ホテル経営は、収益性が高い土地活用の1つとして人気があります。
ただし、ホテル経営ならではの向いている土地やデメリットがあることも事実です。
本記事では、土地活用の一つとして行うホテル経営にクローズアップし、その仕組みやメリット、ホテル経営を検討する際のポイントなどについて詳しくご紹介します。
その他、土地活用方法について詳しくは以下の記事もご覧ください。
ホテル経営はどんな土地活用？
ホテル経営は、高収益が得られる土地活用の1つとして人気な土地活用方法です。
ここでは、土地活用におけるホテル経営の仕組みと向いている土地について詳しく解説します。
ホテル経営の仕組み
ホテル経営は、宿泊施設を建設し宿泊料によって収益を上げるビジネスです。
ただし、宿泊料がそのまま収益となるかはホテルの経営方式によって異なります。
ホテルの経営方式はいくつかありますが、なかでも主流な方法は建設したホテルを事業会社に貸して経営を委託するサブリース方式と大手ホテルチェーンの経営指導やロイヤリティを受けるフランチャイズ方式です。
サブリース方式の場合は、毎月一定額の賃料が収益となり、フランチャイズ方式の場合は宿泊料から経営指導料やロイヤリティ料などを引いたものが収益となります。
オーナーが直接ホテルを経営する直営方式場合は、宿泊料をそのまま収益とすることができますが、経営知識が問われるため始めてホテル経営を行う方にはリスクが大きくなります。
ホテルの経営方式については本記事の4章にて詳しく解説しています。
向いている土地
土地活用における立地は、非常に重要な要素の一つです。それは、ホテルにおいても例外ではありません。
土地活用としてホテル経営が向いている土地には、以下のような特徴があります。
- 駅から近い場所にある
- 60坪以上の広さがある
- 周囲が栄えている
- 高速のインターが近い
特に、ホテルという建物の性質上、人の動きが多くあったり、近くに観光スポットなどがある土地である方が経営上は有利であるといえます。
また、土地の広さについてもホテル建設となれば50坪以下は狭小地となり、そもそも建てることが厳しいこともあります。
したがって、土地によってホテル経営に向いているかどうかは異なりますので、どのような土地がホテル経営に向いているのかを知り、自身の所有する土地の特徴と比較してみましょう。
駅から近い場所にある
宿泊の利便性やチェックアウト後の行動のしやすさを考えて、駅に近い場所に宿泊したいと考える人は多いです。そのため、土地が駅から近い場所にあり、交通アクセスのよい場所は、ホテル経営に向いている土地といえます。
広い土地で大規模な建築物が建設できるからといって、それだけでホテル経営に向いているとは限りません。重要なのは宿泊客が見込めるかであり、利用者の需要が高まりやすいのは交通アクセスのよい場所であることは覚えておきましょう。
60坪以上の広さがある
ホテルを建設するにはある程度の広さが必要であり、最低でも60坪以上の土地と考えましょう。狭い土地でも小規模でホテル経営をすることは可能ですが、土地が狭いと客室数が少なくなり、収益性は下がります。
ある程度の収益を上げることを考えるなら、30室以上は確保する必要があります。60坪で大体30室程度の客室を確保できるため、土地の広さも重要になることは覚えておきましょう。
周囲が栄えている
ホテルの周囲の状況も確認が必要であり、周辺が栄えている土地ほど、ホテル経営におすすめです。ホテルの周囲に観光地があったり、商業地や繁華街があったりすると人が集まりやすいため、集客力が高まります。
交通アクセスがよくても、周囲が栄えておらず、そもそも人がいないエリアでは宿泊客は獲得しづらいため、周辺環境は重要なポイントです。
高速のインターが近い
土地の近くに高速道路のインターがあると、車でのアクセスがしやすいため、需要も増えやすいです。
また、高速道路の出入り口が近くにあることで、来客者に道を案内しやすくスムーズにホテルまで来てもらえる点もメリットといえます。
高速のインターが近い場合は、車やバスでのアクセスが多く見込まれるため、駐車スペースを広く取り整備しておくとよいです。
土地の活用方法に迷ったときは土地活用プランの一括請求サービスを使うことをお勧めします。日本最大級の比較サイトイエウール土地活用なら、お持ちの土地に適した土地活用方法を探すことができます。
＼最適な土地活用プランって？／
ホテル経営を土地活用として行うメリット
土地活用としてホテル経営をするメリットは、次の4つがあげられます。
- 安定した収入を得ることができる
- 相続税の節税ができる
- 経営をフォローするサービスが豊富
- 宿泊ニーズに合わせたホテルを建設できる
メリットを正しく把握して、どのような魅力があるのかを知っていきましょう。
安定した収入を得ることができる
