公的事業の一環として、土地の区画整理があります。区画整理を行うことによって、住みやすい街並みになりますが、区画整理の対象となるエリアでは土地の上にある建物は解体しなければならないことも多いです。
区画整理によって更地になったなら、その土地を有効活用して収益化を目指すことがおすすめです。区画整理後にできる土地活用とはどのようなものがあるのか、具体例や収益化のポイントなどを知っていきましょう。
土地の区画整理とは
区画整理は行政によって行われる公的事業の1つです。大きな目的は無計画な宅地化の進行を食い止め、土地を整理して道路や公園、下水道などの公共施設を整備することです。
区画整理は暮らしやすい街づくりを目的としたものであり、土地の整備をするための重要な事業であると考えましょう。
区画整理の計画から事業完了までの流れ
区画整理の計画から事業完了までの大まかな流れは、次の通りです。
- 都市計画決定
- 事業計画の決定
- 審議会の選挙と設置
- 換地の設計
- 仮換地の供覧
- 仮換地の指定
- 工事・補償の説明会
- 建物の移転
- 道路・公園などの工事
- 換地計画
- 換地処分
- 土地の登記
- 清算金の徴収・交付
区画整理が必要な土地で都市計画を決定し、その後詳細な事業計画を立てます。この際には土地の所有者にも意見を求めるため、所有者の希望が反映されることもあります。
事業計画決定後は事業が開始されますが、この際に行うのは土地の調査や測量などです。土地の所有者や学識経験者を集めて選挙を行い、当選した人で審議会の設置を行います。審議会は換地計画や仮換地の指定などについての意見をまとめることが大きな役割です。
仮換地は土地の所有者に割り当てられる土地のことを指します。区画整理ではエリア内の土地を所有者ではなく、施工者が管理することになるため、従前所有していた土地の代わりに割り振られるものが、仮換地と考えましょう。
仮換地が指定された後は、工事や補償についての説明会が行われ、必要に応じて区画整理エリア内の建物を移転します。道路や公園などの工事が完了した後は、換地計画を立て、仮換地から新しい土地への分配が行われます。
換地される土地よりも、従前所有していた土地のほうが価値がある場合は、その分を清算金としてもらうことが可能です。反対に換地された土地のほうが前の土地よりも価値が高い場合は、清算金が徴収されます。換地が終わり、登記や清算金の徴収・交付の終了をもって、区画整理事業は完了となります。
土地の区画整理のメリットデメリット
土地の区画整理には、メリットとデメリットの両方があります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
|
|
区画整理をすることによって、住みやすい街になり、土地の価値が上がります。また、土地が整備されることで、整形地を換地されると、以前よりも使いやすい土地になる可能性がある点もメリットです。
換地される土地の価値によっては、清算金が交付されて資産が増えることもあります。一方で換地された土地の価値が以前よりも高く、清算金を徴収されるケースもある点はデメリットとして覚えておきましょう。
区画整理後は、必ずしも以前と同等の広さの土地を得られるわけではありません。場合によっては換地された土地が以前よりも狭く、所有する土地の範囲が小さくなってしまうこともあります。また、区画整理のために建物の解体が必要な場合もあり、これもデメリットといえるでしょう。
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区画整理された後の8つの土地活用
区画整理後の土地活用の方法としては、次の8つがあげられます。
- 集客が見込めるアパート・マンション経営
- 車社会の地域で駐車場経営
- 区画整理で余った土地を活用するトランクルーム
- 高収益を目指すテナント経営
- 地域貢献ができる介護・福祉施設
- 長期契約で収入を安定させる借地
- 建物の所有権を得られる等価交換
- 活用を専門家に任せる土地信託
自分に適した土地活用の方法を見つけ、区画整理後の土地を有効活用しましょう。
集客が見込めるアパート・マンション経営
区画整理後は以前よりも住みやすいエリアになるため、人が集まりやすくなります。集客が見込めるため、アパートやマンション経営をして、家賃収入を得やすいです。
区画整理をすることでインフラが整備されるため、アクセスがよくなる点も魅力です。アパートやマンションは入居者を獲得できると、毎月安定して収入を得られるため、継続して収益化を図りたい人に向いています。
車社会の地域で駐車場経営
所有する土地のあるエリアが車社会なら、駐車場経営もおすすめです。特に区画整理後は住民が増えやすく、駐車場不足に陥ることもあります。
