賃貸併用住宅を建てるならローン控除を適用|費用の負担を軽くしよう

賃貸併用住宅を建てるならローン控除を適用|費用の負担を軽くしよう

賃貸併用住宅を建築する際、建築費用の支払いをどうするかは大きな問題でしょう。戸建てタイプにするのか共同住宅タイプにするのかでかかる費用は大きく変動します。どちらにするのかは毎月どの程度の収益を得たいかによっても変わってくるでしょう。

副業として行うのであればあまり規模を広げずに行うというのもひとつです。専業で行うのであれば大きな規模で展開してメインの収入源にすることも可能です。いずれにしても建築にかかる費用を返済していかなければならない点は同様になります。

この記事では賃貸併用住宅を建てる場合にローン控除を利用して費用を負担する方法について解説します。適用条件などをよく理解して損をしないように建築を進めていきましょう。

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賃貸併用住宅については以下の記事をご覧ください。

賃貸併用住宅とは?メリットデメリットから後悔しないためのコツまで解説します【専門家監修】

ローン控除で所得税や住民税の節税

ローン控除を利用して得られるメリットは、所得税や住民税が節税できる点があります。住宅ローン控除は、ローンを利用して住宅を購入する人の金利負担が少しでも軽くなるようにと設定された制度です。住宅を購入すると確定申告を行う必要があります。

この確定申告の際に適用されるのがローン控除です。毎年、年末に住宅ローンの残高または住宅取得対価のどちらか少ないほうの金額の1%が10年間所得税から控除されます。

平成26年3月までに取得した住宅の場合は上記の条件どおりですが、令和元年10月から消費税が10%になったことで、控除期間が延長されることになった点は覚えておきましょう。具体的には令和元年10月~令和4年12月31日までの間に購入した場合は控除の期間が3年間延長となります。

具体的な金額を提示してみてみましょう。たとえば令和元年に4,000万円の借り入れをしたとします。この場合は最初の10年間は次のような計算方法で控除額が決定されます。

  • 4,000万円×1%=40万円

  • 40万円×10年=400万円

延長となる3年間は次のような計算になります。

  • 40万円×3年=120万円

つまり総額で520万円の控除を受けることができるということです。

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賃貸併用住宅でローン控除を適用する条件

賃貸併用住宅でローン控除を利用するには条件があります。控除の適用対象となるにはすべての条件に当てはまる必要がある点は理解しておきましょう。具体的には次のような条件が挙げられます。

  • 住宅ローン控除の適用を受ける年の合計所得額が3,000万円以下
  • 借り入れは自分が居住するための住宅とその土地を取得するためであること
  • ローンの返済期間が10年以上
  • 借入先が次のいずれかであること

銀行、農協、信用金庫、信用組合、住宅金融支援機構、地方公共団体、各種公務員共済組合、勤務先

企業からの借り入れの際は、その企業の経営者が親族や自分自身である場合には対象とならない点は注意しましょう。ここであげた条件は基本的な条件です。ここからは新築、中古、リフォームなどさまざまなケースを想定して条件をみていきましょう。

新築でローン控除を適用する場合

新築でローン控除を適用させたい場合には次のような条件を満たす必要があります。

  • ローン控除を受けようとしている人が住宅の引き渡し日から6カ月以内に居住する物件であること
  • 特別控除を受ける年の合計所得額が3,000万円以下
  • ローン控除の対象になる住宅の床面積が50平方メートル以上である
  • 床面系の2分の1以上が自分の居住空間であること
  • ローンの借り入れ期間が10年以上である
  • 居住するために購入した年とその年の前後2年ずつをあわせた5年間に、居住用財産の譲渡による長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていない

とくに賃貸併用住宅の場合には賃貸部分と居住部分があるため床面積の2分の1以上が自分の居住空間であるという点には注意が必要です。さらに床面積については売買契約書と登記簿では異なることがあるため事前によく確認しておきましょう。

中古の賃貸併用住宅でローン控除を適用する場合

中古の賃貸併用住宅でローン控除を適用させたい場合には次のような条件を満たす必要があります。

  • 耐震基準適合証明書を取得している
  • 住宅性能評価書を取得している(耐震等級1以上であること)
  • 既存住宅売買瑕疵保険に加入している
  • 築年数が木造で20年以下、耐火建築物の場合で25年以下である

