土地活用としてアパートの経営を検討しているなら、建設費用についての理解を深めておく必要があります。建設費用の相場を把握しておくことで、経営開始にどれくらいのコストがかかるのかがわかります。
また、建設費用は工夫次第で安く抑えることも可能です。アパート建設にかかる費用やコストの上手な抑え方を知り、アパート経営を成功させましょう。
アパート建築について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
アパート建設にかかる費用の内訳
アパート建設にかかる費用の内訳としては、次のものがあげられます。
- 建物本体の工事費用
- 電気やガスなどの付帯設備の工事費用
- ローンの手数料や税金などの諸費用
それぞれどのような費用なのかを把握し、建設費用の基本について理解していきましょう。
建物本体の工事費用
アパート建設にかかる費用の大部分が建物本体にかかる工事費用になります。本体の工事費用は「延べ床面積×坪単価」で計算できます。坪単価はアパートの構造だけではなく、地域によっても異なる場合が多いです。基本的には都心部ほど高く、地方など郊外のエリアのほうが坪単価は安くなります。
電気やガスなどの付帯設備の工事費用
アパートに付帯する設備の工事にも費用がかかり、付帯設備の工事内容としては次のものがあげられます。
- 電気やガスの工事
- 給排水工事
- 冷暖房工事
- 消火・排煙・汚物処理の設備や煙突工事
- 昇降機の取り付け
- 避雷針の設置
付帯設備の工事費は、アパート本体工事費の10~20%程度が相場です。
アパート建築費シュミレーター
新築アパートを建築する際は、アパート本体(躯体)、仕上げ、設備それぞれに建築費用がかかってきます。
試算条件を入力していただくと過去の建築事例をもとに、建築する際の概算費用を試算することができます。
試算条件を入力し、「この条件でシュミレーションする」をクリックしてください。 予想建築費が、画面下部に表示されます。
坪数
坪
建ぺい率
%
容積率
%
未記入(不明)の場合は建ぺい率60%、容積率200%で自動試算
土地所在地
構造
坪単価
万円
<参考>構造別坪単価
木造 : 坪単価 73万円
軽量鉄骨造 : 坪単価 125万円
重量鉄骨造 : 坪単価 108万円
鉄筋コンクリート造 : 坪単価 108万円
予想建築費 万円
内訳
(坪数 × 建ぺい率 × 容積率) × 構造別の坪単価*1 = 予想建築費
*1 構造別の坪単価は、建築着工統計調査 住宅着工統計 第34表中の 「共同住宅」における「工事予定額」に基づいています。
- 本当にシュミレーション通りの建築費用で建てられるかな?
実際の建築費用の見積もりは坪数やアパートの材質だけでなく、建築会社の工法や設備のグレードによって大きく変動します。
建築費用の見積もりをとる際は、複数の建築会社で相見積もりをおこなって比較・検討をしましょう。
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ローンの手数料や税金などの諸費用
アパート建設では、税金やローンを組む際の費用など、さまざまな諸費用がかかります。諸費用としては、次のものがあげられます。
- アパートローンの手数料
- 地鎮祭や竣工式などの祭典費
- 印紙税などの税金
- 工事中にトラブルが起きた場合の対応費用
- 広告や看板の作成・設置費用
- 登記費用
- 保険料
これらの費用は、アパート本体工事費の5~10%程度が相場です。
\建築費は?初期費用は?/
活用事例:My Style ①
アパートの建設費用の相場
アパートの建設費用の相場は、建物の構造によって異なります。そのため、建設費用を正しく理解するには、構造別の相場を知っておくことが大切です。
- 木造
- 鉄骨造
- 鉄筋コンクリート造
構造別の費用の相場だけではなく、特徴の違いも含めて把握しておきましょう。
木造の場合
木造アパートの坪単価は、50万~70万円程度が相場です。木造のメリットとデメリットは、次のものがあげられます。メリット | デメリット |
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木造は単価が安いだけではなく、他の構造よりも短い工期で完成するため、建設費用が安い点がメリットです。ただし、構造上高層化ができず、2~3階程度の低層アパートに限定されるデメリットがあることは覚えておきましょう。
鉄骨造の場合
鉄骨造の坪単価は60万~90万円程度であり、メリットとデメリットは次の通りです。メリット | デメリット |
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木造と比較すると、耐震性や耐久性は鉄骨造のほうが高いです。また、鉄筋コンクリート造と比較すると、建設費用が安く抑えられる点もメリットでしょう。
デメリットは他の構造よりも耐火性や遮音性が劣ることです。短工期で完成するものの、他の構造よりも性能が劣る面もあることは理解しておく必要があります。
鉄筋コンクリート造の場合
鉄筋コンクリート造の坪単価は、80万~120万円程度です。他の構造と同じように、メリットとデメリットの両方があります。メリット | デメリット |
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耐震性や耐久性、遮音性などは他の構造よりも鉄筋コンクリート造のほうが優れています。また、頑丈な構造であるため大規模な建設も可能であり、10階程度の中高層アパートも建設できる点もメリットです。