ホテルを建築する場所がよいと、利用者が増え、安定した収入を得られます。特に所有している土地が観光地の近くにあるなら、観光客需要でホテル客を獲得しやすいです。
昔ながらの観光地には多くの人が足を運ぶため、ホテル経営によって長期的に安定した収入を得られることは大きなメリットです。
相続税の節税ができる
相続時にかかる相続税の節税ができることも、ホテル経営をするメリットの1つです。現金で相続する場合は、相続額に対してそのまま相続税率をかけて税額を計算しますが、不動産の場合は固定資産税評価額をもとに、税額を算出します。
不動産の固定資産税評価額は実際の価値の7割程度になることが多く、現金で相続するよりも30%程度相続税が下がるため節税効果は高いです。
経営をフォローするサービスが豊富
土地活用のサポートをするサービスはさまざまありますが、その中でも特にホテル経営のフォローやサポートのサービスは豊富にあります。
- ホテルコンサルティング
- 市場分析
ホテル経営にあたっては、サービスが豊富であることからプロの充実したサポートを受けやすく、土地活用で失敗する可能性が低くなる点も、大きなメリットです。
宿泊ニーズに合わせたホテルを建設できる
ひとくちにホテルといってもさまざまな種類があり、所有する土地のエリアの宿泊ニーズに合わせて、ホテルを建設できることもメリットです。例えば観光地なら観光ホテル、ビジネス街ならビジネスホテルを建設することで、需要を獲得しやすくなります。
所有する土地のエリアや想定される利用者のニーズによって、建設するホテルの種類を変えることができる点も、経営に失敗しづらいポイントといえます。
活用事例:障害者グループホーム
| 土地面積(㎡) | 464.56 |
| 延べ床面積(㎡) | 200.96 |
ホテル経営を土地活用でとして行うデメリット
土地活用におけるホテル経営のメリットについてご紹介してきましたが、もちろんデメリットもあります。
ここでは、土地活用におけるホテル経営のデメリットは、次の4つです。
- 土地活用のなかでもコストが高い
- レッドオーシャンである
- ホテル経営の知識が必要
- 土地の転用性が低い
土地の転用性も低いことから、ホテル経営を土地活用として行う際にはより慎重に検討する必要があるといえます。
次に、それぞれのデメリットについて詳しくご紹介していきます。
土地活用の中でもコストが高い
ホテル経営では、まずホテルを建設するにあたり最低でも数億円ほどかかることが圧倒的です。そのため、ある程度の自己資金や収益の立つ見込みがなければ経営を行うことは厳しいです。
ホテル経営においては、ライバルとなるホテルとの差別化を行うために、設備などに投資を行う必要があります。建設コストを下げることによって、集客力に影響が出る可能性が高いため、質の高いホテルを建てるためにも資金には余裕を持った状態でホテル経営に臨む方がよいです。
また、自分で経営を行う場合には建設費の他に維持管理費も多くかかることに注意が必要です。特に、スタッフを雇う場合は人件費も必要となります。
ホテル経営では、客室設備やサービス内容によって利用率が大きく異なりますので、資金に不安な場合でもコスト削減を第一とすることは避けたほうがよいでしょう。
レッドオーシャンである
今日のホテル市場は競争が激しく、新規参入で収益を上げることは簡単ではありません。
特に、都心部や観光資源が近いような立地ではより競争が激化しており、今後その土地に新しい宿泊施設が建つことも考えられます。
ホテルに適した条件である立地や状況であるほど、その地域はホテル経営のレッドオーシャンとなる確率が高くなるということに注意が必要です。
競争が激しいホテル経営を行っていくためには、競合や市場分析に加え、独自の設備やサービスを備えるといった差別化が重要です。
ホテル経営の知識が必要
自分でホテル経営を行うためには、経営知識が必要となります。そのため、経営についてあまり詳しくない状態でホテル経営をしようとすると、失敗する可能性が高くなります。
ホテル経営では、経営方針の策定や収支計画、地域との連携など業務が多岐に渡るため、経営について事前に勉強しておくことも大切です。
また、ホテルを自営するとなると業務量も多いため、他に仕事がある方などは経営に割ける時間が短くなり、結果として収益も落ちてしまうといったリスクもあります。
自らホテルを経営しないという場合には、経営を業者に任せるサブリースや定期借地方式での土地活用がおすすめです。
土地の転用性が低い
土地活用としてホテル経営を行うと、別の土地活用へ転用することが難しくなります。
