アパート経営の運転資金はいくら必要?資金の調達方法まで解説

アパート経営の運転資金はいくら必要?資金の調達方法まで解説

アパート経営に興味を持つ方が増えています。アパート経営がうまくいけば、管理会社に管理を任せたままで副収入が得られるようになります。また、空いている土地があれば、土地活用の方法としてもアパート経営が注目されています。空き地では資産は増やせませんが、アパートを建てて家賃収入が得られれば資産形成に役立ちます。

しかし、何か事業を始めるにあたっては事業を始めるための資金と、毎月必要になる運転資金の資金繰りを考える必要があります。アパート経営も事業経営なので、毎月の運転資金は毎月どのくらい用意すればいいのでしょうか。

この記事では、アパート経営では運転資金がどのくらい毎月必要になるのか、運転資金をショートさせないためにはどうすればいいのか、運転資金の調達が必要になった場合にはどのような方法があるのかなど、アパート経営の運転資金について詳しく解説します。

最適な土地活用のプランって?
STEP1
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STEP2
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STEP3
市区町村

アパート経営の運転資金の基本

アパート経営の運転資金はどのくらい用意しておいたほうがいいのか、基本的な事柄について詳しく解説します。

順調にアパート経営できるなら運転資金の用意は不要

アパート経営には小売業や飲食業のような仕入れやガス代や電気代等の高額な光熱費は必要ありません。アパート経営では、アパートを用意して、部屋に入居者が入居できる状態にしてしまえば、そこから先はわずかな費用しかかかりません。

入居者が無事に入り、満室とは行かないまでも80%以上の入居率を維持できるようであれば、家賃収入だけでローンの返済や必要な費用は十分にまかなっていくことができます

小売業や飲食業を営む場合には、運転資金は金融機関からの融資を受けながら回していくのが当然ですが、アパート経営を含む不動産投資では運転資金の融資を受けるのはとても難しいのが現状です。

しかし、他の業種と比較すると、毎月の出費はそれほど多額になるわけではないので、経営が順調であれば運転資金を心配する必要はありません。アパートの経営というのは入居率と家賃回収率にかかってきます。家賃を滞納しない優良な入居者で常に8割以上の入居率に保てるように、日々の管理をしっかりと行うことがとても大切です。

ただし、万が一のことを考えて、家賃収入が途絶えてもローンや管理費の支払いが半年から1年間は問題ないだけの運転資金が常に手元にあれば安心です。

アパート経営で毎月必要な費用

このように順調にアパート経営が進んでいけば、家賃収入だけで必要な費用をまかなうことはできますが、それでも毎月必ず必要な出費があります。アパート経営でローン返済以外に必要になる毎月の出費の項目と費用の目安は次の表のとおりです。

費用の項目 目安の金額 解説
光熱費 5,000円~1万円程度 共用部分の電灯、防犯カメラ、自動販売機などの電気代
損害保険料 1万円~10万円程度 火災保険及び地震保険
建築方法、建材、築年数、保障内容により金額が変動する
最長10年まで契約できる。長期契約のほうが保険料が安くなるのでおすすめ。
管理費 家賃の5%程度 入居募集や契約更新、日常的な清掃やメンテナンスなどを管理会社に委託した場合の費用

毎月の出費を節約するために管理会社へ委託せずに自分で管理するオーナーもいますが、本業の仕事をしながらだとかなり大変です。管理費を支払っても管理会社へ委託することをおすすめします。

アパート経営でその都度必要になる費用

上記の毎月必要になる費用の他に、アパート経営ではその都度必要になる費用というのもあります。その都度必要になる費用は次の一覧表のとおりです。

費用の項目 出費のタイミング 金額の目安 解説
固定資産税・都市計画税 納税時期 年額数十万円~50万円程度 土地の面積、延床面積、建築方法などにより大きく変わる
入退去時のリフォーム代 入退去があるとき 10万円程度 汚れの除去やクロス、カーペットの張り替えなど
大規模修繕 10年から15年に一度 100万円~200万円程度 外壁、鉄骨階段、屋根の塗装など
設備交換費用 10年から15年に一度 1台10万円程度×交換台数 ガス給湯器やエアコン、水道の蛇口は経年劣化による交換が必要
入居者募集費用 空室ができたとき 家賃の1ヶ月分程度 管理会社との契約内容により変動

