アパートは昔から投資目的として人気です。元手さえ用意できれば、あとは経営利益が継続的に入ってくるため、資本の多い人が投資目的でアパートを購入することが多いです。しかし、アパートは通常の住居よりも高額なので、人によっては現金のみで購入することは難しいでしょう。
その場合は現金とローンを併用して元手を用意することになります。ローンを借り入れる際は計画的に進めないと、折角得た家賃収入を圧迫してしまい、最終的に赤字となってしまう可能性もあります。ローンの返済はアパート経営の出費の中でも多くを占めるものなので、しっかり返済できるのかどうかを確認するようにしましょう。
この記事ではアパートローンの基礎知識や金融機関ごとの金利の違い、審査基準などについて解説しています。
アパート経営を始めるならアパートローン
ローンには様々な種類があり、用途に合わせて選択する必要があります。通常、アパートの建築・購入を目的としたローンは金融機関各社が提供している「アパートローン」を借り入れるのが一般的です。
アパートローンはアパート・マンション経営に関するほとんどのことに利用できるローンです。アパート経営をする場合はプロパーローンというローンを使用することもできますが、一般的にはアパートローンを借り入れます。
アパートローンは多くの金融機関で、それぞれ異なる条件で商品として販売されています。本章では、アパート経営でローンを借りるときに意識するべきことについて紹介します。重要になるポイントは以下の通りです。
- アパートローンと住宅ローンの違い
- 必要な年収の目安は500万円
- 借入可能額は年収の10倍~30倍が目安
- 金利が低いのは大手の金融機関
- 返済期間は構造と耐用年数で決まる
- 審査の通りやすい条件
- 返済比率は50%以内に抑える
- 出口戦略を考えておく
それぞれ解説していきます。
アパートローンと住宅ローンの違い
アパートローンと住宅ローンは利用できる人の条件や資金の使い道、金利などに違いがあります。例えば住宅ローンは、本人や家族が暮らすためのマイホームとして購入する時に使えるローンであり、アパート経営をするときに住宅ローンの融資を受けることはできません。
そして、住宅ローンよりも金利が高く設定されているところもアパートローンの特徴です。住宅ローンと違いアパートローンは、投資用物件によって収益を出すことを目的としているため、その分金利が高くなるのです。
ただ、アパートローンは購入や建築だけでなく、それに伴う解体費用や火災保険料・登記費用、リフォーム費用などとしての利用も可能で、幅広い目的で柔軟に利用可能な点は良いところです。以前に借り入れた不動産に関するローンの借り換えにも利用することが可能です。
必要な年収の目安は500万円
属性に関しては年収以外の条件も審査されますが、年収が低すぎる場合は借入が困難になる可能性もあります。アパート経営でローンを借り入れるためには、目安として500万円の年収が必要です。
年収がそれより低いと勤務先や勤続年数によっては融資が受けられず、年収が300万円を下回る場合はローンの借入ができない可能性も高いです。
そのため、年収が低い場合は自己資金を多くするか、アパートローン以外のローンを利用することも視野に入れなくてはいけません。
借入可能額は年収の10倍~30倍が目安
アパートローンの借入可能額は年収の10倍~30倍が目安とされています。金融機関によって借入可能額は変化しますが、アパートの利回り・個人の属性・過去の経営実績などによっても変わります。
年収によっても異なり、例えば年収が1,000万円の場合は8,000万円~1億円、500万円の場合は4,000万円~7,500万円程度が目安です。因みに、これらは他の金融機関からの借入がない場合の目安となっています。
アパート経営でローンを利用する際は、借入可能額が借入先を決める判断基準の一つとなるため、借入可能額について把握しておくことが大切です。
金利が低いのは大手の金融機関
都市銀行・メガバンクなどの金融機関は1%~2%ほどと、地域密着型金融機関や公的金融機関と比べて低い金利で融資を受けることができます。
そのため、低金利でアパートローンの融資を受けたい場合は大手の金融機関から借り入れることを試みましょう。また、返済条件や審査条件が幅広いため借入可能額も多いことが特徴です。
