山を持っていたり、相続で譲られたりして使い道に困っている方もいるのではないでしょうか。山は平面でないため、土地活用方法が限られています。
この記事では山の活用方法にはどのようなものがあるのか、また活用しないならばどのように手放すのがよいかを解説していくのでぜひ参考にしてください。
土地活用方法でお悩みの際は土地活用ランキングの記事もご覧ください。
山の具体的な土地活用法を知りたい
市街地の土地を譲られたら、マンション建設や駐車場などさまざまな土地の活用方法が思いつきます。しかし山を譲渡や相続で譲り受けた場合、その使い道に悩んでしまう人も多いでしょう。
土地は所有しているだけで、毎年固定資産税や管理のための維持費などがかかります。また倒木や土砂崩れの危険がある山を放置していてトラブルが起きれば、その責任を問われかねません。土地を上手に活用し、維持費の捻出だけではなくそこから利益を出すことを考えてみましょう。この記事では山を利用した5つの土地活用方法や、山林を活用する際の基本的なルールや境界線、山を放置した場合に起きやすいトラブル、山を手放す4つの方法、日頃の管理をどうするのかといった山を活用する場合の疑問点について解説します。
山で可能な土地活用5選
山を活用する方法はいくつもあります。ここではおすすめの5つの方法をご紹介します。所有する山や自分自身にとって、ふさわしいものを選択しましょう。
林業や林産物業への貸し出し
山に知識がない人にとって、山はランニングコストばかりかかる無用の長物にみえてしまいます。しかし木材を売って収益を上げる林業や、薪やキノコなどの山の恵みを取り扱う林産物業に従事する人たちにとっては価値が高い可能性があります。
特に杉や檜といった売却しやすい木が育っている場合や、キノコやタケノコが自生しているような山なら、事業者と貸し出しの契約を結びやすいでしょう。
しかしどのような山でも貸し出しに向いているわけではありません。売却しやすい木があっても重機が入りにくい山ならば、木材を伐採したり運搬したりするのが難しくなります。
また木は一度切り倒すと、植林して次の伐採に備えるまでに長い時間を要します。林業の事業者もそのあたりをわかっているため、木を伐採し終える頃に契約期間が終了することを狙って契約を持ちかけてくることが多いようです。
それから貸し出さずに、自分で新規に林業を始めようと思う人もいるかもしれません。これには多額の費用と労力がかかることを覚悟しましょう。自分で植林を行おうとするのはリスクが大きいので、まず山が林業や林産物業に向いているのか、事前に確認することをおすすめします。
山を造成して太陽光発電
一時期流行したのが、太陽光発電により収益を上げる方法です。しかし山地の場合、ソーラーパネルを設置する事前準備として樹木を伐採しなければならないので、坪単価は安いかもしれませんが平地や屋根で太陽光発電を行うよりもコストと手間がかかります。また森林法が適用される保安林ならば、公的な手続きも必要です。
2014年には1kWhあたり32円だった買取価格も、2021年には19円まで下降してしまいました。そのため初期投資に対して得られる利益は、少なくなっています。太陽光発電をこれから始めるには、時期を逸してしまっているといえるでしょう。
また山で太陽光発電を行う場合、広大な土地を利用して多くのパネルを設置を考えるかもしれません。設置に関する初期投資にも多額の費用がかかりますが、パネルが故障したときや、廃棄するときにも多額の費用がかかることを忘れてはいけません。
太陽光発電のパネルは、鉛やカドミウム、セレンといった有害物質を含んでいます。そのため定められた方法で廃棄する必要があります。一般的に1kWhあたり2万円の廃棄費用がかかるといわれているので、50kWhならば100万円の廃棄代がかかります。
また太陽光パネルを撤去した場合、忘れずに土地の地目を変更しましょう。山の地目ではなく雑種地になっていると、高い固定資産税を支払い続けることになります。
斜面も有効活用できる農園
山を切り開いて、農園にする方法があります。中には脱サラをして山を整備し、自給自足のスローライフを送っている方もいます。
山の斜面は木々を伐採し、段々畑で活用します。野菜や果樹を育てられる他、山によってはキノコやタケノコなどを収穫することも可能です。ジャガイモやタマネギ、トマト、ブルーベリー、ミカン、トウモロコシなど自分が育ててみたいと思える作物を選択すれば、農園での生活も楽しいものになるでしょう。
また道具や設備を充実させることにより、体験イベントを開催して人を呼び込むことも可能です。昨今では子供の食育が注目されています。土いじりをしたことがない都会の人にとって、山で作物を育てる経験はとても魅力的です。
のこぎりを使って樹木を伐採する経験や、農作物を育てて食べる体験、山林の探索など、山地に住む人にとっては当たり前のことでも、貴重な経験だと考える人は意外に多いものです。インターネットを使って集客すれば、農園の収益もアップするでしょう。