特に注意したほうがいい出費は固定資産税と大規模修繕とガス給湯器などの設備の費用です。固定資産税は毎年かなりの金額の出費になります。また、大規模修繕と設備交換費用は100万円単位の出費になります。大規模修繕と設備交換を行わないと、アパートの劣化を早め、入居者が入らなくなります。計画的に積み立てて修繕や交換の時期に備えるようにしましょう。

アパート経営で運転資金を確保し続ける方法

アパート経営では上記で見たように、ローンの返済以外にも毎月数万円から10万円を超える程度の出費が必ずあります。また、毎年の固定資産税と10年から15年に一度の大規模修繕や設備の交換にも多額の出費がかかります。

アパート経営では購入時のローンの融資は受けやすくても、運転資金の融資は難しいのが現状です。アパート経営をはじめる前からわかっている毎月の出費と修繕などの大規模な費用は、家賃収入から確保できるように事業計画を立てることが重要です。アパート経営で運転資金を確実に確保し続ける方法について解説します。

アパート経営をフルローンで始めない

アパート経営を行うために、アパートの購入代金のためにローンを組む人が多いのですが、ローンはフルローンにしないようにしましょう。フルローンにすると毎月のローンの返済額が高額になります。常に満室状態であれば、問題なく支払える金額であっても、返済が高額であると退去者が1人か2人出てしまうと、とたんに返済が苦しくなってしまう可能性があります。

毎月の支払額をできるだけ少なくするためには頭金を入れることをおすすめします。現在は、不動産投資のためのローンでは物件価格の1割から3割程度の頭金を入れなければ融資が受けられない金融機関が多くなっています。アパート経営には、常に空室リスクがあることを頭に入れて、毎月のローンの返済額をできるだけ少なくする方向性で事業計画を練りましょう。

需要が高い立地や設備のアパートで空室を減らす

需要の高い物件であれば宣伝にそれほどお金をかけなくても入居者が集まります。需要のない物件を買ってしまうと、入居者を集めるのにとても苦労します。需要の高いアパートとは次のような特徴のアパートです。

単身者向け物件


  • 大学や社員寮の近くの物件
  • 駅チカ物件
  • 病院、コンビニなどの周辺の施設が充実している物件
  • 大家さんが近くに住んでいる物件

ファミリー向け物件


  • 小中学校へ通いやすい立地
  • 大きな公園のある閑静な住宅地
  • スーパーや病院など生活に必要な施設へのアクセスが便利
  • 都心へのアクセスが便利で通勤通学に便利

単身向けのファミリー向けもそれぞれ立地面で人気の物件になるかどうかが分かれます。このような立地の物件でなければ、ペット可にするなどの条件や設備面の工夫で需要を上げましょう。

購入を検討しているアパートが需要のあるアパートかどうかは、自分で色々と調べてみましょう。調べる方法は、実際に自分の足で周辺を歩いてみて住環境を実際に確かめてみたり、周辺地域の住みやすさなどをネットの地域情報の口コミやマップなどで調べてみるといいでしょう。

支払いに余裕のあるアパート経営をする

アパート経営の事業計画を立てるときに、常に満室状態が続くことや家賃の値下げがないことを前提で資金計画を立てるのは避けたほうがいいでしょう。ローンの支払いや修繕や設備の入れ替えのための積立の計画を、現在の家賃を維持したままで満室が続くことを前提で立ててしまうと、空室が増えてきたときに資金繰りが苦しくなります。

アパートが立っている立地にもよりますが、新築から5年程度は常に満室か8割以上の入居率を保つことができても、経年劣化が進むと入居率は下がってきます。また、建物の状態も年数がたてば悪くなっていくので、いずれ家賃の値下げが必要になります。

資金計画のシミュレーションをするときには、築5年頃からは3割程度の空室が常にあり、10年程度で家賃の値下げも必要になることを前提の上で、余裕を持って立てるようにしましょう。余裕のある資金計画の中でのアパート経営なら、支払いが滞るリスクはかなり少なくなります。

日頃からアパートの空室対策をしておく

アパートも古くなってくると、入居率は悪くなってきます。しかし、入居率が悪くなってきたからといって、内装や外装のフルリフォームをして新築同然にするのも経済的に難しいでしょう。

同じような条件のアパートで、立地も家賃も築年数もそれほど変わらないのに、常に満室状態のアパートもあれば、空室が多いことに悩んでいるアパートもあります。その違いは、日頃の管理や空室対策にあります。建物は古くても、清潔で住みやすい物件であれば入居率は向上します。入居率を上げるためには日頃からの空室対策が大切です。