ただし、大手の金融機関の特徴として融資の審査基準が厳しく、審査の時間が長いことが挙げられます。そのため、目的に合わせて借入先を検討することをおすすめします。以下は条件別に金融機関のアパートローンについて比較したものです。
大手金融機関 | 地域密着型金融機関 | 公的金融機関 | |
---|---|---|---|
金利 | 低い | やや高い | やや高い |
審査 | 厳しい | 緩い | やや厳しい |
借入可能額 | 多い | やや多い | 少ない |
付帯条件 | − | − | 優遇 |
返済期間は構造と耐用年数で決まる
アパートローンの返済期間は、建物の構造と法定耐用年数をもとにそれぞれの金融機関が決定します。
住宅ローンだと借入期間35年で借りられることが多いですが、アパートローンは築年数によっては20年程度が上限の場合があります。これは、借入期間が建物の法定耐用年数に応じて定められるからです。
建物の耐用年数は以下のようになっています。
構造 | 木造・合成樹脂 | 木骨モルタル | れんが・石・ブロック | 鉄骨鉄筋コンクリート・鉄筋コンクリート |
耐用年数 | 22年 | 20年 | 38年 | 47年 |
法定耐用年数の期間中であれば、建物の減価償却費を経費計上することが可能です。減価償却費の経費計上によって所得税の節税になるため、この期間中にローンを完済することが理想です。
返済期間は月々の家賃収入が大きくかかわり、期間を短くしたいのであれば何らかの方法で家賃収入を増やして毎月の返済額の設定を高くする必要があります。
審査の通りやすい条件
アパート経営でローンを借りるときは、融資の審査の通りやすさが大切になります。
金融機関によって審査の難易度は変わりますが、基本的に以下の要件を満たしていると通りやすいです。
- 収入が高く安定している
- 資産状況が良い
- 建築予定のアパートの収益性が高い
- アパート経営の実績がある
アパートローンを利用するためにはまず審査に通る必要があるため、上記のことを意識しましょう。
返済比率は50%以内に抑える
返済比率とは、「年間収入に占める年間返済額の割合」のことを指します。返済比率を50%に抑えるということは、例えば年間収入400万円の場合には、年間のローン返済額を200万円以下に抑えるということです。返済比率が重要と言われる理由は、返済比率がアパート経営の健全性を表しているからです。
アパート経営では、年間収入のうち15%~30%程を経費として使用します。残りの85%をローンの返済額や修繕積立金、手取り収益にあてます。収入の中で経費を20%、返済比率を50%とすると、残りの30%から修繕積立金と手取り収益を捻出しなければなりません。この場合、もし空室率が30%の場合には、アパート経営の儲けは0になってしまいます。
返済比率が大きいと、儲けがないだけではなく、修繕積立金なども貯めることができないため、健全なアパート経営が困難になります。ローンの返済額はなかなか簡単に減らすことができません。そのため、計画段階では、空室率も見越して返済比率を多くとも50%以下に抑えるようにしましょう。
出口戦略を考えておく
せっかくアパート経営を始めても空室が全く埋まらない可能性もあります。その場合、返済が難しく、手元の資金から返済費用を捻出する必要があります。
どうしても経営再建が難しい場合には、売却という出口戦略を選択する必要があります。中古アパートは買い手がつきにくく、買い手も投資家であるため、価格交渉も求められます。
築年数が一年変わるだけで、売値が変わってしまうこともあります。初心者の場合、引き際がわからず、ダラダラと赤字を引きずってしまうことも考えられます。うまく売り切れれば、次の投資につなげることできるため、判断を誤らないように、事前にデッドラインについては決めておきましょう。
アパート経営のローン審査基準と対策
銀行側からすると、一般的な住宅ローンと異なり、アパートローンは回収リスクが大きい融資です。そのため、金利や返済期間も住宅ローンよりも条件が厳しくなることが多いです。
借り主の経歴や物件の資産性によって金利は変わりますが、初心者であれば3%~5%の比較的高い金利で融資が下りることが一般的です。複数棟所有していたり、過去に経営実績があれば1%~2%といった低めの金利で借り入れることができます。
ローンの審査は主に以下の4つを基準に行われます。
- 借主の属性
購入物件の収益性
購入物件の資産価値
収益シミュレーションの実現性
