アパート経営を始めるのに必要な自己資金は?アパートローンについても解説

アパート経営を始めるのに必要な自己資金は?アパートローンについても解説

アパート経営を検討している人の中には、「どのくらいの自己資金があれば始められるのか」といった疑問を持っている人もいると思います。

本記事では、アパート経営を始めるのに必要な自己資金の目安や、実際にかかる費用、そしてアパートローンについて解説します。

アパート経営を始めるのに必要な自己資金の目安は、建築費の15%~25%とされています。 (下記の図はローンの頭金を20%とする)

例えば、建築費5000万円のアパートを経営する場合、必要な自己資金は750万円〜1,250万円です。

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アパート経営については、以下の記事をご覧ください。

アパート経営の基礎を一から解説!初めての人もそうでない人も必見の情報をお届けします

アパート経営を始めるのに必要な資金は?

アパート経営を始めるのに必要な自己資金は建築費の15%~25%です。

例えば、建築費5000万円のアパートを経営する場合、必要な自己資金は750万円〜1,250万円です。

アパートの建築費用は、ほとんどの場合、ローンを借りて補います。ですが、ローンを組むには頭金が必要になり、その目安は建築費の10%~20%です。

また、アパート経営を始める際は、建築費以外にもローンの手数料や登録費用など、その他諸費用がかかります。諸費用の目安は建築費のおよそ5%といわれています。

よって、アパート経営を始める際に必要な自己資金は建築費の15%~25%が目安になります。

賃貸併用住宅とは?メリットデメリットから後悔しないためのコツまで解説します【専門家監修】

アパート経営を始めるのに必要な費用

アパート経営を始めるにあたり、建築費以外にローンの手数料や登録費用などの諸費用がかかります。この章ではそれぞれについて詳しく説明します。

建築費

アパートの建築費の目安は構造により異なります。アパートのおよその建築費用は坪単価×延べ床面積で計算でき、各構造の坪単価は以下のようになります。

木造(2階~3階建て)1坪当たり50万円~70万円前後
鉄骨造(2階~4階建て)1坪当たり60万円~80万円前後
鉄筋造1坪当たり70万円~100万円前後

アパートの不動産取得税

土地や建物を取得した際にかかる税金です。土地を既に所有している場合は、アパートにかかる不動産取得税についてのみ考えれば問題ありません。

不動産取得税は購入時ではなく、購入後半年~1年半の間に請求されるので忘れないよう注意が必要です。不動産取得税は以下の計算方法で導き出すことが出来ます。

  • 固定資産税評価額×税率(3%)=不動産取得税

固定資産税評価額とは、各市町村が管理している不動産の公的な価格のことです。評価額は不動産の時価よりも低い場合が多く、建物は建築費(再建築価格)の50~70%程度が目安です。

  1. 【監修者からのコメント】不動産取得税は、一部屋当たりの面積が40m2を超えると、不動産取得税がかからないという税金のおこぼしがあります。

建物の登記費用

土地や建物を取得した際には、それが自分のものであると公的に証明する必要があり、その際に必要となるのが登記費用です。

登記にはいくつか種類がありますが、アパートを新築する場合は、所有権保存登記を行う必要があります。

また、アパートローンを組むと対象のアパートに対して抵当権を設定するため「抵当権設定登記」を行う必要があります。

アパートの規模にもよりますが、上記2つの登記にかかる費用の目安は20万円~50万円程度になります。

印紙税

印紙税は、契約書に添付する収入印紙の代金です。契約する金額によって収入印紙の代金は以下のように変わります。1万円を超える印紙を購入する場合は、事前予約が必要な場合もあるため注意しましょう。

契約金額税額(2024年3月31日まで)
500万円を超え1,000万円以下5000円
1,000万円を超え5,000万円以下1万円
5,000万円を超え1億円以下3万円
1億円を超え5億円以下6万円

アパートローンの手数料(保証料+事務手数料等)

アパートローンには、保証料と事務手数料があります。

保証料とは、残債を肩代わりしてくれる保証会社に支払う保証料のことです。一方、事務手数料とは、ローンを組む際に金融機関に支払う事務手数料のことです。
保証料と事務手数料の相場は以下の通りです。

アパートローンの手数料相場
保証料借入額の2%
事務手数料3万円

ローンを組んで物件を購入する場合は、利息以外にも諸費用が発生します。保証料の目安は、借入額の2%程度です。事務手数料には定額制と借入額によって変動する定率制がありますが、定額制であれば目安は3万円程度です。

  1. 【監修者からのコメント】アパートローンの保証料はその銀行がプロパーローンであれば保証料がかからない場合もあります。

各種保険料(火災保険・地震保険)

