アパート経営を順調に進めるためには空室を減らし、高い水準の入居率を保つ必要があります。入居率とは、アパートの部屋数に対してどれくらいの入居者がいるのかという割合を示すものです。
アパートを選ぶとき、物件の収益率は利回りで確認することが多いと思いますが、利回りは常に満室であることを想定して計算されています。
実際には1年の間ずっと満室経営であることは難しく、最初に提示された利回りの通りの利益を得られることはほぼありません。
そのため、入居率を考慮した利回りを比較することが大切です。
入居率を高い水準に保つには、客付け力の高い管理会社を選ぶことが大切になってきます。
この記事では、管理会社が提示している入居率の仕組みや入居率の目安、入居率の高い管理会社の選び方などを解説していきます。
アパート経営における入居率の目安
入居率の全国平均は96.2%
まず、アパート入居率の全国平均をみてみましょう。
日本賃貸住宅管理協会による当協会会員(賃貸住宅管理会社)へのアンケート調査によると、アパート経営の全国平均入居率は96.2%でした。
また、サブリースの方が委託管理よりも入居率が高く、賃貸ニーズの高い首都圏や関西圏の方がその他地域よりも入居率が高い傾向にあります。
<参考>公益財団法人日本賃貸住宅管理協会「日管協短観(2021年度)」
安心できる入居率の目安
それでは、アパート経営においてどれくらいの入居率を確保できれば安心できる経営状態と言えるのでしょうか。
一般的に、アパート経営は入居率を95%以上に保つことができれば健全な事業と判断できると言われています。
入居率70%〜80%の場合はやや厳しく、入居率50%以下の場合はかなり苦しい状況であるといえます。
アパートを既に経営されている方は、全国平均入居率や安心できる目安の入居率と比較してみると、アパート経営について見直すきっかけになるかもしれません。
しかし、入居率の表示方法は管理会社によって異なることがあります。
例えば、1年のうち最も高い入居率を表示していたり、空室ができてもすぐにはカウントせず、退去から1か月経過してから空室としてカウントして入居率を算出していたりします。そのため、入居率の高さに惑わされず、どの段階で空室をカウントしているのかを確認することが大切です。
それでは次に、入居率の計算方法をご説明します。
入居率の計算方法
入居率の計算方法は、以下のようになっています。
- 入居率={(賃貸可能な物件の戸数-空室戸数) / 賃貸可能な物件の戸数}×100
ここで大切なことが、賃貸可能な物件の個数が単にアパートの個数ではなく、1年間で何部屋経営するかということです。
アパート経営は長期的な事業であるため、12部屋のアパートが今9部屋埋まっているから入居率は75%だと計算するのではなく、年単位で計算する必要があります。
次に具体的な例を用いて入居率を計算していきます。
入居率の計算
- 部屋数:16部屋
- 空室:2部屋
- 期間:どちらも5か月
まず、賃貸可能な物件の戸数を計算してきます。
- 賃貸可能な物件の戸数:16部屋×12か月=192部屋
賃貸可能な物件の戸数が求められたら、入居率を求めていきます。
- 入居率={(賃貸可能な物件の戸数-空室戸数)/賃貸可能な物件の戸数}×100:{(192部屋-10部屋)/192部屋}×100=94.791…%
今回のケースの場合、四捨五入して入居率は約95%となります。
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アパート経営の入居率を上げる方法
次は、アパート経営で入居率を上げる方法をご紹介します。
入居率の高い管理会社を選ぶ
アパート経営するために、オーナーは不動産会社など管理会社にアパートの管理を依頼する方法があります。そうすることで、オーナーは管理にかかる時間も手間も省けるほか、専門的な知識が必要な場合も安心してアパートを経営することができます。
ただし、前述したように、高い入居率を保つことが事業存続や利益率向上のためには必要です。そこで、次に入居率の高い管理会社の選び方を解説します。
- 入居率95%以上を維持できるか
- 業務内容は満足できる内容か
- 管理費は高すぎないか
- その地域に精通しているか
- 管理物件の戸数は多いか
以上のポイントをチェックすれば、より良い管理会社を選ぶことができるでしょう。
3章では管理会社を変更する手順を説明しています。管理会社にアパート経営を依頼している方は、管理会社を変更すべきかどうかの判断材料にしてみてください。
入居率95%以上を維持できるか
上記でも解説しましたが、入居率95%以上の管理会社であれば、空室が発生したとしても安心して任せることができます。
空室を減らすことがアパート経営で利益を上げるための近道なので、高い入居率の実績を持つ管理会社や空室のリスクをケアできる管理会社を見つけましょう。
