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賃貸併用住宅の建築を考えているなら、事前に収支のシミュレーションをしておくことが大切です。賃貸併用住宅を建築して、本当に利益が出るのか、損をしないかは収支の計算によって把握しておく必要があります。
経営に失敗しないためには、念入りに計画を立てることがポイントです。収支の考え方や経営成功のポイントを知り、希望を実現できる賃貸併用住宅を建てましょう。
賃貸併用住宅については以下の記事をご覧ください。
賃貸併用住宅の収支を知るための基本
賃貸併用住宅の収支を知るための基本として、知っておきたいのは建築費用の相場や購入時の経費、ランニングコストや税金などがあげられます。さまざまな費用がかかるため、出費としてどのようなものがあるのかを把握しておきましょう。
賃貸併用住宅の建築費用
賃貸併用住宅の建築費用の相場は、建物の構造によって異なります。
一般的に、木造<鉄骨造<鉄筋コンクリート造<鉄骨鉄筋コンクリート造の順に高くなっていき、坪単価の高い構造ほど、耐久性や遮音性が高く、快適に暮らしやすいです。
また、規模の大きな住宅の建築も可能です。木造住宅は4階以上の建築ができないなどの制限があるため、希望する賃貸併用住宅の規模や耐久性、予算に合わせて建物構造を選びましょう。
賃貸併用住宅を購入するときの経費
賃貸併用住宅を購入するときにかかる経費としては、次のものがあげられます。
- ボーリング調査費用
- 設計料
- 印紙代
- 水道分担金
- 火災保険料
- 登記関連費用
- 不動産取得税
- 入居者募集費用
上記のうち、中古で購入する場合はボーリング調査費用や設計料、水道分担金などは不要です。賃貸併用住宅は建築費用だけではなく、予備工事や設計にコストがかかったり、保険や税金などの支払いがあったりすることは覚えておきましょう。
賃貸併用住宅の管理・維持に必要な費用
賃貸併用住宅の管理や維持にかかる費用としては、次のものがあげられます。
- 管理会社への管理委託手数料
- 固定資産税や都市計画税
- 修繕費
管理会社に管理業務を委託する場合は、管理委託手数料がかかります。手数料は管理会社によって異なりますが、家賃収入の10%程度とすることが多いです。自身で管理業務を行う場合は、管理委託手数料はかかりません。
固定資産税や都市計画税は、不動産を所有している人に対して毎年かかる税金です。都市計画税はエリアによってはかからないこともあります。
賃貸経営を長く続けていると、建物は老朽化するため必要に応じて修繕を行います。修繕費がどれくらいかかるかは建物や設備の状態によって異なりますが、数十万円から高いと100万円単位の費用がかかることは理解しておきましょう。
賃貸経営の利益にかかる税金
賃貸経営によって利益が発生した場合は、利益分に対して税金がかかります。利益の有無は、次の式で計算しましょう。
- 年間の家賃収入-賃貸経営にかかった経費
年間の家賃収入よりも経費のほうが多い場合は、利益がないため税金は発生しません。利益が出ている場合は、翌年の2月16日~3月15日までの間に確定申告を行い、申告した所得に応じて所得税と住民税が課税されます。
給与所得以外で、賃貸経営以外でも利益を得ている場合は、それらも合算して所得を申告しましょう。条件によっては特別控除が適用できることもあり、適用できる場合は控除額を差し引き、残った利益に対して税金が課税されます。
\建築費は?初期費用は?/
賃貸併用住宅の収支の事例
実際に賃貸併用住宅を経営してどのような収支になるのか、事例を参考に理解を深めていきましょう。
- ニコイチの賃貸併用住宅の収支
- 大規模な賃貸併用住宅の収支
賃貸併用住宅の規模や得られる家賃収入、かかる費用によって収支は異なります。
ニコイチの賃貸併用住宅の収支
1棟2戸賃貸併用住宅は、ニコイチ賃貸併用住宅と呼ばれることがあります。ニコイチ賃貸併用住宅の収支の条件を、次のように設定して計算してみましょう。
- 購入価格:2,000万円
- ローンの融資額:2,000万円
- 月の家賃収入:8万円
- 月のローン返済額:6万円
- 諸経費の月額:5,000円
- 固定資産税:3万円
上記の条件で計算した場合は、毎月の収入は8万円から65,000円を引いた15,000円となります。月に15,000円で年間18万円の利益となります。
毎年の固定資産税が3万円とすると、手元に残るのは15万円です。ここからさらに利益に課税される所得税や住民税を差し引くことになるため、最終的には10万円前後が利益として残るでしょう。
大規模な賃貸併用住宅の収支
3階建て以上の、大規模な賃貸併用住宅の収支の条件を次のように設定します。
- 購入価格:8,000万円
- ローンの融資額:8,000万円
- 月の家賃収入:32万円
- 月のローン返済額:24万円
- 諸経費の月額:2万円