ここからは、融資の審査基準とその対策について解説します。
借主の属性
金融機関がローンを承認するか判断する際には、まずは属性を見られます。特に明記されているわけではないですが、以下のような項目が属性として挙げられます。
- 年収
- 勤続年数
- 所属している会社
- 勤務形態
- 年齢
- 家族構成など
これらの属性はローンの借入可能額にも影響し、特に年収は高ければ高いほど返済能力も高いとされて借入可能額が増えます。年収に加え、貯金の多さも審査で有利になります。
また、勤続年数は長いほど安定性を高く判断され、勤め先の企業は資本金の多い規模の大きい会社であったり上場企業であったりすると有利になりやすいです。
対策
あまり勤続年数が長くない場合や、年収に自信がない場合には、世帯年収を提示したり、既にアパート経営を行っていれば実績を見せることで属性を上げることができます。
属性はローンを引き出す上で、金融機関が信用を測るための重要な要素です。まずは、自身の今の属性や、どうしたら属性を上げることができるのかを、アパート経営経験者や金融機関の方と相談しましょう。
アパートの収益性
銀行が融資判断をするには収益性の高さを確認されます。銀行にローンを返済してくれるのは、オーナーではなくアパートの家賃収入です。きちんと収益が得られるアパートなのかを、立地、周辺相場や入居率相場をもとにシミュレーションして判断されます。
立地が悪いという条件は、駅から遠い、郊外であるという点が挙げられます。ただし、収益性という点では、良い立地のほうが値段も高くなるため、利回りは低くなるという特徴があります。立地条件が悪い土地は、値段が安いためアパート経営としての利回りが高くなります。アパートローンでは、収支のバランスをうまく保てるかがポイントとされるでしょう。
審査を行うにあたって金融機関は、最悪の状況でのアパートの収益性を想定して審査を行います。これは、アパートの収益が家賃収入である、空室リスクを伴うからです。利回りについては、金融機関や支店によって異なります。そのため一概にはいえませんが、収益性の高さについて納得してもらえるだけの説得力が必要です。
対策
アパートローンの審査では収益性の高さがとても重視されます。そのため、個人の属性評価が低かったとしても、高い収益性があれば審査で有利になることもあります。
そしてその高い収益性を証明するためには、具体的な収益シミュレーションを行ない、事業計画書を作成する必要があります。アパート経営の初心者が一人で行なうのは困難であるため、専門家に相談することをおすすめします。
アパートの資産価値
アパート経営では、そもそも融資しても問題ない物件かどうかも確認されます。特に再建築不可と言われている物件は、ほとんどローンはおりません。さらに、新築に比べて資産価値が落ちる中古アパートや田舎の土地も資産価値としては低いため、ローンの審査が厳しくなりやすいです。
接道条件や建ぺい率などを個人で計算し、建築法規に適しているかを判断するのは非常に難易度が高いです。自身の物件が建築法規に適しているか不安な場合には、建築士や住宅診断士などの専門家に相談してみましょう。
ローンの審査をする前に、自身の土地や物件の状態を把握しておくことで、より確実にローンを引き出すことができます。
収益シミュレーションの実現性
収益シミュレーションが現実的かどうかが、最後に審査時に見られるポイントです。利回りだけではなく、税金、空室率や返済比率、返済後利回りなども含めて総合的に審査されます。
場合によっては、空室が発生した際の対応をどう考えているか、家賃相場が下がった際にはどうするかなど、経営時の対応についても聞かれます。
ローン審査前には、ファイナンシャルプランナーなどの専門家とともに、より現実的なアパート経営のシミュレーションを練っておきましょう。
アパート経営を始める可能性が出てきたら、複数の企業にプランを提案してもらうのがおすすめです。
なぜなら、アパート経営は建築費の見積もりや賃料設定など経営プランによって収益が1,000万円以上変わることもあるからです。
建築費がいくらなら収益性の高いアパート経営ができるのか、利回りはどのくらいが適切なのか、気になるところを建築会社に相談してみましょう。
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ローンを低金利で借りるためには?
