和室のあるマンションに住みたいけれど、どのように活用すればいいの?本記事では、マンション和室の魅力やタイプ別の活用方法、和室をリフォームする際のポイントをご紹介。和室の特徴を活かして、快適で多用途な暮らしを実現しましょう!
マンションの和室の活用方法と実例【タイプ別】
小上がりタイプの和室
小上がりタイプの和室とは、床から1段上がるように設置されている和室のことです。最近のマンションでいうとリビングの一角に設置されることがほとんどです。
小上がりタイプの和室のメリットは以下のようなことが挙げられます。
- 20~50cm程度の高さがあるため、腰掛けるのにちょうどいい
- 高さがあるためリビングからのホコリが入らない
- 段差部分を収納として活用することができる
- 部屋に立体感が生まれる
逆にデメリットとなるのは以下のような点です。
- 赤ちゃんや子供は段差から落ちてけがをしてしまう危険性がある
- 段差があるためロボット掃除機が入ることができない
- リビングが狭く感じる可能性がある
ではこれらの特徴を踏まえたうえで、小上がりタイプの和室のおすすめの活用方法を4つご紹介します。
家事スペースとして
小上がりタイプの和室は、洗濯物を畳んだりアイロンがけをするなどの家事スペースとして活用するのがおすすめです。ホコリが入らないので畳の上で洗濯物を畳んでも、洗った服が汚れてしまう心配はありません。また段差部分の収納スペースを洗濯物をしまうための収納場所とすれば、畳んだ洗濯物をそのまましまうこともできます。
昼寝場所として
小上がりタイプの和室は、ホコリがたまりにくいため地べたに寝転がっても気にならないという特徴があります。そのため家事や育児につかれたときに、気軽に昼寝をとる場所として最適です。ただしあまりにも寝相が悪いという方は、転げ落ちてしまわないように注意が必要です。
介護スペースとして
小上がりタイプの和室は、段差部分に腰掛けたり、そのまま寝ころぶことができるため介護に重宝します。高齢者の方にとって正座や胡坐などの座り方はだんだんと足腰がきつくなってくることでしょう。小上がりタイプの和室であれば高齢者の方にとっても優しい作りであると言えます。
子供のおもちゃ収納スペースとして
小上がりの段差部分の収納は、低い場所にあるため子供でも安全におもちゃの出し入れをすることができます。自分の個室を持つ前の子供のおもちゃや洋服、通園用のバッグなどをしまう場所としても適しているでしょう。
独立タイプの和室
独立タイプの和室とは扉や壁が取り付けられており、独立性の高い個室として使える和室のことです。
独立タイプの和室のメリットは以下のようなことが挙げられます。
- 扉や壁があるためプライバシー性が高い
- 和室の静寂や落ち着きを味わうことができる
- 個室として使えるため家族構成の変化に対応しやすい
独立タイプの個室があれば将来子供が増えた場合や、2世帯で暮らすようになるなどのライフステージの変化が起こったときにも対応することができるでしょう。
一方で独立タイプの和室はプライバシー性が高い分、キッチンやLDKから目が届かないことはデメリットになり得ます。子供が幼いうちは心配もあるでしょうから、個室として与えるなら子供がある程度成長してからがおすすめです。
ではこれらの特徴を踏まえて、独立タイプの和室の具体的な活用方法を4つご紹介します。
落ち着いた主寝室として
プライバシー性の高い独立タイプの和室は、主寝室として活用するのもおすすめです。
畳みは吸湿性に優れるため、畳の上に敷布団を敷けば、寝ている間にかいた汗の湿気を逃がしてくれます。
また、い草の香りには、「フィトンチッド」という成分が含まれており、この香りを嗅ぐことで、森林と同じようなリラックス効果が期待できます。いつも快適な湿度を保ち、ゆったりと過ごせるマンションの和室は、寝室に最適と言えるでしょう。
さらに畳にはクッション性があるので、敷布団があれば簡単に寝室ができあがります。家族の寝室として使えば、一人ひとり、ベッドやカーペットを揃える必要がないので、寝具代も抑えられるでしょう。
子どもが小さい時に、家族で布団を並べて川の字で眠れるのは、和室でしか味わえない楽しみとも言えます。
子供の勉強部屋として
独立タイプの和室はプライバシー性が高いため、子供用の個室としても向いています。子供が学校に通うようになっても、落ち着いた雰囲気の和室でなら勉強もはかどることでしょう。
集中できる仕事部屋として
い草の香りでリラックスできる落ち着いた雰囲気の和室は、書斎や勉強、仕事の部屋としても適しています。ローテーブルを置いて座布団に座って作業をするのも風情があって良いでしょう。