駐車場需要が多いエリアなら、経営も安定しやすく、収益化も目指しやすいです。駐車場には月極とコインパーキングの2つがあり、どちらが適しているかはエリアによって異なります。
住宅地が多く、固定の利用者が見込めるなら、契約者のみ利用可能な月極駐車場がよいでしょう。土地が駅前や商業施設、観光地などの近くにあり、需要が流動的になるなら、コインパーキングがおすすめです。
区画整理で余った土地を活用するトランクルーム
区画整理では土地が余ることもあり、余った土地を保留地と呼びます。保留地は不動産会社の仲介なしで、施工者から直接購入できるため、安価で土地を取得できる点が魅力です。
保留地を生かす土地活用として、狭い土地でも収益化を見込みやすいトランクルームの経営があげられます。トランクルームは荷物を預けるだけの場所であるため、広さや立地などに関係なく経営できます。
また、簡易的なものならコンテナを設置するだけで経営を始められるため、初期投資が少なくて済む点もメリットです。
高収益を目指すテナント経営
より高い収益を目指すなら、テナント経営を始めてもよいでしょう。区画整理によって人が増えると、テナントの利用者を見つけやすくなります。
テナントはアパートやマンションよりも家賃を高く設定できるため、毎月の家賃収入も高額になりやすいです。また、借主が企業になるため、個人に貸すアパートやマンション経営よりも家賃滞納の問題が起きづらく、トラブルのリスクが少ない点も魅力でしょう。
地域貢献ができる介護・福祉施設
土地活用で地域貢献を目指すには、介護や福祉施設の建築がおすすめです。日本は高齢化が進行し続けており、介護や福祉施設の需要は高いです。
エリアによっては特に施設が不足していることもあるため、施設を作ることで地域に大きく貢献できます。介護施設にはさまざまな種類があり、小規模ならグループホームやサービス付き高齢者住宅などがあげられます。
施設によっては建築や経営時に補助金を受けられることもあるため、自治体ごとの制度を確認しておくとよいでしょう。
長期契約で収入を安定させる借地
初期費用をかけずに土地活用をするなら、土地を貸し出す借地がおすすめです。期間を定める定期借地契約なら、数十年と長期契約も可能であり、毎月安定して収入を得られます。
また、定期借地なら貸し出し期間を契約時に決められるため、契約満了のタイミングで土地が返還されます。現時点ではやりたい土地活用が決まっていないものの、将来的には活用したい人にも定期借地契約による土地の貸し出しはおすすめです。
建物の所有権を得られる等価交換
土地は不要で建物が欲しい場合は、土地と建物を交換する等価交換という方法もあります。等価交換はディベロッパーに土地を売却し、その上に建物を建築してもらいます。その後、土地の価値と相応の建物の所有権を受け取る方法が、等価交換です。
等価交換では土地をすべてディベロッパーに売却する場合と、土地の一部のみ売却する場合があります。一部のみ売却する場合は、土地の所有権の比率がどのようになるのか、契約前に確認しておきましょう。
等価交換をすることで、不要な土地を建物に交換でき、住む場所を確保できます。また、土地のままよりも建物で所有しているほうが、相続の際に分割しやすくなることも魅力の1つです。
活用を専門家に任せる土地信託
自身で土地活用を行うのに不安があるなら、専門家に活用を任せる土地信託もおすすめです。専門家に活用してもらうことで、運用して出た利益を分配してもらえます。
土地信託には手数料がかかりますが、運用による利益から支払えるため、それほど問題ではありません。土地活用のノウハウや知識がなくても行えるため、土地活用が未経験でなにから始めてよいかわからない人にもおすすめです。
区画整理される土地を活用する問題点
区画整理後はさまざまな方法で土地を活用できますが、一部問題点もあります。
- 区画整理前より土地にかかる税金が上がる
- 区画整理がいつまでも終わらない可能性
- 活用できる土地の広さは区画整理で変わる
問題点も正しく理解して、失敗なく土地活用を行いましょう。
区画整理前より土地にかかる税金が上がる
区画整理をすることでエリアの土地の価値が上がるため、固定資産税が高くなります。また、建物があった場合は区画整理時に解体して更地にする必要があるため、建物がある場合の軽減措置が適用できず、土地の固定資産税は最大6倍になってしまう点も大きな問題です。
区画整理後は税金の負担が大きくなってしまうため、節税するには軽減措置が適用できるように、建物を建築する必要があります。土地活用で建物を建築するなら土地の固定資産税は安くなりますが、建物に該当しないトランクルームや駐車場経営では、軽減措置が受けられないことも覚えておきましょう。
区画整理がいつまでも終わらない可能性