アパート経営をする際、ローンをなるべく低金利で借り入れて、返済額の負担を減らすにはどうすれば良いのでしょうか。本章ではその方法について解説しています。
大手の金融機関から借り入れる
アパートローンを低金利で借り入れたい場合、大手の金融機関である都市銀行・メガバンクから借り入れることを試みましょう。これらの金融機関の金利の相場は1%~2%ほどと、比較的低い金利で融資を受けることができます。
ただしこれは店頭金利であり、実際はこの店頭金利から各金融機関独自の優遇金利を差し引いた金利が適用されます。優遇金利は各金融機関の方針によって異なります。
また、幅広い返済条件や審査条件により、大手の金融機関では高額融資を受けることも可能です。このような大手の金融機関としては、以下のようなメガバンク・都市銀行が挙げられます。
- 三井住友銀行
- 三菱UFJ銀行
- みずほ銀行
- りそな銀行
大手の金融機関以外にもアパートローンを取り扱っている金融機関はいくつもあり、それぞれで金利が異なるため特徴を捉えることが重要です。以下が金融機関の種類です。
- 地方銀行、信用金庫
- 日本政策金融金庫
- ノンバンク銀行
地方銀行・信用金庫
地方銀行のアパートローンの相場は1.5%~3%ほどとなっています。金融機関により幅が大きいため、複数の金融機関で確認することをおすすめします。アパートローンの融資に積極的な銀行の場合、金利は低くなる傾向にあります。
地域密着型の金融機関である信用金庫は、およそ2%が金利の相場です。融資可能なエリアが決められていて、基本的に近隣地域のみ融資が可能です。
日本政策金融金庫
日本政策金融金庫のアパートローンの金利は、1.2%~2%ほどが相場です。優遇金利のメガバンクと比べるとやや高くなっています。
返済期間中に金利が変わることはなく、契約時の金利が完済するまで続くと考えてよいです。
ノンバンク
クレジットカード会社や消費者金融などのノンバンクでも、アパートローンの融資を受けることが可能で、金利の相場は2.9%~4.5%と高めに設定されています。
ノンバンクは審査が通りやすい代わりに金利が高く、返済額が大きくなってしまう点に注意が必要です。
複数の金融機関を比較する
アパートローンの借入先を金利によって決める場合、複数の金融機関の金利を比較して判断するようにしましょう。
アパートローンの金利は借入額や期間によって、返済額に大きく影響を与えます。銀行によって金利は異なるため、低金利の金融機関を選ぶことで返済の負担を軽減することができます。
変動金利の場合は半年に1度金利が変動するため、借入期間中に金利が上昇するとその分返済額も多くなってしまいます。そのため、長期的な返済計画に沿えるように、複数の金融機関の金利を比較して選ぶことが大切です。
金利の種類を理解する
金利とは金融機関から融資を受けた人が支払う利息の割合のことで、高ければ高いほど最終的な返済額も大きくなります。
金利には変動金利と固定金利の2種類があり、アパートローンを組む時はこれらの違いをよく理解した上で選択することが重要です。
変動金利
変動金利とは、経済状況や金融市場の変動によって金利が変わるものです。変動金利は銀行が優良企業に対して1年未満の短期で貸し出す最優遇金利である短期プライムレートに基づいて、金融機関ごとに独自に設定されます。
返済期間中に金利が下がることもあり、この場合は返済額が安くなりますが、現状の金利状況を見るとこれ以上下がることは現実的ではありません。なお、短期プライムレートは実は2009年以降一切動いておらず、変動金利とは名ばかりで、ほどんと変化していない状況です。
ちなみに、変動金利は金利の変動リスクがある分、固定金利より低い金利設定となります。このため、金利が動いていない中で変動金利を利用することは、お得にローンを利用できていると考えることができます。原則として変動金利より固定金利の方が先に金利が上がるとされており、借り換えの決断をするのであれば早めに動くことが大切です。
固定金利
固定金利では、契約した時点の金利で完済時まで同じ利率で利息が発生します。つまりローンを完済するまで金利が変わらないため、返済計画を練りやすいことがメリットです。
契約後に金利が上下しても固定金利の場合は変動しないため、金利が上がった場合はお得に感じるかもしれません。しかしもし金利が低下しても契約時の金利で返済し続けるため、損をした感覚になる可能性があります。
審査前に属性を引き上げる
