アパート経営を計画していて、建築の流れや期間について知りたい人は多いのではないでしょうか。アパート建築の流れや、建築を計画し実際に始めてから工事の完了までにどれくらいの期間を要するかを把握することは、スケジュールを立てるうえで重要になります。
本記事では、アパート建築の流れをステップごとに詳しく解説しています。流れと一緒に期間や建築費用も把握して、スムーズに建築を進めましょう。
アパート経営について詳しく知りたい方には、以下の記事がおすすめです。
アパート建築の流れと期間
アパート建築は以下のような流れで進めていきます。
- 立地調査を行う
- 資金計画を立てる
- 建築会社に相談する
- 建築プランを決める
- 工事請負契約・着工
- 入居者募集
- 竣工・引き渡し
アパートの建築を始めてから竣工・引き渡しまでに階数+1ヵ月ほどかかります。そのため、3階建てのアパートを建築する場合、建物の建築だけで4ヵ月かかる計算になります。
また、アパートの建築プランを決めたり、建築会社に相談する期間を含めると1年半~2年半程度は必要なため、建築スケジュールに余裕を持つことが重要です。
STEP①:立地調査をする
立地調査にかかる期間の目安:2週間~1ヶ月
アパート建築の計画を立て始める前に、まずその土地がアパート建築に適しているのかどうか調べましょう。
周辺の道路の交通量、インフラの整備されているか、周辺住宅や施設の調査、賃貸需要の有無、隣接道路の測量、接道義務を満たしているかどうかなど事前に調査するべきことは多いです。
特に、アパート経営の成功のカギを握るのは、その土地の賃貸需要です。賃貸需要の高い土地であれば、高い収益性が期待できます。また、賃貸需要を持っているターゲット層に合わせた間取りでアパートを建てることで、入居率を高められます。
賃貸需要を見極めるための立地調査のポイントには、以下の4つが挙げられます。
- 最寄り駅から徒歩10分以内か
- 最寄り駅の活性度
- 土地の周辺にある施設
- 土地の周辺にある住宅
賃貸物件の入居者にとって、最寄り駅からの距離や、土地の周辺の利便性は、住む場所を決める上での重要なポイントです。そのため、アパートを建て際るは必ずチェックしておくと良いでしょう。
具体的には、土地の周囲1キロを目安に、学校や病院の他、役所や公園など公共施設の有無について調べます。
また、周辺に企業のオフィスや工場、大学・専門学校などがあれば、勤務している人や学生の賃貸需要を見込めます。
また、周辺のライバルとなりそうなアパートについても調査しておきましょう。実際に見て回る以外にも、賃貸情報サイトで、付近のアパートの家賃や築年数などを確認することができます。
いきなり建築会社に相談するよりも、ご自身でも立地や賃貸需要について把握しておけば、相談内容が濃いものにできるでしょう。
STEP②:資金計画を立てる
資金計画にかかる期間の目安:2週間~1ヶ月
立地調査が終わったら、次は資金面についてプランを立てましょう。
資金計画が甘くならないためには、キャッシュフローを意識することがポイントです。キャッシュフローとは最終的にお財布に残るお金のことを意味します。アパート経営にはさまざまな費用がかかるため、常に一定額以上の資金を手元に残しておけるとベストです。
家賃収入は空室率を想定した状態でシミュレーションしておきましょう。また、アパート経営にかかる費用についても、どのような経費がかかるのか把握しておくことで、シミュレーションの精度を高められます。
アパートの建築資金の調達は、「アパートローン」の借入によって行えます。アパートローンの融資は、以下の基準によって審査されます。
- 申込者の属性(年収・勤務先・勤続年数など)
- 自己資金・保有資産
- 借入債務の返済状況
- アパートの収益性
- アパート(土地・建物)の資産価値
借入可能額の上限額は、一般的に年収の10~30倍と言われています。ただし、建築予定のアパートの担保評価額も、融資額に影響します。
また、借入額の返済比率が高すぎると、空室率が上がったり、家賃滞納が起きてしまったときに、返済が苦しくなってしまうリスクが高くなるため注意が必要です。一般的に、不動産投資において理想的な返済比率は満室時の家賃収入の40~50%と言われています。適切な返済比率になるように借入額を決定しましょう。
