【マンション建築と建築基準法】建築規制の基礎知識を解説

【マンション建築と建築基準法】建築規制の基礎知識を解説

土地に建物を建てるときは「建築基準法」で定められた基準に従って設計・建築しなければなりません。これはもちろん、マンションを建設する時も同様です。また、建築後のマンションの管理義務についても、建築基準法によって規則を設けられてます。

この記事ではマンションの建設時にあらかじめ知っておきたい建築基準法に関する知識を解説します。あなたの土地にマンションを建てられるか、確認してみましょう。

マンションの建築費について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

【2024年3月】マンション建築費はいくら?構造別の坪単価や計算シミュレーションを紹介

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建築基準法におけるマンションとは

建築基準法とは、建築物の敷地や構造・設備・用途に関する最低限の建築基準を定めている法律です。

マンションも建築基準法によって、建築可能な土地や広さ、高さ、守らなければならない耐震性・耐火性といった条件が決められています。土地にどのようなマンションを建てるか考える前に、まずは建築基準法上のマンションについて理解を深めましょう。

用途区分は「共同住宅」

建築基準法上では、あらゆる建物はその使用目的ごとに用途区分が設定されています。用途区分によって建築規制は異なるため、建てたい建物の区分の確認が必要です。

マンションの用途区分は「共同住宅」です。なお、アパートについても同じ「共同住宅」に該当します。

類似した用途区分に「長屋」や「寄宿舎」、「下宿」というものもありますが、以下の定義で区別されます。

用途区分定義
共同住宅2戸以上の住宅で、共用の廊下・階段等があるもの
長屋2戸以上の住宅で教養の廊下・階段等が無いもの
寄宿舎各室が原則寝室のみで、キッチン・トイレの両方またはいずれかが無いもの
下宿旅館業法による「下宿営業」を行う施設(ホテル営業・旅館営業・簡易宿所営業を行う施設は「ホテル又は旅館」に分類される)

共同住宅は「特殊建築物」という区分にも該当し、耐火性能など、一般的な戸建て住宅よりも厳しい基準で建築が規制されています。

規模によって「特定建築物」に該当する

マンションは建築基準法上、一律で「共同住宅」かつ「特殊建築物」に該当しますが、一定の基準を満たす場合、さらに「特定建築物」という区分にも該当します。

特定建築物に該当する条件は、特別行政庁が用途区分ごとに定めています。特別行政庁とは建築主事を置く市町村のことで、建築主事の置かれていない市町村であれば、都道府県の取り決めに従います。

たとえば東京都では、マンションが特殊建築物に該当する条件は「階数が5階以上かつ床面積が1,000㎡を超えるもの」と決められています。

特定建築物に該当する場合、建物の維持管理における規定が更に強くなります。

「特定建築物」は定期点検・報告が義務

「特定建築物」に該当する建物は、建築基準法第12条により「特定建築物定期調査(建物や設備の定期点検と自治体への報告)」が義務として課されます。

違反した場合には、所有者に罰則(100万円以下の罰金)が科せられることがあります。

特定建築物定期調査の調査項目は以下の通りです。


【3年に1回調査】

  • 敷地および地盤
  • 建築物の外部(基礎・躯体・外壁など)
  • 屋上および屋根
  • 建築物の内部(壁・床・天井、照明など)
  • 避難施設等(通路や出入口、階段、非常用設備など)

【1年に1回調査】

  • 防火設備(防火扉や防火シャッターなど)
  • 建築設備(給排水設備、換気設備、非常用の照明設備、排煙設備)
  • 昇降機(エレベーターなど)

調査の結果、必要な場合は修繕や改善措置を行います。

 

マンションの建築を検討しているなら、法令上の制限や基準など知っておくべきことがいくつかあります。しかし、全てを余さず把握するのは、建設業や法律関係のお仕事が本業ではない方には難しいでしょう。