区画整理は計画から実行、完了まで長期間を要します。計画内容によって期間は異なりますが、基本的には数年単位の時間がかかると考えましょう。
また、数年で終わるのは、あくまでもスムーズに事業が進められた場合です。住民の合意が得られず、トラブルが発生して完了までの期間が延びることもあります。場合によってはトラブルが多発して、区画整理の計画そのものがとん挫するケースもあるため、計画が完了する確証がないことは理解しておきましょう。
活用できる土地の広さは区画整理で変わる
区画整理の前後で、活用できる土地の広さが変わる場合があります。区画整理で土地を整形することで、整形地が手に入りますが、道路や公園などを確保するために、以前よりも土地が狭くなることもあります。
土地の広さが変更されることで、適する土地活用が変わる場合もある点には注意が必要です。土地活用をするなら、区画整理中から計画を立てても構いませんが、最終的になにを行うかは、区画整理後に換地される土地の広さを参考に決めましょう。
最適な土地活用方法は土地の立地や広さ、周辺の需要によって変わります。土地活用を検討しているなら日本最大級の比較サイトイエウール土地活用で複数企業から土地活用プランを取り寄せましょう。将来の収益性の高い土地活用方法を見つけることができます。
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区画整理された土地を活用するコツ
区画整理された土地を上手に活用するには、いくつかコツがあります。
- 土地活用の目的を決めておく
- 費用の負担やかかる税金を専門家に相談する
- 土地活用のプランを比較
コツを理解して、区画整理後の土地を有効活用し、賢く収益化を目指しましょう。
土地活用の目的を決めておく
土地活用をするなら、目的を明確に決めておくことが大切です。決めておきたいポイントとしては、次のものがあげられます。
- いつまでにいくら利益を得たいか
- どれだけの手間や時間をかけられるか
- リスクを許容できる範囲
得たい利益がどれくらいかだけではなく、いつまでに得たいのか、ある程度期間も決めておきましょう。また、手間や時間をどこまでかけるかも決めておき、もし自身で動けないなら管理会社を利用するなど、業者に業務を委託することも検討する必要があります。
土地活用にはリスクがつきものであるため、許容範囲を決めておくことも大切です。取れるリスクが大きいほど、得られるリターンも大きくなります。
ローリスクで土地活用をしたいなら、リターンも少なくなることは覚えておきましょう。目的を明確にすることで、どの土地活用が自分に適しているかを判断しやすくなります。
費用の負担やかかる税金を専門家に相談する
土地活用では初期費用がかかるだけではなく、さまざまな税金もかかります。活用することでどれくらいのコストが発生するかは、専門家に相談して確認しておくことが大切です。土地活用の際に相談できる相手としては、次のものがあげられます。
| 相談先 | 相談できる内容 |
|---|---|
| 不動産会社・管理会社 |
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| 税理士 |
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| 弁護士 |
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| ファイナンシャルプランナー | 資産運用についてのアドバイス |
| 金融機関 | 融資についての相談 |
| 土地活用業者 | 土地活用のプランや見積もり |
不明点は専門家に相談することで、疑問や不安を解消してから土地活用に臨めます。
土地活用のプランを比較
土地活用業者への相談は、複数社に行って各社のプランを比較することがおすすめです。同じ土地でも業者によって提案する土地活用のプランは、異なることが多いです。
各社のプランを比較することで、初期費用の負担が少ない活用方法を選べたり、利回りがよく収益性の高いプランを見つけられたりします。土地活用の選択肢は無数にあるため、最適なものを見つけるためにも、複数社のプランを参考にしましょう。
計画を立て区画整理後に土地活用を開始
所有する土地があるエリアで区画整理が行われるなら、区画整理事業が実施されている間から、今後の土地活用について計画を立てておきましょう。区画整理が実行されると、以前とは土地の形状や広さが変わります。
そのため、詳細な土地活用の方法ついては、区画整理で換地された土地に応じて決めることが大切です。区画整理後は土地の価値が上がり、人も集まりやすくなるため、上手に土地活用をして利益の獲得を目指しましょう。