なお、自己資金は最低でも建築費用の15%以上が必要で、できれば3割程度準備しておくことが望ましいです。これは、ローン借入時に頭金を求められる以外に、建築時にかかる諸費用を融資が下りる前に支払わなければならないからです。
税金対策のためにアパート建築をするのであれば、税理士や会計士に相談してみるのもよい方法になります。その際は、資産はどのくらいあるのか、相続人は何人いるのかなど細かく情報を伝えることが大切になります。
詳細に建築費を把握し資金計画を立てることは、実際にアパート経営のプランを確認するまでは難しいです。しかし、大まかにでも資金計画を立てることは、現在の収入や資産について把握することにつながります。無理なくアパートを建てて経営を続けるためにも、一度収入状況などを整理しておくこと良いでしょう。
STEP③:建築会社に相談する
建築会社への相談とプラン確認までの期間の目安:1ヶ月~1か月半
立地調査を行い資金計画を立てたら、建築会社に相談します。
立地や資金計画などについて相談しながら、どんなアパートを建てるのかイメージを固めていく段階です。 相談後、担当者はヒアリングした内容もとにアパート建築およびアパート経営のプランを作成します。
アパート建築・経営のプランは通常1週間~2週間ほどで確認することができますが、プランの内容は建築会社ごとで大きく違います。そのため、必ず複数の建築会社に相談しましょう。
また、建築会社によって見積もりの坪単価の算出方法が異なることがあるため、費用の内訳も合わせて確認しておきましょう。
アパート建築にかかる費用は、建築会社や建築プランによって大きな差があります。しかしながら、複数の企業に1社1社問い合わせるのは、手間がかかってしまいます。
「イエウール土地活用」の一括見積を利用すると、簡単に情報入力するだけで、複数の大手ハウスメーカーの見積もりをまとめて請求できます。見積もりはオーダーメイドで、ご自身の土地に建てた場合のアパートの建築費だけでなく、収支計画についても相談できます。
「イエウール土地活用」を活用して、理想のアパートを建ててくれる会社を探しましょう。
\建築費は?初期費用は?/
STEP④:アパート建築プランを決める
アパート建築プランを決める期間の目安:1週間
複数の建築会社からプランを用意できたら、希望や予算、収支シミュレーションからアフターサービスに至るまで細かく確認し、どのプラン(建築会社)で契約をするか決めます。
この段階でのプランはあくまでも仮ですが、設計や費用などは契約後で変更されることは通常ありません。プランを確認する際に出てくる疑問や不安などがあれば、その時点で担当者に確認しておくようにしましょう。
契約後に修正を行う場合でも、費用に大きな変更が生じ予算オーバーとなる可能性もあるので注意してください。
STEP⑤:工事請負契約・着工
建築会社まで決まり、工事が始まればあとはアパートが完成するのを待つだけです。しかし、ただ待つだけではなく、着工する前に近隣住民に工事の概要を説明したり、事故の原因になりかねないものはしっかり表示したりといった配慮が必要です。また業者に任せっきりにせず、工事現場に足を運んでチェックをしておくことがおすすめです。これを行っておくことでもしも工事中のトラブル防止につながります。
STEP⑥:入居者募集を始める
通常、アパート建築が着工してから入居者募集が始まります。竣工と同時に入居者を確保し、収益をスムーズに発生させるためです。
サブリース契約を結んでいる場合は、全て管理会社が行ってくれるので特別何かをすることはありません。自主管理や管理委託の場合は、自分で入居者募集を行う必要性があるケースもあります。この場合、付近の不動産会社などに相談し物件を掲載してもらうと良いでしょう。
スムーズに入居者募集を進めるためにも、あらかじめ家賃や規約などについて考えておくことをおすすめします。
STEP⑦:竣工・アパートが引き渡される
着工から竣工までの期間の目安:アパートの階数+1ヶ月
アパートの建築が完了し、アパートの引き渡しが行われたら、ついにアパート経営が始まります。アパート経営をするに当たって空室対策や入居者とのトラブル対応、建物の維持や管理などやるべきことはとても多いです。
こうした手間を省くために、アパートの管理を管理会社に頼むことがおすすめです。
活用事例:(仮称)ベアーつきみ野
エリア | 神奈川県 |
土地面積(㎡) | 1613.69 |
延べ床面積(㎡) | 895.11 |
