アパート建築では、様々な税金がかかってきます。その総額も決して安くはないため、どんな税金がどれほどかかるのか、いつ支払えばよいのかを把握しておくことが大切です。
「アパートを建てるときにかかる税金のために、いつまでにどのくらい資金を用意しておく必要があるんだろう」といった疑問や不安などを持たれている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、以下の項目について詳しく解説しています。
- アパートの建築後に支払う税金
- アパート建築にかかる税金を減らせるケース
- アパート建築にかかる税金を支払う際の注意点
- アパートの建築契約時に支払う税金
アパート建築にかかる税金についても把握しておき、無理のない資金計画を立てられるようにしましょう。
アパート建築費については以下の記事をご覧ください。
アパート建築にかかる税金
アパートを建築した後に支払う税金は、不動産取得税・固定資産税・都市計画税の3つです。不動産取得税は、アパートを建築したときや土地を取得したときにかかる税金のことで、固定資産税・都市計画税は、土地やアパートを所有している人に対して課される税金のことです。
本章ではそれぞれについて、どんな税金なのか、どれほどかかるのか、どんなタイミングで支払うかなどの観点から詳しく解説していきます。
不動産取得税
不動産取得税とは、アパートを建築したときや土地を取得したときにかかる地方税のことです。
所得税や固定資産税とは違い、建築をした年に一回だけ課税されます。相続した場合を除き、不動産を無償で譲り受けたとしても、不動産取得税は発生します。
この不動産取得税は、取得した不動産の価格(標準課税額)に4%(3%)の税率がかかった金額を納税します。
ここで用いられる標準課税額は、アパート建築費の50~60%になることが多いです。また、2024年3月31日までにアパートを建築すると税率が4%から3%に軽減されます。
これをもとに、建築費8,000万円、標準課税額60%で不動産取得税を求めると(8,000万円×60%)×3%=144万円となります。
固定資産税・都市計画税
固定資産税・都市計画税とは、所有している土地やアパートに対して、毎年1月1日に課税される地方税のことです。都市計画税については、土地が都市計画区域でなければ支払う必要はありません。
不動産を所有している人が納税義務者になり、土地やアパートの固定資産税評価額に1.4%の税率をかけた金額を納税します。都市計画税の税率は、同じく固定資産税評価額に0.3%をかけた金額となります。
この固定資産税評価額は、3年に1度、評価替えが行われ、一度決まった評価額は次の評価替えが実施されるまで一定となります。固定資産税評価額は、各市町村が管理している固定資産課税台帳で確認することができます。
また、所有している土地にアパートを建てる場合には、アパート1戸につき200㎡までの土地の固定資産税評価額が×1/6されます。都市計画税では1/3です。
このように、アパート建築では6つの税金がかかります。その総額は、アパートの規模などによっては100万円以上になることもあるので、事前に把握しておくと安心です。
しかし、「税金計算は複雑で結局いくらかかるのか分からない」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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アパート建築にかかる税金を軽減できるケース
不動産取得税を軽減できるケース
アパートの不動産取得税を軽減できるケースは、以下の条件全てに当てはまるときです。
- ①:アパートを新築する場合
- ②:1戸あたりの床面積が40㎡以上240㎡以下である場合
これらの条件を満たすと1戸あたり1200万円の控除を受けることができます。
つまり、6戸のアパートを8,000万円で建築すると(8,000万円×60%-1,200万円×6戸)×3%=0円となり、不動産取得税はかからないことになります。
アパートを建築するということは、必然的に新築アパートとなりますそのため、①の条件は満たします。
一方、②の1戸あたりの床面積については事前に確認が要ります。建築するアパート1戸当たりの間取りによっては、この基準を満たさない可能性があるので注意が必要です。
また、不動産取得税の軽減は1戸ごとに適用されることに注意が必要です。そのため、1戸だけ条件を満たしていないことがあると、その部屋だけ別に計算されてしまいます。
この1戸あたりの延べ床面積について、詳しく解説します。
1戸あたりの延べ床面積が40㎡以上240㎡以下である場合とは
不動産取得税を軽減させるためには、1戸あたり40㎡以上240㎡以下にする必要があります。
では、40㎡以上の部屋とはどのくらいをイメージすればよいのでしょうか。以下に、間取りごとの一般的な広さをまとめました。
- 1R・1K:15㎡~20㎡
- 1DK・1LDK:30㎡~40㎡
