立ち退き料はいくら?5つのケースごとに計算方法や相場を解説

立ち退き料はいくら?5つのケースごとに計算方法や相場を解説

老朽化した建物の建て替えを考えている方の中には、以下のような疑問や悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

こんな悩みの人にピッタリ
  • 立ち退きの相場はいくら?
  • 立ち退き料の内訳は?
  • 立ち退きはどのように進めればいい?

この記事では、賃貸住宅や分譲マンション、店舗、事務所の4つの立ち退き料の相場を解説します。
また、立ち退き料の基礎知識や立ち退き料の内訳、借家権の決め方、立ち退きの流れ、再開発による立ち退き料についても一緒に解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

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もくじ

マンションの建築費については以下の記事をご覧ください。

【2024年3月】マンション建築費はいくら?構造別の坪単価や計算シミュレーションを紹介

立ち退き料とは

立ち退き料とは、賃貸人側の都合で入居者に立ち退きを要求する際にその補償として支払う費用のことです。
ここでは、立ち退き料の法的根拠や正当事由について解説します。

立ち退き料の法的根拠

立ち退き料の法的根拠とされているのは、借地借家法第28条です。

(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
引用:借地借家法第28条

期間の定めがない普通借家契約を貸主が解除する場合には、正当事由が必要とされています。

立ち退き料を含む財産上の給付は、正当事由の正当性を補完・構成する一部になると借地借家法では定めれています。

そのため、正当事由がある程度認められるときに立ち退き料を支払うことで初めて正当事由が認められます。

正当事由の判断基準

正当事由を構成する要因は以下の5つです。

  • ①賃貸人と賃借人の建物の使用を必要とする事情
  • ②建物の賃貸借に関する従前の経過
  • ③建物の利用状況
  • ④建物の現況
  • ⑤建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出
正当事由があるかどうかを判断するときには、①を主たる要因として判断し、②~④を従たる要因として、①に加えて総合的に判断することになります。
そして、この①~④を補う形で立ち退き料を支払う(⑤)ことで正当事由が認められます。

「立ち退き料さえ支払えば正当事由は認められる」と勘違いされていることが多いですが、実際はいくら立ち退き料を支払ったところで、正当事由がなければ立ち退きを認められません。

立ち退き料と正当事由の関係

先ほど解説したように、立ち退き料は正当事由を補完する役割があります。
正当事由が強ければ支払う立ち退き料が少なくなりますし、反対に正当事由が弱ければ支払う立ち退き料も多くなります。

一般的に強い正当事由とされているのが、貸主が自分で利用せざるを得ないため、借主に立ち退いてもらうというケースです。

一方で、「老朽化した賃貸建物を建て替えるため」「賃貸物件を売却するのため」といった理由は、正当事由として弱く、立ち退き料も多く支払うことになります。

立ち退き料が必要なケース

立ち退き料が必要なケースは以下の通りです。

  • 大家都合の退去を求めるケース
  • 建物を建て替えるケース
  • 再開発によって立ち退きを求めるケース

一方で、立ち退き料が不要なケースは以下の通りです。

  • 貸借人が契約違反をしたケース
  • 定期建物賃貸借契約のケース
  • 契約時に期限を設けているケース
  • 建物の老朽化により重大な危険があるケース
建物の老朽化により重大な危険があるケースでは、過去にいくつかの裁判で争われていますが立ち退き料が不要なケースは稀とされています。

立ち退き料の相場

建物用途立ち退き料の相場
住居(アパート・マンションなど)賃料の3ヵ月~6ヵ月分程度
事務所(オフィス・営業所など)賃料の6ヵ月~1年分程度
店舗(小売店・物販店など)賃料の2年分~3年分程度

立ち退き料の相場は、住居で賃料の3ヵ月~6ヵ月分、事務所で賃料の6ヵ月~1年分、店舗で賃料の2年分~3年分です。

たとえば、家賃7万円のアパートで立ち退き料を支払う場合、21万円~42万円が相場になります。
また、店舗といっても業種や業態、立地、規模によって立ち退き料が異なり、1億円を超えることもあります。