集中したいときは襖を閉めて、家族と会話をしながら作業したい時は襖を開けるなど、微妙な調整も可能です。また、押し入れをDIYすれば、広くて収納力のある作業用の机も手に入ります。
書斎・仕事部屋の間取りやレイアウトのポイントについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
客間として
独立性の高さを活かして来客用の客間として活用するのもおすすめです。LDKにはどうしても生活感があふれてしまうものです。そんな生活感を来客にみられるのが恥ずかしいという時に、生活感を排した独立タイプの和室があれば重宝することでしょう。
続き間タイプの中和室
続き間タイプの和室とは、隣の部屋との間仕切りを開け放すことで、大きなつながった1部屋のように活用することができるタイプの和室のことです。
続き間タイプの和室の中には、窓のない「中和室」と呼ばれるタイプのものが多くあります。中和室とは厳密には居室ではなく、最近のマンションには、LDKと続き間になっている中和室が多いです。
続き間タイプの和室のメリットには以下のようなことが挙げられます。
- 間仕切りを開け放せば、LDKと一体型の広々スペースとすることができる
- バリアフリー性が高い
- 間仕切りがあるため簡易的な個室としても使える
これらの特徴を踏まえて、続き間タイプの和室の具体的な活用方法を3つご紹介します。
ハイハイしても安心な子育てスペースとして
リビングから続き間になっている和室は赤ちゃんのお世話をする部屋としても使いやすいです。ベビーベットを置かなくても、畳なら適度な固さがあるため、ベビー布団を置くだけで寝床ができあがります。
また、ベビー布団にすればオムツをすぐに変えられるところもメリットです。畳は肌に優しく、適温が保たれているため、赤ちゃんが寝返りをうって転がったり、ハイハイして動き回ったりしても、遊ぶ姿を安心して見守れるでしょう。
大きくなったらそのまま子ども部屋としても活用できます。
走り回って遊べる子供部屋として
広々使える続き間タイプの和室は、小さな子どもの遊び部屋にもうってつけです。畳の表面はい草ですが、中身に発泡スチロールなど複数の素材を使っているため、厚みがあり、クッション性と防音性に優れています。そのため、走り回っても騒音が緩和され、マンションの下階に音が響くのを防いでくれます。
さらに、クッション性のある畳の上なら、転んでも怪我をしづらいです。お昼寝をする時も、畳の上ならわざわざ布団を敷かなくても、寝転んでその上に掛け布団をかけるだけでも十分気持ちよく眠れます。
また、たくさんの子どものおもちゃも、大容量の押し入れならすっきり収納できるでしょう。
第2のリビングとして
LDKの隣の和室を第2のリビングルームとして家族が寛げるようにするのもおすすめです。特定の用途にこだわらず、自由に使えるようにしておけば、洋室以上に自由に寛げるでしょう。
畳の上で昼寝をする、子どもが学校から帰ったら座卓で勉強するなど、家族が集って思い思いに過ごす場所としても和室は適しています。
また、四季を感じる食事や和食は、やはり洋室よりも和室の方が雰囲気も増すと言えるでしょう。例えば、夏は扇風機をつけてそうめんを頂いたり、冬はこたつを用意して鍋を囲んだりすれば、美味しさだけでなく風情も味わえます。
マンション和室のおしゃれインテリアコーディネートのポイント
せっかく和室を活用するなら、和室の良さが活きるよう、インテリアにもこだわってみましょう。素材や色合いを工夫すれば、クラシックな和室にしたり、和モダンな雰囲気に仕上げたり、理想の和室が作れるでしょう。
和室に合うインテリア選びのポイントを解説します。
家具はロータイプを選ぶ
畳は元々座って利用するため、家具を選ぶ際もできるだけ畳に近い、ロータイプのものが和室と相性が良いです。
見た目の良さだけでなく、ロータイプで重みを押さえた家具なら、畳に跡が残りづらい点もメリットです。
- 椅子→座布団や座椅子
- ベッド→布団やローベッド
- テーブル→座卓やちゃぶ台
上記のように、それぞれ低めの家具を選ぶと良いでしょう。
配色は落ち着きのある和カラーを選ぶ
黒、茶、白などの落ち着きのある色合いは、自然素材の家具にも多く、畳とも相性の良い色です。また、部屋に差し色を入れたい時は、「和カラー」や「日本の伝統色」から選ぶと失敗が少ないでしょう。
ただし、ベーシックカラーは、子ども部屋だと少し地味な印象になってしまいます。その際は白を基調にパステルカラーを合わせると、明るく華やかな印象に仕上がります。
素材は木や籐(とう)など自然由来のものを使う
インテリアや家具は、プラスチックや金属製のものよりも、木や籐(とう)、竹、和紙、陶器でできたものがおすすめです。自然由来で暖かみのあるインテリアなら、同じく自然由来の畳や障子のある和室にも、違和感なく溶け込みます。