ローンを低金利で借りるために、審査の前に個人の属性をあげることも大切です。例えば、「年収が増える」「勤続年数が増える」などといったことは融資において有利になります。
「上場企業に転職して企業規模が大きくなる」というもの属性の引き上げ材料になりますが、転職後すぐは給料が下がって年収が低くなるケースが多いため注意しましょう。
また、自己資金が多ければ返済能力が高いと判断されるため、属性を引き上げることが可能です。金融機関は貸し倒れを恐れているため、資金に余裕があることをアピールできれば審査で有利になるのです。
実績の豊富な会社に建築を依頼する
アパートの建築は実績の豊富な会社に依頼することが重要であり、アパート建築が円滑に進むことに加えて、融資の実績が豊富な金融機関を紹介してもらえる可能性もあります。
建築期間と提携している金融機関もあり、その場合低金利でローンを組めることが多いです。また、建築会社からの紹介だと優遇を受けられることもあるため、建築の依頼先は実績が豊富であったり、金融機関と提携しているところから選ぶことをおすすめします。
マンションの建築を検討する
アパートローンを借りる場合、アパートよりもマンションの建築のほうが低金利で融資を受けやすいことがあります。
それはアパートよりもマンションのほうが市場価値や収益性が高いことや、家賃を高く設定できて賃料が安定し、返済が滞る可能性が低いことが理由として挙げられます。
売却をする際も、アパートの中古市場がそれほど活発ではなく売却が難しいことに対して、マンションの中古市場は活発であるため素早く売却が可能です。そのため、売却によるローン返済難易度という点でもマンションのほうが優れているため、融資を好条件で受けることができます。
活用事例:地震への備えを考えた 木造3階建て賃貸住宅
エリア | 東京都 |
土地面積(㎡) | 256.2 |
延べ床面積(㎡) | 480.36 |
工法 | 木造 |
東京都練馬区。新宿まで電車で20分という都心エリアに木造3階建ての賃貸住宅が完成しました。以前この土地には築20年を超えるミサワホームで建てた賃貸併用住宅と二世帯住宅がありました。都市計画道路ができるということで賃貸住宅の建て替え計画がスタートしました。
「以前の賃貸住宅は権利者が5人もいて、さらに兄弟間の相続も絡み合い、どう整理すればよいか分かりませんでした」。
そんな中、賃貸管理をしていた縁で、ミサワホームに相談がありました。
「ミサワホームの岡村さんには大変お世話になりました。賃貸住宅の建替えを考える上で、権利関係の整理から相続、融資に至るまで、岡村さんは親身になって対応してくれました」。
計画道路ができることで、土地の面積が狭くなります。また、築年数も経っていたことから、オーナーさまは、「建て替えるなら、より収益性の高いものを建てたい」とお考えでした。(ミサワホーム株式会社の土地活用事例)
ローンの利用に関しての注意点
本章ではローンを利用する際の注意点について解説します。
借り換えはなるべく避ける
アパートローンをより低金利の金融機関へ借り換えることには、利息の支払い分が減るというメリットがあります。
しかし、それ以上のデメリットが存在します。それはアパートローンの借り換えをすることで、前に利用していた金融機関からの融資を今後受けることができなくなる可能性が高いことです。
そのため、キャッシュフローがマイナスになっていてどうすることもできないといった場合以外では、借り換えはなるべく避けることをおすすめします。
事前準備を徹底して行う
アパートローンの融資を受ける際は、アパート経営を始めるために賃貸ニーズを確認したり、エリアの家賃相場の調査をしたりなどの、事前準備を徹底して行なうことが重要です。
事前準備を怠ってアパート経営を始めると、失敗する可能性が高くなります。そのため、現在の収入や預貯金を確認することや念入りに資金計画・事業計画を立てることが必要です。
計画が綿密に練られていない場合、審査落ちして融資が受けられなくなってしまいます。融資を確実に受けるためにも事前準備が必要なのです。
融資期間を長くする
月々の返済額の負担を減らすため、融資期間は出来る限り長くすることをおすすめします。
融資期間が長いとその分金利による利息の支払い総額は増えますが、毎月の返済額は減らすことができるため、キャッシュフローの安定化を望めます。加えて短期間で無理に返済しようとしても、空室ができて収入が減った際に自己資金を補填して返済しなければならないこともあり得ます。
