「まずは不動産売却の基礎知識を知りたい」という方は、こちらの記事をご覧ください。
不動産鑑定士の鑑定と不動産会社の査定の違い
不動産鑑定士がおこなう鑑定と不動産会社がおこなう査定は、いったい何が違うのでしょうか。
実はそのふたつには、大きな違いがあります。まず、不動産の価格を出す人が持つ資格が違います。鑑定士は不動産鑑定士がおこなうのに対して、査定は宅地建物取引士がおこないます。
また、かかる費用も異なります。鑑定の費用については3章で紹介しますが、例えば一戸建てでは30~50万円が相場です。一方、不動産会社の査定は無料です。「とりあえず自分の不動産がいくらで売れるのか知りたい」という方に向いています。
不動産の査定価格と不動産鑑定評価額の違い
不動産鑑定と不動産査定の違いは、誰が価格の評価を出すかという点だけではありません。出される価格の意味合いも大きく違います。
まず、不動産会社が出す価格は査定価格といわれています。不動産会社がもし売りに出したとしたら、だいたい3カ月で売れそうな価格を売主個別の事情を踏まえて出される価格です。
一方で、不動産鑑定士が出す価格は不動産鑑定評価額といわれており、「相続税路線価」「固定資産税評価額」「公示地価」など、税金いくらで請求するかなどを決めるための価格です。売主個別の主観的な事情を排除し、不動産としての経済的な価値のみをできるだけ客観的に出される価格です。
家の価値を調べるタイミングが不動産を相続したタイミングなのか離婚のタイミングなのか、固定資産税の支払額を確かめたいのか、それともただ資産としての価値を知りたいのか。それによって査定価格を参考にすべきか、鑑定評価額を参考にすべきかが変わります。
鑑定と査定のメリット・デメリット
不動産鑑定と不動産査定はそれぞれにメリット・デメリットがあります。ご自身の状況や希望と照らし合わせてどちらが適しているのかを確認してみましょう。
不動産鑑定 | 不動産査定 | |
---|---|---|
メリット | ・信頼度が高いので安心 ・国家資格を持った鑑定士に最後まで任せられる ・公的機関での手続きにも使える | ・無料で査定してもらえる ・数日で査定結果が出る ・複数社の査定が受けられるので比較がしやすい |
デメリット | ・鑑定費用が高額 ・鑑定結果が出るまでに数週間かかることがある | ・複数社に依頼/対応する必要がある ・裁判所や税務署などでの公的手続きに使えない |
ここまで鑑定と査定の違いを知ってもどちらを依頼すべきか判断できないこともあるでしょう。そんなとき、まずは不動産会社の査定を受けてみましょう。
よっぽど正確に「この不動産はいくらである」と決める必要がある場合は鑑定を依頼することをおすすめしますが、「とりあえず自分の不動産がいくらで売れるのか知りたい」という方は、複数の不動産会社に査定をで十分なことが多いです。
まずは、インターネットから気軽に一括査定を受けてみることをお勧めします。一括査定なら、不動産会社に直接会わなくても不動産の価格がわかるでしょう。
あなたの不動産、
売ったらいくら?