火災保険はアパートの規模や構造によって金額は異なりますが、一般的には10年契約でおよそ50万円前後になります。

保険相場
火災保険約50万円
地震保険30万円~40万円

アパートローンを組んで購入した場合は火災保険の加入を義務化されている場合があります。必ずしも入らなければならないというわけではありませんが、大事な資産を守るためにも加入するのが無難です。

地震大国である日本に住宅を建てるなら地震保険に加入する事も忘れてはいけません。地震保険は火災保険に付帯して加入するものなので火災保険加入時は忘れず地震保険にも加入してください。

アパート経営を始めるのに必要な資金シミュレーション

アパート経営を始める際に必要な自己資金について、一概にいくらということは出来ませんが、ある程度の費用をシミュレーションすることは可能です。

【アパート経営を始める際に必要な費用】

建築費4500万円(頭金450万円)
不動産所得税約68万円
登記費用約20万円
印紙税1万円
ローン手数料約81万円
保険料50万円

費用算出にあたり相場の最低ラインを目安に計算(例:頭金₌建築費×10%)

経営開始時に必要な自己資金670万円=

頭金450万円+その他諸費用220万円

アパート経営を始める際の自己資金は最低でも670万円が必要になります。

アパート経営を維持するのに必要な費用

アパート経営では初期費用だけでなく、健全なアパート経営を運営・維持するために以下のような費用が発生します。

光熱費・定期清掃費

光熱費は共用部分の電気代や水道代などの費用のことで、金額は大きくありませんが毎月かかり、月1万円程度が相場です。

定期清掃費に関しては清掃業者や清掃内容によっても異なりますが、大体1回5,000円~1万円が相場です。主な掃除内容としては、ごみ置き場やエントランスの清掃、廊下の掃き掃除、階段・手すりの拭き掃除などです。

費用の節約のためにも、自分のできる範囲で清掃を行なうことをおすすめします。

不動産管理費

管理会社にアパートの経営の管理を任せる場合、管理費という形で報酬を支払うことになります。管理会社により費用は異なりますが、毎月の賃の5%程度が一般的です。

家賃の集金や管理、クレーム対応、新規入居者の募集・契約、更新業務、建物のメンテナンスや清掃、退去時の立会などの業務をオーナーに代わり行ないます。

また、新規入居者が決まった際はその報酬として、賃料の半月分~1ヶ月分にあたる広告料を支払うのが一般的です。

アパートローン返済費

アパート経営の資金計画を立てる際に欠かせないのは、アパートローンの返済計画です。返済期間・金利・返済方法が大きく関係します。

返済期間は法定耐用年数によって決められます。例えば木造であれば22年以内、鉄骨造であれば19年~34年以内が返済期間です。

金利に関しては固定金利と変動金利があり、返済方法に関しては元利均等返済と元均等返済があり、それぞれ金利・返済方法によってアパートローンの返済計画は異なります。

原状回復費

退去者が出た後に、床や壁紙・内装などの設備を補修するための費用が原状回復費です。入居者が退去する際は原状回復義務によって、物件を入居時の状態に戻す必要があります。原状回復費用の目安は家賃3か月分です。

しかし、普通に生活していて生じる汚れた傷などは賃料として払われているものとし、原状回復費として負担する義務はありません。たばこのヤニで壁が汚れたなど、入居者の普通の生活のレベルを越したものに関しては、入居者は原状回復費を払う必要があります。

オーナーと入居者のどちらが費用を負担するべきなのかは、国道交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」についてで確認することができるため、頭に入れておくと良いでしょう。

修繕費

アパート経営は修繕費が必ずかかります。

大規模修繕はアパートが建築されてから12年周期で行うことが理想で、外壁の改修工事・ベランダの防水工事・玄関枠など鉄部の錆防止・給水ポンプの交換などが該当し、200万円~300万円ほどかかります。

また、小規模な修繕は5年、10年という短い期間で発生します。外壁などの劣化調査やシロアリ調査・住民が希望する小さな工事・耐震調査などが該当し、数千円~数万円程度の費用がかかります。

税金

所有している土地・建物に対して固定資産税が課税され、評価額の1.4%が毎年徴収されます。アパート経営をしている場合、住宅用地の軽減措置を受けることができるため固定資産税は安くなります。

住宅用地の軽減措置を適用すると、評価額を最大で1/6にまで下げられます。さらに都市計画税が必要な場合も、最大1/3にまで軽減できます。

資金が足りない場合はアパートローンを検討

アパートローンとは、アパートやマンションなどの不動産投資を始める際に利用できる融資のことです。アパートを建築する際は住宅ローンではなく、事業系ローンであるアパートローンを利用します。