照明は穏やかに照らし暖かみのある色合いにする
照明は蛍光灯やスポットライトのように電球がむき出しのものよりも、シーリングライトのように電球を覆い部屋全体を満遍なく照らせるタイプのものがおすすめです。
また、足元を照らすフットライトや、壁に取り付けるブラケットライト、間接照明なども相性がよいでしょう。和室の持つ趣深さを壊さない、穏やかな光になるものを選びましょう。
プリーツスクリーンを活用する
隣の部屋との間を仕切りたい場合や、カーテン代わりになるものを探しているなら「プリーツスクリーン」の使用がおすすめです。
プリーツスクリーンとは、ジャバラ状の生地を開閉させて光を遮ることのできるアイテムです。不織布でできたブラインドをイメージするとわかりやすいかもしれません。
プリーツスクリーンなら豊富な生地の中から好きなものを選ぶことができ、和紙のようなデザインのものを選べば和モダンな雰囲気のインテリアとして和室によく馴染みます。
マンション和室の5つのメリット
裸足でも歩き心地が良く、い草の香りがリラックスできる和室。洋室が主流のマンションでは、和室が無い物件も多くありますが、実は、和室は洋室にはない魅力が詰まっています。
マンション和室の魅力とメリットをご紹介します。
布団で寝る心地よさを味わえる
和室の畳に布団を敷けば、ベッドにはない広々とした心地よさを味わえます。また、お子さんの寝相が悪かったとしても、ベッドのように下に落ちる心配もありません。
インテリアにこだわれば、旅館の一室のようにすることも可能です。和室なら、マンション内の自宅に居ながら、落ち着きのある贅沢な雰囲気の中、眠りに付くことができるでしょう。
日中は布団を片づけて部屋を広々使える
和室の布団は、都度片付けるのが一般的でしょう。日中、布団を押入れにしまっておけば、ベッドを固定する洋室以上に部屋を広々と使うことができます。
また、和室は寝具を簡単に片付けられるため、寝室兼書斎や、寝室兼子ども部屋のように、使用用途を限定せず、一部屋で何通りもの使い方ができる点も魅力です。
襖を開ければリビングを広げられる
リビングの隣に和室があるタイプの間取りなら、襖の開け締めで、リビングの広さを調節できます。子どもと遊ぶ時は襖をあけて居間と和室を繋げ、来客時は和室に不要なものをしまい、襖を締めればプライバシーも守られます。
襖1つで、居間の広さを自由に変えられるところも、和室があるメリットです。
収納力だけじゃない押し入れの魅力
和室の収納スペース、押し入れは布団以外にも、洋服や掃除機など、クローゼットよりも収納力に優れています。
また、押し入れは収納以外にも、奥行を活かして本棚にしたり、椅子をおいてデスクとして使ったり、すのこを敷いて子ども用の2段ベッドにしたりなど、工夫次第で色々な使い方ができる面白味があります。
畳が部屋を快適に保つ
畳の原料である“い草”には、下記のように、部屋を快適にたもつさまざまな機能があります。
- 湿度調整
- 空気浄化
- 消臭作用
- 防音効果
このため、畳を敷いた和室では、夏は涼しく、冬は温かく過ごすことができます。また、フローリングと違い、畳なら夏は素足でもべたつかず、冬は寒さも感じづらいです。
マンションに和室はいらない?和室の5つのデメリット
マンションの和室は、特に畳の取り扱いに注意しましょう。激しい損傷や落ちない汚れがあれば、賃貸マンションの場合、修繕費用が発生する可能性もあります。
そのため、畳は特徴を理解し、適切な方法で取り扱うことが大切です。マンション和室のデメリットについて解説します。
重たい家具を置くと跡が残る
畳はクッション性に優れた素材のため、重たい家具を置くとへこんで跡が残ってしまいます。そのため、和室にベッドや机を置いて洋風に使いたい場合は、定期的に模様替えをするなど、へこみ対策を施しましょう。
また、マットやカーペットなどを敷く方法もありますが、ダニやカビの原因となるため注意が必要です。そのため、通気性の良い素材を選ぶなどの方法をとりましょう。
飲み物や食べ物をこぼすとシミになりやすい
畳に飲み物や食べ物をこぼすと、シミになりやすいです。そのため、何かこぼしたら処理を後回しにせず、すぐに下記のように適切な対処をしましょう。
- 飲み物を乾いた雑巾で拭き取る
- そのあと、濡れた雑巾で畳の目に沿って拭く
- もう一度乾いた雑巾で拭いて湿度を取る
また、畳の目に飲み物が染み込んでしまった場合は、小麦などをふりかけ液体を吸わせ、歯ブラシなどで掻き出すと良いでしょう。畳はシミができないよう、適切に管理しましょう。
カビやダニが発生しやすい