そのため、賃借人とよく話し合って立ち退き料を決めていくことが重要といえます。


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賃貸住宅(アパート・マンション・戸建て)の立ち退き料

ここでは、賃貸住宅(アパート・マンション・戸建て)の立ち退き料について解説します。

住宅(アパート・マンション・戸建て)の立ち退き料の相場

建物用途立ち退き料の目安
住居(アパート・マンションなど)賃料の3ヵ月~6ヵ月分程度

アパートやマンションの戸建ての立ち退き料の相場は、賃料の3ヵ月~6ヵ月分程度とされています。

ただ、立ち退き料に決まった計算方法があるわけではないので、実際に提示されるまで詳細な金額がわからないことを覚えておきましょう。
以下では、賃貸住宅の立ち退き料について2つほど事例をご紹介します。

賃料24,960円の建物において立ち退き料を215万円とした事例

平成25年12月11日東京地方裁判所判決の事例です。
この建物は築95年を経過しており、一級建築士の診断でも倒壊寸前の建物であると判断されていました。また、この建物は準防火地域に指定されているのにも関わらず耐火性も欠いていました。

そのため、建物を取り壊し、その敷地上に耐震性、耐火性を考慮した新たな共同住宅を建築しようとすることには相当程度の合理性があると判断されました。

ただ、賃借人は自分で部屋の補修を行っていたことから、最初の立ち退き料175万円に40万円を増額して立ち退き料215万円と判示しました。

参照:建物老朽化(築後95年)を事由とした建物明渡請求が、原判決の立退料を増額した上で、控訴審でも認められた事例 一般社団法人 不動産適正取引推進機構

賃料75,000円の建物において立ち退き料を170万円とした事例

平成26年5月14日東京地方裁判所判決の事例です。
賃貸人が借入金の返済、他の相続人への価格弁償債務、借地更新料の未払債務などに充当するために立ち退き料170万円と引き換えに建物の明け渡しを請求しました。

今回の場合、賃貸人の資金難を理由にした共同住宅の売却の必要性は高く、賃借人のいう条件を満たす転居先も存在することから、一定の立ち退き料を提供するのであれば、更新拒絶の正当事由を補完するものと判断されました。

参照:賃貸人の賃借人に対する共同住宅の売却のための建物明渡請求は、170万円の立退料支払により正当事由が補完されるとして、賃貸人の請求が認められた事例 一般社団法人 不動産適正取引推進機構

住宅の立ち退き料の内訳

住宅の立ち退き料の内訳は以下の通りです。

  • 引っ越し・移転費用
  • 不動産会社への仲介手数料・礼金
  • 家賃の差分
それではひとつずつ確認していきましょう。

引っ越し・移転費用

立ち退き料の中には、新居に引っ越しをする必要があるため、引っ越し費用が含まれています。
また、新しい物件の火災保険、地震保険、電話やインターネット環境などを整えるために要した費用も負担する必要があります。

不動産会社への仲介手数料

立ち退きの中には、敷金や礼金、1ヵ月分の家賃、不動産会社への仲介手数料も含まれています。
例えば、家賃10万円の新居に引っ越すのであれば1ヶ月分の家賃に敷金2ヶ月分、仲介手数料(家賃1ヶ月分×消費税)がかかったケースで考えると、10万円+20万円+10.8万円で合計40.8万円となります。

家賃の差分

立ち退き料を計算するときには、家賃の差額も含める必要があります。
新居の家賃が明け渡し前の物件の賃料額よりも高い場合には、その差額の一定期間分を立ち退き料に加えることになります。

住宅の立ち退き料シミュレーション

ここでは、以下のような条件で住宅の立ち退き料をシミュレーションしていきます。

項目金額
引っ越し費用6万円
現在の家賃8万円
預かっている敷金16万円
新居の家賃10万円
周辺の平均礼金月数1ヵ月
周辺の平均敷金月数2ヵ月
家賃差額保証月数24ヵ月

住宅の立ち退き料は、引っ越し費用+仲介手数料+家賃増加分等で求めることができます。
それぞれの要素を計算していきましょう。

①引っ越し費用

  • 引っ越し費用 = 6万円

②仲介手数料

  • 仲介手数料 = 新居の1ヵ月分 = 10万円

③家賃増加分等

  • 家賃増加分 =(新居の家賃 - 現在の家賃)× 24ヵ月 = 48万円
  • 礼金 = 新居の家賃 × 周辺の平均礼金月数 = 10万円
  • 敷金の不足分 = 新居の家賃 × 周辺の平均敷金月数 - 預かっている敷金 = 4万円
  • 家賃増加分の合計 = 48万円 + 10万円 + 4万円 = 62万円