- 固定資産税:12万円
月の利益は家賃からローンの返済額と諸経費の月額を差し引いた6万円であり、年間で72万円です。固定資産税を差し引くと60万円となり、ここから所得税や住民税を差し引きます。
規模が大きいほど年間の利益は大きくなりますが、数年後や数十年後に必要な修繕費用も増えます。修繕費用は数十万円から数百万円かかることもあるため、家賃収入はできるだけ貯蓄しておき、将来の大規模修繕に備えましょう。
賃貸併用住宅の収支で失敗しない計画作り
賃貸併用住宅の収支で失敗しないためには、念入りな計画づくりが大切です。
- ニーズのある立地や間取りで建てる
- 家賃は周囲の相場を参考に決める
- ローンは余裕のある返済比率で組む
- 賃貸経営の収支計画を複数社で立てる
- 適用できる節税対策は事前に把握しておく
無理のない計画を立てておくことで、収支の失敗なく賃貸併用住宅を経営しやすくなります。
ニーズのある立地や間取りで建てる
賃貸併用住宅で利益を出すには、入居者を確保しなければなりません。そのため、入居者を集めやすいように、ニーズのある立地や間取りで建てることが大切です。
- 駅から近くアクセスがよい
- 周辺にスーパーや病院など生活に欠かせない施設が充実している
- ファミリー層なら2LDK以上の広い間取り
- 単身世帯なら1ルームなどのコンパクトな間取り
駅からアクセスがしやすく、周辺に便利な施設が豊富にあるほど、人は集まりやすいです。また、ターゲット層によって求められる間取りは異なり、ファミリー層なら広めの間取りが、単身世帯ならコンパクトな間取りで設計するとよいでしょう。
家賃は周囲の相場を参考に決める
利益を増やすには家賃を高めに設定する必要がありますが、相場以上に高いと入居者は集まりません。そのため、自身が得たい利益で決めずに、周辺相場を参考に適正家賃を設定しましょう。
相場よりも高い家賃に設定して入居者が確保できるなら利益は増えますが、空室時は収入がなく、維持管理の費用だけがかかってしまいます。空室期間が長いほど、収支では損失が出やすいため、素早く部屋を埋めるためにも、周辺の相場を参考にして、入居者を確保しやすい金額で家賃を設定することが大切です。
ローンは余裕のある返済比率で組む
賃貸併用住宅の建築にあたってローンを利用するなら、無理のない返済比率で組むようにしましょう。返済比率とは、年収を占める年間のローン返済額の比率であり、次の式で計算できます。
- 年間のローン返済額÷年収
返済比率が高いと、返済が苦しくなるだけではなく、将来に向けた貯蓄もしづらくなります。返済比率は30~35%程度に設定することが一般的ですが、返済の負担を減らすにはさらに比率を下げることがおすすめです。
賃貸併用住宅では空室による収入の減少だけではなく、経年劣化に伴う修繕費の捻出などのリスクがあります。また、築年数が上がるにつれて建物の価値が下がるため、家賃の値下げが必要な場合もあります。
新築時からいつまでも同じ収入を得られるとは限らないため、将来のことを見越して無理のない返済比率でローンを組みましょう。
賃貸経営の収支計画を複数社で立てる
賃貸経営の収支計画は、複数の業者に見積もりをもらって立てることが大切です。依頼する業者によって、提示する見積もりの内容は異なります。最初の1社だけで決めてしまうと、その計画が妥当か、無理がないかが判断できません。
無理のない計画で賃貸経営をするためにも、収支計画は複数社が提示するものを参考にし、自身の経済状況や見込める家賃収入に合ったものを選びましょう。
適用できる節税対策は事前に把握しておく
賃貸併用住宅ではどのような控除が適用できるのか、事前に把握して節税対策をしておきましょう。代表的な控除としては住宅ローン控除があげられます。住宅ローン控除を利用するなら、自宅部分を増やして建築することがおすすめです。
また、確定申告には青色申告と白色申告があり、青色申告のほうが特別控除が多く、節税をしやすいです。青色申告を行うには事前に税務署に申請が必要であるため、早めに申請しておきましょう。
青色申告では貸借対照表や損益計算書などを作成し、複式簿記で帳簿を作成しなければなりません。しかし、手間がかかる分、利用できる控除が増えたり、経費に含める範囲が広がったりとメリットは大きいです。
賃貸併用住宅の収支を改善する4つの方法
賃貸併用住宅の収支を改善する方法としては、次の4つがあげられます。
- 金利が低い不動産投資ローンに借り換え
- 太陽光発電を設置して収入源を増やす
- 利用する管理会社を変える
- 賃貸経営を個人から法人に変える
経営を開始してから収支が思うようによくならない場合は、改善策を試しましょう。
金利が低い不動産投資ローンに借り換え
ローンは途中で借り換えることもでき、金利の低いローンに借り換えることで、長期的な返済額を減らせます。金融機関によって提供しているローン商品は異なるため、ローンの負担が大きいなら複数社の商品を比較して、より条件のよいものに借り換えましょう。