ホテル経営で収益を上げることができれば良いのですが、経営が思わしくなく撤退する場合は収益性の低い土地であるというイメージがつく可能性があります。そうなると、別の土地活用を行うにしても新しいパートナーとなる業者選びや資金の調達に苦戦する確率が高く、結果として土地活用がしにくい土地となってしまう恐れがあります。
こういったことから、土地活用としてホテル経営を行う場合には、途中で別の土地活用に転換させることが難しくなるということを理解しておく必要があります。
最適な土地活用方法は土地の立地や広さ、周辺の需要によって変わります。土地活用を検討しているなら日本最大級の比較サイトイエウール土地活用で複数企業から土地活用プランを取り寄せましょう。将来の収益性の高い土地活用方法を見つけることができます。
＼最適な土地活用プランって？／
ホテルの経営方式
ホテルの経営方式は、主に自分で経営する方式と、業者に運営を委託する方式の2つに分かれます。
基本的には、借地権方式を除いて土地所有者がホテルを建設する必要があるため注意が必要です。
自分で経営する方式
自分でホテル経営を行う場合は、以下のいずれかの方式をとることになります。
- 直営方式
- 経営コンサルティング方式(フランチャイズ)
直営方式では、プラン決めや建設、経営を全てオーナーが行う方式です。直営方式を取る場合は、独力で開業を行うことになりますので、ホテル経営や周りのサポートを得られる環境でないと難しいです。
フランチャイズ方式では、有名ホテルチェーンの名を借りて経営することができることに加え、開業や経営指導を受けることができるため初めてホテル経営を行う方にとっても始めやすいといえます。
しかし、フランチャイズ方式の場合は初期費用にフランチャイズ加盟料や開業指導料、経営していくにあたってはロイヤリティなどを支払う必要があることに注意が必要です。
運営を委託する方式
ホテル経営を業者に委託する方式では、以下のいずれかの方式を取ることになります。
- サブリース方式
- 定期借地方式
サブリース方式は、建てたホテルを業者が借り上げることによって、土地所有者に変わりホテル経営を行う方式です。
サブリース方式の場合、オーナーの収益は業者から支払われる土地代となります。ホテルの経営状況に関わらず毎月一定額が支払われるため収益は安定しますが、定期的に賃料の見直しが行われることに注意が必要です。
定期借地方式は、土地を業者に貸すことで、業者がホテルの建設や運営を行う方式です。
定期借地の場合もサブリース方式と同様に、オーナーの収益は業者から支払われる土地代となります。ただし、サブリース方式よりも支払金額が少なくなります。
また、定期借地方式は最低でも10年以上の契約であり、必ずしもホテルが活用先として選ばれる保証はないことに注意が必要です。基本的には、借地契約期間中は業者に意思決定権があるため、土地所有者がイメージする活用がされない可能性があります。
土地活用におけるホテルの種類
ビジネスホテル
ビジネスホテルとは、出張などの際に利用されることを想定し、ホテル内の施設や設備については最小限に抑えられているホテルのことです。
基本的にはロビーや客室、コインランドリー等の設備で十分であるため、観光ホテルに比べコストを抑えることができます。
また、出張先での宿泊先ということからシングルルームが求められることが多く、客数を多くしつつ収益を最大化できる点がメリットです。近年では、料金の安さからカプセルホテルへの需要も強くなっています。後にご紹介しますが、競合やニーズ次第では、カプセルホテルなどの簡易宿泊所を検討してみるものよいでしょう。
ビジネスホテルは、都市部や駅、空港が近い場所での経営が特に適していますが、これらのエリアでは既に競争が激化している可能性が高いです。そのため、何かしらの差別化が必要となります。
観光ホテル
観光ホテルは、リゾートホテルに代表されるようなホテルです。充実した設備や上質なサービス、客室からの展望などを売りに出していることからビジネスホテルよりもコストが高くなる傾向にあります。
観光ホテルの施設やサービスとしては、送迎やクロークサービス、温泉やバーなどが備えられていることが多いです。
観光地やその周辺地域、旅の拠点となる駅や空港近くで経営することで利用者が多く見込めることから、こういった立地では競争が激化しています。また、ブランドや豊富な資金力がある事業者が経営するホテルがあることも多く、新規参入では他にはない独自の強みが求められる環境であるといえます。
コンパクトホテル
最近増えているホテル形態は、ベッドスペースや必要最低限の設備が確保されたカプセルホテルを始めとしたコンパクトホテルです。
コンパクトホテルは、主に都市部に多く格安で宿泊できることから人気を集めています。
特にカプセルホテルは、一室あたりの広さを最小限にできるため、同じ土地面積でも通常のホテルよりも多くの客室を確保することができ、建築コストを抑えやすいです。