立ち退き料(①+②+③)

  • 立ち退き料 = 引っ越し費用 + 仲介手数料 + 家賃増加分等 = 78万円
このように、住宅の立ち退き料は78万円と計算することができます。
(※ケースによって立ち退き料の金額は異なります。)

分譲マンションの立ち退き料

ここでは、分譲マンションの立ち退き料について解説します。

分譲マンションでは立ち退き料はもらえない

分譲マンションを建て替えるときに立ち退く場合は、立ち退き料を受け取ることができません
分譲マンションを建て替えるときには、マンションの管理組合が建て替え反対者に対して売渡請求権を行使します。

売渡請求権が行使されると、分譲マンションの所有者が持分を売却しないと決めていても自動的に売買が成立することになります。

そのため、分譲マンションの建て替えでは、立ち退き料の代わりに所有するマンションの時価に相当する金額を受け取ることになるのです。

分譲マンションの建て替えが決まったら

もし、所有するマンションの建て替えが決定した場合には、以下のような対応をすることができます。

  • 建て替えたマンションに再入居する
  • 建て替えが始まる前に立ち退く
  • 建て替えが決まる前に売却する
まず、建て替えに協力する場合には、新しく建て替えた分譲マンションに再入居することができます。
このとき、新しいマンションに無料で入居できる訳ではなく、建て替え費用や仮住まいのための費用は自分で支払うことになります。

次に、分譲マンションの建て替えに反対する場合には、マンションの管理組合に持分を売却し、マンションから立ち退きます。

また、建て替えが決まる前や売渡請求権が行使される前に持分を売却してしまうこともできます。
建て替えが決まってしまうと相場での売却はかなり難しいですが、持分売買よりも高く売れることの方が多いです。

そのため、所有する分譲マンションが老朽化してきたと感じたら、建て替えの話が出る前に今度どうするかを決めておきましょう。

分譲マンションの建て替えの流れ

分譲マンションの建て替えは、以下のような流れで進んでいきます。

STEP
  • 住民同士の管理組合が建て替えを決定する
  • 組合から建て替えに参加するかの連絡が来る
  • 建て替え反対者に売り渡し請求権を実行する
  • マンションの持分を時価で売却し立ち退く
まず、有志の住民が勉強会を設けてマンションの建て替えについて情報収集をしていきます。

その後、住民全体の集会の決議が行われ、建て替えを実施するかを決定します。
そこで建て替えが決定した場合、住民全員に建て替えに参加するかどうかを確認し、反対者に対しては組合が売渡請求権を行使します。

こうして、分譲マンションの建て替え工事が始まっていきます。


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店舗・テナントの立ち退き料

ここでは、店舗・テナントの立ち退き料について解説します。

店舗の立ち退き料の相場

建物用途立ち退き料の目安
店舗(小売店・物販店など)賃料の2年分~3年分程度

小売店や物販店などの店舗の立ち退き料の相場は、賃料の2年分~3年分程度とされています。

店舗の立ち退きでは、移動することで常連客を失ってしまうほか、移転することにより生じる売り上げ減少などに対する営業補償が必要になるため、立ち退き料はかなり高額になります。
以下では店舗の立ち退きについての事例をご紹介します。

都心ビルの建て替えによる事例

平成26年7月1日東京地方裁判所判決の事例です。
所有する築40年以上が経過した都心ビルにおいて、建物の老朽化、再開発、自己使用等の必要性及び立退料の申出を正当事由として、賃貸借契約の解約、建物の明渡しを求めました。

しかし、喫茶店A(賃料90万円/月)と喫茶店B(賃料97万円/月)には1,580万円の立ち退き料を、靴修理店(賃料7万円/月)には180万円の立ち退き料の申出を行いましたが、これに応じませんでした。

ただ、東京地裁の判断では、喫茶店Aに対して鑑定評価の借家権価格の2分の1である2,620万円に、移転実費及び営業損失分のうち2,500万円を加算した5,120万円を、喫茶店Bに対して鑑定評価の借家権価格の2分の1である2,715万円に、同様に移転実費及び営業損失分のうち2,500万円を加算した5,215万円を、靴修理店に対して鑑定評価の借家権価格の約4分の1、また賃料約2年分に相当する本件申出額である180万円をもって正当事由を補完するに足りる立ち退き料の額であると認めました。