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不動産鑑定を依頼すべき状況とは
”不動産鑑定を依頼すべきケース”にはどのようなものがあるのでしょうか。「今本当に不動産鑑定を依頼すべき状況なのか?」と迷っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
鑑定を依頼すべきケース
下記で具体例を挙げていますので、当てはまるものがあるかどうか確認をしてみてください。その上で依頼するかを判断しましょう。
個人間での不動産売買をおこなう
親子・兄弟・姉妹など、親族間で不動産の売買を行う場合は、鑑定評価をうけることをお勧めします。
極端に低い価格で取引をおこなうことで贈与税の課税対象になってしまう可能性がありますし、市場価格より高い価格にすると後々トラブルを引き起こすリスクも存在します。
鑑定評価で客観的で適正な価格を出すことで、これらのトラブルを避ける方が安全で確実な選択肢でしょう。
相続財産を複数の相続人で分割する
相続で遺産分割の問題が発生した場合、調停が必要になることがあります。調停では、公正に不動産の価値を把握するために不動産鑑定士の鑑定評価書を元にするのが望ましいです。
また、所有する土地が近隣の標準的な宅地用地と比較して明らかに広いと認められるもの(広大地)の場合、不動産鑑定評価のデータを併用して固定資産税評価を考えることで、大幅に節税できることがあります。
離婚で財産分与をおこなう
また、離婚が決まり離婚協議がおこっている場合、不動産も含めて財産分与をおこなうことがあるでしょう。
不動産業者が出した査定価格ではお互いの査定価格が大きく乖離することで協議が長引くこともあります。
その場合、不動産鑑定士に不動産鑑定評価書を作成してもらい財産分与の適正な価格を出すことで離婚問題の早期解決が可能となるでしょう。
査定で差支えないケース
費用を出して鑑定を依頼せずとも不動産会社の査定で差支えないケースもあります。
売買価格の参考として知りたい
一般的な市場で不動産売買をおこなう際に参考として価格を知りたい場合は、不動産会社の査定で問題ありません。
確かに、客観的な意見を聞きたい場合は買い手の言い値に左右されることがないので売買の参考としての価格を出すにも不動産鑑定は有効ですが、鑑定には高額な費用がかかります。
「公的機関での手続きに使いたい」、「とりあえず不動産の価格を知りたい」など人それぞれ使用用途は異なるものです。
ご自身の状況を加味した上で、求めている条件を満たしているのか?という点に重点を置いて、不動産鑑定と不動産査定どちらを依頼するのかを決められるとよいでしょう。
不動産鑑定とは
有資格者による不動産の鑑定評価
不動産鑑定とは、国家資格を保有する不動産鑑定士が国の定めた基準に基づいて、不動産の価格を算出することです。
不動産鑑定は、不動産の正確な価格を算出する方法として最も信頼性の高い方法であるといわれており、都道府県時価調査における基準値の評価や、地価公示における標準地の評価も、鑑定士によって行われているものです。
鑑定は鑑定士しかできない?
不動産の鑑定評価は、不動産鑑定士の独占業務です。そのため、不動産鑑定士以外が報酬を得ておこなうことはできません。
不動産鑑定士は、弁護士・公認会計士と並んで三大国家資格であり、最終合格率2~3%の超難関資格です。
その業務内容は、ひとくちに鑑定と言っても民間の抵当権設定のための鑑定評価や相続時の資産価値の鑑定など様々です。
もっとも、全国に約9,000人しかいない希少性の高い資格のため鑑定を依頼するのにはある程度の費用がかかります。
鑑定はいくらで依頼できる?
不動産鑑定の費用は物件種別によって異なります。物件種別とは土地や戸建て、マンションなど鑑定評価の対象となる不動産の種類のことです。
相場としては約20万円~30万円程度。鑑定する対象物件の種別(一戸建て・マンション・土地)、土地の広さ、現地調査にかかる時間や作業量によっても費用の変動があるものと考えておきましょう。
下記は、不動産の評価額と物件種別ごとのおおよその目安になります。
鑑定評価の費用 | ||||
---|---|---|---|---|
更地の場合 | 戸建ての場合 | マンションの場合 | ||
不動産の評価額 | ~1,000万円以下 | 20万円弱 | 25万円前後 | 30万円前後 |
~5,000万円以下 | 25~30万円 | 30~50万円 | 60~70万円 | |
~1億円以下 | 30~40万円 | 50~60万円 | 70~85万円 |
また、不動産の売却では鑑定費用以外にもさまざまな費用がかかります。売却でかかる費用を把握しておくことで、思ったよりも手残り額が少ないというようなことは防げるでしょう。