条件をみると耐震性や購入先など新築にない条件が出てきている点には注意が必要です。

リフォームや増築でローン控除を適用する場合

賃貸併用住宅にリフォームしたり増築したりした場合でローン控除を適用させたい場合には次のような条件を満たす必要があります。

  • 増改築、建築基準法に規定する大規模な修繕または大規模な模様替えの工事(壁、柱、床、屋根、はりまたは階段のいずれか1カ所以上を工事すること)
  • マンションの場合は、専有部分の床、階段または壁の大部分の修繕・模様替えの工事
  • 住宅やマンションの専有部分のうちリビング、キッチン、浴室、トイレ、洗面所、納戸、玄関または廊下の一室の床、または壁の全部についておこなう修繕・模様替えの工事
  • 耐震改修工事(現行の耐震基準への適合)
  • 一定のバリアフリー改修工事
  • 一定の省エネ改修工事

リフォームに関してはバリアフリー工事も含まれる点がポイントです。加えてこうした工事にかかった費用が100万円を超えていることも条件となる点も覚えておきましょう。リフォームの場合には新築や中古の場合よりも複雑な条件になることが多いため専門家に相談してみるのもひとつです。 

賃貸併用住宅でローン控除を申請する方法

賃貸併用住宅でローン控除を利用するためにはどのような手続きを行う必要があるのでしょうか。必要な書類や手続きのタイミングなどをしっかり把握しておく必要があります。ここでは賃貸併用住宅でローン控除を申請する方法について解説します。

ローン控除を申請するため書類の用意

ローン控除を申請する際には確定申告を行う必要があります。とくにはじめて住宅ローン控除の適用を申請する際には確定申告は必須です。必要な書類については次の通りになります。

  • 確定申告書A(第一表と第二表)
  • 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • 住宅ローンの借入残高証明書
  • 土地建物登記簿謄本
  • 建築請負契約書または売買契約書のコピー
  • 勤務先の源泉徴収票
  • マイナンバーカードなどの本人確認書類

確定申告書Aとは、会社員として働いているなどで所得の種類が給与所得、雑所得、配当所得、一時所得の人が使える書類です。もしも所得の種類がこれ以外の人は確定申告書Bを利用します。最寄りの税務署で取得することができます。または国税庁のホームページからダウンロードしても使用可能です。

住宅借入金等特別控除額の計算明細書も確定申告書と同様に税務署で取得するか、国税庁のホームページでダウンロードできます。

住宅ローンの借入残高証明書は、ローンを利用している金融機関から郵送されることが大半です。年末時点での住宅ローンの残高が記載されている書類となるため紛失しないようにきちんと保管しておくことが必要となります。

土地建物登記簿謄本は、最寄りの法務局で取得することが可能です。

建築請負契約書または売買契約書のコピーは、契約を交わした際に取得している書類であるため自己保管となります。紛失してしまった場合には関係各所に依頼して再度コピーしてもらうなどきちんと用意しておく必要があります。

勤務先の源泉徴収票は、給与所得者であれば会社で発行してもらうことが可能です。住宅を購入した年のものが必要になります。

マイナンバーカードなどの本人確認書類は、本人が確認できればよいわけではなく、マイナンバーが記載されていることが必要となります。そのためマイナンバーカードを作成していない人はマイナンバーカード通知書を持参しましょう。これもない場合にはマイナンバーが記載された住民票を取得することで代用可能です。

確定申告の期間内に申請

住宅ローン控除を利用するには確定申告の期間内に申告を行う必要があります。住宅を購入した翌年に行われる確定申告となるため忘れないようにしましょう。確定申告の期間は例年は2月16日~3月15日となっています。

ただし、正確な日付は土日や祝日の関係で前後することがあるためきちんと確認しましょう。2020年度分の確定申告については新型コロナウイルスの影響を受けたこともあり1カ月延長されています。このように特別な事情があると延長されることがある点にも注意が必要です。

納税が難しい人は延納の届出

確定申告はしたけれど提示された税金の納付が難しいという人もいるでしょう。その場合には延納の届出を出すことで納税の支払いを先延ばしにすることが可能です。この場合、利子がかかりますが5月31日まで延納ができるようになっています。ただし3月15日までに半分は納税する必要がある点には注意が必要です。