そこで、まずは思い切って建築会社に相談してみるのがおすすめです。建築会社なら、土地の建築条件を踏まえた建築プランを提案してくれます。

イエウール土地活用」なら、複数の大手ハウスメーカーからマンション建築に関するプランの一括で取り寄せできます。

建築規制をはじめとして、マンション建築について不安な点についても、各社に相談してみましょう。

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マンションを建てられない土地・建てにくい土地

建築基準法やその他の法令上の規制によって、そもそもマンションを建てられない土地があります。

また、建築自体は可能なもののしづらい土地、収益を上げていくことが難しい土地というものもあります。

マンションの建築を計画する際には、あらかじめ所有している土地がマンション建築に向いているかどうかをチェックしておきましょう。

マンション建築ができない土地

そもそも法規制によって、マンションが建築できない土地は以下の通りです。

  • 市街化調整区域の土地
  • 接道義務を満たしていない土地
  • 工業専用地域の土地

市街化調整区域の土地

建築基準法は、都市計画法によって定められた「都市計画区域」の土地の利用を規定しています。

都市計画区域は、さらに「市街化区域」「市街化調整区域」「非線引き区域」に分けられ、このうち市街化調整区域」の土地はあらゆる建物の建築が制限されます

アパートやマンションのような共同住宅も例外ではなく、建築することができません。

接道義務を満たしていない土地

接道義務とは、土地と道路の接し方に関する規定です。

建物を建築する土地は、幅員4m以上の建築基準法上の「道路」に、2m以上の間口で接している必要があります

また、マンション等が該当する「特殊建築物」の場合は、接道する間口の長さについて都道府県の条例によって別途規定が設けられていることがあります

たとえば、東京都では、以下のような規定が設けられています。

マンションの延べ床面積接道する間口の長さ
500㎡以下4m以上
500㎡を超えて1,000㎡以下6m以上
1,000㎡を超えて2,000㎡以下8m以上
2,000㎡を超える10m以上

(※適用の例外もあります。)

なお、建築基準法上の道路とは、建築基準法第42条で規定される道路で、以下のようなものを指します。


【建築基準法上の「道路」】

  • 道路法による道路で、幅員4m以上のもの
  • 都市計画法や土地区画整理法などの法律によりつくられた幅員4m以上のもの
  • 建築基準法施行時(昭和25年11月23日)に幅員4m以上あったもの
  • 「2項道路」に該当するもの(建築基準法施行時に、その道に沿って建築物が立ち並んでいた幅員1.8m以上4m未満のもので、特定行政庁が指定したもの)
  • そのほか特定行政庁から指定を受けたもの

もしも土地が面している道路が幅員4m未満の場合は、セットバックによって建築できるようになります。

工業専用地域の土地

都市計画法によって指定された「市街化区域」は、さらに13の「用途地域」に分類され、それぞれ建てられる建築物の種類や用途、規模が制限されています。

このうち「工業専用地域」は、工業に関する建築物しか建てられない地域です。工場や会社の事務所、従業員のための寮は建築できますが、一般的な住宅や店舗は建てられないため、マンションの建築ができません。

マンション建築がしにくい土地

理論上は建築ができるものの、その他の土地活用方法がおすすめな土地は以下の通りです。

  • 第1種・2種低層住居専用地域の土地
  • 建ぺい率・容積率の上限が低い狭小地

第1種・2種低層住居専用地域の土地

都市計画法の定める「用途地域」のうち、「第1種低層住居専用地域」および「第2種低層住居専用地域」は、10mまたは12mまでの建物しか建てられません。これを「絶対高さ制限」といいます。

賃貸向けの共同住宅は1階層につき3m程度の高さを確保するのが一般的であるため、第1種・2種住居専用地域の土地には、3階建て・4階建ての物件がギリギリ建てられるかどうかになります。

十分な広さのある土地であれば、低層マンションを設計して建築することも可能ですが、収益性を重視するのであれば2階建て・3階建てのアパートを建築する方がおすすめです。

建ぺい率・容積率の上限が低い狭小地

「用途地域」は、地域内に建築物の種類や用途を制限するだけでなく、建築できる建物の規模も制限しています。

建築できる建物の規模は、建物の「建ぺい率」と「容積率」の上限の設定によって規制されています。


  • 建ぺい率:敷地面積に対する建物の建築面積の割合
  • 容積率:敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合

建ぺい率と容積率の上限の設定は、同じ用途地域の種類でも土地ごとに異なります。

たとえば容積率の上限が大きい場合は、土地に高く建物を建てることで賃貸部分を確保することができますが、建ぺい率と容積率のどちらの上限も低い場合、物件の戸数を確保することが難しい場合があります。

