アパート経営は木造と鉄骨のどちらで始めるべき?建築費の違いについても紹介!

アパート経営は木造と鉄骨のどちらで始めるべき?建築費の違いについても紹介!

アパートの建築を考える際、木造か鉄骨かは迷いどころです。そこで、本記事では性能や収入、コストなど様々な観点から木造アパートと鉄骨アパートの違いについて解説しています。

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アパート経営の利回りについては以下の記事をご覧ください。

アパート経営の利回りの最低ラインや理想の目安を解説!計算方法についても紹介します

アパート経営での木造と鉄骨の性能の違い5つ

アパート経営において、木造と鉄骨造はそれぞれ優れている性能があります。性能の違いを以下の5つの観点から説明します。

  • 防音性
  • 耐火性
  • 耐震性
  • 防虫性
  • 断熱性

防音性

鉄骨造は木造と比べて防音性が高いことが一般的です。

木造の防音性

木造では床に構造用合板という素材を使い遮音性能を高めていることもありますが、基本的に防音性は低くなっています。アパートに用いられる構造のなかでは木造が最も防音性に乏しく、その対策には多くのコストがかかります。

一般的なイメージでも、木造は「上階や隣からの音が気になる」という意見も多く、入居先を選ぶ際にも譲れない条件として防音性の高い物件は人気です。

鉄骨造の防音性

鉄骨造の防音対策に使われるALC版(へーベル版)という素材が遮音性に優れているため防音性能に関しては鉄骨造が有利と言えます。ALC版とは高温高圧蒸気養生で作られる軽量気泡コンクリートのことで、木材より防音性が高くなります。

しかし、近年の技術開発により木造と鉄骨造の間で防音性が大きく異なるといったケースは少ないのですが、木造に対する従来のイメージは未だ根強いため、鉄骨造アパートよりも集客に苦戦する可能性があります。

耐火性

耐火性能に関して、木造と鉄骨造で大きな差はありません。

木造の耐火性

現在の木造アパートの建築に際には、柱や梁を覆いかぶさるように被覆工事が行われているため、実際鉄骨造との大きな差はありません。

いくら被覆工事が施されていても、何時間も火にさらされていれば建物は倒壊してしまいますが、これは鉄骨造でも同様です。

鉄骨造の耐火性

鉄骨造アパート建築の際にも、素材に耐火被覆工事を行い耐火性能を高めます。鉄骨造は燃えにくい素材ではありますが、一定温度を超すと急激に弱くなるといった特徴があることから耐火被覆工事をし耐火性能を高めるのです。

鉄骨造ではその周りに耐火被覆素材を施すだけですので、燃えやすい素材を燃えにくくし耐火被覆を行う木造に比べ、コスト面では鉄骨造が優れていることが分かります。

耐震性

耐震性に関しても、木造と鉄骨造に大きな違いはありません。以前まで、木造アパートは耐震性能で劣るという考え方が主流でした。

しかし、現在は建築基準法の改正や技術の進化により、他の構造と耐震性能での差はないと言っても過言ではありません。2階建てや3階建て規模のアパートを建築する場合、「木造だから耐震性に劣るのでは」といった心配は無用です。

とはいえ、それでも建築会社や土地の状況によっては耐震性能に多少の差が出てきます。加えて防音性と同じで、イメージで木造のほうが耐震性で劣ると考えられることが多いでしょう。

防虫性

防虫性に関しては、木造より鉄骨造のほうが高くなっています。

木造の防虫性

木造は天然素材のため、鉄骨造よりも経年劣化に伴う腐食や虫害といったリスクがある点もデメリットです。そのダメージ度合によっては大がかりな修繕を行う必要もあり、鉄骨造に比べ修繕費がかさむ可能性が高いです。

多くのハウスメーカーではアパートの保証期間が長く、点検や補修を20年以上補償しているメーカーがほとんどですので木造を検討する場合は各メーカーのアフターサポートなども細かく確認しておくことをおすすめします。木造だとシロアリなどの虫害リスクも高くなるため、定期的なメンテナンスなどが必要になるでしょう。

鉄骨の防虫性

鉄骨造は木造と比べて経年劣化のスピードが遅いため、防虫性という観点で優れています。特に、雨風や積雪が多い地域では木造アパートは劣化しやすいことから、このような地域では安全性を考え鉄骨造を選択した方が良いケースが多々あります。