山を整備してキャンプ場経営
キャンプ場が、昨今注目を集めています。アウトドアの人気が高まっており、子供連れだけではなく1人で来るソロキャンパーや夫婦連れなども増えています。
そのため「人気のキャンプ場の予約が取れない」、「キャンプをするときには、かなり前から計画を立てておく」という人も多いようです。
このようなキャンプ熱に便乗し、山を整備してキャンプ場を経営することも可能です。キャンプ場から得られる主な収益には、以下のものがあります。
- キャンプ場のサイト利用料
- 宿泊施設利用料
- 駐車場代
- 入場料
- レンタル代(宿泊関連、調理アイテムなど)
- 売店売り上げ
- 体験料金
ライフラインなどキャンプ場運営の設備を整えたりしなければならないため、初期投資は大きくなります。また運営を始めてからも、人件費や水道光熱費、バンガローなどの設備が故障すればその修繕費などがかかります。
キャンプ場の運営は収支も多いけれど出費もそれなりにかかるため、軌道に乗らない場合赤字運営となることも覚悟しなければなりません。これはキャンプ場に限らず、なにかを経営するのならば必ず生じるリスクです。
また人気のあるキャンプ場とそうではないキャンプ場に二極化される傾向があるため、どのようなキャンプ場にするのか、ニーズを踏まえて設備やサービスを工夫していく必要があります。
人に選ばれるキャンプ場を作り出すことができれば、大きな収益も見込まれるのがキャンプ場運営の醍醐味です。
ニッチな需要があるサバイバルゲーム場
サバイバルゲームというのは、エアソフトガンを打ち合って勝敗を決めるゲームのことです。
このゲームはバスケットボールやサッカーのように、コートが決まっているわけではありません。そのため山林をフィールドとして、参加者に提供することができます。
人を集める以上、上下水道や事務所といった基本的な設備を整える必要があります。また山の境界線をしっかり把握し、フィールドの区画をしっかり定めなければなりません。しかしキャンプ場のように大がかりな初期設備を投入しなくてもよいのは魅力でしょう。
サバイバルゲーム場を作るにあたって、いくつか注意点があります。固定資産税を安く抑えることができる地目は山林ですが、この場合、基礎がしっかり打たれた建物は建てられません。そのため事務所もプレハブ小屋程度のものになります。
またエアガンを打ち合うので、弾が敷地外に出ないように防風ネットでフィールドを囲ったり、バリケードを準備する必要があります。
人が安全に遊べるようにするには、ある程度の専門知識が必要です。人が通れる程度の木々の伐採、野生動物の対策なども行いましょう。
ニッチな市場ではありますが、サバイバルゲームの市場は年々増加傾向です。
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活用事例:北新宿の活用事例
エリア | 東京都 |
土地面積(㎡) | 168.95 |
延べ床面積(㎡) | 271.25 |
工法 | 木造2×4工法 |
建築費用(円) | 8,000万 |
住友不動産株式会社の土地活用事例
山で土地活用を始めるための基本
地目が「山林」となっている場合、活用するためにはいくつかのルールを守らなければなりません。ここでは法律上どのような制限を受けるのか解説します。
山を活用するためのルール
地目が「山林」というのは、「耕作によらないで竹木が生育している土地」を示しています。住宅街などでよくみられる「宅地」と比較して、固定資産税も低く抑えることが可能です。
しかし山林の規制に関する法律は多く、法律に引っかかる場合には自由に木の伐採ができなかったり、家を建てることが難しかったりします。そのため山を活用しようと思ったら、どのような規制があるのか調べるところから始めなければなりません。
山林の規制に関する法律は以下のものがあります。
- 森林法
- 都市計画法
- 宅地造成等規制法
- 都市緑地法
- 生産緑地法
- 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律
- 地すべり等防止法
- 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律
- 建築基準法
もしも地目「山林」を「農地」や「宅地」などに変えたい場合には、申請をして許可を受ける必要があります。
また地目「山林」のまま家を立てる場合には、以下の制限をクリアしなければなりません。
- 森林法
- 建築基準法
- 都市計画法
- 宅地造成等規制法
いろいろな制約がありますが、原則として市街化調整区域で基礎のしっかりした建物の建物の建立は認められていません。駐車場や太陽光発電所、特定産業施設の場合は、もう少し許可を受けやすくなります。
活用する山の境界を確定
山は広大なので、隣接する山との境界線が不明確なことがよくあります。知らずに隣接する森林所有者の材木を切り出してしまってトラブルになることがないように、山の境界を確定しておく必要があります。