建築制限の厳しい土地の場合は賃貸物件の経営ではなく、コインパーキング経営など、その他の土地活用方法を検討するのも1つの手段です。

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マンション建築関連のその他の法令

地域ごとの条例にも注意

マンションの建築は、建築基準法以外にも関連する法令の規制を受けます。

建設するマンションをプランニングするときには、以下の法令にも留意しながら進めていかなければなりません。


  • 消防法
  • 都市計画法
  • 自治体の条例

消防法

消防法とは、火災の防止や被害軽減のために、建築物について防火や消防のための規制などを定めた法律です。

マンションの建設においては、防火・消防のために必要な設備の設置と点検が消防法によって義務付けられています。

都市計画法

都市計画法とは、将来にわたって計画的に土地を開発していくための規制等を定めた法律です。開発を積極的に行っていくエリアと行わないエリアを区分することで、都市開発を効率化したり、住環境や緑地の保護をしています。

各自治体は、都市計画法に基づく「用途地域」の指定によって、エリアごとに建てられる建築物の種類や規模を制限し、街づくりに秩序を持たせています。

用途地域について更に詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

マンションの建築計画を立てるときに知っておくべき用途地域とは?【基礎から解説】

自治体の条例

その他に、自治体ごとに街づくりに関する条例が設けられていることがあります。

マンションの建築には、いわゆる「ワンルーム条例」が大きく影響するでしょう。

ワンルーム条例とは、共同住宅の住戸の最低専有面積を設けたり、総戸数などに応じてファミリー向けの住戸や駐車場の設置を義務付けることで、単身者向けのワンルームマンションの濫立を抑止するための条例の総称です。実際に施行されている条例の名前は、市区町村ごとに異なります。

一般的に賃貸マンションは、専有面積の狭いワンルームや1Kの住戸を多く確保するほど、土地の面積あたりの収益が高くなります。しかし、ワンルームや1Kの間取りのマンションばかりが建設されると、地域において若い単身者向け以外の賃貸住宅が不足してしまいます。

  1. 戸数優先でマンションが建築されるのを抑止する狙いがあるんだね。

以下は、東京都で施行されているワンルーム条例の一例です。

地域対象規模内容
北区地階を除く階数3以上かつ住戸数15戸以上の共同住宅専用面積40㎡未満が30戸超
⇒占有面積55㎡以上の住戸を(総戸数-30)×1/2以上設けること
新宿区地階を除く階数3以上の共同住宅、寮及び寄宿舎で30㎡未満の住戸が10戸以上ワンルームマンションで総戸数30超
⇒専用面積40㎡以上の住戸を(ワンルーム住戸数-29)×1/2以上設けること
世田谷区①住戸専用面積が40㎡以上の住戸数20以上の共同住宅等
②延べ面積が1,500㎡以上
③住居系・準工業地域内で階数3以上でワンルーム住戸数12以上
④商業系地域内で階数3以上でワンルーム住戸数15以上
延べ1,500㎡以上のワンルームマンションで総戸数30超
⇒専用面積40㎡以上の住戸を(ワンルーム住戸-30)×1/2以上設けること
中央区住宅数10戸以上専用面積が40㎡以上の住戸の床面積の合計を住宅用途床面積の1/3以上にすること

活用事例:設備の充実!おしゃれなワンルーム鉄筋コンクリートの賃貸マンション

エリア愛知県
土地面積(㎡)999.69
延べ床面積(㎡)24.82
ダークトーンで統一されたデザインです。オートロック、宅配ボックス、浴室乾燥機、コンパクトキッチンなどの設備も付いています。(株式会社ユニホーの土地活用事例)

建築基準に合ったマンションの建築プランを取り寄せよう

建物の建築に関する規制は多岐にわたり、日ごろ建築業に携わっていない土地オーナーが、ご自身で全てを把握するのは難しいです。

土地活用を検討しているときは、まずは建築会社に問い合わせをしてみましょう。建築会社は土地の建築条件を確認した上で建築設計プランを提案してくれるので、スムーズに検討を進められます。

また、長期的に安定したマンション経営を目指すのであれば、複数社に問い合わせて比較・検討した上でマンションの建築プランを決めましょう。建築費を無駄なくかけて、入居者に選ばれるマンションづくりをすることで、高利回りのマンション経営を実現できます

複数の会社のプラン・見積もりを比較したいときは、「イエウール土地活用」の一括見積が便利でおすすめです。お家にいながら、賃貸マンション建築の実績豊富な企業に一括で見積もり依頼ができます。

建築会社と工事請負契約を結ぶまでは費用は一切発生いたしませんので、以下のフォームから是非、お気軽にご利用ください。

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