畳の部屋にカーペットなどを敷いていると、湿度がこもりやすいため、ダニやカビの原因となってしまいます。また、洗濯物を干すと、畳が湿度を吸収するため注意が必要です。
対処法としては換気をこまめに行うこと、また、梅雨の時期は除湿器などを使うのも良いでしょう。ほかにも、定期的に拭き掃除をし、畳をしっかり乾燥させるのもカビ・ダニ対策の1つです。
畳の掃除に手間がかかる
畳はフローリングと比べると掃除に手間がかかることもデメリットの1つです。
掃除機をかけたり、拭き掃除をしたりする時は、畳が編みこまれている方向(畳の目)に沿って行いましょう。また、畳の縁は布でできており、段差もあるため最後に掃除すると良いでしょう。
畳の目を無視して掃除すると痛む原因となりますので注意しましょう。
直射日光が当たると変色してしまう
畳は日に焼けると色が褪せて黄色くなってしまいます。また、家具を置いているとその部分だけ日に焼けず、畳に色むらができる原因となります。
そのため、畳の部屋は直射日光が当たらないよう、日差しの強い時は、障子やカーテンを閉めるなどの対策を取りましょう。
マンションの和室リフォーム
購入時に和室のないマンションであっても、リフォームすることで後から和室を取り入れることも可能です。また、後から和室が必要ないと感じた場合には、和室から洋室へリフォームすることもあるでしょう。
ここでは、マンションの和室リフォームについて、「和室から洋室へのリフォーム」と「洋室から和室へのリフォーム」に分けて、押さえておきたいポイントや注意点をご紹介します。
和室から洋室へのリフォーム
畳のメンテナンスが大変であったり、フローリングの方が暮らしやすいといった理由から、和室から洋室へのリフォームを行う方も多いです。
和室の畳をフローリングに変更する際は、防音性に注意が必要です。マンションでは「防音規定」や「遮音等級」などが定められていることが多く、リフォーム前に確認漏れがあると後々トラブルに発展してしまう可能性もあるため注意しましょう。
主なリフォーム内容としては、他にも壁や天井クロスの張り替えや、押し入れからクローゼットへの変更、ふすまからドアへの変更などが挙げられます。
洋室から和室へのリフォーム
洋室から和室へのリフォーム時に押さえておきたいポイントは、和室の場合は洋室よりもメンテナンスが大変になる可能性が高い点です。特に畳やふすま、障子などは傷みやすいため、定期的にお手入れをする必要があります。
また、小さな子どもがいる場合、遊びやすくなる一方でふすまや障子が破れやすいデメリットもあるので理解しておきましょう。
洋室から和室へのリフォーム時には畳選びが重要ですが、最近では畳の種類も豊富になっています。カラータイプのものや暖房付きのものなどさまざまなタイプが出ているので、ライフスタイルに合ったものを選んでみると良いでしょう。
マンションの和室に関するよくある質問
最後に、マンションの和室に関するよくある質問についてご紹介します。
- マンションに和室はいる?いらない?
- 床材でフローリングにも変えられる?
それぞれ詳しく解説します。
マンションに和室はいる?いらない?
これからマンションを購入しようと考えている方の中には、和室がある物件を探した方が良いのかどうか悩んでいる方もいるでしょう。
マンションに和室はなくても困りませんが、子育てなどのシーンで様々な使い方ができるため、工夫次第ではとても有効に活用できます。
また、最近では和室ならではの良さが再認識され、わざわざ取り入れたいという方も少なくありません。
絶対にないと困ってしまうというものではありませんが、気になる方は検討されてみると良いでしょう。
床材でフローリングにも変えられる?
和室から洋室へ変えたくなった場合に、費用をかけたくない等の理由から、床材を敷き詰めてフローリングに変えようとする方もいるかもしれません。
たしかに、床材を貼ることでフローリングのように仕立てることもできますが、畳は湿気に弱いため、空気が籠るとカビてしまうリスクが高いことは念頭に置いておきましょう。
可能であれば、リフォームで畳からフローリングへ取り替えることをおすすめします。
特徴を理解してマンションの和室を上手に活用
今回は、マンション和室の上手な活用方法や、各タイプごとのメリット・デメリット、和室に関するリフォームで押さえておきたいポイントについて解説しました。
マンションの和室タイプには主に以下の3つがあります。
- 小上がりタイプの和室
- 独立タイプの和室
- 続き間タイプの中和室
和室タイプそれぞれの特徴を活かすことで、様々な用途に活用することができます。
自分に合った和室タイプを選び、ライフスタイルに合わせて和室を活用していきましょう!