アパートの工法や構造の選び方は?目的別おすすめを紹介します

アパートの工法や構造の選び方は?目的別おすすめを紹介します

アパートの工法について考えていくうえで、まずは構造を理解する必要があります。

構造は木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の3種類です。

構造特徴
木造・木材を用いる構造

・二階建てのアパートで多く採用されている

鉄骨造・柱や梁を建物の骨組みに鉄骨のみを使用する構造

・鋼材の厚みが6ミリメートル未満のものを軽量鉄骨、6ミリメートル以上のものを重量鉄骨と呼びぶ

鉄筋コンクリート造・コンクリートを鉄筋で補強した部材を骨組みとした構造

構造は現場で1から組み立てる「在来工法」と、工場である程度構築したものを基に組み立てる「プレハブ工法」の2種類があります。

プレハブ工法に関しては、構造ごとにさらに細かく分けられます(下記の表を参考)

構造在来工法プレハブ工法
木造在来工法2×4工法
鉄骨造在来工法パネル工法
鉄筋コンクリート造在来工法壁式PC

本記事ではアパートの工法や構造に悩む人に向けて、それぞれの特徴や選び方を紹介します。また、防音対策についても解説します。

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アパートの建築費についてはこちらをご覧ください。

【6月更新】アパートの建築費はいくらぐらい?相場の計算方法や安く建てるコツを解説

アパート構造の種類と特徴

アパートの構造は「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」の3種類です。

アパート建築では木造と鉄骨造が多く使われます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

木造

構造耐力上主要な部分に木材を用いる構造です。二階建てアパートで多く採用されているのが木造です。W造と呼ばれることもあります。

木造は職人の技術を存分に生かしてた在来工法であることが多く、外観や内装にこだわりがある人に向いている構造ともいえます。

耐震性に関しては、建築基準法を満たしている場合、木造であっても他の構造と大差はありません

鉄骨造

柱や梁を建物の骨組みとして鉄骨のみを使用するのがS造(鉄骨)です。

鉄骨造は文字通り、骨組みに鉄を使用している点が特徴です。鋼材の厚みが6ミリメートル未満のものを軽量鉄骨、6ミリメートル以上のものを重量鉄骨と呼びます

軽量鉄骨造は戸建て住宅や2階建てアパートの建築に多く採用されており、重量鉄骨造はマンションや大型施設などの建築に多く採用されています。

鉄筋コンクリート造

コンクリートを鉄筋で補強した部材を骨組みとした構造をReinforced Concreteの略でRC造(鉄筋コンクリート)です。

RC造のアパートの特徴として、コンクリート打ちっぱなしや吹付塗装といった素材そのままを活かしたおしゃれな物件が多いことも挙げられるでしょう。

目的別!おすすめのアパート構造

アパートを建てるうえで構造選びは重要です。とはいえ、何を基準に構造を選んだらいいか分からない人もいるのではないでしょうか。

ここでは目的別におすすめのアパート構造を紹介します。加えて、構造ごとのメリットやデメリットを説明します。

 
構造メリットデメリット
木造費用を安く抑えられる
通気性が高い
腐敗やシロアリ被害のリスク
耐用年数が短め
鉄骨造柱と梁が不要で大空間を作れる
丈夫で安価な建築費用
火災による熱に弱い
別途断熱対策が必要
鉄筋コンクリート造耐久性に優れた構造
耐震・耐火性能に優れている
建築費用が高い
地盤改良が必要なこともあ

また、下記の表は構造事の性能の違いをまとめたものです。

【機能性の比較】

特徴木造鉄骨造鉄筋コンクリート造
遮音性×
耐火性
耐震性
防虫性×
断熱性×

建築コストを下げるなら木造

建築コストを下げたいのであれば断然木造です。

  • 木造:56万円
  • 鉄骨造:76万円
  • 鉄筋コンクリート造:94万円

参考:[総務省]:[建築着工統計調査]