アパートローンの融資には限度額があり、本人の年収の7~10倍が相場です。例えば年収500万円の人なら、借りられる金額の目安は3,500万円~5,000万円ですが、用意できる頭金によって限度額は変わってきます。

アパートローンの返済期間は20~30年が一般的です。返済期間は建物の「法定耐用年数」をもとに銀行が期間の上限を定めます。

耐用年数は構造により異なり、木造「22年」軽量鉄骨造「27年」重量鉄骨造「34年」になります。ですが、多くの場合、法定耐用年数よりも短い返済期間で設定されます。

ローン返済額シミュレーター

試算条件(お借入金額、ボーナス返金元金、金利、返済期間)を入力していただくことで毎月のご返済額を概算します。

試算条件を入力する

試算条件を入力し、「この条件でシュミレーションする」をクリックしてください。月額返済額が、画面下部に表示されます。

借入金額

万円

内ボーナス返済額

万円

借入れ金利

%

返済期間

ヶ月

※1年以上35年以内

想定年数経過後の借入残高

年後

※入力される年数経過後の借入残高を計算いたします。返済期間内でご希望の年数を入力ください。

[参考]アパートローン金利例

金融機関固定金利変動金利
みずほ銀行2.8~4.7%1~2.5%
三井住友銀行3.3~4.5%2.5~3%
日本政策金融公庫1.2~3%なし
試算結果

毎月返済額

万円

○○年後借入残高

万円

※ローン返済額のシミュレーションは元利均等法に基づいて行われています。

※計算結果は簡易計算による概算金額です。

  1. 本当にシミュレーション通りの借入金額で大丈夫かな?

実際の建築費用の見積もりは坪数やアパートの材質だけでなく、建築会社の工法や設備のグレードによって大きく変動します。
建築費用が変動すると最初に必要となる借入金額も異なります。
建築費用の見積もりをとる際は、複数の建築会社で相見積もりをおこなって比較・検討をしましょう。
イエウール土地活用なら、 最大で10社の建築費の見積もりを一括請求 することができます。

アパートローンの種類

アパートローンにはいくつかの種類があります。ここではアパートローンの種類と、その違いについて説明します。

アパートローン

アパート経営では、資金が足りない場合に融資を受けることができますが、そのときに利用するのがアパートローンです。

アパートローンとは、アパートやマンションなどの不動産投資を始める際に利用できる融資のことです。アパートを建築する際は住宅ローンではなく、事業系ローンであるアパートローンを利用します。

アパートローンを取り扱っている金融機関は、民間金融機関公的金融機関の2つに分けられます。

  • 民間金融機関:一般銀行・信託銀行・信用金庫・信用組合・農協・生命保険会社・損害保険会社
  • 公的金融機関:日本政策金融公庫・住宅金融支援機構・地方自治体
金融機関によって金利や借入期間、融資の条件などが異なるため、どの金融機関から融資を受けるのかを検討する必要があります。

プロパーローン

プロパーローンとは、各金融機関が保証会社の保証をつけずに独自で直接融資するローンのことを指します。

パッケージ化されたアパートローンとは異なり、融資額や資金使途などが限定されず、柔軟に融資することが可能です。

プロパーローンは保証会社の保証付きのローンよりも審査が厳しくなりますが、自己資金や年収が多く収支に余裕があるなど、条件が良い場合は、あえてアパートローンではなくプロパーローンを活用した方が金利が下がる場合もあります。

提携ローン

アパート経営の資金調達方法として、不動産会社と金融機関が提携し、独自のプランを提供している「提携ローン」があります。

提携ローンは、低金利かつ審査期間が短いため、非常に利用しやすい商品となっています。

また、ローンの審査も通常の審査に比べて通りやすいことから、資金面に不安がある人におすすめです。

ただ、提携ローンは選択肢が少ないことから、自分に合ったローンが選べない場合もあります。

ノンバンクからの融資

アパート経営の資金調達方法として、クレジット会社や信販会社といったノンバンクから融資を受ける方法もあります。

ノンバンクからの融資は、アパートローンに比べて審査が早く、返済期間が短いことから、アパートローンを利用するまでのつなぎとして利用することができます。

ただ、金融機関に比べて金利が高いため、想定以上の返済額になってしまうことがあることに注意が必要です。

住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)からの融資

民間融資以外にも、独立行政法人住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)から融資を受けることも可能です。

住宅金融支援機構では、以下のような2種類の融資を行っています。

  • 子育て世帯向け省エネ賃貸住宅建設融資
  • サービス付き高齢者向け賃貸住宅建設融資
どちらの融資も、アパート経営を始めるまでにかかる費用のほとんどを融資してもらえるため自己資金をあまり用意できない方におすすめの融資となっています。

