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不動産の売却を検討している場合、「税金はいくら必要になるのか」や、「そもそもどんな税金があるのだろう」と気になると思います。税金にかかる金額はとても大きいうえ、知らないと損することもありますので、しっかりと理解をしておくことが必要です。
不動産売却でかかる税金は主に以下の3つがありますが、最も知っておくべき税金は「譲渡所得税」です。記事を通して詳しく見ていきましょう。
税金項目 | 何に対しての税金か? | 税金額の目安 |
---|---|---|
譲渡所得税 | 売却で得た利益に対してかかる | 利益額によって大きく変わり、数十万~数百万かかるケースも。 |
印紙税 | 売買契約時に貼り付けする収入印紙に必須でかかる | 契約金額によって値段が異なり、1000円~30000円の間に収まることが多い。 |
登録免許税 | ローン残債がある場合、抵当権抹消手続きにかかる | 不動産1つあたり1000円。 |
不動産売却で最も支払う額が大きくなる「譲渡所得税」
不動産を売却した際、納税額が最も高額になる恐れがあるのが譲渡所得税です。ここでは、譲渡所得税を支払う際に知っておきたい譲渡所得などについて解説します。
譲渡所得とは
所有している不動産や株式を売った際、購入価格を上回り利益が出たものを譲渡所得と言います。
所得とは厳密に言うと「個人の1月1日から12月31日の1年間に得た収入から、収入を得るためにかかった必要経費を差し引いた金額」のこと。不動産を購入したときにかかった代金(=取得費)や、売却するまでにかかった仲介手数料や印紙税などの費用(=譲渡費用)を売却価格から差し引いた金額が譲渡所得になります。
譲渡所得は分離課税方式と呼ばれるものであり、これは給与所得とは別の所得として計算して確定申告し、税金を納める必要があると覚えておきましょう。
譲渡所得税とは
譲渡所得税は、所得税、復興特別所得税、住民税を総称したものです。
住民税とは、地方自治体による教育や行政サービスの資金のために発生する税金です。住んでいる地域と収入によってその金額は異なり、前年の所得にたいして翌年の納税額が決定されます。
住民税は所得税と同様に、不動産の売却益に対して課せられます。ただし、所得税の確定申告をしていれば別途申告をすることは不要です。
また、2037年までは所得税に対して上乗せした形で復興特別所得税が徴収されます。2011年の東日本大震災における被災者支援を目的としている税金で、所得税額に税率2.1%を課して納税します。
譲渡所得にそのまま2.1%を乗じるというよくある間違いがありますが、あくまで「譲渡所得に課税される所得税額」に対して2.1%を乗じるのが正解です。
取得費と譲渡費用を知ろう
譲渡所得を調べる上で欠かせないのが取得費と譲渡費用です。
譲渡所得は不動産の売買にかかった必要経費-不動産の売却額で算出することができますが、この売買にかかった必要経費に含まれるのが取得費と譲渡費用です。
取得費は不動産を購入したときにかかった代金。譲渡費用は不動産を売却するためにかかった仲介手数料などの費用のこと。購入した金額と売却する際にかかった費用、この2つをあわせたものを売却額から引くことで譲渡所得がいくらになるのかわかります。
譲渡所得は多ければ多いほど税金の支払いが多くなり、手元に残る売却額も少なくなります。取得費と譲渡費用は入れるだけ入れるようにしましょう。
取得費・譲渡費用として認められている主なものは以下となります。
取得費
対象 | 詳細 |
---|---|
建物の取得費 | 購入代金などの合計額から減価償却費相当額を差し引いた金額 |
不動産取得税・特別土地保有税・印紙税・登録免許税 | 土地・建物を購入した時に納めた税金 |
造成費用 | 土地の埋立てや地ならしをするための費用 |
測量費 | 土地の取得の際の費用 |
解体費用 | 土地の利用目的で土地を購入し、おおむね1年以内に建物を取壊した際の費用 |
譲渡費用
対象 | 詳細 |
---|---|
仲介手数料 | 土地や建物を売る際に支払った費用 |
印紙税 | 売り主が負担した費用 |
立ち退き料 | 貸家を売るため、借家人に家屋を明け渡してもらった場合の費用 |
解体費用・損失額 | 土地を売るため、建物を取壊した費用とその建物の損失額 |
名義書換料 | 借地権を売る時に地主に承諾をもらうために支払った費用 |
譲渡所得には譲渡益と譲渡損失がある
譲渡所得には譲渡益と譲渡損失があり、どちらになるかによって使える控除が異なります。
不動産を売却した際、購入金額より売却額が上回った場合には譲渡益となります。対して、譲渡損失は購入金額より安い価格で売れた場合になります。