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ローン控除が適用できる賃貸併用住宅の間取りとは

賃貸併用住宅を建築する場合にローン控除を適用したければ間取りに注意する必要があります。賃貸併用住宅の場合、さまざまな間取りを検討することができるため、控除を受けたい場合は控除申請を前提とした間取りにする必要があるでしょう。

ここではローン控除が適用できる賃貸併用住宅の間取りについて解説します。建築プランを立てる際の参考にしてください。

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縦に配列する間取り

賃貸併用住宅の場合、自宅と賃貸部分を左右に振り分ける縦割りタイプを選択することが可能です。1階、2階と上下でわけるタイプよりも縦に空間を利用することができるため足音などを気にしなくてすむ点は縦割りタイプのメリットといえるでしょう。

さらに住宅のなかに階段を設けることで賃貸の入居者と共有するスペースがほとんどなくなる点もメリットです。賃貸併用住宅ではいかにお互いのプライバシーを確保するかが重要なポイントとなります。

デメリットとしては自宅部分を縦方向に高層で利用する場合には階段だと生活に支障が出るためエレベーターを設置する必要がある点です。

賃貸部分と住居部分それぞれにエレベーターを設置するとかなりの費用がかかるため共有にしたいところですが、そうなるとプライバシーの問題が出てくるためよく検討する必要があります。

横に配列して上層部や下層部を自宅にする間取り

縦割りタイプではなく横に配列して上層部または下層部を自宅にする間取りでも住宅ローン控除を利用することが可能です。マンションタイプやアパートタイプの賃貸併用住宅では最上階に自宅を設けるのか1階に自宅を設けるのかという選択になるでしょう。

最上階で暮らす場合にはマンションタイプなら人気の部屋となるため眺望がよく風通りもよいという快適な生活空間を手に入れることができる点がメリットです。さらにプライベートが守られやすく防犯面でも安全性が高いというメリットがあります。

デメリットとなるのは、災害時にエレベーターが停止すると階段で避難しなければならないという点になるでしょう。

1階で暮らす場合には、最上階という人気の部屋を賃貸にできるため高額な家賃を設定することができるので家賃収入増やすことができる点がメリットになります。さらに出入りが多い生活スタイルの場合には上層階よりも出かけやすいという点もメリットです。

デメリットについては、プライバシーが守られにくいという点でしょう。場合によっては家のなかが丸見えの状態になることもあります。カーテンを閉めても道路沿いや駐車場に面していると横を通った人と目があうなどということもあるでしょう。

 1階を店舗にした賃貸併用住宅も可能

住宅ローン控除を利用でいる賃貸併用住宅の間取りのひとつに1階を店舗にするという選択肢があります。1階にコンビニなどの店舗を入れて、中層階を賃貸住宅にし上層階を自宅にするという方法にすれば1階の家賃はかなり高めに設定することが可能です。

この場合、2階以上を店舗用にしても入居者が決まりにくいためとくに道路に面した土地活用の場合などは1階を店舗にするという方法も検討してみましょう。

ローン控除以外で費用の負担を軽くする方法

賃貸併用住宅では場合によってはローン控除を利用できないケースもあります。その場合、費用負担を軽減することはできないのでしょうか。ここではローン控除以外で費用の負担を軽くする方法について解説します。

相場にあった価格の建築プランを立てる

そもそも建築費用をおさえることができれば費用の負担を軽くすることができます。そのためには建築を決定する前に少しでも多くの建築プランを比較しておくことが重要です。

建築プランは複数社に作成してもらいましょう。間取りなど複数のプランを比較して妥当な価格のものを選択することで建築費用を少しでも安くおさえるというのがひとつの方法です。

賃貸併用住宅のグレードは抑える

賃貸併用住宅の場合、豪華な住宅を建築したとしても家賃はエリアの相場でおおよそ決まってきます。つまり家賃相場にみあったプランで建築して相場により近い家賃設定にすることが賃貸併用住宅に求められるポイントであるということです。

たとえば高額な構造や設備で建て、高額な家賃を設定したとしましょう。家賃が相場より高額な場合、入居者が集まりにくいという問題が生じるデメリットは覚悟が必要です。高額な家賃でも人気が出るような強みがあるのであれば問題ないでしょう。

