリットと言えるでしょう。

賃貸併用住宅でフルローンを組むときのポイント

頭金を支払うローンよりも、フルローンの審査は比較的条件が厳しいと言われています。フルローンの審査を有利にする、いくつかのポイントを確認しておきましょう。

担保や保証人を用意する

通常、ローン審査で重要視されるのは返済能力と担保保全ですが、審査される担保の評価は、土地と建物で行われます。また、フルローン審査に通りやすくするために保証人を用意しておくのもポイントです。

フルローンの場合、頭金を用意するローンと比べると、融資の審査が厳しくなる傾向があります。金融機関側の負担が大きくリスクが高いと判断されるからです。

すでに土地を所有している場合は、担保余力が高いと判断されることが多いため、審査に有利な材料となります。また新築する物件の不動産評価格が、住宅ローンの額を超えていないかも審査の対象です。

賃貸併用住宅の場合、仮にローン返済の不履行が生じても、担保価値のある物件と判断されやすい側面もあります。

連帯保証人は、職業や勤務先のほか、保証債務履行に対応可能な資産を保有しているかが判断の基準です。ローンが払えなくなった場合も想定して、信頼できる人にサポートしてもらいましょう。

無理のない支払額を設定する

フルローンを組むと、自己資金0円で賃貸併用住宅を建てることが可能ですが、その分、毎月の返済額が大きくなることに注意が必要です。

家賃収入をローン返済に充てることもできますが、すぐに入居者が決まるとは限りません。また突発的な出費があった場合などに返済が滞る可能性も考えられます。

そのほかにも、収入の減少や借入れ金利の上昇など、さまざまな事態を想定して、余裕のある支払額を設定することが大切です。

まずは、期待できる賃料や諸経費、また日々の生活費やかかる教育費などをシミュレーションし、返済計画を立てた後に無理のない借入金額を決めましょう。

審査の条件をクリアする

フルローンの審査をクリアするには、いくつかの条件を満たす必要があります。次に紹介するのは、フルローンが適用されやすい主な条件です。

  • 属性が良い
  • 物件の収益性が高い
  • 土地を所有している
  • 賃貸併用住宅を検討している

職業や収入、ほかの借入金の状況などの属性は、特に金融機関が重視する項目です。また立地の良さや賃料の高さなど、物件の収益率が高ければ、その分ローンの返済比率が低くなるため審査に通りやすくなります。

また土地を所有している場合は、新たに土地を取得して建築物を建てるよりも投資額が低いため、安全性が高いと判断されやすいです。

そして、賃貸併用住宅を建てる場合も、フルローン審査の条件をクリアする有効な条件と言えます。

なお、民間の金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する「フラット35」などは、アパートローンと比べると返済期間が長く金利が低いのが特徴です。

融資を受けられるのは居住部分のみですが、普通の住宅ローンよりも融資の対象が幅広いため、賃貸併用住宅の審査も通りやすい傾向にあります。

検討する際は、民間融資とフラット35を併用できる金融機関に相談すると良いでしょう。

頭金なしで賃貸併用住宅を建てる場合の注意点

頭金なしで賃貸併用住宅を建てるメリットはいくつもありますが、一方で、フルローンを組むには慎重な判断も求められます。フルローンで注意すべき点を確認しておきましょう。

賃貸併用住宅におけるよくある失敗や後悔について詳しくは、以下の記事をご覧ください。

賃貸併用住宅の失敗例と対策方法を解説!10年後のことも考えよう

賃貸併用住宅は後悔ばかりじゃない!何に気を付ければよいかを把握しておこう

返済リスクは上昇する

頭金なしで賃貸併用住宅を建てるデメリットに、返済リスクの上昇が挙げられます。

例えば、入居者がなかなか見つからなかった場合、家賃収入が減るために返済が滞るケースもあるかもしれません。また、長期にわたって安定した賃料が得られない可能性も皆無ではないでしょう。

また何らかの事情で、建物を売却する必要性が生じた場合でも、新築から中古物件に扱いが変わるため、売却額は購入価格の90%程度にとどまるのが一般的です。

返済能力を超えた借入れは、家計の圧迫やローンの返済不能に陥る可能性があります。そうならないためにも、フルローンはしっかり資金計画を立ててから利用するようにしましょう。
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フルローンは金利が高い

フルローンの場合、借入金利が高いのもデメリットのひとつでしょう。借入額が高いため、建物の価格が同じであっても、頭金を支払うローンよりも金利負担が多い点に注意が必要です。

金融機関は、返済リスクを回避するために頭金の割合によって金利を設定するのが一般的です。フルローンは金融機関にとってリスクが高いため、頭金ありのローンよりも金利を高く設定する傾向があります。

代表的な住宅ローンである「フラット35」のフルローン金利を見ても、頭金が10%以上の場合よりも、10%以下やフルローンの方が金利は高く設定されています。

【フラット35の借入金利】※2021年10月現在

融資率9割以下年1.300%~2.170%(借入期間:21~35年以下)
融資率9割超年1.560%~2.430%(借入期間:21~35年以下)

フルローンは、借入額が大きく利息が増えて返済額の負担も大きくなるため、返済不能に陥らないように、自己資金の状態をしっかり見極めて利用するのが鉄則です。

総支払額も多くなる

フルローンを利用すると、ローンの総支払額も高くなります。

ローン返済以外にも、毎月かかるランニングコストも忘れてはなりません。固定資産税や都市計画税のほか、賃貸管理を委託する場合は、管理費も発生します。

加えて、数年に1度は賃貸スペースの修繕費用も必要です。壁紙やフローリングの張替え、外壁の塗装のほか、必要に応じて給湯器の交換などにも費用がかかります。

フルローンは、自己資金を使わずに賃貸併用住宅を建設できるのがメリットです。ただし、頭金を支払わないと借入額が多くなるため、総支払額を視野に入れ中長期的な視点で収支計画を立てることが大切です。

頭金なしで賃貸併用住宅を建てるメリットとデメリットを理解しておこう

賃貸併用住宅は、収入や生活費、総建築費などから判断し、頭金ゼロで建築することも可能です。

フルローンを活用すると、頭金なしで賃貸併用住宅を建てることができます。また、手元にある資金をプールできるので資産形成しやすく、減税に役立つ住宅ローン控除が受けられるのも大きなメリットです。

ただし、フルローンは融資の審査が比較的厳しい上、返済リスクの高さがデメリットと言えるでしょう。

また頭金を支払うローンよりも金利が高いため、フルローンを検討する際は、メリット・デメリットを考慮して収支計画を立てるのがポイントです。

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