アパート経営は初期費用として高額な建築費がかかるだけでなく、経費もかさみます。少しでも費用の負担を軽減できるように、国や自治体の補助金や支援制度を活用できないか確認してみましょう。
アパート建築にかかる費用を抑えられれば、賃貸経営の利回りを上げられます。
ただし、補助金の支給はさまざまな条件によって制限されるため、ご自身のお住まいや建築予定地の自治体の制度を事前にしっかり確認しましょう。
アパート建築時に使える補助金・税制優遇【一覧】
2024年現在、省エネ化・低炭素化やバリアフリーを目指した物件であれば、国や自治体の補助金等を受けられる可能性があります。申請条件をチェックしてみましょう。
補助金・税制優遇の対象 | おおまかな条件 | 補助金額の目安 |
---|---|---|
地域型住宅グリーン化事業 | 木造の認定長期優良住宅または認定低炭素住宅 | 70~140万円 |
子育て支援型共同住宅推進事業 | 子供の安全・安心に資する住宅を建築する | 戸数×100万円+棟数×500万円(上限あり) |
長期優良住宅認定の特別税額控除 | 認定住宅等への適合 | 適合にかかった費用の10%を所得税から控除 |
解体・建替え | 旧耐震の老朽建築物など(自治体ごとに異なる) | 自治体ごとに異なる |
(※2024年5月時点の情報です。)
賃貸住宅はマイホームとは異なり、生活に欠かせないものではないため、利用できる補助金制度は限られています。
補助金の受給には申請が必要で、申請が採択された場合に支給されます。必ずしも受給できるとは限らないこと、また申請された補助金額が予算の上限に達すると申請の受付が終了することに注意が必要です。
期限付きの施策が多く、年度によって対象の条件や補助金額が異なることもあるため、補助金を利用したい方は常に最新の情報を集めるようにしましょう。
アパートの建築費について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
地域型住宅グリーン化事業の補助金
地域型住宅グリーン化事業とは、国土交通省に採択された事業者グループの建築する省エネ性能や耐久性の高い木造住宅を対象に、補助金が交付される制度です。
賃貸住宅の場合は、指定事業者施工の「認定長期優良住宅」または「認定低炭素住宅」の建築が対象となります。
以下は、長期優良住宅に認定される住宅機能の基準です。
(引用元:補助対象住宅について|地域の住まいづくりのお手伝い~地域型住宅グリーン化事業採択グループのご紹介~)
受給できる補助金額は、補助対象経費の10分の1以内で、認定長期優良住宅が140万円、認定低炭素住宅が90万円が上限です。ただし、満たしている省エネ水準や、施工業者の過去の実績に応じて上限額は変わります。
補助金の対象となる施工業者のグループは、以下から検索できます。
リンク:「地域の住まいづくりのお手伝い 地域型住宅グリーン化事業採択グループのご紹介」
子育て支援型共同住宅推進事業の補助金
子育て支援型共同住宅推進事業とは、子供が安全・安心に暮らせるように事故防止や防犯対策が取られていて、居住者同士が交流機会を持てるような共同住宅の新築・改修に対して補助金を支給する制度です。
共同住宅を新築する場合、子どもの安全確保に資する設備の設置工事と、居住者間の交流を促進する施設(キッズルームや集会室、プレイロットなど)の設置・整備工事に対して、補助金が支給されます。
他にも、小学生以下の子供を養育する世帯に限定して入居者募集を行うこと、住戸部分の床面積が40㎡以上であること、住宅が省エネ基準を満たしていることなどの要件を満たしている必要があります。
補助金額の上限は、「補助対象工事費の10分の1」または、「戸数×100万円+棟数×500万円」のいずれか小さい方の金額です。
詳しい条件については、以下のホームページをご覧ください。
リンク:子育て支援共同住宅サポートセンター「子育て建設型 補助事業内容」
認定長期優良住宅の特別税額控除
認定長期優良住宅の特別税額控除とは、個人が「認定長期優良住宅」の条件を満たす住宅を新築または取得したときに、認定基準に適合するためにかかった費用の10%相当する金額を、その年の所得税額から控除できるという税制優遇措置です。
認定長期優良住宅以外にも、「認定低炭素住宅」や「特定エネルギー消費性能向上住宅」にも、適合にかかった費用の10%分の税控除を受けられます。
なお、基本的には個人の自宅を対象としている税制優遇措置であるため。賃貸住宅の場合は「居住部分が全体の床面積の50%以上の賃貸併用住宅」が適用対象となります。