境界が曖昧な場合、資料や山の様子から境界を探ることが可能です。
- 公図:法務局にありますが、民間の手によって測量されているのであまり信用はできない。
- 境界標:境界に設置されている石やビニール杭。勝手に置かれていることも多い。
- 実測図:土地区画整理法を元にした確定図や、地積図など。比較的信頼性が高い。
- 自然の地形や林相など:伐採や植林のあとなどにより林相が変わっている場所を目印とする。
資料を基にしても境界線が確定できない場合は、隣接する山の所有者と話し合って境界線を定めなおしたり、測量をして確定します。
双方で話し合った場合には、境界協定書を作成しておきましょう。また境界がなかなか決まらずに争いになった場合には、裁判所に決めてもらうこともあります。
山を土地活用しないで放置する問題点
所有する山が遠方だったり興味が薄い場合、放置してしまうことがあります。思わぬトラブルを招くこともあるので、放置することの危険性について知りましょう。
トラブルが起きると管理責任を問われる
大雨や台風などの異常な豪雨で倒木した場合、山をきちんと手入れしていれば倒木による被害があってもその責任は問われません。
しかし木が傷んでいたり、土砂崩れの危険がある斜面を放置していた場合、それにより生じた災害や事故の責任は森林の所有者が負うことになります。
平成26年6月には倒木が沿道を走行していた幻の名車に衝突し、廃車となる事故が起きました。車はトヨタ2000GTといわれる幻の名車です。事故後にオーナーがトヨタに修理を依頼したところ、2億円はかかるといわれ断念したそうです。
たまたま幻の名車だったために大事になりましたが、実際に似たようなケースは数多く発生しています。特に山の下に民家がある場合など、土砂崩れや倒木で人を傷つけてしまう恐れもあるでしょう。
森林組合の人に相談して所有する山を点検をしてもらい、必要ならば木々の伐採や地盤の強化、防護ネットなどの設置を行うとよいです。
山を所有しているだけで固定資産税の支払い
固定資産税とは、土地や建物などの不動産を所有している人が支払う税金です。1月1日の時点で山を所有している場合、その年の5月頃に納税通知書が市町村(東京都の場合は都)から送られてきます。
固定資産税は毎年発生する税金なので、山を所有している限り毎年支払いましょう。支払わずにいると、延滞金が加算されていくので気をつけてください。
固定資産税の計算式は、宅地と同様「固定資産税=固定資産税課税評価額×1.4%」です。例えば固定資産税課税評価額が100万円の山の場合、固定資産税は100万円×1.4%で、毎年14,000円の支払いになります。
計算式が同じでも、山は宅地に比べて課税評価額が安く抑えられるので、固定資産税も低くなります。また課税評価額が30万円未満の場合は、免税点という制度があり固定資産税はまったくかかりません。
最適な土地活用方法は土地の立地や広さ、周辺の需要によって変わります。土地活用を検討しているなら日本最大級の比較サイトイエウール土地活用で複数企業から土地活用プランを取り寄せましょう。将来の収益性の高い土地活用方法を見つけることができます。
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土地活用しない山を手放す4つの方法
山を所有していれば管理責任も問われ、固定資産税もかかります。もしも管理を煩わしく手間に感じるならば、土地を活用しないで手放すのも一つの手です。ここでは売却や相続放棄について解説します。
山の取り扱いが得意な業者の仲介で売却
山林の売買というと特殊で売りにくいイメージがありますが、国土交通省の不動産情報ライブラリでみてみると、年間1万件以上売買されています。
所有する山がある地域に実績があるハウスメーカーがあるならば、まずはハウスメーカーに相談してみましょう。可能ならば山林の領域を得意としているハウスメーカーがよいです。
境界が曖昧な場合は境界を定める必要がありますが、山林は広大なうえに地価が安いので、測量に多額の費用をかけていては利益が出ません。そのため登記簿面積で売買を済ますことも多いです。
山林売買の特徴は、地価が安いため広大な割に売買価格が安いことです。価格は生育している樹種や樹齢、林道距離などによっても変わります。
また買い手がなかなかつかないため、契約成立まで数ヶ月から数年という長い月日がかかることを覚悟しましょう。
業者の仲介でなかなか買い手がつかない場合は、山がある最寄りの森林組合に売却先を紹介してもらうことも可能です。
業者による山の買取
仲介を挟まずに、直接買取業者とやりとりする方法もあります。仲介業者を挟んだ場合と、挟まない場合の違いをみてみましょう。
<仲介業者を挟んだ場合>
買主は、林業を営む業者や、別荘地や田舎暮らしできる場所を探している個人、山林地域を活用した事業を検討している人たちです。仲介業者は売り主と買主の双方に情報提供を行い、両方から仲介料を得ます。