主なターゲット層は出張などで宿泊をするサラリーマンや学生であり、立地で言えば駅前やオフィス街、空港の近くなどビジネスホテルに適したエリアでの経営が向いています。
ビジネスホテルが乱立しているエリアであれば、宿泊費で差別化できるコンパクトホテルの方が費用対効果が高いケースが多々あるでしょう。
ホテル経営と同じく検討したい土地活用
土地活用では、ホテル経営をはじめとして多くの方法があります。
ここでは、立地や費用などの観点からホテル経営の他にも選択肢となりうる土地活用を3つご紹介します
賃貸住宅経営
賃貸住宅経営のなかでも、アパート・マンション経営は土地活用のなかでもミドルリスクミドルリターンといわれ、人気な活用方法の一つです。
マンション経営であれば、建物規模がアパートより大きく充実した設備を整えられることから、より収益性が高いといえます。
どちらもホテル経営と比べると建築費用を抑えやすく、特別な開業届なども必要ないため始めて土地活用をする方でも安心して始めることができます。
アパート・マンション経営に向いている土地については、ホテル経営と同じく利便性が高く人の動きが多くある場所です。
ビル経営
ビル経営は、主にテナントを募集しその賃料で収益をあげる土地活用です。
オフィスや商業施設、医療系施設など用途に合わせて様々な種類があります。
ビル経営においては、企業やお店が入居するため、人が多く集まる土地であるかが最重要となります。そのため、ホテル経営よりも立地に関してはシビアです。
多くの方がビルを訪れる好立地であれば、長期的な高収益が見込めるでしょう。
ただし、通信環境やセキュリティ、空調など設備投資が多額になるため、初期費用はホテル経営よりかかります。
また、競合は大手不動産会社が経営するビルも多いです。ビル経営を検討する際は、競合やそのビルの特徴をもとに、専門家と相談しながら建設や経営を進めていくことをおすすめします。
高齢者施設経営
高齢者施設経営は、主に老人ホーム経営とサ高住(サービス付き高齢者住宅)経営があります。
現在は高齢化社会であることから、老人ホーム・サ高住経営共に今後も需要が増加することが予想され、それに伴い収益も上がっていくという期待がもてます。
また、高齢者向けの施設であることから、補助金や税金の面で優遇される制度もある点がメリットです。
立地でいえば、どちらも高齢者が入居するため、公共交通機関や車でのアクセスがしやすい場所での経営が適しているといえます。
ホテル経営を検討する際のポイント
ホテル経営は、収益性が高いものの初期費用や維持管理費用も多くかかるため、慎重に検討することをおすすめします。
ここでは、土地活用としてホテル経営を検討する際のポイントについてご紹介します。
用途地域を確認
土地によっては、建築基準によってホテル経営が難しい場合もあります。
ホテル経営が可能な土地は、市街化区域に属している場合で、さらにその中で分かれている13ある用途地域の制限に引っかからない場合です。
例えば、用途地域は住居系や商業系、工業系と大聞く分かれており、住居系エリアではホテルの規模によっては立てることができませんで注意が必要です。
立地の面でいえば、向いているのは商業系地域です。
競合の有無を確認
ホテル経営を検討するとき、すでに土地周辺には競合がひしめき合っていることが多いです。周辺のホテルやその経営状況について調査しておくと、ホテル経営を行うかどうか検討しやすくなります。
例えば、周囲に高級ホテルばかりが立ち並んでいる場合は、格安で宿泊先を提供できるコンパクトホテル経営を行うことでニーズを満たせる可能性もあります。
すでに強力なライバルホテルが多く、一部のホテルでは経営状況が思わしくないといった状況であれば、ホテル経営以外の土地活用を検討する必要もあるでしょう。
複数のプランを比較する
ホテル経営には、経営方式が多くありますが、なかでも経営を委託するサブリース方式や経営指導を受けられるフランチャイズ方式での経営が一般的です。
サブリース方式やフランチャイズ方式でホテル経営を行う場合、複数の大手事業会社やホテルチェーンに相談をすることをおすすめします。
相談先によって契約内容やかかる費用について大きな違いがあります。そのため、複数のプランを比較検討することでより最適な条件でホテル経営を進めることが可能です。
＼最適な土地活用プランって？／
土地活用の選択肢としてホテル経営もある！
土地活用の選択肢として、収益性が高いホテル経営は検討してみる価値のある土地活用方法といえます。
ただし、ホテル経営においては競争が激しいことに加えて、多くのコストがかかることから実際に経営を行うかどうかは慎重な判断が必要です。
土地活用でホテル経営が適してる土地であるか、また資金や競合となるホテルとの差別化など多方向からホテル経営を始めるかを考えることが重要です。