リンク:国税庁「No.1221 認定住宅等の新築等をした場合(認定住宅等新築等特別税額控除)」
解体・建替えに関する助成金
自治体によっては、既存住宅の解体工事(除却工事)や建替え工事に助成金交付しています。
また、建物の耐震化に関するコンサルタントを無料で派遣して、現地調査や相談を行っている自治体もあります。
建築予定地に古家や古いアパートなどがあり、解体してからアパートを新築する予定の方は、助成制度や支援制度の適用を受けられる可能性があるため、チェックしてみましょう。
賃貸住宅でも適用できるか、築何年の建物なら適用を受けられるかといった制度の適用要件、助成金の交付額は自治体によって異なります。物件の所在地の自治体の窓口に問い合わせたり、HPを閲覧して確認しましょう。
よくある注意点としては、古い家屋の解体工事の契約・施工前に助成金の適用申請を行わなければなりません。
自治体に既存の建物の状態を確認してもらう前に解体してしまうと、助成対象ではなくなってしまうため、気をつけましょう。既存住宅の建て替えを検討している方は、以下の記事もご参照ください。
その他自治体ごとの補助金・助成金
その他にも、各自治体が独自に設けている補助金や助成金の制度があります。
たとえば、がけ・擁壁の補修工事や、ブロック塀の撤去工事、セットバック工事、太陽光発電や再生可能エネルギーの導入など、補助・助成の対象は多岐にわたります。
次章では、実際に自治体が設けている補助金の一部をご紹介します。
建築費を適切に抑えながら賃貸アパートを建築したい方は、是非とも複数の企業のプランを比較して検討しましょう。
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自治体ごとのアパート建築向け補助金・助成金の例
この章では、自治体が独自に交付している補助金・助成金についてご紹介します。
- 【杉並区】エコ化設備・補助機器設置への助成
- 【新宿区】太陽光発電システム・LED照明設置への助成
- 【大阪府】建替え検討支援
- 【東京都】建替え改修アドバイザーの利用支援
- 【東京都】クールネット東京の省エネ対策事業補助・助成
- 【長野県信濃町】民間賃貸住宅建設補助
(2024年5月時点で実施されている制度)
ご紹介している以外にも、補助金・助成金を交付している自治体はあります。建築予定地で利用できる補助金・助成金制度を探したい方は、次章「自治体ごとの補助金・助成金の見つけ方」をご参考にしてください。
【杉並区】エコ化設備・補助機器設置への助成
東京都杉並区では、区民の人が区内の建物に再生可能エネルギー機器を導入したり、断熱改修等省エネルギー対策となる設備・機器を導入する際の費用に対して、助成金を交付しています。(令和7年1月31日まで)
賃貸住宅新築時に利用できる対象設備・機器は以下の通りです。
▼再生可能エネルギー機器
- 強制循環式ソーラーシステム
- 自然循環式太陽熱温水器
- 太陽光発電システム
- 定置用リチウムイオン蓄電池
▼断熱改修等省エネルギー対策設備・機器
- エコキュート等
- 家庭用燃料電池(エネファーム)
- 雨水タンク
- 断熱フィルム
- 節水シャワーヘッド
国や東京都の補助・助成制度と併用が可能です(助成金の合計額は、対象機器の設置にかかる経費まで)
杉並区内での賃貸住宅の建築にあたって、対象設備・機器の導入を検討している方は、助成金の交付申請も忘れずに行っておきましょう。
機器の種類によって申請時期が異なるため、詳しくは区のHPにてご確認ください。
また、太陽光発電システムへの助成は、新宿区や豊島区など都内の他の区でも実施しています。
【大阪市】老朽化住宅の建替えへの補助
大阪市では、市内の一部地域で古いアパートや長屋をマンション・アパート等に建て替える際に、設計費や解体費用、共同施設整備費の一部を補助しています。
補助制度の対象地域は、以下の地図画像の青塗り部分のエリアです。
(画像引用:大阪市「建替建設費補助制度(集合住宅への建替え)」)
補助の対象となる建築物は「昭和56年5月31日以前に建てられた住宅」です。(旧耐震基準の住宅)
また、建替え後の住宅は以下の要件を満たしている必要があります。
- 敷地面積:100㎡以上
- 階数:3階建て以上(単独建替で100㎡~200㎡未満の場合は階数は問わない)
- 住戸規模:35㎡以上120㎡以下/戸(小規模住宅の場合は18㎡以上)
- 空地・緑地の整備:接道部の周辺に敷地面積の5%以上の空地(緑地含む)を整備すること
注意点として、必ず工事契約前に補助金の交付申請をする必要があります。他にも詳しい要件は、市のHPでご確認ください。