断熱性

断熱性に関しては、鉄骨造よりも木造のほうが高くなっています。

木造の断熱性

木造は、アパートに用いられる構造のなかでも断熱性に優れているというメリットがあります。

木造として使用される木には、スギやヒノキ、ブナなどがありますがどれも鉄やコンクリートと比べ熱伝導率が非常に低いです。そのため、そこに住まう人にとっては快適性が高く冷暖房費用も節約しやすいという特徴があります。

また、断熱性だけでなく調湿性や通気性にも優れているため鉄骨造と比べても一般的に居住環境が良いとされています。

鉄骨造の断熱性

鉄は木材と比べ熱伝導率が高いため、鉄骨造アパートは断熱性が低く、また、吸湿性も劣っています。四季のある日本では1年間で気温や湿度が変わりやすいため、住まいの快適性においては冷暖房器具などに頼るかたちになるでしょう。

また、鉄骨造の建物を建築しているメーカーは様々な断熱処理を行っていますが、充分にできていない場合は部屋自体が狭くなってしまいます。

活用事例:My Style ②

外壁材にリブコロール石積み調素材を採用し、エントランス壁面にはグリーンの飾りつけを設置。通路奥の植栽をライトアップし、癒しを感じさせる演出をしました。(株式会社セレ コーポレーションの土地活用事例)

木造と鉄骨造のアパート建築費の違い

アパートの建築費は「坪単価」×「延床面積」で求めることが可能で、建築費を簡単に知りたいときに計算することができます。

アパートの建築には建築費(本体工事費)以外に付帯工事費や諸費用が別途必要になり、それぞれ本体工事費の約20%、約10%かかります。因みに、建築にかかる費用の3割は自己資金を用意しておくようにしましょう。

本章では、木造と鉄骨造のアパートにかかる建築費用について紹介しています。

木造のアパート建築費

木造の坪単価は74万円~105万円です。例えば延床面積50坪の木造アパートを建築する場合、3,700万円~5,250万円の本体工事費がかかります。

つまり、それぞれ付帯工事費が740万円~1,050万円、諸費用は370万円~525万円です。

これらを合計すると、延床面積が50坪の木造アパートの建築にかかる費用は4,810万円~6,825万円ということになり、必要な自己資金は大体1,603万円~2,275万円です。

鉄骨造のアパート建築費

鉄骨造の坪単価は、軽量鉄骨造が80万円~105万円、重量鉄骨造が90万円~120万円7です。延床面積が50坪の鉄骨造アパートを建築する場合、軽量鉄骨造なら4,000万円~5,250万円、重量鉄骨造なら4,500万円~6,000万円の本体工事費がかかります。

軽量鉄骨造

軽量鉄骨造のアパートにかかる本体工事費が4,000万円~5,250万円の場合、付帯工事費は800万円~1,050万円で諸費用が400万円~525万円かかります。

つまり、延床面積が50坪の軽量鉄骨造アパートの建築にかかる費用は5,200万円~6,825万円で、必要な自己資金は1,733万円~2,275万円です。

重量鉄骨造

重量鉄骨造のアパートにかかる本体工事費が4,500万円~6,000万円の場合、付帯工事費は900万円~1,200万円で諸費用が450万円~600万円かかります。

つまり、延床面積が50坪の重量鉄骨造アパートの建築にかかる費用は5,850万円~7,800万円で、必要な自己資金は1,950万円~2,600万円です。

アパート経営での木造と鉄骨のコストの違い5つ

ここでは木造アパートと鉄骨造アパートを以下の5つで比べた時の収益の差を見ていきます。

  • 管理費
  • 修繕費
  • ローン
  • 税金
  • 保険料

管理費

アパートの管理を管理会社に任せている場合、毎月、管理費用がかかります。管理費については木造や鉄骨造での違いはないです。

ですが、アパート経営における管理費は家賃収入の3~5%程度なため、将来的に家賃価格が低下しやすい木造アパートの場合、管理費も下がりやすい傾向にあります

修繕費

鉄骨造は木造よりも建築費が高くなりますが、管理費に差はなく、修繕費に関しては鉄骨造よりも木造のほうが多くかかります

これは、木造と違い鉄骨造は重くかたい材質のタイルを使っているため、劣化のスピードが遅いことと、木造だとシロアリなどの虫対策をする必要があるため別途費用がかかってしまうことが要因です。