譲渡損失になった場合は特に税金などは発生しませんが、譲渡益になった場合は税金が発生します。売却額が決まった際には、譲渡益が出るのか譲渡損失が出るのかを調べられるようにしておきましょう。
そのためには、不動産を購入する際に支払った額、取得費を把握している必要があります。
自身で購入した、最近購入したという場合には特に問題がないと思いますが、相続などで取得費が分からない場合は売却額の5%を取得費として計上することが可能です。
ただし、この場合は譲渡益が多く出てしまう可能性が高いので、なるべく実際の取得費で計算できるようにしておきましょう。
不動産の所有期間「5年」を境に税率は変わる
譲渡所得に対する税率は、譲渡(売却)した不動産の所有期間によって異なります。
譲渡した不動産の所有期間が、譲渡した年の1月1日現在で5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、それぞれの税率によって所得税・住民税が課税されます。
所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
長期譲渡所得(5年超) | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
短期譲渡所得(5年以内) | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
具体的には、次のようになります。
- (ア)は、2012年6月1日に不動産を取得して、2017年7月1日に売却しています。
- この場合、所有期間は5年1ヶ月ですが、2017年1月1日時点で4年7ヶ月経過ですので、短期譲渡となります。
- (イ)は、2012年6月1日に不動産を取得して、2018年2月1日に売却しています。
- この場合、所有期間は5年9ヶ月であり、2018年1月1日時点で5年7ヶ月経過ですので、長期譲渡となります。
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不動産売却における譲渡所得税の計算手順
譲渡所得税や譲渡所得について分かったところで、譲渡所得税を自分で調べる際にはどのようにすれば良いのか、計算方法を解説します。
不動産売却では、まず譲渡所得を計算してから譲渡所得を計算します。ここでは、以下3STEPの具体的な計算手順について解説していきます。
- 不動産の取得費を算出する
- 不動産の売却価格から取得費と譲渡費用を差し引く
- 不動産の所有期間に応じて税率をかけ合わせる
STEP1:不動産の取得費を算出する
譲渡所得(=売却益)は、以下の計算方法で算出します。まずは、不動産の取得費を算出します。
= 物件の売却価格
– [物件の購入価格から減価償却費を引いた価格 + 購入時の諸費用](取得費)
– 売却時の諸費用(譲渡費用)
-特別控除額
購入価格を算出するためには、所有期間中の減価償却費を求める必要があります。減価償却とは、購入時の価格に対し、減価償却資産の取得に要した金額を一定の方法によって各年分の必要経費として配分していく手続きです。購入してから10年、20年が経過すると価値が徐々に下がっていきます。その下がった分の価格を表すのが減価償却費です。
不動産を売却する際、不動産の購入費用は土地と建物を別々に分けて計算する必要があります。
土地はそのままで問題ありませんが、建物は減価償却の計算を行わなくてはなりません。不動産売却における減価償却とは、建物が劣化した分価格も補正することを言います。
減価償却の計算式は以下の通り。
減価償却=建物の購入金額×0.9×償却率×売却するまでの年数
償却率は国税庁が公表している以下を使って求めます。不動産が何でできているか、事前に調べておくと計算が楽でしょう。
構造 | 木造 | 木骨モルタル | (鉄骨)鉄筋コンクリート | 金属造① | 金属造② |
---|---|---|---|---|---|
償却率 | 0.031 | 0.034 | 0.015 | 0.036 | 0.025 |
減価償却についてより知りたいという場合は、中古マンションの減価償却の計算方法をわかりやすく解説しますをご確認ください。
STEP2:不動産の売却価格から取得費と譲渡費用を差し引く
不動産を取得したときの費用が分かったら、次は売却したときにかかった費用(=譲渡費用)を計算します。
売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いて、なお余りが出ればそれが譲渡所得となります。
譲渡所得が分かったら、それをもとに税金を計算していきましょう。
STEP3:不動産の所有期間に応じて税率をかけ合わせる
譲渡所得が出たら前段で解説した通り、所有期間によって異なる税率をかけていきます。
計算式は以下の通りです。
所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