参照:築後40年以上経過の都心ビルの建替え・再開発の必要性を理由とした建物明渡し請求が立退料と引替えに認容された事例 一般社団法人 不動産適正取引推進機構

店舗の立ち退き料の内訳

店舗の立ち退き料の内訳は以下の通りです。

  • 新店舗へ移転する費用
  • 移転することにより生じる営業補償
  • 借家権を失う対価の補償
それではひとつずつ確認していきましょう。

新店舗へ移転する費用

店舗の立ち退き料には、新店舗を借りるにあたって生じた費用や内装工事費用、移転費用が必要です。
また、退去する店舗より新店舗の賃料が高かった場合の差額の補償や移転に伴う告知のための宣伝などの広告費用も必要になってきます。

移転することにより生じる営業補償

店舗の立ち退き料には、休業が必要な場合に失われる利益について補償する必要があります。
また、休業が必要な場合でも支払う必要のある固定費や従業員への休業補償などの経費の補償も必要になってきます。

借家権を失う対価の補償

立ち退きを要求する場合、賃貸契約により借りる権利(借家権)を消滅させることになります。そのため、借家権を消滅させる対価を補償しなければいけません。
ただ、裁判では借家権を認めないケースもあることから、借家権を具体的に計算する方法はありません。

借家権価格の決め方

店舗の立ち退き料において借家権価格を決めるときには以下の3つの計算方法から計算します。

  • 賃料差額還元方式
  • 借家権割合方式
  • 控除法
それではひとつずつ確認していきましょう。

賃料差額還元方式

賃料差額還元方式とは、当該借地権の設定契約に基づく賃料差額のうち取引の対象となっている部分を還元して得た価格のことです。

賃料差額還元方式による価格 = 賃料差額のうち取引の対象となる部分 ÷ 還元利回り
賃料差額は、新たに賃貸借契約を結ぶときに成立するであろう金額から実際に支払われている賃料の金額を指します。

借家権割合方式

借家権割合方式とは、借地権価格(更地価格の60%前後)の30%に建物の価格の30%を加えたもので算定するというものです。

借家権割合方式による借家権価格 =「借地権価格」× 0.3 + 建物価格 × 0.3
この計算方法では、借りていた機関や業種、その他、賃借人側の具体的事情も考慮されません。
そのため、昨日借りた住居でも、30年間繁盛している飲食店でも金額は同じになります。

控除法

控除法とは、現在の賃貸物件の価格ともしも、その物件が賃貸物件でなくて所有者が自分で使っていたと仮定した場合の価格の差額で算定するというものです。

控除法による借家権価格 = 自用建物の価格とその敷地価格 - 賃貸建物の価格とその敷地価格
実際、控除法には「そもそもこんな計算ができるのか」といった問題があるため、ほとんど利用されることはありません。

店舗の立ち退き料シミュレーション

ここでは、以下のような条件で店舗の立ち退き料をシミュレーションしていきます。

内訳項目金額
工作物補償新店舗の内装工事費用40万円/坪
新店舗の広さ35坪
動産移転補償引っ越し費用100万円
借家人補償現在の賃料10万円
新店舗の賃料15万円
賃料差額保証月数2年間
移転雑費補償移転雑費200万円
営業休止補償営業休止補償450万円(年間営業利益の1年半分)

それぞれの要素を計算していきましょう。

・工作物補償
店舗はスケルトン状態の区画に自ら内装工事を行って入居します。
そのため、移転先の内装工事を保証する必要があります。

  • 内装工事費用 = 40万円/坪 × 35坪 =1,400万円

・借家人補償
店舗の立ち退きでも現在の賃料と新店舗の賃料の差額を負担します。

  • 借家人補償 =(新店舗の賃料 - 現在の賃料)× 賃料差額保証月数 = 120万円

・立ち退き料

  • 立ち退き料 = 工作物補償 + 動産移転補償 + 借家人補償 + 移転雑費補償 + 営業休止補償 = 2,270万円
このように店舗の立ち退き料は2,270万円と計算することができます。
(※ケースによって立ち退き料の金額は異なります。)

事務所の立ち退き料

建物用途立ち退き料の目安
事務所(オフィス・営業所など)賃料の6ヵ月~1年分程度

オフィスや営業所などの事務所の立ち退き料の相場は、賃料の6ヵ月~1年分程度とされています。

事務所の立ち退きについては、基本的に店舗の立ち退き料と変わりませんが、事務所の場合は移転によって常連客を失うことがないため、立ち退き料も少なくなっています。

そのため、移転費用や借家権価格をから立ち退き料が決められているケースが多くなっています。


マンション経営を始めようか考えたとき、どのようにマンションを設計すればいいのか見当がつかないのではないでしょうか。
例えば2階建てにするか3階建てにするか、間取りの設計をどうするかについては土地の条件やマンション経営の目的によって変わります。