また、金利は固定金利で、返済期間も15年か35年を選べることから、自分に合った返済タイプを選ぶことができます。

ただ、住宅金融支援機構の融資は、民間融資などに比べて、建設基準や入居者への条件などで若干厳しいうえ、手続きや条件面で基準が多くなっています。

そのため、住宅金融支援機構のホームページから融資条件をしっかりと確認することが大切になります。

アパート経営におけるリスク

アパート経営には様々なリスクがつきものです。ここではアパート経営を始める際に覚えておきたいリスクを紹介します。

空室になるリスク

アパート経営において最大のリスクは空室になるリスクです。

入居者さえ確保できれば収入は安定しますが、入居者がいなければ家賃収入はゼロになります。

空室数が多いと、その分、毎月の家賃収入が減ってしまいます。家賃収入は減ってもローンの返済や必要経費は毎月必ず発生します。

このリスクを回避させるためには、賃貸需要の高い、繁華街の近くや駅近など立地条件の良い場所で始める必要があります。

ローンの返済が困難になるリスク

アパート経営では、ほとんどの人がローンを組んで始めます。

ですが、家賃収入が少ないとローンの返済が困難になるリスクが伴います。

ローンの返済は家賃収入から賄われますが、収入が少ない場合には自腹でローンの返済をしなければなりません。

ローンの返済が負担にならないよう、ローンを組む際は、金融機関と相談し、自分のライフプランにあった無理のない返済計画を立てるようにしましょう。

建物が老朽化するリスク

アパート経営をするうえで建物の老朽化は避けられません。

建物が老朽化することで修繕費が増えたり、家賃の低下、さらには空室も目立つようになるなど様々なリスクの原因となります。

建物の老朽化を避けることはできませんが、必要な時期に修繕工事を実施したりリフォームをすることでアパートの状態を保つことができます。

災害のリスク

さらに、アパート経営をするうえで避けて通れないのが、地震や火事、大雨などの予期せぬ災害です。災害によってアパートが被害にあう恐れは十分にあります。

このようなリスクの備えとしては「地震保険」の加入をおすすめします。

地震保険は地震や津波などで破損したアパートの修繕費等を補償します。一方で火災保険だけでは地震や津波による被害を補うことができない点には注意が必要です。

サブリースに関するリスク

サブリースとは、サブリース会社による家賃保証制度のことです。

このサブリースについて十分に理解しないままアパート経営を始めてしまうと痛い目にあう恐れがあります。

サブリースは空室リスク対策として有効な手段のひとつですが、契約当初の家賃保証額がずっと補償されるわけではありません。また、満室であっても一定額しかオーナーの手元には入ってきません

よって、サブリース契約を交わす際は、サブリースについて、きちんと理解することが大事です。

活用事例:いち早く「IoT」を取り入れた 蔵のある賃貸住宅

エリア愛知県
土地面積(㎡)1056
長期的に差別化できる「蔵」収納に惹かれて
愛知県一宮市。50~60年もの間、競輪場の駐車場として活用されてきた土地に、2棟の賃貸住宅が完成しました。南側に平屋、北側に2階建ての重層タイプで、2棟とも蔵のある設計です。オーナーさまは、他にも賃貸住宅を経営される中で学んだことがあると言います。
「賃貸経営は建ててから10年目以降からが本当の勝負です。他の人の話を聞いていても、古くなってくると空室に悩まされるようになります。そのため、先々まで差別化できる賃貸住宅にする必要があります」。
税金対策や市場調査の結果から賃貸住宅を建てることに迷いはなかったものの、どんな賃貸住宅にすれば長期安定経営できるのか、考えを巡らせました。その結果、たどり着いたのがミサワホームの「蔵」収納がある賃貸住宅です。
「展示場で蔵のある家を見て、縦の空間を活用することで広い収納スペースを確保できることを知りました。間取りの取り方が斬新で、ひと目見て、これなら10年目以降も差別化でき、大丈夫だと確信しました」。
他社からは戸建賃貸の提案もありました。その中で選んだもありました。その中で選んだのは、収益性や機能性から、平屋と重層を混合した蔵のある賃貸住宅でした。(ミサワホーム株式会社の土地活用事例)

まとめ

アパート経営を始めるのに必要な自己資金は建築費の15%~25%です。アパートを建築する際の頭金に加え、アパート経営を始めるのに必要な諸費用の合計になります。

また、アパート経営にはリスクがつきものです。アパート経営を始める前にリスクを理解し対策を講じたうえでスタートさせるようにしましょう。

【完全無料】アパート経営したら収益いくら?