ローン

アパート建築を始めるとき、金融機関でアパートローンを組むことが一般的です。アパートローンは、耐用年数によってローンの期間が決められます。木造の場合22年鉄骨造に場合は27年になります。

例えば、同じ金額を借りた場合、ローンの期間が長いほど毎月の返済額が小さくなります。

そのため、耐用年数期間中における毎年のキャッシュフロー(手残りのこと)は、鉄骨造の方が良くなる傾向にあります。

税金

鉄骨造よりも木造の方が所得税を抑えやすいです。その理由として、木造は減価償却をする期間が短く、その分一度に計上できる経費が多いため、所得税が抑えやすくなります。

住民税も所得税と連動して決まるため、木造アパートを建築した方が節税効果は高くなります。

また、固定資産税においても、鉄骨造の方が建物評価額は高くなることから、木造のほうが安くなります

保険料

火災保険料は木造か鉄骨造かによって直接保険料が変わるわけではありませんが、火災保険料を決める要素の一つとして建物の構造級別があります。

構造級別はM構造(マンション構造)、T構造(耐火構造)、H構造(非耐火構造)に分けられ、保険料はH、T、M構造の順に高くなります。

木造はH構造(非耐火構造)に該当することが多く、T構造(耐火性)の鉄骨造よりも保険料が高くなります。

アパート経営での木造と鉄骨の収入の違い3つ

ここでは木造アパートと鉄骨造アパートを以下の3つで比べた時の収入の差を見ていきます。

  • 家賃収入
  • 敷金・礼金

  • 更新料

家賃収入

木造と鉄骨造、新築時の家賃設定に大きな差はありません。

しかし、鉄骨造の方が家賃の下落していくスピードが遅くなります。これは、築年数が古くなると木造の方が鉄骨造よりも劣化のスピードが速いことが原因です。

よって将来的に木造のほうが家賃収入が低くなる可能性は高いです。

敷金・礼金

敷金や礼金に関しては、地域の商習慣や相場によって決まります。よって、木造や鉄骨造での違いはありません。

ですが、敷金は家賃の1~2ヶ月分、礼金は家賃の1~2ヶ月分が相場となるため、劣化スピードが早く家賃価格が下がりやすい木造のほうが将来的に低くなる傾向が強いです。

更新料

更新料に関しても、木造と鉄骨造で大差はありません。

ですが、更新料の相場が家賃1か月分が相場なため、家賃価格が下がりやすい木造は将来的に更新料が少なくなる可能性が高いです。

アパート経営での木造と鉄骨の工法の違い


木造と鉄骨造ではそれぞれ用いられている工法に違いがあります。

木造アパートの工法

木造の工法には「木造軸組工法」「ツーバイフォー(2×4)工法」の二つがあります。

木造軸組工法

木造軸組工法とは、柱(縦の構造材)に梁(横の構造材)、筋交いを組み合わせて建てるもので、現在日本で一番使われている工法です。

この工法には「建築費用が安い」「リフォーム問わず間取りの自由度が高い」と言ったメリットがある一方、耐震性や耐火性などが高くないといったデメリットがあります。

ツーバイフォー(2×4)工法

ツーバイフォー(2×4)工法とは、2インチ×4インチの木材で組んだ枠組に「構造用面材」を接合して剛性の高い版を構成し、それらを専用の金具などで一つにして頑丈な六面体構造を形成する工法です。

この工法には「耐火性や耐震性に優れている」「工期が短く済む」といったメリットがある一方、間取りの自由度が高くないといったデメリットもあります。

鉄骨造アパートの工法

骨組みに鉄骨を使う鉄骨造は、使われる鋼材の厚みが6mm未満の場合は「軽量鉄骨造」6mm以上は「重量鉄骨造」となります。この「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」では用いられる工法が異なります。

軽量鉄骨造は「鉄骨軸組工法(ブレース工法)」が、重量鉄骨造は「鉄骨ラーメン造」がそれぞれ用いられています。

鉄骨軸組工法(ブレース工法)

鉄骨軸組工法(ブレース工法)は木造軸組構造の木材を鉄骨に置き換えたものです。鉄骨の筋交いはX状が基本で、ブレースと呼ばれるためブレース工法とも呼ばれています。

ブレースの働き方や形状はハウスメーカーによって異なるため、同じ鉄骨造でもハウスメーカーによって仕様が異なります。

この工法には「品質のばらつきが少ない」「工期が比較的短く建築コストが抑えられる」「シロアリ被害の心配がない」といったメリットがある一方、「鉄骨部分の耐火・防錆が大変」「断熱性が低い」などといったデメリットがあります。