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再開発での立ち退き料

ここでは、所有する土地や物件が再開発の対象になってしまったときの立ち退き料について解説します。

再開発での立ち退き料の相場

再開発や都市計画道路内から立ち退く場合、不動産価格よりも高額な立ち退き料が支払われることがほとんどです。

通常の不動産売却や買い取りとは異なり、立ち退きでは迷惑料が加算されることから、ほとんど価値のない物件でも同等もしくはそれ以上の価格を提示されることもあります。

また、再開発によって立ち退きを要求された場合には、国が定める公示地価や都道府県ごとに定められた基準地価をベースに立ち退き料が計算されます。

たとえば、再開発によって150㎡の土地を失うとき、近隣の公示価格が50万円/㎡であれば7,500万円の立ち退き料になります。

所有物件が再開発の対象になったときの対応方法

所有物件が再開発の対象になったときには、以下のような対応を行う必要があります。

  • 権利交換を行う
  • 立ち退き料を受け取る
再開発が行われる際には、地区内の権利者の「権利の種類」と「資産額」に応じて、事業後に完成する建物の敷地や床に関する権利が与えられる権利交換が行われます。

権利変換は再開発予定地の土地や建物のオーナーであり、かつ再開発に賛成していて、再開発後のビルなどへの入居を希望する人におすすめの方法となっています。

一方で、権利交換を行わず、その土地から離れる場合には、立ち退き料を受け取ることになります。

再開発予定地の土地や建物のオーナーであり、かつ再開発後のビルなどへの入居を希望しない場合には、立ち退き料を受け取ることがおすすめです。

参考:権利変換の仕組み【地上権非設定型】横浜市

再開発の立ち退きは拒否できない

所有している土地や物件が再開発予定地になってしまうと、ほとんどの場合で立ち退きを拒否し続けるのは難しいといえます。

(土地の明渡し)
第九十六条 施行者は、権利変換期日後第一種市街地再開発事業に係る工事のため必要があるときは、施行地区内の土地又は当該土地に存する物件を占有している者に対し、期限を定めて、土地の明渡しを求めることができる。

(土地若しくは物件の引渡し又は物件の移転の代行及び代執行)
第九十八条 第九十六条第三項の場合において次の各号の一に該当するときは、市町村長は、施行者の請求により、土地若しくは物件を引き渡し、又は物件を移転すべき者に代わつて、土地若しくは物件を引き渡し、又は物件を移転しなければならない。

引用:都市再開発法 第96条・第98条

このように、再開発が都市計画法に基づくものであるときには、手続きが進むと土地収用ができるようになります。

そのため、立ち退きを拒否し続けたとしても、立ち退き料を支払われると同時に、明け渡しを求められることになり、立ち退き拒否は徒労に終わる可能性のほうが高いでしょう。

立ち退きの流れ

立ち退きの流れは以下の通りです。

STEP
  • 6ヵ月前までに立ち退きの通知を行う
  • 新居の提案をする
  • 立ち退き料の交渉
  • 立ち退き料を支払う

では、この順序に基づいて、それぞれ解説していきます。

6ヵ月前までに立ち退きの通知を行う

正当な事由がある場合でも6ヵ月前までに立ち退きの通知をすることが原則となっています。

この通知によって、次回の契約更新をしない意志を確認します。

賃貸契約時の契約書にも家主側から立ち退きを求める場合は6ヵ月前に通知をすると記載されているのが一般的です。

新居の提案をする

大家さんが近場で別の物件を持っている場合はそこへの転居を勧められたり、仲介業者が似たような条件で新居を探してくれることが多いです。

この場合、新居の家賃や住所も明確であるため、引っ越し費用や敷金なども加味した立ち退き料が計算しやすいという賃貸人側のメリットがあります。もちろん、新居は賃借人が探しても構いません。

通勤時間などが判断基準であれば、現住所の近隣や仲介の不動産会社の取り扱い物件よりも適した新居があることが多いです。

立ち退き料の交渉

立ち退き料の交渉は、交渉開始から1ヵ月程度で完了することが多いようです。
とはいえ、双方の合意がとれなければ長期化する恐れもあるため、立ち退きを通知したらできるだけ早く交渉を開始しましょう。

