マイホームの購入時に欠かせない住宅ローンですが、さまざまな金融機関が多くの商品を取り扱っているため、どれを選べばいいかわからないと迷ってしまう人は多いのではないでしょうか。
長期間返済しなくてはいけない住宅ローンを選ぶときは、金利の高さだけではなく金利タイプをしっかりと比較し、ご自身の返済スタイルに合ったものを選ぶことが大切です。
この記事では、住宅ローンの金利タイプについて徹底解説します。それぞれのメリット・デメリットを知って、後悔のない借り入れをしましょう。
住宅ローンの金利タイプは3種類
住宅ローンとひとくくりに言っても、実は金利タイプによって3つに分類することが可能です。金利タイプが異なると返済額も大きく変わってくるため、選ぶときは慎重にならなくてはいけません。
まずは、それぞれの金利タイプの概要について見ていきましょう。
固定金利型
固定金利型は、返済期間中の金利が変わらないタイプのローンです。どれだけ金利水準が変動しても、このタイプは金利が固定されていて返済計画が立てやすいですが、金利は高めに設定されています。
近年多くの人に選ばれてる「フラット35」は、固定金利型の商品です。ほかにも、固定金利を採用している金融機関の商品が多く存在しています。
変動金利型
変動金利型は、返済期間中の一定期間ごとに金利が見直されるタイプのローンで、金利は低めに設定されています。多くの場合、半年ごとに金利の見直しが行われ、金利水準が下がれば利息の返済額が減り、上がれば利息の返済額が増えます。
ただし、返済額を半年ごとに変更すると債務者の負担が大きいため、金額の変更は5年ごとに行われることが一般的です。
また金利の見直しで返済額が増えても、最大125%までしか支払額を引き上げられないという規定があります。
たとえば、毎月の支払額が10万円だったとき、どれほど金利が上がっても12万5,000円が支払額の上限になるというわけです。
超過した分の金利は免除されるわけではなく、次回の金利見直し時に繰越となります。
金利が上がれば利息が増えることになるため、支払額に占める元金分が圧縮されてしまい、返済してもなかなか借入額が減らないというデメリットがあります。
固定期間選択型
固定期間選択型は、2年・3年・5年・10年など一定期間の金利が固定され、その後あらためて変動金利と固定金利を選べるタイプです。固定期間選択型は、変動金利型と固定金利型の中間に位置しているので、金利タイプを選べないときの折衷案として選択してもいいでしょう。
ただし、このタイプは125%のルールがないため、固定期間終了後に大きく金利が上がる危険性がある点に注意しましょう。
固定金利型のメリット・デメリット
それでは、ここからはそれぞれの金利タイプのメリット・デメリットについて見ていきましょう。まずは、固定金利型について詳しく解説します。
【メリット】1.金利水準が上がっても返済額が変わらない
最大のメリットは、なんといっても金利水準が上がっても返済額が変わらないところでしょう。借り入れた時点で総返済額が確定して毎月の支払額が完済まで変わらないため、万が一の金利上昇リスクを心配せずに支払いを続けられます。
現在は超低金利時代と言われるほど、低い金利水準が続いています。
しかし、住宅ローンは最長35年間と長い期間支払いを続けるため、この先金利がどうなるかは予想できません。
景気が回復すれば、金利が一気に上がってしまう恐れもあるのです。
必ず金利が上がるという保証はありませんが、万が一金利が上がったときのリスクに備えられるのが、固定金利型の大きな利点です。
【メリット】2.返済計画を立てやすい
利息が一定なので、返済計画を立てやすいというメリットもあります。「毎月これくらいの支払いがある」とわかっていれば収支のバランスを調整しやすいですし、将来的にライフステージが変化しても大きく混乱することはないでしょう。
35年間もあれば、私たちの生活は大きく変わります。
家族が増えて出費が増えるかもしれませんし、定年退職して年金暮らしになっているかもしれません。
変動金利だと、こういった変化があったときに負担が増えてしまい、支払いが苦しくなってしまう可能性があるのです。
固定金利型であれば予想外の出費を防げるため、35年間という長期間でも安心して返済を続けられます。
【デメリット】1.変動金利型よりも金利が高めに設定されている