鉄骨ラーメン工法

鉄骨ラーメン工法とは、柱や梁が変形しないように、結合部分を溶接し一体化させて強い枠を形成する工法のことです。ブレース工法と違い、筋交いが必要ないことも特徴の一つです。

この工法には「大きな空間を作りやすい」「リフォーム・リノベーションがしやすい」といったメリットがある一方、メンテナンスに費用がかかるなどといったデメリットがあります。

木造アパートを建てる際の規制と制限

建築費が安い木造アパートは魅力的ではありますが、木造アパートを建てる際には様々な規制や制限がされています。

この章では木造アパートを建てる際に重要な建築制限について説明します。

防火地域では木造建築物に制限がある

防火地域」とは、市街地での火災の危険を防ぐために定められた地域のことを言います。

防火地域は、建物が密集している市街地の中心部や、広域避難場所や災害時に避難路となる幹線道路沿いが多いです。

防火地域内にある建物は、3階以上の建物、または延べ床面積が100平方メートルを超える建物は、耐火建築物でなければなりません。(建築基準法第61条)

耐火建築物とは、主要構造部が鉄骨造や鉄筋コンクリートなどの耐火構造である必要があります(建築基準法第2条第9号の2)。

2階建てまでの木造の場合、防火地域内でも防火上必要な技術基準に適合する建築物なら建築することは可能ですが、建築費用が割高になります。

よって、防火地域内でアパートを建てる場合は、鉄骨造または鉄筋コンクリート造の耐火建築物で建てることが一般的です。

ですが一定の条件を満たすことで3階以上の木造アパートを防火地域でも建てることは可能です。詳しい条件は以下で説明します。

木造3階建てアパートを建てるには厳しい制限がある

本来、鉄骨等の「耐火建築物」でないと3階建て以上の共同住宅の建築は認められていません。しかし一定の条件を満たすことで建築が可能です。さらには防火地域での建築も認められます。

一定の条件とは1時間準耐火建築物として認められる事です。この条件を満たしたアパートを「木3共」と呼びます。

木造3階建て共同住宅は、木造3階建て共同住宅が1時間準耐火建築物として認められるために必要な基準は、以下の4つです。

1時間準耐火構造にする

木造3階建て共同住宅は準耐火構造であることが求められます。木造三階建て共同住宅では、火災から1時間の間は建物の構造を保つ必要があり、これを1時間準耐火建築物といいます。

1時間準耐火構造とするためには、主要構造部である壁、柱、梁 屋根の軒裏は耐火被覆工事を行い耐火性能を高める必要があります。

避難に有効なバルコニーの設置

火災が起きた際の避難経路として避難可能なバルコニーを取りつける必要があります。部屋の出入り口とバルコニーの2方向の避難経路の確保が必要です。

さらに廊下と階段部分には、常時外気を開放し、排炎有効となる開口部を設けることも、木造3階建て共同住宅の建築ルールとなります

敷地内に通路を設ける

敷地内には原則幅員3m以上の敷地内通路を設ける必要があります。

防火設備を設ける

建設予定地が防火地域、あるいは準防火地域の場合は建物の3階部分には防火設備が必要です。

3階の宿泊室や外壁の開口部、宿泊室以外の部分に面する開口部に、遮炎性のある防火設備の設置が必要であることは覚えておきましょう。

これら4つの建築基準をすべて満たすことができれば木造3階建て共同住宅は1時間準耐火建築物として認められます。木3共は鉄骨造のアパートと比べて低コストで「準耐火建築物仕様の木造」を建築することが可能です。準耐火建築物扱いになれば、アパートを建築できる地域の幅が広がります。

アパート経営は目的に合わせて木造か鉄骨造を選ぶ

アパート経営をするなら、自身の都合に合わせて木造か鉄骨造を選択しましょう。木造と鉄骨造のどちらにするかによって、建物の特徴や得られる収益、税金の負担などが異なります。

建物構造は、一概にどちらがよいと決まっているわけではありません。自分に合った建物構造を選ぶことが重要であるため、それぞれの特徴の違いを正しく理解し自分に合った構造を選んで建築しましょう。

どちらが良いか迷った場合は、アパート経営のプロに相談してみることもおすすめです。

 

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