長期譲渡所得(5年超) | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
短期譲渡所得(5年以内) | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
不動産売却で譲渡益が出た際に使える税金控除
譲渡益が出た際に使える控除はいくつかあり、売却した不動産の状況によって使い方は異なります。主な控除は2つ。
3,000万円特別控除
3,000万円特別控除は、マイホームの定義を満たせば所有期間の長短に関係なく適用を受けられる制度で、譲渡所得から最大3,000万円まで控除を受けることことができます。
例えば、所有期間20年で売却価格5,000万円、取得費1,000万円、譲渡費用200万円だった場合、5,000万円(売却価格)-1,000万円(取得費)-200万円(譲渡費用)-3,000万円(特別控除) = 800万円が課税譲渡所得となります。
納税額は800万円×20.315%=162.52万円です。
この控除は多くの場合に活用できるものなので、知らないと損をしてしまうかもしれません。詳しく気になる方は下の記事をご覧ください。

取得加算の特例
親から相続した家を売却するという方も多いでしょう。相続した家であっても利益が出た際には課税対象となるため、譲渡所得税と住民税を支払わなければなりませんが、「取得加算の特例」を活用することで節税できる可能性があります。
取得加算の特例とは、取得費に相続税額を加算しても良いという制度です。取得費に相続税額を加算することで、課税対象額を減らすことができます。
その場合、相続から3年10か月以内の売却であることが必須条件です。また、相続税を支払っていることが大前提ですので注意しましょう。
詳しくはこちらで解説しています。
⇒相続した土地の売却に伴う手続き|かかる費用や税金を把握しよう
不動産売却で譲渡損失が出た際に使える税金控除
譲渡損失が出た際に使える控除もいくつかあり、売却した不動産の状況によって使い方は異なります。主な控除は2つ。
マイホームを買い替えた場合の損益通算・繰越控除
自分が住んでいるマイホームを令和3年12月31日までに売却し、新たにマイホームを購入した場合に、旧居住の譲渡による損失が生じたときは、譲渡損失をその年の他の所得から控除することができます。「損益通算」と言って、不動産取引において生じた売却損を給与所得や事業所得などの他の所得から相殺することでトータルの税額を減額する、という仕組みになっています。
ただし、損益通算は不動産を売却した年の前年と前々年に以下の特例を利用していると適用されないので注意しましょう。
- 所有期間10年超の場合の軽減税率の特例
- 3,000万円特別控除
- 買換え特例
もしも売却した年だけの所得税で相殺できなかった場合、最長3年にわたって計算することができます。これを「譲渡損失の繰越控除の特例」と呼びます。
売却した年から数えて4年間の譲渡所得を合算したうえで売却損を差し引くことができ、この制度を利用することでほとんどの売却損は相殺することが可能です。お得な特例なので、ぜひ覚えておくようにしましょう。
詳しくは、国税庁HPをご覧ください。
⇒マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
住宅ローンが残っている場合の損益通算・繰越控除
住宅ローンが残っているマイホームをローン残債を下回る価格で売却した時に譲渡損失が生じた場合も、譲渡損失をその年の他の所得から控除することができます。
この時、損益通算の限度額は、住宅ローンの残高から売却価格を差し引いた残りの金額になります。
ただし、損益通算は以下の条件を全て満たす必要があります。
- 譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超えるマイホームであること
- ローンの償還期間(満期)まで10年以上の住宅ローン残高があること
詳しくは、国税庁HPをご覧ください。
【状況別】不動産売却で支払う税金シミュレーション
最後に、不動産を売却した際の税金がいくらになるかシミュレーションをしてみましょう。
ここでは、きちんと確定申告を行い譲渡所得税に対して特別控除や特例を適用させたことを想定して、3つの状況別にシミュレーションを行います。
改めて整理をすると、以下の式で譲渡所得税は計算する事ができます。
譲渡所得税額 = 譲渡所得 × 譲渡所得税率(%)
※譲渡所得 = 物件の売却価格 – [物件の購入価格から減価償却費を引いた価格 + 購入時の諸費用](取得費)– 売却時の諸費用(譲渡費用)– 特別控除額
居住用マンションを売却して利益が出た場合のシミュレーション
以下の条件で居住用マンションを売却して利益が出た場合に、税金をいくら支払えば良いかシミュレーションをしてみましょう。