アパート経営をスタートさせるときに確認したプランでは、入居率が100%の場合の利回りが提示されることがほとんどです。そのため、安定したアパート経営を行う場合は95%以上を維持しておきたいところです。
業務内容は満足できる内容か
アパートの管理業務には、入居者募集・家賃の回収・建物のメンテナンスなど多くの業務があります。これらの業務をオーナー1人で行うことは、かなりの時間と労力を使ってしまい、とても難しいといえます。
管理会社は、手数料をもらう代わりに管理業務をオーナーの代わりに行ってくれます。管理会社が引き受けている業務は、管理会社によって異なるため、自分が満足できるサービスを提供してくれる管理会社を選びましょう。
もちろん、こうした手数料は経費として計上することができます。
サービスの満足度について判断する際に、入居者から設備不良等でクレームが入ったとき、早急に対応してくれる管理会社かどうかをチェックポイントとすると良いでしょう。
所有しているアパートに不備が発生したときに、すぐに対応できていないと退去の原因になりかねません。そのため、定休日にも対応できる窓口があるなどの早急にできる手段のある管理会社を見つけましょう。
管理費は高すぎないか
入居率が95%以上の管理会社に、すべての業務を引き受けてもらえたとしても、管理費が高すぎるのであれば、その管理会社に依頼するのはやめましょう。
一般的に不動産管理費は、1か月の家賃の5%前後と言われています。
この数値を上回っている管理会社に依頼してしまうと、ほとんど家賃収入が入らない状態になる可能性があります。そのため、適切なコストでしっかりとサービスを提供してくれる管理会社を選ぶことが大切です。
管理契約やその料金については契約時のまま手を付けない方も多いですが、利回りが低下する大きな要因となっていることもありますので、定期的に見直してみることもおすすめです。
その地域に精通しているか
その地域に精通していることで、管理会社が持っている地域情報を集客や建物管理、入居者対応にまで活用することができます。
例えば、地域の治安の良さや買い物のしやすさに関する地域情報があれば、内見に訪れる人のニーズと絡めて物件の良さをアピールすることができます。また、どのような地域であるかという特徴を把握していれば、騒音など事前にクレームになりそうな部分を新規入居者に説明できるでしょう。
そのため、その地域に詳しい管理会社を選ぶことが大切です。
管理物件の個数は多いか
管理会社を選ぶときは、管理物件の戸数が多いかどうかを確認しましょう。管理物件が多ければ、管理業務や集客のノウハウを蓄積することができ、入居率を上げることができるからです。
また、管理物件が多い管理会社であれば、自然と従業員も多いと推測できます。従業員が多ければ、緊急時に対応できる従業員も多くなり、精度の高いメンテナンスも行えます。
そのため、管理会社を選ぶときは、管理物件の数や従業員数を確認することをおすすめします。
入居希望者に選ばれる物件をつくる
「ここに住みたい!」と思わせることは容易ではありませんが、しっかりと入居者ニーズを調査して、それに合ったものを提供できれば契約までたどり着くことができるでしょう。外観や内装、設備、諸経費について入居者ニーズを調査して、入居希望者に選ばれる物件をつくりあげましょう。
外観をメンテナンスする
外観や共用部がアパートの第一印象を左右すると言っても過言ではありません。
コンクリートがひび割れていたり、柱などがさびていると、内見者に「古い、汚い」という印象を与えてしまいます。こういった印象を与えてしまうと、いくら内装や設備にこだわっていても、この物件に住みたいと思うことはないでしょう。また、ひび割れやさびのある物件は、耐久性も低下しているため、入居者が安心して暮らすことができません。
そのため、定期的なメンテナンスや劣化した部分は適宜、修繕を行っていく必要があります。空室を埋めるためだけでなく、今住んでいる入居者が退去しないためにも、しっかりとメンテナンスを続けましょう。
ニーズに合ったリノベーションを行う
リノベーションとは、住宅に新たな価値を付加する工事のことです。
リノベーションには、間取りの変更や共用部の改造など大きな工事を伴うものが大半を占めています。大きな工事をしなければならないことが多いことから、莫大な費用がかかるため、よく検討してから取り掛かる必要があります。
しかし、リノベーションに成功すれば、多くの魅力を持った物件に変わります。魅力を持った物件にするために、流行の間取りや設備を導入することで空室が少なくなります。
また、経年劣化により修繕が追いつかない場合は、リノベーションも検討してアパート経営を行いましょう。
リノベーションを行うために、入居者に立ち退きを要求しないといけないことがあります。
更新料・敷金・礼金をなくす
空室対策の方法として、契約更新のときの更新料を減らす、もしくは撤廃するという方法もあります。また、新規契約を得るために敷金・礼金をなくすのも手です。
