アパート経営を始めるなら、資金繰りについて念入りに考えておく必要があります。資金繰りが上手くいかず、経営に失敗した例は多数あります。
資金について考えるうえでは、キャッシュフローについての理解を深めることが大切です。キャッシュフローとはなにかを正しく理解し、安定したアパート経営を実現させましょう。
アパート経営の利回りについては以下の記事をご覧ください。
キャッシュフローとは
アパート経営を円滑に進めるには、キャッシュフローという言葉の意味を理解しておく必要があります。キャッシュフローがなにかを知ることで、綿密な資金計画を立てて経営に臨みやすくなります。
手元に残る現金のこと
キャッシュフローとは現金の流れのことであり、家賃収入から経費やローンの返済額、税金を引いたものです。キャッシュは現金、フローは流れという意味の英語です。キャッシュフローを見ることで、現金の流れがわかり、健全に経営できているかが判断できます。
表面利回りとは性質が異なる
アパート経営の利益率を見る指標として、表面利回りがあります。表面利回りは、次の式で計算します。
- 年間の想定家賃収入÷投資金額×100
表面利回りは、経費や税金、空室率などを考慮していません。そのため、キャッシュフローとは別の指標です。キャッシュフローは現金の流れを、表面利回りはおおよその利益率を見る指標と考えましょう。
活用事例:La Clarte


エリア | 愛知県 |
土地面積(㎡) | 559.9 |
延べ床面積(㎡) | 578.38 |
工法 | 鉄筋工ンクリート造5階建て |
アパート経営においてキャッシュフローを増やすことが大事な理由
アパート経営を健全に行うには、キャッシュフローを増やすことが大切です。キャッシュフローの増大が重要な理由は、次の通りです。
- 手元に現金がないと余裕のある経営とはいえない
- アパート投資の拡大に利用できる
- あらゆるリスクに対応できる
上記3つの理由を詳細まで理解し、キャッシュフローを増やす重要性を知っておきましょう。
手元に現金がないと余裕のある経営とはいえない
キャッシュフローを増やすことで、手元に現金が多く残ります。健全にアパート経営をするには、手元にできるだけ多くの現金を残す必要があり、現金がないと余裕を持って経営ができているとはいえません。
仮に経営自体が黒字であっても、キャッシュフローがマイナスであると、もしもの際に現金を用意することができないため、経営においてはリスクが高いといえます。キャッシュフローをマイナスにしないためにも、なぜ現金が手元に残らないのか、原因を把握して問題の改善を目指すことが大切です。
アパート投資の拡大に利用できる
キャッシュフローが増えることで、資金の余裕を持つことができ、アパート投資の拡大にも利用できます。十分に資金があるなら、2棟目、3棟目とアパートを拡大することも可能です。
投資規模を拡大することによって、さらに得られる利益は増え、キャッシュフローを増やせるというよいサイクルを生み出すことができます。
あらゆるリスクに対応できる
キャッシュフローを増やすことで、あらゆるリスクに対応できます。アパート経営をするうえでのリスクとしては、次のものがあげられます。
- 空室率の上昇
- 家賃の値下げ
- 減価償却費の減少による税金の増加
- 災害リスク
- 大規模修繕などの補修費用
アパートを経営していると、入居者が退去し空室率が上がってしまうことも多いです。空室状態が長く続くと、その間家賃収入は減少してしまい、手元に現金がないと困ってしまいます。
また、建物の経年劣化によって資産価値が減少し、家賃を値下げしなければならない場合でも、現金が手元にあると資金繰りが楽になります。
長く経営していると減価償却費は減少し、計上できる経費が減るため支払う税金は多くなりますが、この場合も現金があると対応しやすいです。
万が一災害によって建物が倒壊、損傷した場合でも、現金があれば速やかに対応できます。大規模修繕が必要な場合も同じであり、資金に余裕があるならすぐに対処できるでしょう。
アパート経営に潜むさまざまなリスクは、キャッシュフローを増やすことで対処できるため、健全な経営を行い、現金の余裕を持っておくことは大切です。
アパート経営においては、常にキャッシュフローを把握しその状況によっては何かしらのアクションを取る必要があるでしょう。行動が早いほど、より安定した経営状況を保ちやすくなります。キャッシュフローの把握は、アパート経営において重要な仕事の一つなのです。
しかし、キャッシュフローの把握の仕方や分析の仕方などについてはこれまで触れたことのない方も多いかと思います。そこで、アパート経営を始めるのであればまずプロに相談しキャッシュフローのことも含めて安心して相談できる環境を作っていくことも大切です。
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キャッシュフローの計算方法
アパート経営でのキャッシュフローの計算方法は、次の通りです。
- 入居率を設定する
- 経費を算出する
- 計算式に当てはめる
3つのステップを踏み、実際にキャッシュフローを計算してみましょう。
入居率を設定する
キャッシュフローを計算するには、入居率を設定する必要があります。入居率は、次の式で計算可能です。
- 入居部屋数÷全体の部屋数
例えば入居部屋数が8室で全体の部屋数が10室なら、入居率は80%です。アパート経営前に大まかなキャッシュフローを計算する際には、入居率を85%程度に設定して考えるとよいでしょう。アパート経営では常に満室になることは少ないため、ある程度パーセンテージを落として85%で想定することがおすすめです。