ただし、ローンの借り換えには手数料がかかるため、一時的な負担は増えます。長い目で見ると借り換えたほうがお得でも、短期的には出費が増えるため、収支を改善するには常に資金には余裕を持っておくことが大切です。
太陽光発電を設置して収入源を増やす
屋根に太陽光パネルを設置するなど、太陽光発電を導入することで収入源を増やせます。発電した電気は電力会社に売却が可能であり、空室時でも売電によって収入を得られます。
また、電気は売るだけではなく、自宅での利用も可能です。自宅の電気代を節約できることで出費を抑え、収支の改善にも役立ちます。
利用する管理会社を変える
利用している管理会社の手数料が高い場合は、別の管理会社に乗り換えることも検討しましょう。管理会社によって管理委託手数料は異なるため、よりコストの低い業者を利用することで、月々の支払は減らせます。
また、管理会社によって入居者の確保が得意かどうかは異なります。入居者の確保に強みのある管理会社を選ぶことで、空室をなくして家賃収入を得やすくなるでしょう。多少管理手数料が高い場合でも、空室を埋めたほうが利益になることも多いため、サービスの内容に合わせてかける費用を見直すことが大切です。
賃貸経営を個人から法人に変える
個人から法人に変えて賃貸経営を行うことで、収支が改善する場合があります。法人化した場合のメリットとデメリットは、次の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
収入が一定額以上なら個人よりも所得税が下がる 経費として計上できる項目が増える 損失が出た場合の繰り越し期間が長い | 法人化の手続きに手間と費用がかかる 赤字でも法人住民税が課税される |
法人化した場合の大きなメリットは、収入が一定額以上なら個人よりも所得税が下がることです。年間800万円程度の利益が出ているなら、個人よりも法人のほうが所得税が安くなります。
ただし、一定額以下だと法人のほうが所得税が高くなるため、この点には注意が必要です。また、法人の場合は赤字でも法人住民税が課税されます。
経費として計上できる項目が増えるため、利益を抑えやすいことも法人のメリットです。また、損失が出た場合は、翌年以降にマイナス分を繰り越すことができ、個人だと3年ですが法人なら9年と期間が長いこともメリットでしょう。
法人化したほうが必ずしもお得になるかは、家賃収入によって異なります。家賃収入が多く、多額の税金がかかっている人は、法人化したほうが節税ができるため、収支を改善しやすいです。
【Q&A】賃貸併用住宅の不安
賃貸併用住宅を建築するなら、小さな不安も解消しておくことが大切です。
- 賃貸併用住宅にデメリットはあるのか
- サブリース契約は付けたほうがよいのか
Q&Aを参考にして、不安を解消してから賃貸併用住宅の建築に臨みましょう。
賃貸併用住宅にデメリットはあるのか
通常の賃貸住宅ではなく、賃貸併用住宅ならではのデメリットとしては、次のものがあげられます。
- 入居者との距離が近いためトラブルが起きやすい
- 入居者の確保が難しい
- 通常の賃貸住宅よりも利回りが小さい
- 売却が難しい
賃貸併用住宅は入居者とオーナーの距離が近いため、騒音トラブルなど問題が起きやすいです。また、オーナーと同じ建物に住むことを嫌がる人もいるため、入居者が確保しづらい場合もあります。
アパートやマンション経営と比較すると、自宅部分のある賃貸併用住宅は利回りが小さく、利益が出づらいです。売却がしづらいこともデメリットであり、自宅を欲しいは賃貸部分が、投資物件が欲しい人は自宅部分が不要であるため、売却時のハードルが高いことも覚えておきましょう。
サブリース契約は付けたほうがよいのか
管理会社に賃貸併用住宅を一括で借り上げてもらうサブリース契約では、空室の有無に関係なく、管理会社から毎月賃料を受け取れます。サブリース契約には手数料がかかりますが、空室リスクは回避できるため、安定して収入を得やすいです。
ただし、サブリース契約を付けて満室になった場合は、自己経営での満室時よりも得られる利益は下がります。また、築年数が経過したり、空室状態があまりにも長く続くと、管理会社から得られる賃料が減額されたり、解約されたりするリスクもあります。
空室リスクを回避したいならサブリース契約は有効ですが、少しでも多くの家賃収入を得たい場合は、自己経営をしたほうがよいでしょう。
賃貸併用住宅は建てる前に収支をシミュレーション
賃貸併用住宅の経営で失敗しないためには、建築前に収支をシミュレーションしておく必要があります。無理のない計画を立てることで、収支を安定させ利益を得やすくなります。
経営を開始してからでも、収支を改善する方法は複数あるため、状況に応じて改善策を講じることが大切です。損失を出さないためにも、事業計画は念入りに立て、収支の安定した賃貸併用住宅を建てましょう。