坪単価は鉄筋コンクリート造がもっとも高いため、建設費用が高くなる点はデメリットです。また、大規模な工事になることも多く、完成までの工期が長くなることも、デメリットとしてあげられます。
アパートの建設費用が相場よりも高くなるケース
建設内容によっては、費用が相場よりも高くなるケースもあります。
- 高い仕上げ材を使用した場合
- 部屋数を増やした場合
- 設備を豪華にした場合
上記の3つに該当する場合は相場よりも費用が高くなるため、コストを抑えて建設したい人は注意しましょう。
高い仕上げ材を使用した場合
アパート建設費用の40%は材料費であるため、高い仕上げ材を使用すると、建設費用は高くなります。高価な仕上げ材の例としては磁器質の大判タイルがあり、これを玄関に設置するなど細部にこだわると、建設費用は高くなりやすいと考えましょう。
部屋数を増やした場合
部屋数を増やすと建設作業が増えるため、費用は高くなりやすいです。また、1部屋あたりの広さも狭くなるため、部屋の魅力も低下しやすい点には注意が必要です。
部屋数が多いほど収益性は高くなり、満室時にはより多くの家賃収入を得られますが、反面初期費用が高くなったり、アパートの魅力自体は下がってしまったりすることは理解しておかなければなりません。
設備を豪華にした場合
アパートに導入する設備を豪華にした場合も、建設費用は高くなります。例えば内装を豪華にしたり、室内に高性能のエアコンや浴室乾燥機などを導入したりすると、コストは高額になりやすいです。設備が多いほど入居者の満足度は上がりますが、その分建設コストが高くなることは覚えておきましょう。
費用が高くなりにくい土地活用や低コストで始められる土地活用を知りたい場合には、こちらの記事もおすすめです。
アパートの建設費用を抑えるには
場合によっては高額になるアパートの建設費用ですが、工夫次第で費用を抑えることも可能です。
- 設計施工一貫方式で工事を発注する
- シンプルな内装にする
- 複数の業者に見積もりを出してもらう
コストを抑える方法を把握して、少しでもお得にアパート建設を行いましょう。
ちなみに、建築費が2000万円であればローコストアパートに分類されます。
設計施工一貫方式で工事を発注する
アパートの設計と施工は別々の業者に依頼するよりも、設計施工一貫方式で同一業者に依頼したほうが費用は安くなります。設計施工一貫方式だと設計費用の節約が可能であるため、特別なこだわりや希望がないなら、設計と施工の業者はそろえておくとよいでしょう。
シンプルな内装にする
内装を豪華にするほど建設費用は上がるため、費用を抑えるにはシンプルなものにすることがおすすめです。シンプルな内装だと、業者で大量生産ができるため、低単価で建設してもらえます。
反対に細部までこだわったオーダーメイドの住宅にすると、単価が高くなって建設費が上がってしまいます。導入する設備なども最低限にしておくことで、建設費用は抑えられるでしょう。
複数の業者に見積もりを出してもらう
アパート建設をする際には、複数の業者に見積もりを出してもらうことがおすすめです。同じ条件や工事内容でも、依頼する業者によってかかる費用は異なります。
そのため、複数社に見積もりを出し、納得できる工事内容でもっとも安い金額を提示した業者に依頼することが、コストを削減するポイントとなります。
アパートの建設費用に関するQ&A
アパート建設を失敗なく行うには、建設に関するQ&Aを参考にして、理解を深めておくことがおすすめです。
- 建設費用の支払い方法は?
- 自己資金はいくら必要?
- 建設費はいくらかけるべき?
疑問点を解消してからアパート建設に取り組むことで、失敗なくアパート経営を行いやすくなります。
建設費用の支払い方法は?
建設費用の支払い方法は、依頼する業者によって異なります。基本的には業者との契約時や着工時、完成時の3つにわけて支払うことが多く、場合によっては3ヶ月程度の短期間での支払いが必要になることもあります。
契約時にも支払いがある場合は、事前に自己資金を用意しておくか、つなぎ融資を利用して資金を集めておきましょう。ローンの審査が通るなら、着工金の支払いは融資額から捻出できることも多いです。
自己資金はいくら必要?
自己資金は多いほどよく、可能ならアパート建設費用全体の30~50%程度の資金があるとよいでしょう。アパート建設にあたってローンを組む場合は、返済比率を50%以下にしておくことがおすすめです。
返済比率とは年間の返済額の総額を、年収で割った割合です。例えば年収が500万円で年間の返済額が250万円なら、返済比率は50%となります。
50%を超えると返済が難しいだけではなく、ローンの審査自体も厳しくなることが多いです。ローンの支払いは長期間続くため、返済比率はできるだけ抑えておくほうが、無理なく完済を目指しやすいでしょう。
建設費はいくらかけるべき?
建設費をいくらかけるべきかは、利回りから逆算して考えることがおすすめです。利回りにはいくつか種類がありますが、基本的には表面利回りが8%以上あると、健全に経営をしやすくなります。表面利回りの計算方法は、次の通りです。
- 全室数の年間収入÷アパートの建設費用×100
上記の式で計算し、表面利回りが8%以上になる金額でアパートの建設費用を設定するとよいでしょう。
ただし、自己資金などによってローンの審査は変わることに注意が必要です。
アパートの建設費用の目安を把握しておこう
アパートを建設するなら、建設費用の目安を把握しておくことが大切です。目安を持っておくと、どれくらいの費用をかけるべきなのか、またいくらくらいコストがかかるのかがわかります。
アパート建設費用は相場がありますが、工夫次第でコストを削減することも可能です。資金計画は念入りに立て、無理なく資金繰りができると判断してから、アパート建設と経営に乗り出しましょう。