- 2LDK:40㎡~60㎡
- 3LDK:60㎡~
つまり、不動産取得税の軽減を受けるためには、最低でも1DK以上の間取りが必要となります。
アパート建築では、1Rや1Kで考えるケースも多いので、プランを確認するときは全ての部屋の床面積が40㎡以上あるかどうかを確認しておくと安心です。
また、この軽減を受けるためには、建物を取得した日から60日以内に各都道府県税事務所に申告する必要があります。
固定資産税を軽減できるケース
アパートの固定資産税を軽減できるケースは、以下に条件全てに当てはまるときです。
- ①:2024年年3月31日までにアパート建てること
- ②:居住部分がアパート全体の床面積の1/2以上であること
- ③:1戸あたりの床面積が40㎡以上240㎡以下である
これらの条件を全て満たすと、1戸につき120㎡分を限度に固定資産税評価額が5年間に渡り1/2に減額されます。
アパート建築では、税金だけで100万円以上かかることも珍しくありません。そのため、資金計画を立てる際やプランについて相談する際は今回ご紹介した軽減措置についても考えておくことをおすすめします。
参照:[東京都主税局]:[固定資産税・都市計画税(土地・家屋)]
アパート建築にかかる税金を支払う際の注意点
アパート建築し安定した経営を続けるために、税金を支払う際の3つの注意点について解説します。
税金はローンで賄えない
アパート建築において、ローンを組まれる方は多くいらっしゃるでしょう。
しかし、税金分までアパートローンで賄うことはできないと考えておいた方がよいでしょう。そのため、いつどんな税金が必要になるのかを把握することが大切です。
建築費によっては、税金だけでも100万円以上かかります。支払う段階になって資金が足りなくなる可能性も考えられますので、あらかじめ税金用として資金を用意しておくと安心できます。
内容や金額を記録する
アパート建築にかかる税金は、全て経費として計上することができます。そのため、税金を支払う際はその名称や金額、証明書などを必ず記録しておくようにしましょう。
経費を漏れなく計上し節税をすることで、アパート経営の収支を安定させやすくなります。
期限内に支払えるようにしておく
アパート建築後に支払う不動産取得税や固定資産税には、当たり前ですが支払期限があります。
不動産取得税の納税期限は、各自治体によって変わります。多くの場合、アパート取得後3ヶ月後~半年後までの間で支払います。固定資産税と都市計画税は、6月・9月・12月・2月の年4回に分けて支払うことになります。一括で支払うこともできますので、必要に応じて検討すると良いでしょう。
特に、不動産取得税は100万円以上かかる場合もあるので注意が必要です。
アパートの建築契約時に支払う税金
アパートを建築する際に建築会社と契約を行いますが、その時に支払う税金は、以下の3つです。
- 登録免許税
- 印紙税
- 消費税
それぞれ詳しくみていきましょう。
登録免許税
登録免許税とは、土地やアパートを取得時の保存や移転登記にかかる税金のことです。
また、アパート建築のために銀行から融資を受けるとその人の土地や建物が抵当権となり、それを保存するときにも登録免許税がかかります。
所有権の保存・移転登記では、課税標準額に0.4%の税率をかけた金額となります。抵当権の保存登記では、借入金に0.4%の税率をかけた金額がかかります。
印紙税
印紙税とは、アパート建築をするときに作成される契約書や書類に対して課税される税金のことです。
令和4年3月31日までに作成された建設工事請負書類は、以下の金額の収入印紙を貼り付けます。
記載された契約金額 | 税額 |
---|---|
1千万円を超え5千万円以下 | 1万円 |
5千万円を超え1億円以下 | 3万円 |
1億円を超え5億円以下 | 6万円 |
5億円を超え10億円以下 | 16万円 |
印紙税は、契約書や書類に収入印紙を貼って消印(割印)することで納税できます。
消費税
アパートを建築した場合、建築時に発生する人件費や建築資材などに消費税の10%が発生します。
アパートの建築費には多額の費用がかかるため、消費税の負担はかなり大きいものとなってしまいます。
アパート建築でかかる税金は減らすことができる!
アパートを建築すると、不動産取得税・固定資産税・登録免許税・印紙税・消費税がかかります。これらの税金を合わせると、その総額は100万円以上になるケースも珍しくありません。
不動産取得税や固定資産税は、条件を満たせば大きく節税させることができるので、積極的に検討することがおすすめです。
また、アパート経営の経費として計上できるため、所得税の節税につながります。支払った税金を記録を残しておき、確定申告の際にもれなく計上できるようにしましょう。
記事のおさらい
活用事例:Afit(戸建賃貸)
エリア | 広島県 |
土地面積(㎡) | 300 |
延べ床面積(㎡) | 233.1 |
工法 | 木造在来 |
建築費用(円) | 3,000万 |