毎月の返済額が多いとそれだけ返済が滞るリスクも高くなるため、次の融資を受けるときに影響を及ぼす可能性も高くなります。ローン審査を成功させるコツ
アパート経営ローンの融資判断は、気分ではなく明確な基準が存在します。金融機関によって基準は異なります。ここからは、融資を成功させるコツについて解説します。
自己資本比率は目的に応じて設定する
初心者がアパート経営ローン審査を成功させるためには、自己資本と借入額とのバランスを目的に応じて調整することが重要です。
負債による相続税対策の場合
相続した土地には相続税がかかりますが、アパートローンを利用すると結果的に相続税は安くなります。これはローン抱えていることが、多額の負債を抱えた状態とみなされるためです。
相続税対策の一環としてアパートローンの借り入れを行う場合には、現金の量によって借入額が異なります。建築費の半分以上を現金で賄うことができる場合には、借入金をしても相続税圧縮効果があまり変わりません。そのため、自己資本比率を高めにし現金の不動産化による相続税対策効果を狙いしましょう。
一方で、十分な現金がなく土地などの資産が多い場合には、積極的な借り入れを行うことで負債をマイナス資産として活用でき、相続税対策効果が期待できます。また、現金以外の資産があれば、土地などを担保にすることで初心者でもローンを引き出せる可能性があります。
レバレッジをかけた資産形成
不動産投資の一環としてアパート経営ローンを借り入れる場合には、1割~3割程度の自己資本比率が必要です。ローンを利用すれば自己資金では手に入れることが難しいアパートを購入することができます。もちろん、借り入れによるレバレッジ効果は魅力的です。
しかし、最も重要なことはアパート経営を成功させることです。特に初心者の場合は、1棟目の成功が、今後の投資ポートフォリオ形成に影響します。そのため、1棟目の失敗は極力避けたいです。
借入額が大きすぎると、売却による損切りも選択しにくくなります。そのため、資産形成を行う際には、自己資本を1割~3割ほど用意し、比較的リスクを抑えたローン計画がおすすめです。
収支ではなくキャッシュフローで考える
キャッシュフローとは、帳簿上ではなく、実際のお金の流れを表したもののことです。キャッシュフローが良い状態とは、実際に入っている現金より、支出の現金が小さい状態です。
一方でキャッシュフローが悪い状態とは、実際に入っている現金より、支出の現金が大きい状態を指します。キャッシュフローが悪いと、帳簿上では黒字なのに実際には現金がないという、いわゆる黒字倒産になってしまいます。
月々のローン返済額は、経費に換算せず利益から捻出します。そのため、収入が十分ではない場合には、帳簿上では利益が出ていて黒字なのに、修繕積立金や返済額を利益分から支払いきれず、手持ちの資金から返済するということが起こります。返済計画を作成する際には、手元にいくら残るのかまで計算し、現実的かを判断しましょう。
キャリアや資金を変化させない
銀行が審査する属性には、職歴やキャリア、資金力も含まれます。安定していれば、信用が高く借り入れしやすくなります。
一方で、転職したての状態や個人事業主は、評価が高くありません。特に、資産を保有していない際には、勤務先などは重要な信用情報です。初心者が借り入れを行う前には、できるだけキャリアを変化させず、独立などをできるだけ避けましょう。
また、大きな買い物も避け、保有している現金はできるだけ減らさないことも重要です。カードローンやキャッシングなどの小さな負債がある場合は完済し、資産情報をできるだけきれいな状態にしておきましょう。初心者の場合には、細かな点ではありますが、信用情報を強化するためにも最善を尽くしておきましょう。
金融機関との折衝に強い業者を選ぶ
収支計画の実現性については、誰が作った収支計画かも重要な視点です。例えば、全く同じ経営シミュレーションであっても、初心者が作った計画と、数百軒のアパート経営に携わる専門業者が作った計画であれば、後者のほうが説得力があります。
まだ実績がない場合には、大手の銀行取引に強い業者に相談することで、融資のハードルを下げることができます。
また、サブリースにすることで収益が安定するため、銀行の融資が通りやすくなる場合があります。サブリースは契約内容の確認が重要ですが、融資がうまくいかない場合には、有効な経営方法といえます。