その際には、新居の目処をつけておき、その家賃や引っ越し費用を加味してもらうよう、準備を整えておくことをおすすめします。

いざ引っ越しをするにあたって損をすることが分かっても、一度決めた立ち退き料から再交渉するのは難しいからです。

立ち退き料を支払う

立ち退き料は明け渡しと同時に支払います。しかし、交渉の内容次第では明け渡しよりも前に、いくらか支払うことになってしまう恐れもあるため要注意です。

立ち退き料の合意書を締結するときには、いつ支払うかを明確にしておきましょう。

引っ越しに関して支払わなければいけないお金などもあるでしょうから、明け渡し前に一部入金を相談されることもあります。

立ち退き料を安く抑える11の方法

立ち退き料を安く抑える方法は以下の通りです。

  • 入居者が少なくなってから交渉を始める
  • 定期借家契約への切り替えを提案する
  • 代替物件を提供する
  • 契約解除理由の有無を確認する
  • 賃借人と良好な関係を築いておく
  • 最初から誠意を持って対応する
  • 敷金を先に返金する
  • 原状回復を免除する
  • 退去までの賃料を減額・免除する
  • 再入居を確約する
  • 裁判を避ける
それではひとつずつ確認していきましょう。

入居者が少なくなってから交渉を始める

立ち退きは、入居者が少なくなってから始めるようにしましょう。

よほどの理由がない限り、新規入居者の募集を止め、空室が7割~8割になったところで立ち退き交渉を始めると、支払う立ち退き料を抑えられます。

また、1階に店舗や飲食店が入居している場合には、テナントが退去したタイミングが立ち退きのチャンスといえます。

店舗の立ち退き料や住宅よりも高額になってしまうため、店舗が退去したタイミングで立ち退きを考えてみましょう。

定期借家契約への切り替えを提案する

立ち退きを始めると決めたら、定期借家契約に切り替えると立ち退き料を払う必要がなくなる可能性があります。

定期借家契約は、更新がない契約であることから、契約期間満了後なら基本的に立ち退き料は不要になります。
しかし、住宅の場合2000年3月1日以前に締結した普通賃貸借契約を定期借家契約に切り替えることはできないことに注意が必要です。

また、定期借家契約に切り替えるときには、家賃を減額することが一般的であるため、その期間の家賃収入が減ってしまうことにも気を付けましょう。

代替物件を提供する

もし、複数の物件を所有していて、現状と近いような物件があれば、その物件に住んでもらうことで立ち退き料を抑えることができます。

借地借家法で定められている「財産上の給付」とは、金銭の給付だけを指しているものではないため、他に所有している物件を提供することも財産上の給付に該当します。

契約解除理由の有無を確認する

賃借人が契約違反をしている場合には、立ち退き料の支払う必要はなく、貸室の明け渡しを要求することができます。

そのため、家賃の滞納や無断転貸、住宅以外不可の物件を店舗などとして利用していないかなどを確認しておきましょう。
また、長期間の家賃滞納がある場合には記録を残しておくことも重要です。

賃借人と良好な関係を築いておく

立ち退き交渉を有利に進めるために、賃借人と良好な関係を築いておくことが重要です。
このような関係であれば、ある程度のポイントで譲歩してくれる可能性もあります。

反対に、賃借人との関係が良くないときにはトラブルが発生しやすため、ある程度の関係を築いておきましょう。

最初から誠意を持って対応する

立ち退きの通知をするときや交渉を始めるときには、丁寧な説明を心がけるようにしましょう。
昨今の賃借人は、インターネットで立ち退き料について調べているため、お金がもらえることをわかっています。

そのため、立ち退きを依頼する理由や立ち退き料の金額について説明するときは、紳士的に柔らかく打診することをおすすめします。

敷金を先に返金する

敷金を退去前に返金するのも、立ち退き料を安くする方法です。
敷金は、本来家賃不払や原状回復費用に充当するために借主から預かっているものですが、建て替える場合には不要になります。