工法 | 鉄筋コンクリート造 |
アパートの建築費用と節約方法
本章では、アパートを建築する際にかかる建築費用や費用を抑える方法について詳しく紹介しています。
【坪数・構造別】建築費の一覧
アパートを建てる場合には、土地の広さに応じて建てることができるアパートの規模は異なります。
(※ここでは、建ぺい率を60%としてアパートの建築費用を計算します。)
坪数 | 建築費用 | |||
---|---|---|---|---|
木造 | 鉄骨造 | RC造 | SRC造 | |
30坪 | 3,160~4,240万円 | 4,240~5,320万円 | 5,780~7,400万円 | 7,240~9,140万円 |
50坪 | 5,360~7,100万円 | 7,140~8,900万円 | 9,700~13,000万円 | 12,100~15,300万円 |
70坪 | 7,500~9,900万円 | 9,990~12,460万円 | 13,500~18,200万円 | 16,940~21,420万円 |
100坪 | 10,720~14,200万円 | 14,280~17,800万円 | 19,400~26,000万円 | 24,200~30,600万円 |
木造、鉄骨造、RC造、SRC造の順に頑丈で機能性の高い構造になっていき、建築費用も高くなります。ただ、それほど規模の大きくないアパートの場合だと、木造で建てることも多くなっています。また、非建築系のパートナーに相談すると事業費の3%程費用がかかります。
アパート建築でかかる諸費用
アパート建築では、先ほどご紹介したアパート本体の建築費以外にも諸費用がかかります。以下は、アパートを建てる際にかかる主な諸費用です。
- 設計費
- 土地調査費(測量費・地盤調査費等)
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 司法書士手数料
- 保険料
- ローン手数料
- 水道分担金
これらの諸費用は、アパート本体の建築費に対して5%ほどが目安になります。例えば、アパートの建築費が7500万円であれば、350万円が諸費用の総額目安ということになります。
今回ご紹介した諸費用は、アパートを建てるのであれば必ず必要になりますので、資金計画を建てる際は忘れずに含めるようにしてください。特に、水道分担金は100万円以上かかることも多いので注意が必要です。
アパートの建築費用を簡単に抑える方法
アパート建築には多額の費用がかかりますが、建築費を抑える方法はいくつかあります。
各部屋のスペックを統一する
各部屋の間取りや設備、内装に使う素材などを統一させることで、設計時や建築時の効率がよくなり建築費を抑えることができます。
また、間取りについては全部屋統一させることでより多くの戸数を用意することができるでしょう。そのため、収益性も高めることができるというメリットがあります。
木造で建てる
アパート建築で使われる構造には、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の3つがあります。このうち、最も坪単価が安く建築費を抑えることができるのは木造です。特にこだわりがない限りは、木造でアパートを建てると費用を抑えることができます。
しかし、「木造だと他の構造に比べて耐震性や火災に弱いのでは?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
現在の建築基準法は、構造問わず一定の耐震性を求めています。つまり、木造だからといって耐震性に劣るとことはないのです。また、火災についても耐火被覆や工法を工夫することで、他の構造よりも高い耐火性能をもつことができます。
複数の設計事務所・建築会社に依頼する
アパートの建築費用には決まったルールがなく、設計料や坪単価などは各社で全く異なります。
1社のみの相談では、提案された見積もりやプランの費用が高めなのかどうか判断できません。そのため、少しでも建築費用を抑えるためには複数の設計事務所やハウスメーカーに相談すると良いでしょう。
複数社から提案された見積もりやプランを比較検討することで、より自分に合うかたちでアパート建築をスタートさせることができます。
各坪数別の建築費については、以下の記事をご覧ください。
アパートの建築会社の選び方