入居率を上げるためには、次のような空室対策をできる限り行いましょう。


  • 共有部分の清掃を徹底する
  • 管理をしっかりしてくれる管理会社を探す
  • 無料インターネットなど入居者が必要な設備などを提供する
  • 入居前の室内クリーニングの徹底とプチリフォーム

経営者向けの補助金を利用する

アパート経営をしている場合に大家さんでも使える補助金があります。資金繰りが大変な大規模リフォームの資金調達や、コロナ禍で家賃収入が減った場合の減収分を補填するのに活用しましょう。

補助金 内容
長期優良住宅化リフォーム推進事業 アパートやマンションなどの集合住宅も含み、既存住宅の長寿命化と省エネ化のための性能向上リフォームを支援するための事業
化対策や耐震化、省エネ対策などのリフォームで100万円~250万円の補助金が支給される
既存住宅における断熱リフォーム支援事業 建物の断熱改修を行うことで支給される補助金
持続化給付金 確定申告でアパート経営による収入を事業収入として計上していれば、新型コロナウイルス感染症の影響による減収で前年同月比の売上から50%以上減少している事業者に対して法人で200万円、個人事業者で100万円が給付される
不動産収入として計上している場合には対象外

さらに補助金ではありませんが、新型コロナウイルスの影響により入居者の家賃を減免した場合には、減免した金額を損失として計上できます。

アパート経営のもしもに備えて運転資金を調達

アパート経営の基本は、運転資金の調達を普段はすることなく、家賃収入だけで必要な支払いをまかなうことです。しかし、常に経営が順調であるとは限りません。アパート経営で運転資金の調達が必要になった場合について解説します。

運転資金の調達が必要になる理由

アパート経営をしていて資金調達が必要になるのは次のような場合です。


  • 家賃滞納が続き回収できない
  • 空室が多くなり毎月の支払いが困難になった
  • 災害により突発的な修繕が必要になった

家賃滞納や空室問題は解決策を見つけることが最も重要ですが、手元に運転資金がない場合には調達も急いで考えなければいけません

運転資金の調達先と特徴

アパート経営は多くが個人事業者として行っています。個人事業者が運転資金を調達できる調達先の特徴は次の一覧のとおりです。

調達先 日本政策金融公庫 金融機関 消費者金融
特徴 政府が100%出資している。金利が最も安く借入期間も長い。 銀行や信用金庫。ビジネスローンなら審査が通りやすく融資がスピーディ。 ビジネスローンなら審査が早く緩いが金利が高く返済期間も短いので要注意。
融資限度額 4,800万円 PayPay銀行ビジネスローンなら500万円 アコムビジネスサポートカードローンなら300万円
契約期間 運転資金は7年以内 PayPay銀行ビジネスローンなら返済期間の指定なし アコムビジネスサポートカードローンなら最終借り入れから最長8年7ヶ月
金利 担保不要型:年2.06%~2.45%
担保を提供する場合:年1.11%~2.10%
PayPay銀行ビジネスローンなら2.8%~13.8% アコムビジネスサポートカードローンなら12.0%~18.0%
担保・保証人 希望に応じて選択可能 PayPay銀行ビジネスローンなら不要 アコムビジネスサポートカードローンなら不要

この他に、各自治体が行っている個人事業主向けの融資などもあります。自宅や事業所の住所のある自治体のホームページなどで確認してみましょう。

金融機関で運転資金を調達する流れ

運転資金を調達する流れは次のとおりです。


  1. 相談・審査の申込み
  2. 面談・金融機関による事業内容の調査など
  3. 審査結果の通知
  4. 必要書類を用意して契約
  5. 融資される金額が指定口座へ入金

ネットだけで相談や審査の申し込みができる金融機関や消費者金融もあります。金融機関によって必要書類や審査の内容が違います

アパート経営のため運転資金を調達するコツ

個人事業者でも運転資金を調達できる調達先は上記で解説したようにあります。しかし、アパート経営を含めた不動産投資の場合には、銀行や日本政策金融公庫からの運転資金の融資がとても難しいと言われています。

その理由は、物件を購入するための投資用ローンは組めても、日常的な運転資金は家賃収入で十分だろうと金融機関側から思われているためです。

さらに、アパートやマンションの賃貸では敷金と礼金、更新料という正確な目的や用途が不明確な収入も多額になることも運転資金の融資が難しい理由です。しかし、近年では敷金、礼金、更新料は半額や0円にしないとなかなか入居者を集めにくくなってきて、これらの収入が以前のように見込めません。