また、建替え建設費の補助金以外にも、解体費用やセットバック費用の補助制度もあるため、対象地域で築古アパート・長屋を建て替えたい方は、合わせてチェックしてみてください。
【東京都】建替え・改修アドバイザーの利用支援
東京都台東区・江東区では、マンション建替え・改修アドバイザー制度を利用する賃貸マンションの所有者(個人)に対して、助成制度を設けています。
マンション建替え・改修アドバイザー制度とは、マンションの建替え・改修を検討するに際に、専門家の情報提供やアドバイスを受けられる制度です。東京都が都内のマンションの適切な管理・再生を支援するために実施しています。
建替えや改修に関する基礎知識の説明を受講できる入門コース(Aコース)と、建替えか改修かの比較検討のために具体的な検討書を作成してもらえるコース(Bコース)があります。
台東区ではBコースの一部内容に関する派遣料を全額補助、江東区ではA・Bコースの派遣料を全額補助しています。
既存の賃貸物件について、改修で対処するべきか、建替えを行うべきか悩まれている方は、利用してみてください。
参考リンク:東京都マンションポータルサイト「マンション建替え・改修アドバイザー制度」
【東京都】クール・ネット東京の省エネ対策事業補助・助成
東京都では、省エネ対策に関する各種事業の実施に対して、補助金や助成金を交付する制度を設けています。
たとえば、太陽光発電システムや蓄電池、エコキュート・エネファームの導入、住宅の断熱化の促進事業などが補助の対象となっています。
個人が所有する集合住宅についても使える制度があるため、クール・ネット東京のHPで確認してみましょう。
参考リンク:クール・ネット東京「補助金・助成金」
【長野県信濃町】民間賃貸住宅建設補助
長野県信濃町では、町内に賃貸住宅または立地企業の従業員宿舎を建設する人に対して、最大1,500万円まで補助金を交付しています。
要件を満たすことで、建設業者が町内企業の場合は1,500万円を限度に「専有面積の合計×4万円」、町外企業の場合は1,200万円を限度に「専有面積の合計×3.5万円」の補助金を受けられます。
参考リンク:信濃町「民間賃貸住宅建設に最大1500万円を交付します」
また、同県の佐久穂町でも、1戸あたりの床面積に応じて賃貸住宅の建設に補助金を交付しています。
参考リンク:佐久穂町「民間賃貸住宅建設補助金について(R6.1改正)」
アパートを建築する可能性が出てきたら、複数の企業の建築費用の見積もりを比較しましょう。
アパートの建築費用は設計や工法によって大きく異なり、企業によって収益が1,000万円以上変わることもあります。
建築費がいくらなら収益性の高いアパート経営ができるのか、気になるところを建築会社に相談してみましょう。
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\建築費は?初期費用は?/
活用事例:北新宿の活用事例
エリア | 東京都 |
土地面積(㎡) | 168.95 |
延べ床面積(㎡) | 271.25 |
工法 | 木造2×4工法 |
建築費用(円) | 8,000万 |
(住友不動産株式会社の土地活用事例)
自治体ごとの補助金・助成金の見つけ方
ご自身の物件の所有地、または建築予定地の所在する自治体で、ご紹介してきた補助金・助成金の類似制度がないか、気になる方も多いでしょう。
利用できる制度があるかどうか確かめるには、市町村のHPの「住まい」や「産業・仕事」に関するページを閲覧してみましょう。(自治体によって、情報の区分が異なります。)
また、検索エンジンで「○○(市町村名) 賃貸住宅建築 補助金」「○○(市町村名) エコ住宅 補助金」などのキーワードで検索して、支援制度を説明するページを見つけることもできます。
補助金・助成金は期限が設けられているだけでなく、年度によって申請方法や条件が変更されていることがあるため、土地活用の計画をされている方は、年度ごとに確認するのがおすすめです。
また、使える補助金・助成金を簡単に知りたい方は、アパート建築のプランをハウスメーカーや建築会社に相談する時に「補助金を利用したい」旨を伝えておくことで、担当者に調べてもらうこともできます。少しでも費用が抑えられないか、是非相談してみましょう。
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アパート経営中に使える補助金
補助金制度には、アパート建築時だけでなく、アパート経営をする中で利用できる可能性のあるものもあります。この章では、2024年時点における各種補助金制度をご紹介します。
- 住宅省エネ化事業の補助金
- 耐震診断に関する補助金