不動産の鑑定についての理解は進みましたか?イエウールでは、不動産鑑定士に依頼する前に、ざっくりと家の価格を知っておくこともできます。まずは一括査定で複数の不動産会社から査定価格の提案を受けてみましょう。
あなたの不動産、
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鑑定評価の流れとは
不動産鑑定がいざ必要になった時、なにから準備したら良いのか分からないという方は多いでしょう。ここでは、不動産鑑定の流れをご紹介します。
また、下記は一例ですので細かい段階や手順は不動産鑑定事務所によっても異なります。あくまで目安として、参考にしてみてください。
【ステップ1】不動産鑑定事務所を探す
不動産鑑定事務所は数多く存在します。ここでは査定と同様に1社だけでなく複数社に見積もりを依頼しましょう。
事務所を選ぶ際に重要なのは「信頼できるか」という点にあります。
判断する基準としては「鑑定実績の多さ」や、「見積もり依頼をした際に無理強いせずに適切な対応をしてくれれるのか」などが挙げられます。
鑑定士の方も様々な方がいますので、波長が合うかどうかもとても大事になってきます。実際に事務所に出向いて本当に信頼のできる相手かどうかを見極めましょう。
【ステップ2】不動産鑑定の申し込みをする
不動産鑑定事務所を決めたあとは、委託契約を結びます。
この際に必要な書類がいくつか出てきますので例を記載します。
下記は中でも重要なものを挙げていますが、契約をする際には事務所側から必要書類の指示がありますので、最終的にはそちらをしっかりと確認しましょう。
・固定資産税(都市計画税)納税通知書
・登記事項証明書
・住宅地図
・公図
・地積測量図
・建物図面、各階平面図(建物がある場合)
・道路台帳
・上水道配管図
・公共下水道台帳
・ガス配管図
【ステップ3】鑑定評価
不動産鑑定士の人が、現地に出向き実地調査を行います。さらに並行して資料の収集や区役所などへの調査も行い、鑑定評価を出します。
評価が終わるまでの所要時間は依頼先の不動産鑑定事務所や土地の広さ、権利関係の複雑化などによっても変動がありますが数週間かかるものと考えておくとよいでしょう。
【ステップ4】不動産鑑定士からの中間報告
評価の概要や鑑定評価額について報告を受けます。こちらの中間報告に関しては、「ご希望があれば中間報告します」という不動産鑑定事務所もありますので、あらかじめ確認をしておきましょう。
中間報告の際には鑑定士に対して不明な点や、問題点がある場合はきちんと納得がいくまで相談をしましょう。
【ステップ5】鑑定評価書の交付
最後に不動産鑑定評価書の交付を受けて終了になります。
鑑定評価書には、評価対象となる不動産の状況や、該当地域の人口推移、交通状態、競合する不動産の状況など様々なデータが記載されておりその一つ一つに対して、不動産鑑定士による分析が行われています。
手元に来たものが、中間報告で聞いたことと相違がないかなど、しっかり読み込んで確認をしましょう。
不動産の価格を知るなら一括査定
ご自身が不動産の鑑定を依頼すべきかどうか、判断できそうでしょうか?
「とりあえず不動産価値の概算が知りたい」という場合は、無料一括査定が便利なので活用するとよいでしょう。
不動産査定なら、無料一括査定がおすすめ!
2章で前述した通り、不動産鑑定以外の不動産の価格を調べる方法として「不動産査定」をご紹介しました。
不動産査定を依頼する場合、ポイントになってくるのは複数社に依頼をすることです。
不動産会社によって査定をする基準が微妙に違ったりするため、査定額にも差が出てきます。
不動産鑑定をする場合にも複数の不動産会社の意見を知っておくだけでも役に立ちますし、何より無料なので利用しない手はないでしょう。
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不動産一括査定サービスは、インターネットで1回だけ不動産情報を入力すれば、複数の会社に査定を依頼できるサービスです。スマホさえあれば、いつでも不動産の査定を依頼できます。
複数社に依頼するのは、時間も労力も消費してしまいますよね。加えて、一つの会社だけでは相場がつかみにくいため、不動産を売却するならば複数の会社の査定額を取り寄せて、じっくりと比較検討を行うことがポイントです。
イエウールは、優良の不動産会社のみ全国から1,600社以上が対応しています。見積もりも、最大6社から取り寄せることができるので、時間がない、面倒という場合にはとても便利です。数ある優良不動産会社から、気に入った会社を見つけて、査定を頼んでみましょう。あなたの不動産、
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