アパート経営というと土地も資産もないと始められないという印象が強いでしょう。定職に就いていないと融資を受けられないから無理と考えている人もいるかもしれません。しかし、定職に就いていなくても、アパート経営を始められる方法があります。
ここでは無職でもアパート経営を始める方法や融資を受けるための基礎知識、アパート経営の注意点を紹介していきます。市場が不安定な中で、安定した収入が得られるアパート経営が注目されています。どうやったらアパート経営を始められるのかしっかり理解しましょう。
アパート経営のための準備資金については以下の記事をご覧ください。
無職でもアパート経営を始める方法
無職でアパート経営を始めるにあたって最大の壁になるのは起業の為の資金を手に入れる事です。通常、家を購入する場合には、銀行などに行き、住宅ローンなどで購入資金を借り入れます。この時、会社員などは審査が通りやすいです。
一方で、無職となると銀行で融資を受けることは難しくなります。ここでは無職でもアパート経営を始めるために、融資を受けられる方法などについて紹介していきます。まずはアパート経営を始めるための事業資金の確保ができるかが大切です。
不動産担保ローンを受ける
通常、住宅ローンを組む場合には、主に年収によって上限額や貸付の可否が決定されます。しかし、無職では安定した収入がありません。一般的な銀行系ローンではお金が借りられません。
ただし、客観的に信用が不足する無職でも、経営をしようとする不動産を担保にして融資を受けることができる可能性があります。利益が上がる土地であれば、多少返済の負担が上がっても、不動産を担保にした融資を元手に、アパート経営を始められます。
一般の住宅ローンでも、返済できなければローンを組んだ住宅は金融機関のものとして差し押えられます。無職では信用が少ない分、資金調達が難しい面がありますが、不動産を担保に融資が受けられれば、不動産を購入して、アパート経営が始められます。
金融機関はノンバンク系がおすすめ
安定した収入がない人にお金を貸すのは金融機関としてはリスクが高い案件です。大手銀行をはじめ、いわゆる銀行系の金融機関は審査が厳しく、不動産担保でも無職の場合には審査が通りにくいでしょう。
一方で銀行以外で貸金業を行っているノンバンクは銀行よりも審査が緩く、無職でも不動産担保ローンを提供している会社が見受けられます。銀行系よりもノンバンク系の方が金利は高くなるものの、審査に通りやすいので、アパート経営が始められます。
ノンバンクにはいわゆる消費者金融だけでなく、クレジットカード会社やカードローンなどの信販会社なども含まれます。ノンバンクなら親戚などの本人以外の所有する不動産でも担保に入れられる場合がありますので、審査を通りやすくなります。
賃貸併用住宅ローンを申し込む
もし不動産担保ローンが組めない場合には、賃貸併用住宅ローンを申し込む方法もあります。不動産担保ローンは事業資金として融資を受けます。一方で賃貸併用住宅ローンは申請者が主に住居として利用することを目的に貸付を行います。
事業の条件としては制約が出ますが、アパート経営を始められる可能性が出てきます。賃貸併用住宅ローンの場合、1棟の過半の面積を自宅住居として利用する必要があります。残りの部分は賃貸住宅として利用できます。
不動産担保ローンよりも金利が低く、返済期間が長くなるメリットもあります。ただし、無職でもある程度の収入や資産があることが必要です。定職に就いていなくても株式投資や不動産経営など一定の収入があれば無職でも自営業者として扱われる場合もあります。
会社員に比べて自営業者も融資については審査が厳しい傾向にあります。まずは審査を受けてみないと通るかどうかはわからないので、必要な準備をして多くの金融機関に融資を依頼してみましょう。
事業者ローンを申し込む
相続財産や貯蓄など自己資金がある程度あるならば、アパート経営を事業として始めるために事業者ローンを組むことも方法の一つです。日本政策金融公庫は条件が合えば無担保・無保証人で融資を受けられる可能性があります。
銀行系の事業者ローンもあります。事業者ローンは金利が高いですが、自己資金があれば借り入れができる可能性が高まります。事業資金の10分の1程度は必要なので、7,000万円程度の資金が必要なら700万~1千万円程度は自己資金を用意しておく必要があります。
参考:日本政策金融公庫
古いアパートの売主と交渉する
お金を貸してくれる金融機関も、自己資金もないという人もいるでしょう。堅実に働いて自己資金を貯めてから事業を始める方法が一般的です。一方で、中古アパートを売りに出している売主と交渉して、アパート経営を始める人もいます。
ローンが完済して抵当権の外れている小規模のアパートが売りに出ていたら売主と交渉してみましょう。購入金額の頭金と月々の支払いを半年程度待ってもらうのです。売主としてはまとまったお金を手に入れられません。
しかし、売主は固定資産税の支払いがなくなり、半年を過ぎれば購入費用の返済額を毎月収入として得ることができるため、メリットもあります。高齢化などで管理が難しくなったアパートが後継者不足で売りに出させることは増えています。