- リフォームに関する補助金
- セーフティネット登録住宅への補助金
事業への補助・助成制度は、社会問題の解決を促すために制定されます。そのため、今後アパート経営を続ける中で、新しく補助金が創設されることもあるでしょう。
アパート経営を開始したら、国や自治体の住宅政策を定期的にチェックすることをおすすめします。
住宅省エネ化事業の補助金
国は、低炭素化の目標達成に向けて、住宅を省エネ化するための様々な取り組みを支援しています。
2024年現在、「住宅省エネキャンペーン」として、以下の事業に補助金を支給しています。
- 子育てエコホーム事業
- 先進的窓リノベ事業
- 給湯省エネ事業
- 賃貸集合給湯省エネ事業
以上4つの事業の補助金は、補助対象が重複しない場合は併用することができます。また、自治体の補助制度とも併用可能です(国費が充当されているものを除く)
詳しくは、以下のホームページをご覧ください。
耐震診断に関する補助金
全国の多くの自治体で、耐震診断や補強設計、耐震改修工事を行う際にかかる費用の補助制度が設けられています。
自治体や年度によって条件は異なりますが、数万円から数百万円もの補助金を受給できるケースもあります。
補助金制度の利用にあたっては、各自治体の窓口に相談する必要があります。
築年数の経過した住宅のリフォームや建て替えを検討する際には、利用してみましょう。
リフォームに関する補助金
以下の内容に関するリフォーム工事への補助金制度が自治体ごとに設けられています。
- 長期優良住宅化リフォーム工事
- 省エネ化工事
- 太陽光発電設備設置工事
- バリアフリー化工事
- 耐震補強工事
- 見守り機器設置工事
補助金制度の有無や適用要件、補助金額は、自治体によって異なります。
セーフティネット登録住宅への補助金
セーフティネット登録住宅とは、国の「セーフティネット制度」にて提供される住宅に登録された民間の賃貸住宅のことです。
セーフティネット登録住宅は、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯といった「住宅確保要配慮者」に入居があっせんされます。入居者は国から家賃の補助を受けるため、家賃滞納リスクが低いというメリットもあります。
セーフティネット登録住宅には、一定の基準が設けられています。賃貸住宅を登録するにあたって改修工事が必要な場合は、改修費用に補助を受けられます。
補助金の支給対象となる工事は、バリアフリー化工事、防火・消化対策工事、耐震改修工事、断熱改修工事、子育て世帯対応改修工事などです。
住戸ごとにセーフティネットへの登録を指定することもできるため、経営している賃貸住宅の入居率が落ちてきた場合などに、利用を検討してみるとよいでしょう。
参考リンク:国土交通省「住宅セーフティネット制度について」
認定住宅等を建築するメリット
認定長期優良住宅や認定低炭素住宅などの適合基準を満たすような建物を建てるには、通常よりも高いコストがかかります。
場合によっては、補助金の受給額を建築費の増加分が上回ることもあるでしょう。結果的に初期費用が増えると利回りが下がり、黒字化までの年数がかさむことになります。
しかしながら、補助金を受給できる以外にも、認定住宅等を建築するメリットはあります。ここでは以下のメリットについて、簡単に解説します。
- 税金の軽減措置を受けられる
- 寿命の長いアパートを建てられる
- アパートの付加価値を高められる
税金の軽減措置が受けられる
認定住宅等を建築した場合、各種税金の軽減措置を受けられます。
- 不動産取得税の軽減
- 登録免許税の軽減
- 固定資産税の軽減
不動産を取得した際には、不動産取得税がかかります。不動産取得税はアパートの床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下の場合は、1,200万円の控除を受けて税額の計算が可能です。長期優良住宅の場合は、控除の金額が1,300万円となるため、より高い節税効果が期待できます。
建物を新築した際には、所有権の保存登記を行います。所有権の保存登記は、新築住宅だと「不動産価額×0.4%」で計算しますが、長期優良住宅だと税率が下がり、「不動産価額×0.1%」です。
床面積が50平方メートル以上、280平方メートル以下の長期優良住宅は、一戸建てで5年間、マンションで7年間固定資産税が2分の1に減額されます。補助金だけではなく、税金面での優遇が多い点も、長期優良住宅の魅力です。
寿命の長いアパートを建てられる
補助制度の対象に適合する認定住宅は、住宅の耐久性能も保証されています。