そのためにアパート経営でも運転資金の調達がどうしても必要になる場合があります。運転資金の調達が難しいと言われるアパート経営でも、運転資金を確実に確保するためのコツを解説します。

現実的な内容の事業計画書を提出

ビジネスローンの申込時には必ず事業計画書の提出が必要です。ビジネスローンでは個人の属性よりも事業計画書の内容が審査において重視されます。事業計画書では、今までのアパート経営の実績を正確に示しましょう。確かな実績があり、今後の返済に問題がないと判断されれば融資してもらえる可能性が高まります。

また、今後の経営の見通しも現実的な数字で記載して、借りる金額の詳細な使い方の内訳も記載します。なお、内訳に「広告費」と入れるときには注意しましょう。日本政策金融公庫では広告費への融資をあまり良いことだとしません。広告費をかけることでどのように利益アップに繋がるのか、根拠を明確にすることが必要です。

審査に通りやすい調達先を探す

融資を受けるときには、担保や保証人が必須の金融機関もあります。また、調達先によって金利も大幅に違います。金利が低い金融機関は審査が厳しい傾向にあります。しかし、審査がゆるいからと言って消費者金融では返済期間が短い上に金利も高額になり返済が大変になるでしょう。

今後の経営の見通しから、確実に返済できる金融機関を探して審査を申し込みましょう。1ヶ所で落ちたとしても、他のところで申し込むことも可能です。審査に通りやすいところを探しましょう

運転資金が不足する前に申し込み

融資の審査には1ヶ月以上かかることもあるので、日程に余裕を持って申込みをしましょう。ローンの支払は毎月やってきます。支払いは待ってくれません。手元の資金がショートする前に融資を受けられるように、前もって早めに資金調達を進めましょう。

【Q&A】アパート経営の運転資金

アパート経営の運転資金について、多くの方から寄せられる2つの質問にお答えします。

一括借り上げなら運転資金の不足はないか

自分が購入したり立てたアパートを、不動産会社が30年間一括借上げをして家賃収入を保証するという、サブリース契約でアパート経営を始める方が増えています。サブリース契約なら家賃保証されるので運転資金の不足を心配しなくてもいいと言われていますが、これは本当かどうか気になっている方も多いようです。

サブリース契約の場合には、確かに契約が続いていれば空室リスクや家賃滞納リスクは自分で考えなくても大丈夫です。しかし、アパートは経年劣化で入居率が低下していくのでいずれ家賃の値下げが必要になります。

事前に示された計画書に家賃の値下げが考慮されていれば大丈夫ですが、多くの場合新築時の家賃が30年間続く前提で計画書が作られています。しかし、5年後か10年後に家賃の値下げの打診があり、断るとサブリース契約を解除されてしまいます。

家賃の値下げもしくはサブリース契約の解除が原因で運転資金の不足が起きる可能性はあります。

運転資金不足でローンを滞納するとどうなるか

アパート経営の運転資金が不足したことでローンを滞納してしまい、督促に応じて支払いをしないと次のような流れで進んでいきます。


  1. 滞納1ヶ月目に電話か郵送で催促される
  2. 滞納2~3ヶ月目で催告書か督促状が届く
  3. 滞納3ヶ月を超えると「期限の利益喪失」の手続きが取られる。つまり、長期間の返済期限の設定が解除されて一括返済を求められる
  4. 滞納5ヶ月程度で保証会社へ弁済手続きが取られる
  5. 滞納6ヶ月目で競売の手続き開始

競売の手続きが開始すると、裁判所に申し立てを行われます。裁判所が競売を決定すると、物件内容が公開されて入札が始まります。

なお、ほとんどの人は競売になる前に任意売却を選びます。任意売却とはローンを借りている金融機関の許可を得た上で、ローンの残債が残っている状態で物件を売却することです。表向きは通常の売却と変わらず、売却価格も競売よりも高額になることから、任意売却の選択をおすすめします。任意売却の相談は任意売却を扱っている不動産会社でできます。

アパート経営を続けるなら運転資金を用意しておこう

不動産投資による不労収入はとても魅力的ですが、アパート経営には空室リスクや家賃の値下げのリスクがあります。空室リスクや家賃の値下げを考えない資金計画を立ててしまうと、ローンの返済や固定資産税の支払いが厳しくなる可能性もあります。

アパート経営には運転資金は必要ないという人もいますが、決してそんな事はありません。アパート経営にも運転資金は必要です。特に年間で支払額が高額になるローンの返済と固定資産税の支払いは余裕を持って行えるように、1年間程度の資金は常に手元に用意しておきましょう。

 

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