デメリットは、金利が高めに設定されている点です。参考として、三井住友銀行が取り扱う住宅ローンの金利を見てみましょう。[注1]
変動金利型:0.475%
固定金利型:1.32%
固定期間選択型:1.05%~
このように、固定金利型には変動金利型の2倍以上の金利が設定されていることもあります。
金利が高くなれば支払額は高くなりますし、借り入れ可能額が少なめになってしまうというデメリットがあります。
とはいえ、前項までで紹介してきたように金利水準が今後上がる可能性は十分に考えられるため、一概に「固定金利型は損」とは言えません。
金利水準が上がれば、変動金利型のほうが高い金額を支払うことになることも十分に考えられるでしょう。
【デメリット】2.金利水準が下がっても返済額が下がらない
固定金利型は金利水準の上昇に備えられるという利点がありますが、反対に金利水準が下がったときはその恩恵が受けられないというデメリットに注意が必要です。返済期間中にどれほど金利水準が下がっても、固定金利型では契約当初の金利が適用され続けます。
そのためこのまま低金利が続けば、結果的に損してしまうこともあるかもしれません。
近年は長期固定金利タイプとして、一定期間ごとに金利が下がる「ステップダウン金利」と呼ばれる商品も登場しました。
必要に応じて、こういった商品も活用するといいでしょう。
変動金利型のメリット・デメリット
次に、変動金利型のメリット・デメリットについて見ていきましょう。【メリット】1.当初の金利が低めに設定されている
最大のメリットは、もっとも金利が低めに設定されている点です。先ほど紹介したように、変動金利型は固定金利型の半分以下の金利で借り入れができるケースがもあります。
借り入れ当初の金利が安いため、はじめの頃は支払額を抑えることができます。
ただし、のちのち金利が上がってしまう可能性もあるため、必ずしも変動金利型のほうが返済額が安くなるというわけではありません。
【メリット】2.金利水準が下がったときに返済額が減る
変動金利型は金利水準にともなって適用される金利が変わるため、場合によっては支払額が減る可能性も大いに考えられます。金利が下がったり現在の低金利のまま推移したりしていけば、固定金利型と比べて大幅に返済額を抑えられるでしょう。
金利水準が横ばいのときや下降局面のときに強い金利タイプです。
【デメリット】1.金利が上がると返済額が多くなる
返済額が減る可能性がある反面、金利水準が上がれば返済額が増えるというリスクもあります。実際は125%以上まで金額が増えることはありませんが、支払額が上限額以上になったときに、利息分の支払が増えて元金が減りにくくなるというデメリットがあります。
元金が返済できなくなった分は、次回の支払額変更時に反映されるのが一般的です。
しかし、それでも調整しきれない「未払い分」が出てきてしなったときは、一括で払わなくてはいけなくなるケースもあります。
現実的にここまで金利水準が上がってしまうことはほとんどありませんが、可能性としてゼロではないことを知っておきましょう。
【デメリット】2.返済計画が立てにくい
返済計画が立てにくいのも、知っておきたいデメリットです。金利水準の上下に合わせて支払額が変われば、家計にも大きな影響が出るでしょう。
今は0.5%前後の金利であっても、将来的に2~3%に上がることは考えられます。
たとえば5,000万円の借り入れをして、当初は0.5%の金利、15年以降に3%の金利に見直されたとき、以下のように毎月の返済額が増加してしまいます。
1~15年まで:12万9,792円
15年目以降:16万4,369円
→差額:3万4,577円
125%ルールがあっても、毎月の返済額は16万円を超えます。
毎月3万円も支払いが増えてしまえば、家計の負担はかなり大きくなるでしょう。
金利水準が上がり続ければ、次の見直しでさらに125%まで支払額が増加する可能性もあるため、場合によっては返済額を超える未払利息が発生してしまう恐れがあるのです。
このように、見直しごとに返済額がどう動くかわからないところが大きなデメリットです。
ライフステージの変化に合わせた返済計画が立てられないため、将来的に支払いが苦しくなってしまう危険性があることは理解しておきましょう。
参考:住宅保証機構株式会社|返済額の試算