支払いを猶予されている半年の間に、入居者を確保して経費以外の収入を貯蓄して頭金を用意します。アパートの掃除や入居者の対応などできるだけ管理は自分で行って、経費を減らします。経営が軌道に乗れば収入が安定するので、軌道に乗せられるまでが勝負どころです。
アパート経営を始める可能性が出てきたら、複数の企業にプランを提案してもらうのがおすすめです。
なぜなら、アパート経営は建築費の見積もりや賃料設定など経営プランによって収益が1,000万円以上変わることもあるからです。
建築費がいくらなら収益性の高いアパート経営ができるのか、利回りはどのくらいが適切なのか、気になるところを建築会社に相談してみましょう。
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活用事例:長期安定経営を考えた 病院の職員寮
土地面積(㎡) | 403.91 |
延べ床面積(㎡) | 455.34 |
今回訪問したのは、飲食店経営などを手がけているオーナーさまによる医療従事者のための職員寮です。徒歩5分の場所にある病院から、昨年増床し職員も増えたため職員寮を建ててほしい、との要望がありました。
「30年前からこの病院の職員寮として別の土地で賃貸住宅を所有しています。1棟目が上手くいったことで2棟目を建て、2棟とも病院が借り上げ、管理の手間なく長期的に安定経営できていることから、駐車場だった土地を活用して3棟目を建てることにしました」。
病院とは30年に渡る長い信頼関係があり、医療という業種柄、地域で長く必要とされることから、この先も病院の職員寮を建てることで安定経営ができると考えました。
近年病院に限らず、人材確保の面から福利厚生を充実させるため、魅力的な社員寮を確保したいと考える企業が増えています。
病院からは、他の賃貸住宅よりも魅力的で長く住みたいと感じてもらえるように、さまざまなリクエストがありました。(ミサワホーム株式会社の土地活用事例)
無職でアパート経営の融資を受けるための基礎知識
無職といっても会社に勤めていないというだけで、中身は様々です。無職でも最低限の生活費を賄うだけの収入や預貯金がなければ融資は受けられません。ここでは無職でも融資を受けるための基礎知識について紹介していきます。
無職=無収入ではないことを頭に入れて対策を講じていきましょう。
無職で融資を受けるための必須条件
融資を受ける際に審査のポイントとなるのは担保評価、事業評価、本人評価の3つです。
担保評価 | 担保となる物件の価値 |
事業評価 | 事業の収益性やキャッシュフローなど |
本人評価(与信) | 定期的な収入、金融資産、担保以外の不動産など |
これら3つの評価ポイントにおいて、無職の方が審査に通らない理由は本人評価にあります。定期的な収入がないため、与信が低く、審査が通りません。逆に言えば、定期的な収入が低くても、自己資金や不動産を所有していれば与信を上げることができます。
とはいえ相続でもなければ不動産を得ることは少ないので、金融資産をどこまで蓄えられるかが融資が通るポイントになります。無職とはいえお金がなければ資金を調達できません。
もし、親族などで不動産を担保に提供してもらえるなら融資を受けられる可能性は上がります。
購入できる物件が評価の高いものであれば、事業開始後の収益も見込めるので審査が通りやすくなります。
物件評価の方法
融資を行う審査において、担保となる物件の評価を行う場合には様々な方法がありますが、「積算評価」と「収益還元評価」が主に採用されます。積算評価とは、土地と建物を分けて現在の価値を評価します。最後に合算して評価する方法です。この方法で求めた不動産価格は「積算価格」といいます。
収益還元評価とは、土地や建物など不動産が生み出す賃料などの収益に着目して価値を求める方法です。この方法で求めた不動産価格を「収益価格」といいます。特にアパート融資を得意とする金融機関では重視されます。
金融機関の物件評価についてはこれ以外にもあり、金融機関によって算出方法が異なるので、同じ物件を評価しても評価額が大きく変わることがあります。
融資の流れ
融資を受けるまでは次のような流れで進みます。
1. 融資の事前相談
2. 融資申込み
3. 金融機関による物件調査と査定
4. 融資可能額の算定
5. 事前承認
6. 契約後の本審査
7. 本承認
8. 金銭消費貸借契約(金消契約)
9. 融資の実行
融資が実行されるとなれば、担保となる物件に抵当権を設定します。そのため、物件の引き渡し日に行われるのが一般的です。融資時には土地建物の所有権移転や登記に合わせて抵当権を設定します。
連帯保証人の有無について
無職で社会的信用の低い人には融機関の与信審査のために連帯保証人を付ける必要があります。ローン契約者の返済が滞ったり、返済不能になった場合に、代わりにローンの返済義務を負う人を設定します。
ローン契約者と同様の義務を連帯保証人は負います。万が一、アパート経営が失敗し、廃業となれば、担保にしているアパートが売られます。アパートの売却益でローンが返済できない場合には、残額を返済する必要があります。
ローン契約者が無職の場合に返済資金がなく、ローン返済が不能となれば、連帯保証人が残債について返済する義務を負います。また、所有するアパートの担保としての価値が足りない場合には親や親族が所有する不動産を担保に追加する場合もあります。