この章では、アパートの建築を依頼する会社の選び方について、解説していきます。
- ハウスメーカーと工務店の違い
- 建築会社を決めるときのポイント
ハウスメーカーと工務店の違い
アパート建築を請け負っている建築会社はたくさんあるため、どこに相談すればよいか迷うことも多いです。そこで、まずはハウスメーカーに相談するか工務店に相談するかを決めるのがおすすめです。
ハウスメーカーと工務店には、主に以下のような違いがあります。
工務店 | ハウスメーカー | |
---|---|---|
建築費の相場 | 安め | 高め |
品質 | バラつきあり | 一定して高品質 |
設計の自由度 | 高い | 低い |
工期 | 長め | 短め |
アフターサービス | バラつきあり | 手厚い |
対応可能エリア | 地域限定 | 全国 |
特に、建築費や品質、設計の自由度はハウスメーカーか工務店かを決める上で重要な判断ポイントとなります。
他にも、設計に対する希望や対応可能エリアなども確認しながら、総合的に考えつつどちらか決めていくようにしましょう。
ハウスメーカー
ハウスメーカーとは、自社で建物の生産設備を持ち、住宅の建築を全国規模で展開している建築会社のことです。工務店に比べて有名な大手企業が多く、安心して建築を依頼しやすい環境が整っています。
大手ハウスメーカーでは物件ごとの設計や施工方法をある程度まで統一し、部材を工場で加工することでアパート建築を簡略化しています。そのため工期が短く、品質も一定です。
一方で、アパート自体の間取りやデザインの自由度は比較的低いといえます。そのため、最低限の設備を備えつつ、費用を抑えて建てたい場合はハウスメーカーに相談することがおすすめです。
工務店
工務店とは、ある地域に密着している建築会社のことです
ハウスメーカーのように全国対応はしておらず、地域特有の環境やニーズに対応できる点が強みとなります。そのため、設計や素材などに希望があれば、細かい部分まで相談できる点が強みです。
ただし、工務店ごとで建築の力量に差があることや、地域によっては対応エリア外である可能性もあります。その地域のランドマークになるような、デザイン性の高いアパートをこだわって建てたい場合は工務店に相談すると良いでしょう。
建築会社を決めるときのポイント
アパートの建築会社を決める際には、以下のポイントを意識しましょう。
- プラン内容を確認
- 口コミの評価
- 担当者の対応
アパート経営は、年十年という期間続けていくものです。そのため、妥協せずじっくりと時間をかけて建築会社を選び、後悔の内容にしましょう。
特に、プラン内容や口コミの評価などは、建築会社を決める上で最も重要なポイントになりますので、しっかりと確認することがおすすめです。
プラン内容
建築会社によっては、提案する建築プランの内容は全く異なります。そのためどの建築会社が自分に合っているのかは、実際にプランを取り寄せてみて判断する方法がおすすめです。
建築プランでは、費用や収支シミュレーションについて詳細に確認することができますので、アパート建築を考えている方は一度プランを取り寄せ比較検討してみましょう。
\建築費は?初期費用は?/
口コミ評価
大手ハウスメーカーなどでは、実際にそのメーカーでアパートを建てた方の口コミや事例などをインターネット上で確認することもできます。
どんなアパートが建つか、その収益性はどのくらかなどについて実例から確認すれば、建築会社を決める際の参考になるでしょう。
担当者の対応
建築会社とは、アパート建築した後も年十年と付き合っていくことになります。そのため、担当者の対応も建築会社を決める上でポイントです。
問い合わせ対応へのスピードや手厚さなどから、信頼できそうかを判断できます。しっかりと対応してくれる担当者であれば、契約後のアフターサービスについても期待することができます。
アパート建築の流れには7つのステップがある!
アパート建築の流れには、以下の7つのステップがあります。
- STEP1:立地調査をする
- STEP2:資金計画を立てる
- STEP3:建築会社に相談する
- STEP4:アパート建築プランを決める
- STEP5:工事請負契約・着工
- STEP6:入居者募集を始める
- STEP7:竣工・アパートが引き渡される
アパート建築について全体の流れをしっかりと把握し、後悔なくアパート経営を始められるようにしましょう。