アパート経営を始めようか考えたとき、どのようにアパートを設計すればいいのか見当がつかないのではないでしょうか。
例えば2階建てにするか3階建てにするか、間取りの設計をどうするかについては土地の条件やアパート経営の目的によって変わります。
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アパートローンの借入手続きの流れ
アパートローンの借入を行なう場合、どういった流れで進められるのかを知っておくことが大切です。一般的なアパートローンの借入の手続きについて、審査~融資の実施までの流れは以下の通りです。
- 金融機関の選定
- 融資の申し込み
- 物件の調査と査定
- 事前審査
- 本審査
- 本承認
- 融資の実施
まず最初に金融機関の比較や審査基準の確認を行ない、自分の希望に合った金融機関を選択します。物件の計画段階の設計図面や、収支計画のわかる事業計画書、自分の収入や保有する資産の状況が分かる資料などを提出します。
購入する物件や新築する建物計画が正式に決まり、必要な資金計画が固まったら金融機関に融資の申し込みを行ないます。申込書には個人情報や物件情報、借入希望額などを記入していきます。ご家族情報や年収の情報なども含め、詳細な内容を記入することになるため注意しましょう。
申し込み後、金融機関の査定部門や委託先により物件の調査・査定が行なわれます。金融機関によって頃なりますが、本審査の期間は書類を提出してからおおよそ2週間~4週間が目安です。融資の実行にあたり、担保となる土地や建物に抵当権を設定することが条件であるため、融資の実行は土地・建物の引き渡し日に行われることが一般的です。
アパート経営ローン以外にもある資金調達方法
アパート経営を行う際には、アパートローン以外にも資金調達方法があります。条件がよくない場合もありますが、どうにもローン審査が進まない場合には、試してみる価値があります。
プロパーローン
プロパーローンとは、保証会社を介さずに金融機関が回収リスクを背負っているローンです。事業性が高い場合には、融資金額や融資期間、金利条件がアパートローンよりも良い場合があります。
しかし、その分審査が厳しく、自己資金も求められる可能性があります。
土地の立地がよいにも関わらず、属性によって審査が通らない場合には、事業性を強調してプロパーローンを考えてみることも1つの手と言えます。
政策金融公庫
政策金融公庫とは、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行が統合し、政府が100%出資している金融機関のことを指します。
政策金融公庫からの融資の特徴は、創業者や中小企業への融資条件が緩和されているという点があげられます。投資目的ではなく、不動産賃貸業を営むという目的であれば、融資が下りる可能性もあります。
条件面ではクリアできたとしても、政策金融公庫からの融資は、返済期間が短めに設定されることが多いです。そのため、自己資本比率を高めにしないと経営を安定させることは難しいでしょう。政策金融公庫は、担当者によっては事業性の良し悪しを判断してくれる場合もあります。融資を受けるという点ではあまりおすすめしませんが、融資を受けられない際に事業計画の相談をする場合には、相談してもよいでしょう。
まずは信頼できる会社を見つける
土地を活用してアパート経営を行う場合、まずは信頼できる不動作会社を探すことからはじめましょう。不動産会社のなかには、アパートローンの提携先を持っている会社もあります。そのため、融資を受ける際に有利になる可能性もあります。
土地活用比較サイトを利用する
不動産会社には得意分野を持つ会社も多くあります。アパート経営を行う場合には、アパート経営の実績を多くもつ会社を選ぶことが大切です。経営経験が豊富であれば、融資に関しての知識についても豊富に保有している可能性が高いと考えられます。
ただ、自分だけで不動産会社の情報を収集することは手間のかかる作業です。また信頼できる不動産会社を見極める目も必要になり、何かと準備が必要になります。
土地活用比較サイトを利用すれば、インターネットで情報を入力することで一度で複数の不動産会社とつながることが可能です。複数社の提案や情報を比較検討することで、信頼できる不動産会社を見つけましょう。
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