- 新築で購入したマンションを売却した場合
- 所有期間:8年間
- 売却額:4,200万円
- 購入額:4,000万円
- 購入時の諸費用:200万円(購入額の5%と仮定)
- 譲渡費用:210万円(売却額の5%と仮定)
まずは、マンションの取得費を出します。取得費は、物件の購入価格から減価償却費を引いた価格 + 購入時の諸費用で算出することが出来ます。
減価償却費は、以下の式に当てはめて計算すると432万円になります。※償却率は鉄筋コンクリートの場合の値を参考にしています。
=4,000(万円)× 0.9 × 0.015 × 8(年) = 432(万円)
そのため、取得費は以下の式に当てはめて計算すると、3,768万円になります。
=[4,000(万円)- 432(万円)] + 200(万円)= 3,768(万円)
続いて、一度特別控除額を考えずに譲渡所得額を計算すると譲渡所得は222万円となり、約45万円も譲渡所得税を支払う必要が出てきます。
=4,200(万円)- 3,768(万円)- 210(万円)= 222(万円)
※譲渡所得税額 = 譲渡所得 × 譲渡所得税率(%)= 222(万円)× 20.315% = 約45(万円)
しかし、居住用のマンションである場合「3,000万円の特別控除」を適用出来、最大3,000万円までなら控除することが出来るため、譲渡所得税は0円となります。
相続した土地を売却して利益が出た場合のシミュレーション
以下の条件で相続した土地を売却して利益が出た場合に、税金をいくら支払えば良いかシミュレーションをしてみましょう。
- 相続して1年後に土地を売却した場合
- 土地を取得してからの経過年数:15年
- 売却額:2,500万円
- 取得費:1,500万円
- 譲渡費用:125万円
建物がない土地であれば、減価償却計算が不要であるため以下の計算式で譲渡所得は875万円と求められます。
=2,500(万円)- 1,500(万円)- 125(万円)= 875(万円)
ただ、不動産を相続した場合「取得加算の特例」を適用することで、取得費に相続税額を加算して課税対象額を減らすことができます。今回のケースでも、適用に必須の条件である「相続開始日の翌日から3年10ヶ月以内に売却したこと」を満たしているため、適用します。
土地のみを相続して200万円の相続税を支払っているとすると、そのまま200万円を取得費として加算出来るため、譲渡所得は675万円となります。
譲渡所得税率は、相続を受け手からではなく取得時からの年数で判断されるため、長期譲渡所得となります。
結果、譲渡所得税額は137万円となりました。
投資物件を売却して損失が出た場合のシミュレーション
以下の条件で相続した土地を売却して利益が出た場合に、税金をいくら支払えば良いかシミュレーションをしてみましょう。
- 売却額:5,000万円
- 取得費:7,500万円
- 譲渡費用:250万円
譲渡損失は、マイナス2,750万円となります。
=5,000(万円)- 7,500(万円)- 250(万円)= – 2750(万円)
投資物件の場合、居住用不動産ではないため基本的に適用出来る特例がありません。
また、譲渡損失は給与所得などの他の所得とは一緒に損益通算することは出来ません。仮に売却後1年以内に別の物件を事業用に使用する場合、「特定事業用資産の買換え特例」が使えますが、今回の場合は純粋に譲渡損失を抱えるのみとなります。
税金を抑えると共に高値での不動産売却を目指そう
所得税の計算方法や利用できる特例などをご紹介しました。不動産を売却した結果、手元に残るお金を多くする一番良い方法は、そもそも不動産を高値で売却することです。
そして、不動産の売却は、多くの場合そのほとんどを不動産会社に任せしまうので、不動産売却が成功するかどうかは良い不動産会社を選べるかどうかにかかっています。
不動産の査定価格は、プロである不動産会社でも会社によって大きく異なることが少なくないからです。複数の不動産会社に査定を依頼するのであれば、一括査定サービスを活用するのが便利でしょう。
数ある一括査定サービスの中でも、提携不動産会社数が1,700社もあるイエウールがおすすめです。提携不動産会社数が多いことで郊外でも豊富な不動産会社の紹介を受けられます。これから売却する予定の方は、完全無料で利用できるのでぜひ一度試してみてはいかがでしょうか?
より詳しく知りたい方は以下の記事もご参考にしてください。

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不動産売却の費用について気になる方は「不動産売却でかかる費用は?費用の一覧と節約する方法を解説!」も参考になります。
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