経費を算出する
現金の流れを把握するには、経費がどれくらいあるのかも計算しておく必要があります。アパート経営の経費は、次のものがあげられます。
- ローンの返済額
- 税金
- 管理会社への管理委託手数料
- 地震や火災保険などの保険料
各種費用を合算した金額で、キャッシュフローの計算を行います。
計算式に当てはめる
キャッシュフローの計算式は、次の通りです。
- 家賃収入×入居率-経費
年間の家賃収入が800万円、入居率が85%、経費が300万円とします。この場合、(800万円×85%)で680万円、さらに経費の300万円を差し引き、380万円が現金として手元に残る金額です。
キャッシュフローの悪化を防ぐ方策
アパート経営を健全に行い、キャッシュフローの悪化を防ぐには、意識しておきたいポイントがいくつかあります。
- ローンの返済期間をできるだけ伸ばす
- 自己資金を多めに用意する
- ローンの繰り上げ返済を行う
- 金利を交渉する
- 家賃収入をアップさせる
上記5つのポイントを押さえて、安定したアパート経営を目指しましょう。
ローンの返済期間をできるだけ伸ばす
ローンを組んでアパート経営をする場合は、ローンの返済期間をできるだけ伸ばすことがおすすめです。返済期間を長くすることで、月々の返済額を減らせます。
毎月のローンに充てる費用が減ることで月々の出費は少なくなるため、現金の余裕ができてキャッシュフローの悪化を防ぎやすいです。
自己資金を多めに用意する
キャッシュフローの悪化を防ぐには、ローンの負担をできるだけ抑えることが大切です。ローンの返済額を減らすには、自己資金を多めに用意し、頭金を増やすことがおすすめです。
頭金を増やすことで借入総額を減らせるため、月々のローン返済金額は抑えられます。自己資金が多いと、その後のアパート経営でも余裕を持ちやすくなるため、少しでも貯蓄は増やしておきましょう。
ローンの繰り上げ返済を行う
アパートを経営していて自己資金に余裕ができてきたなら、積極的にローンの繰り上げ返済を行うこともおすすめです。繰り上げ返済をすることで、元本を減らせるため、利息の負担を減らせます。
また、元本を減らせると毎月の返済額も減らせるため、経費を減らしてキャッシュフローを増やすことができます。
金利を交渉する
ローンを借りている金融機関に、金利を下げてもらえないか交渉してみることも1つの方法です。金利は0.1%でも下がると利息が減るため、キャッシュフローに大きく影響します。
アパート経営の実績があり、経営にも問題がないなら、交渉次第では金利を下げてもらえることがあります。もし金利の引き下げが難しいなら、他の金融機関のローン商品を確認して、より低金利のところへ借り換えを検討してもよいでしょう。
家賃収入をアップさせる
キャッシュフローをよくするには、家賃収入をアップさせることも重要です。家賃収入が増えると、手元に残る現金が多くなるため、キャッシュフローはよくなります。
家賃収入を上げるには、好立地のアパートを選んで家賃設定を高くしたり、単身者向けのワンルームの部屋を多数作って、投資効率を上げたりすることが考えられます。
また、すでに建築しているアパートでも、リフォームや住宅設備の導入などで住みやすさを向上させることで、家賃を上げたり、空室率を減らしたりして家賃収入を高めることは可能です。
アパート経営を始めるなら最初の情報収集が重要です。日本最大級の土地活用プラン比較サイトイエウール土地活用なら、土地所在地を入力するだけでアパート経営のプランを取り寄せることができます。
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アパート経営におけるキャッシュフローの注意点
アパート経営においては、キャッシュフローについて注意したいポイントがあります。
- 見通しが甘いと経営に失敗する
- 生活費にしてはいけない
注意点を正しく理解して、失敗のないアパート経営を目指しましょう。
見通しが甘いと経営に失敗する
資金繰りの見通しが甘いと、アパート経営は失敗します。そのため、キャッシュフローは念入りに想定しておき、無理なく経営ができるかどうかを、経営前に判断しておきましょう。
アパート経営では、ローンの元金返済額や滞納した家賃なども売上に含まれるため、課税対象です。そのため、予想以上に税金がかかることもあり、思わぬ出費によってキャッシュフローがマイナスになってしまうこともあります。
どのような費用がかかるのかを正しく理解し、無理なく経営できる見通しが立ってから、賃貸経営に臨みましょう。
生活費にしてはいけない
家賃収入によって得た現金は、生活費には使わないようにしましょう。家賃収入を生活費に充ててしまうと、アパートの修繕費用や維持費などを捻出できなくなってしまいます。
老朽化が進んでいるのに修繕をしていないと、入居者が不満を抱えてしまう可能性が高いです。家賃収入で得た現金はアパート経営のために残しておく必要があるため、生活費は別の収入から捻出することが大切です。
キャッシュフローの改善でアパート経営を安定させよう
現金の流れであるキャッシュフローを改善することで、アパートの経営は安定します。経営が上手くいっているからといって、必ずしもキャッシュフローがプラスになるとは限りません。
そのため、どのようにしてキャッシュフローをプラスにするかを考え、少しでも手元に現金を残すことが大切です。キャッシュフローを改善して現金の余裕を持ち、無理のないやり方でアパートの経営状況を安定させましょう。
記事のおさらい