その場合にも連帯保証人が必要です。一般的に事業を行う際に、銀行から受ける融資では「保証会社」の保証が付いた融資がほとんどです。連帯保証人の設定はあまり例がありませんが、無職となると連帯保証人になってくれる人を見つける必要があります。
無職でアパート経営を成功させるためのポイント
無職でもアパート経営が始められます。ここでは無職でもアパート経営を成功させるためのポイントについて紹介していきます。うまく経営を行い、ローンを返済しながら、不動産経営を成功させましょう。
コストと入居率のバランスを考える
アパート経営では入居率が満室に近いことが必要です。立地が良ければ入居率は高く維持できるでしょうが、土地代や維持費などコストがかかります。一方でコストを抑えれば時間経過とともに空室率が目立つこともあります。
入居率とコストのバランスを見極めた物件選びをすることが経営を始めるにあたって重要となります。アパートを建てる地域のニーズも把握してどのようなアパートにしていくのかも合わせて考えましょう。初期費用やランニングコストを把握しておく
資金計画はアパート経営に必要不可欠な作業です。「物件を購入するためにいくら必要になるのか」「設備を整えるのにいくらかかるのか」「経営をはじめたらランニングコストはどれくらいかかるのか」「収入はどれくらい見込めるのか」といったことを計画に含める必要があります。
これら必要な資金や収入の見込みを詳しく把握しておくことが重要です。短期と長期ではキャッシュフローも変わります。短期的な経営を軌道に乗せるまでと、経営を続けて経年劣化などで家賃収入が減ってくるころも予測して無理のない計画を立てましょう。
信頼できる管理会社を選ぶ
アパート管理を請け負う会社はたくさんあります。大手であれば取り扱い件数の多さが目に入ります。管理手数料の安さなど魅力ある提案をしている会社もあります。管理会社とは長く付き合うことになるので、信頼できる管理会社を選びましょう。
管理会社を選ぶ際には実績を重視することが大切です。複数の管理会社にプランを提出してもらい、自分が経営したいアパートの管理に相応しい会社を選びましょう。
アパート経営を始めようか考えたとき、どのようにアパートを設計すればいいのか見当がつかないのではないでしょうか。
例えば2階建てにするか3階建てにするか、間取りの設計をどうするかについては土地の条件やアパート経営の目的によって変わります。
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無職でアパート経営を始めるときの注意点
無職でアパート経営を始めるにはいくつか注意が必要です。特にお金を借りるのは信用を基に行われます。注意点をよく理解してアパート経営を始めましょう。
融資を受けることができないケースもある
あくまでも融資は審査をして行います。自宅の住宅ローンを既に申し込んでいて返済中の場合には融資を受けることは難しいでしょう。また、過去にカードローンやクレジットカードの返済に滞納があると審査に影響します。
別に組んだローンで滞納がある場合にも審査は通りにくくなります。自己破産している場合には融資を受けるのは困難です。定職に就いていてもローンが通らないケースはあります。まして、無職となれば融資を受けることは困難です。自身の過去についても振り返っておきましょう。
借入額を高くすることはできない
無職の場合には融資枠が小さいので借入額が低くなりやすいです。一般的には不動産評価額の7割程度が借入可能額となります。一方で無職の場合には3割から5割程度になることもあります。自己資金を多く用意できればその分借入額は期待できますが、過度な期待は禁物です。
返済が滞ると不動産を失うことになる
アパート経営がうまくいかなくなるとローンの返済が滞ることになります。ローンの返済ができなくなると最終的には担保の不動産を競売にかけて売却益でローンを返すことになります。担保の売却益でローンが返せない場合には残債を借主が返す必要があります。
ローンを組んだことも、破産したことも記録に残ります。経営が続けられなくなれば破産も仕方ありませんが、不動産も信用も失うことになるので、健全な経営に努めましょう。
すでにアパートを所有しているなら無職ではない
相続や親の事業を引き継いでアパートを所有している場合には、無職ではありません。不動産貸付業か、または不動産賃貸業の事業主として名乗れます。事業経営者であれば無職ではないので融資審査も通りやすくなります。事業資金を借り入れる場合や、新しいアパート経営を始める場合にも有利になります。
融資を上手に利用して無職からアパート経営者を目指そう
フリーターや非正規雇用など定職に就かない人、就けない人は増えています。終身雇用制度もなくなりつつある中で、安定した収入を得るには、就労だけでなく、副収入を得るという考え方も一般的になってきました。無職でも融資を上手に利用して、アパート経営を始めてみましょう。
経験実績と信頼のある住宅メーカーや管理会社が見つかれば、アパート経営で安定した収入を得られます。自己資金を用意して無職からでもアパート経営者を目指しましょう。
記事のおさらい