メリットは比較的高額で取引ができること、デメリットは契約成立まで時間がかかることです。
<業者による直接買取>
買主は土地買取業者です。事業展開を考えている業者などが、買主にあたります。買主を探す手間や時間が必要ないため、比較的短時間で売買契約が成立するのがメリットです。デメリットは仲介を挟んだ場合と比較して、買取価格が安いことです。
価格よりも早く手放すことを優先するのならば、業者による直接買取がおすすめです。
山の売買をサポートするポータルサイトを利用
インターネットのサイトの中には、購入希望者とのマッチングをはかってくれる山林専門のポータルサイトがあります。山の購入を考えていてインターネットで物件を探している人がたどり着くことが多いので、掲載を考えてみるのもひとつの手です。
掲載までに書類審査や現地調査を挟む場合があります。また売却時に必要な書類や物などがあるので、買手がみつかるまでに揃えておきましょう。
買手を探すまでに時間はかかりますが掲載自体は無料のサイトもあるので、「運がよければ買取希望者から連絡が入るだろう」くらいの軽い気持ちで掲載してみてもよいかもしれません。
掲載中でも別の手段で買い手を探すことができたり、途中で掲載を取りやめたりできるのでとても便利です。
山の名義変更をする前に相続放棄
土地を相続することは、プラスのこともあればマイナスのこともあります。特に山林は、利益を生むことができなければ、固定資産税を支払わなければならないマイナスの遺産となってしまいます。
そのため「相続自体を放棄できないのだろうか」と考える人も多くいます。結論からいえば、山の名義変更をする前に相続を放棄することが可能です。
しかし相続放棄は、個々の遺産に関して行えるわけではありません。Aは相続したいけれど、Bは相続したくないとはいかないのです。もしも遺産放棄を考えているのならば、山以外のすべての相続権を放棄する必要があります。
また相続権を放棄しても、次の相続人が定まるまでは管理義務が生じます。管理義務がある間に管理責任を問われる土砂崩れや倒木の被害があった場合には、責任を負わなければならないので注意しましょう。
山の土地活用で気になる疑問
山を所有した際に、よくある疑問について解説します。ここでは無償譲渡と日頃の管理についてみていきます。
山を無償で譲渡することはできるのか
利用価値のない山の場合、売却先をみつけることは困難です。その場合には、無償で譲渡することも考えてみましょう。無償の譲渡先には、自治体、法人、個人、自治会や町内会がありますが、中には寄付した側が課税されることがあるので注意が必要です。
譲渡した場合の寄付した側に課される税金については、以下の通りになります。
- 自治体:課税なし
- 営利法人:課税される(みなし譲渡所得)
- 公益法人:所定の手続きで課税なし
- 個人:課税なし
- 認可地緑団体(法人格を得た自治会や町内会):所定の手続きで課税なし
利益を生まない山林は、所有するだけで固定資産税を納めなければならない負の遺産です。そのため無償だからと受け入れてくれることは少ないでしょう。
しかしすぐれた景観地や、多くの生き物が生息する山、材木などの資源があって利益を生み出す山、日頃の管理が必要ない土地などは価値が高く、引受先もみつけやすくなります。
山の日頃の管理はどうするか
山を所有している場合、その土地の管理義務があります。責任を怠ってトラブルが生じた際には、賠償責任を負ったり、裁判に出頭することにもなりかねません。日常的に倒木や土砂崩れの危険がないか、確認をする必要があります。
しかし山が遠方にる場合や、専門的な知識がない場合にはなかなか管理するのは難しいものです。その際には費用はかかりますが専門の業者に依頼しましょう。
また中には]森林ボランティアを行っているNPO法人や市民団体があります。近場で活動している場合には、相談してみるとよいです。
お持ちの土地に最適な土地活用方法を見つけるためには選択肢を広げて複数のプランを検討してみることをおすすめします。日本最大級の比較サイトイエウール土地活用なら、土地所在地を入力するだけで土地活用プランを取り寄せることができます。
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山を放置せず最適な土地活用を検討しよう
山は放置しているだけでは、固定資産税を支払わなければならない負の財産となってしまいます。必要としている人に山を売却したり、活用しだいで固定資産税を支払っても余るほどの利益を生み出したりすることも可能です。
まずは所有している山の特徴を知りましょう。どのような樹種や地形なのか山自体を把握することで、林業関連の業者に貸し出すのか、農場にするか、無償で手放すかといったイメージがわいてくるはずです。
所有していて管理者責任もあるのなら、放置せずに土地活用を検討しましょう。