また、最近では「更新料を支払うなら引っ越す」と考えている人が多くなっているため、更新料を減らすまたは、撤廃するオーナーも増えています。
1〜2ヵ月の家賃のために、その後数か月の空室のリスクを防ぐためにも、更新料を撤廃してみるのも1つの手段でしょう。また、長く住んでもらうことで空室が発生する確率を下げることができるため、更新料の撤廃は特におすすめの方法といえます。
しかし、更新料や敷金、礼金を下げたり撤廃したりすることで家賃収入が減ってしまうため、賃貸物件の広告宣伝費や修繕費などをカバーすることが難しくなる可能性があることも考慮する必要があります。
募集方法を見直す
募集資料を見直す
チラシやポータルサイトの写真の量が少ないと、入居希望者に物件が選ばれない可能性が高くなります。特にポータルサイトでは、写真の量が重要になっており、物件の間取り図から内装、周辺のスーパーやコンビニなど多くの情報を写真で提供することが必要になってきます。
十分に写真を掲載することで物件を実際に見たいと思わせることができ、内見数も増えてきます。内見数を増やすことで、空室も埋まるようになってくるでしょう。
また、チラシやポータルサイトの情報が古いままでも、入居者に物件が選ばれない可能性が高くなります。写真や家賃情報などは最新の情報にアップデートしましょう。
写真の掲載については、管理会社にまかせっきりにするのではなく、自らで素材提供することで管理会社を動かしましょう。
内見用の資料を作る
空室対策の一環として、内見用にPOPやウェルカムボードを作るという方法があります。
POPやウェルカムボードを作ることによって、内見者が良い気持ちで内見することができるためおすすめです。オーナーのちょっとした気遣いであなたの物件を選んでくれるかもしれません。
広告料を支払う
物件の管理業務を委託しているのであれば、新規入居者の募集を行うのは不動産管理会社です。実際、不動産管理会社の頑張りによって、どれだけ入居者が集まるかが決まるといっても過言ではありません。
そのため、管理会社に広告費やマージンを支払い、管理会社を動かすことが空室対策につながります。
営業マンと良好な関係を築き、インセンティブを払っても新規入居者が集まらなければ、管理会社を変えるか、別の対策方法を試してみましょう。
また、広告料もアパート経営にかかる費用の一つですので資金計画などを立てるのであれば必ず含むようにしましょう。
アパート経営を始めるなら最初の情報収集が重要です。日本最大級の土地活用プラン比較サイトイエウール土地活用なら、土地所在地を入力するだけでアパート経営のプランを取り寄せることができます。
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管理会社を変更する際の手順
実際に管理会社を変更する際、どのような手順で進めればよいのかを説明します。
現在の管理会社との管理委託契約書の内容を確認する
まずは、現在の管理会社と結んでいる「管理委託契約書」の内容を確認する必要があります。
解約条件によっては、「途中解約は何か月前までに申し込む」となっていることもあるため、しっかりと契約内容を確認しておくことが重要です。
どうして変更する必要があるのかを整理する
次に、どうして変更しなければならないのかを再確認し、現在の管理会社の不満点を具体的に書き出して整理しましょう。
そうして新しい管理会社選びの際に、不満に対してどれだけ改善が見込めるかの基準を持っておくことが大切です。
複数社で比較検討する
大切な資産であるアパートの管理を任せる会社は、複数の会社と比較することが大切です。
まだ安心して任せられる会社がいない場合は、複数の会社に一括して無料相談できるイエウール土地活用が便利です。さまざまな形態の不動産会社から見積もりを提示してもらえるので、自分に合った管理会社を見つけることができます。
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現在の管理会社へ解約通知をする
新しい管理会社が決まったら、現在契約中の管理会社に解約通知をします。一般的には解約通知後3ヶ月で契約が終了し、新しい管理会社に管理が引き継がれます。
解約通知後から解約までの間は委託契約書をしっかりと確認しておきましょう。
新旧管理会社で引き継ぎ
解約通知後は解約が成立するまで管理会社間で引き継ぎ業務が行われます。
業務内容は、保証会社の引き継ぎ、管理費の精算や賃貸契約書類・法定点検書類・鍵の引き渡しなどです。
入居者に通知する
管理会社が変わり振込先も変わったことでのトラブルを避けるため、また、入居者に不要な不安を抱かせないためにもしっかりと管理会社の変更は知らせるようにしましょう。
この際、手紙やメールなどの間接的な手段で伝えるのではなく、電話や対面などで直接案内することが大切です。
記事のおさらい