木造の賃貸住宅の法定耐用年数は22年ですが、これは建物そのものの寿命を表すものではありません。元々の品質の高い建物が適切に管理されていれば、法定耐用年数を超過しても、住宅としての性能を維持できます。
長期にわたってアパート経営を続けたい方は、建築費や設備費用に投資して長持ちする住宅を建てるという選択も検討してみてください。
アパートの付加価値を高められる
環境に配慮した省エネ住宅や低炭素住宅は、入居者へのアピールポイントにもなります。
ただし、アパートの付加価値が効果を発揮しやすいのは、賃貸住宅の需要も供給も多い地域の物件です。
そもそも賃貸需要が低い地域では高い賃料設定のアパートへの客付けは難しく、競合物件が少ないエリアでは付加価値がなくても入居を期待できます。
また、アパートの家賃相場は周辺物件の家賃の影響を受けるため、増額した建築費を賃料に価格転嫁できるとは限らないことには気をつけなければなりません。
アパートを補助金なしで建築するポイント
補助金を受給しなくても、コストを抑えたアパートの建築は可能です。
この章では、建築費用を抑えて利回りの高いアパートを建築するためのポイントをご紹介します。
坪単価の安い工法でアパートを建築する
木造や鉄骨造など、坪単価の安い工法で建築すると、費用は節約しやすいです。鉄筋や鉄骨鉄筋コンクリート造は性能が優れていますが、その分建築コストは高いため、多額の資金が必要です。建物構造によっては安価で建築も可能なため、予算に合わせて工法を選びましょう。
ただし、建築コストが安いと、基本的には家賃設定も低くなります。木造と鉄骨鉄筋コンクリート造では、鉄骨鉄筋コンクリート造のほうが家賃設定は高くなるため、安さだけではなく、将来的な利益も考慮して決めることが大切です。
複数の建築プランを比較してから業者を決める
建築プランは複数のハウスメーカーや工務店に相談し、それぞれが提案するプランを比較して決めることが大切です。同じ条件で建築を依頼しても、業者によって提示する工事内容や金額が異なる場合があります。
そのため、複数社で比較したほうが、より最適なコストで建築してもらえる業者を、スムーズに探せます。業者を選ぶ際には建築費用の安さはもちろん、工事内容の詳細が表示されているかや、建築後の管理体制が整っているのかなども考慮しておきましょう。
こだわりを捨てて割り切った設計にする
できるだけシンプルな内装や外装で設計したほうが、建築コストは下がります。間取りや導入する設備をこだわると、その分コストは高くなるため注意しましょう。シンプルな設計で、入居者があまり気にしない設備をカットして建築すると、安価でアパートは建築できます。
例えば、建築費が2000万円であればローコストアパートに分類されます。
現実的な事業計画を立てて融資を受ける
資金を捻出するには、不動産投資ローンやアパートローンを受けることがおすすめです。ローンを利用する際には、現実的な事業計画を立て、収支がどれくらい出るかも念入りにシミュレーションしておくことが大切です。
事業用のローンは住宅ローンとは違い、勤務先や勤続年数、年収などの個人の属性だけではなく、アパートの収益性が審査で見られます。そのため、収益性の高いアパート建築プランがあり、事業計画も念入りに練られているなら、融資を受けやすいです。
事業用のローンは住宅ローンよりも金利が高いため、融資を受けるなら返済に負担がないかをチェックし、無理のない範囲で借入をしましょう。
「イエウール土地活用」の一括見積なら、複数の大手ハウスメーカーにアパートの経営プランを相談することも可能です。建築プランの見積もりを比較することで、収益性の高いアパート経営を目指しましょう。
\建築費は?初期費用は?/
※工事請負契約を締結するまでは、無料でご利用いただけます。
アパート建築費を抑えるなら補助金受給より節約に力を入れる
アパート建築時や建替え時には、国や自治体の補助金・助成金制度を確認し、適用要件を満たす場合は是非とも活用しましょう。補助金や助成金を受給することで、初期費用を軽減できる可能性があります。
しかしながら、補助金の受給要件に適合するためには、特定の工事や設備の導入が必要となり、費用がかさむケースも多いです。
そのため、金銭面でのメリットを考えるなら、補助金に頼るよりも節約に力を入れることがおすすめです。費用は上手に節約し、必要に応じて補助金を利用しながら、無理なくアパート建築を行いましょう。
また、アパート経営中の修繕やリフォーム工事、耐震診断などにも、補助制度があります。今後も新しく補助制度が創設される可能性もあるため、アパート経営を始めたら、国や自治体の住宅政策を定期的にチェックしてみましょう。