また、店舗や飲食店では、敷金を多く預かっていることから、敷金を先に返金するとテナントの資金繰りが大幅に改善するため、好意的に受け取ってもらえることが多いです。

原状回復を免除する

原状回復を免除することで、立ち退き料を安くすることができます。

借主は、退去時に原状回復義務が課せられています。
しかし、建物を建て替えるのであれば、わざわざ原状回復をする必要もないことから、原状回復を免除することで借主の負担を軽くすることができます。

そのため、「原状回復費用はいらない」と伝えれば、好意的に退去に応じてくれる可能性があります。

退去までの賃料を減額・免除する

立ち退きに応じてもらうために、退去までの賃料を減額・免除するのも良いでしょう。

このとき、定期借家への切り替えではなく、無償の使用貸借に切り替えます。
使用貸借は賃借人の権利が弱いため、いつでも退去させられるようになります。

ただし、使用貸借に切り替えてしまうと、家賃収入が減少したり、得られなくなってしまうことに注意が必要です。

再入居を確約する

建て替えが終わったら再入居できるように確約することも、立ち退き料を安くする方法の1つです。

特に店舗などのテナントなどは、再入居が確約されていると交渉がスムーズになります。
また、新しい建物のプランも、現在のテナントの意見を取り入れながら設計するとより効果的でしょう。

裁判を避ける

立ち退き交渉が裁判にまでもつれてしまうと、貸主の立場が非常に弱くなってしまいます。

借地借家法は、借主の権利を強力に守るための法律になっていることから、裁判所は借主を手厚く守ろうと裁判を進めていきます。
そのため、裁判になってしまうと立ち退き料が高くなります。

裁判にまでもつれないためにも、紳士的な態度で、丁寧に交渉を進めていくことをおすすめします。

立ち退き料の交渉のポイント

入居者への立ち退き交渉は、うまく進めないとトラブルになってしまう可能性もあります。ここでは、立ち退き交渉でトラブルに発展しないためのポイントをお伝えします。

立ち退き理由を明確にする

立ち退き交渉の際は最初に立ち退き理由を明確にしましょう。
例えば、最近は地震が多くアパートの倒壊による事故もニュースで多く取り上げられていますが、現在のアパートでは耐震性能が低いため入居者に十分な安全性を提供することができないため、アパートを建て替えする予定。

ひいては、安全性の確保できる建物への引越しを推奨し、引越し費用についても立ち退き費用として支払う旨を伝えるなどすると、納得できる理由にはなりやすいでしょう。

立ち退き期間を設ける

借地借家法では、1年前から6ヶ月前までの間に大家から入居者に対して契約を更新しない旨の通知をする必要がありますが、契約を更新しない旨の通知をした上で、相当の立ち退き期間を設けましょう。
例えば、退去まで6ヶ月の猶予があるものの、3ヶ月以内に退去すれば立ち退き料を受け取れるとすることでスムーズに退去してくれる可能性が高まります。

引越し先情報の提供

立ち退きを進める時は、自分のアパートと同じ地域、同程度の広さ、同程度の家賃の引越し先情報を提供しながら進めていくと入居者も納得しやすいです。
また引越し業者の手配や価格交渉など、入居者が新居を探したり、引っ越したりするのにあたって必要なことを手伝ってあげると心証もよくなるでしょう。

期日までに退去した場合には立ち退き料を支払う

期日までに退去した場合には立ち退き料を支払うとした方が、早めの退去のインセンティブとなってスムーズな立ち退きを進めやすくなります。
入居者との交渉の中で立ち退きの期日や立ち退き料の金額など合意できたら、合意書を交わしておきましょう。

また、立ち退き料は必ず退去した後に支払うようにします。

立ち退きでは有利な交渉ができるよう冷静な判断を

いきなり「立ち退いてね」と言われたら焦りますし、その焦りが怒りになる人も多いようですが冷静に判断するようにしましょう。

立ち退き交渉では、しっかりと立ち退き料を提示し、妥協点を見つけることが大切です。

感情論ではなく、具体的な事情や金額を提示することで交渉の長期化を回避しましょう。

初心者でもわかる!
記事のおさらい

立ち退き料とは何ですか?
立ち退き料とは、賃貸人側の都合で入居者に立ち退きを要求する際にその補償として支払う費用のことです。詳しくは、立ち退き料とはをご覧ください。

立ち退き料の相場はいくらですか?
立ち退き料の相場は、住居で賃料の3ヵ月~6ヵ月分、事務所で賃料の6ヵ月~1年分、店舗で賃料の2年分~3年分です。詳しくは、立ち退き料の相場をご覧ください。

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