ただ、単純に外観が豪華であったりおしゃれであったりするだけでは入居者は簡単に集まらない可能性のほうが高いでしょう。毎月支払う生活費のなかで家賃が占める割合は大きなものです。そのためエリアが変わらず設備もさほど変わりないのであれば家賃が少しでも安い物件を選択するのが通常でしょう。

つまり建築にお金をかけすぎると利回りが悪くなるため利益がなかなか出ずに悩むことになるということです。

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管理は必要な部分だけ委託

賃貸併用住宅は通常の賃貸経営よりも自分が近くにいる分、管理がしやすいという点がメリットになります。そのため管理会社にすべての管理を委託する必要はありません。管理会社は委託する業務内容によって毎月の管理料が変動するケースが大半です。

そのため自分でできる管理は自分で行い、管理費を安くするという方法があります。委託したい業務としてはトラブル関係があげられるでしょう。オーナーが近くに住んでいると入居者はオーナーに直接クレームを入れてくることが多くあります。

その場合、穏便に解決するためには管理会社を雇っておいたほうが安心です。

ローン控除を適用させる賃貸併用住宅の注意点

賃貸併用住宅でローン控除を適用させるためにはいくつかのハードルを越える必要があります。条件をそろえる以外にも注意しておきたいポイントがあるため、ここではローン控除を適用させる賃貸併用住宅の注意点について解説します。

広すぎる自宅スペースは将来の扱いに困る

賃貸併用住宅は間取りが重要です。家賃収入を多く得たいという人の場合にはビルを建てて賃貸住宅部分を多めに設置してその一部に自宅を設けるという人もいるでしょう。こうすれば確かに家賃収入は毎月かなりの額になるでしょう。

ここで注意が必要なのは自宅も多層階にして広いスペースを確保した場合です。あまりに広すぎるスペースは一般的な人には広すぎて住みにくいということもあるでしょう。

こうなるともしもビルを手放すとなった場合になかなか買い手がみつからないという問題が生じる可能性も出てくるでしょう。さらに自宅部分を広くしすぎて賃貸部分が少ないパターンでは家賃収入が見込めない物件と判断されて売れないという可能性もあります。

いずれにしても規模を大きくする場合には賃貸部分と住居部分の割合についてよく検討しておく必要があるということです。

また、賃貸併用住宅で失敗・後悔した事例は以下の記事をご覧ください。

賃貸併用住宅の失敗例と対策方法を解説!10年後のことも考えよう

賃貸併用住宅は後悔ばかりじゃない!何に気を付ければよいかを把握しておこう

控除額を増やすためでもフルローンは危険

ローン控除はローンの残高が大きく関係します。そのため控除額を増やすことを目的にフルローンで賃貸併用住宅を建築しようと考えている人もいるでしょう。フルローンが利用できるのであれば頭金なしで建築ができるため資金が少なくてもスタートできるというメリットはあります。

とはいえフルローンはかなりの金額の負債を負うことになるため危険も伴います。毎月の返済額が高額になる可能性もあり、金利の上昇によってトータルの負担額が増えてしまうこともあるでしょう。

空室が出ただけでキャッシュフローが悪化するなど少しのことで影響を受けやすいという点も注意点です。自己資金がある程度でも用意できるのであればフルローンではなく頭金を入れてローンを利用するほうが最終的には損することが少ないケースもあることを理解しておきましょう。

賃貸併用住宅の建築には頭金がいくら必要?相場の目安を解説

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賃貸併用でローン控除を適用させるなら将来まで検討

賃貸併用住宅の建築でもローン控除を利用することは可能です。もちろん条件をクリアする必要はあります。間取りなどについても条件がついてくるため一般の住宅を購入する場合よりも適用させるための条件は複雑であると考えておきましょう。

賃貸併用住宅でローン控除を適用させるなら長期的な資金計画を立てることをおすすめします。建築プランについても専門家のアドバイスを受けながらしっかりと立てておく必要があります。

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専門家にアドバイスをもらうことは賃貸併用住宅の経営を成功させるためにも重要なポイントとなります。

また、賃貸併用住宅についてもっと知りたいことがある方は、以下の記事をご覧ください。

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