https://loan.mamoris.jp/repayment.asp
固定期間選択型のメリット・デメリット
最後に、固定期間選択型のメリット・デメリットについて解説します。【メリット】1.一定期間中は金利が固定される
固定期間選択型のメリットは、一定期間中は金利が固定される点です。そのため、契約当初の金利が安いときは、選んでおくとメリットが多いでしょう。
固定期間が終わったあとは固定金利型と変動金利型から好きな方を選べるため、その時点でもっともお得な選択をすることができます。
なお、固定期間が長くなれば長くなるほど金利は高くなる傾向にあります。
固定金利型と変動金利型のいいとこ取りをしたような商品だと考えておけば問題ないでしょう。
【メリット】2.はじめは金利の優遇が受けられる
はじめは金利の優遇が受けられることが多いのも、固定期間選択型タイプの利点です。固定期間選択型は固定金利型と比べると金利が低めに設定されており、さらに「固定期間中は最優遇金利で融資可能」などという言葉で宣伝されている商品もあります。
そのため、定められた期間中は低い金利で返済できる点が大きな特徴です。
なお、全期間で優遇が受けられる金利タイプと、一定期間のみ再優遇が受けられる金利タイプの2つが存在しています。
【デメリット】将来的に金利が上がる
固定期間選択型は、将来的に金利が上がるリスクがある点に注意が必要です。先述したように契約当初は優遇が受けられますが、それ以降は金利がぐっと上がります。
たとえば金利の水準が変わらなかったとしても、当初0.7%だった金利が、固定期間終了後には1.5%まで引き上げられるというケースがあるのです。
また、固定期間選択型には125%のルールがないため、金利が上がればそのぶん支払額も増加してしまいます。
はじめはお得なように見えますが、長い目で見ると損してしまう可能性はあるため、注意が必要です。
希望する際は、固定期間終了後にどれほど金利が上がる可能性があるのかについてしっかりと確認しておく必要があります。
それぞれの住宅ローンの金利タイプが向いている人
住宅ローンには3つの金利タイプがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。金利の話は少し複雑なので、ここまで読んでもイマイチどれを選べばいいかわからないという人もいるかもしれません。
そこで、以下にそれぞれの金利タイプが向いている人の特徴をまとめました。商品を選ぶときは、ぜひ参考にしてみてください。
固定金利型 | ・毎月一定額の支払いを希望する人 ・結婚や出産などのライフステージの変化が予想される人 ・金利の動きにあまり興味がない人 |
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変動金利型 | ・どんどん繰り上げ返済して早く完済したい人 ・共働きで資金に余裕がある人 |
固定期間選択型 | ・どちらにするか選べない人 ・損はしたくないが金利の推移に一喜一憂したくない人 |
金利タイプは、返済額を大きく左右します。「不安が大きい」「自分では選べない」というときは、金融機関やファイナンシャルプランナーなどのプロに相談しながら検討することをおすすめします。
住宅ローンの金利タイプごとのメリット・デメリットを押さえよう
住宅ローンにはおもに3つの金利タイプが存在しており、どれを選ぶかによって返済額が変わります。どのタイプがもっともお得かは一概には言えないため、ご自身が希望する返済スタイルやこれからのライフプランに合わせて、無理なく支払える商品を選ぶことが大切です。また、実際には住宅購入のためには登記費用や司法書士費用、また手付金などの購入にかかる諸費用が別途現金でかかってくるほか、住宅ローン控除などの専門的な知識をベースに資金計画を立てないと損をする可能性があります。
そのため、住宅ローンを組む際は住宅購入のプロに相談しながら資金計画を立てることが必要不可欠です。というのも、実際には住宅購入のためには登記費用や司法書士費用、また手付金などの購入にかかる諸費用が別途現金でかかってくるほか、住宅ローン控除などの専門的な知識をベースに資金計画を立てる必要があるからです。
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