以上は総務省が発表している構造別の1坪あたりの単価になります。費用の面においては木造が一番安く鉄筋コンクリート造が一番高くなります。

木造のメリット

さらに木造には通気性が高いといったメリットがあります。

通気性が高いと熱がこもりにくく、夏は部屋がジメジメしづらいと同時に、冬は空気の循環を適切に行うことができます。

通気性が良いと湿気が生まれづらいため、カビやダニも発生しづらくなります

木造のデメリット

また、3つの構造の中で木造は一番防音性が低いです。

音は建物の隙間や薄い壁、床の振動により伝わるため、床や壁に使用している材料の質量で遮音性能が変わります。

そのため、質量が高いモルタルやコンクリートを使用した鉄筋コンクリート造は遮音性が高いですが、質量が低い石膏ボードや構造用合板を使用した木造は遮音性が低くなります。

日本建築学会の報告書による構造別の遮音性能は以下の通りです。

遮音等級建物構造音の聞こえ方
L-35日常生活で気になるような音はほぼ聞こえない
L-40鉄骨鉄筋コンクリート造防音性が高く外からの音も軽減されている
L-45子供の泣き声や走り回る音は少し聞こえる
L-50鉄筋コンクリート造子供の泣き声や走り回る音は聞こえる
L-55洗濯機や掃除機は少し聞こえるが気にならない
L-60重量鉄骨造足音やドアの開閉音や振動を伴う音が聞こえる
L-65軽量鉄骨造多少音量が軽減されるが生活音はほぼ聞こえる
L-70L-75よりマシなレベルで大差はあまりない
L-75木造隣室のテレビや電話の音など、生活音がかなり聞こえる

(参考:日本建築学会編「建築物の遮音性能基準と設計指針」

報告書から木造建築物の遮音性の低さが分かります。

防音性に優れているのは鉄筋コンクリート造以上ではありますが、アパートの設計次第では鉄骨造でも防音性は十分といえます。

また、木造ではシロアリによる被害が懸念されます。シロアリは木をエサにしているため構造に関わる部材を食べられてしまうと、建物の強度にも影響する場合があります。

デザイン重視なら鉄骨造

鉄骨造のアパートは、軽くて強いという特徴を生かして自由な間取り空間を構成することができます。

鉄骨造のメリット

また、鉄骨造アパートはプレハブ工法で建築される事が多いです。そのため、ある程度のところまでを工場で組み立てて現場に運ぶため短期間の工事で安定した品質の建物を建築することができます

鉄骨造のデメリット

鉄は熱伝導率が高いため、鉄骨造アパートは断熱性が低いです。また、吸湿性も劣っています。

冬場は寒く、夏場は熱くなりやすいです。且つ、室内の湿度が上がりやすく梅雨時にはカビができやすいです。

長期的な経営を考えるなら鉄筋コンクリート造

鉄筋コンクリート造は、遮音性、耐震性、耐火性、断熱性共にどの構造よりも優れています。

鉄筋は火災に弱く、サビで腐食しやすいという欠点がありますが、耐久性に優れたコンクリートで保護することで、耐火性・耐久性に優れた構造とすることができます。

よって長期的なアパート経営を考えるのであれば鉄筋コンクリート造がおすすめです。

鉄筋コンクリート造のメリット

鉄筋コンクリート造のアパートは法定耐用年数47年と木造や鉄骨造りと比べても耐用年数はかなり長くなっています。

長期間にわたり、頑丈な建物で安心して暮らせるというのも大きなメリットです。

鉄筋コンクリート造のデメリット

木造・鉄骨造のアパートと比較すると少し工期が長く、建築費が高額になります。そのため、初期費用を回収するまでに時間を要します。

実際にどんなアパートが建てられる?

実際にお持ちの土地にアパートを建てるとすると、どんなアパートを建てられるのでしょうか?
オーナー様の土地面積に合ったアパート建築事例を紹介します。

  1. 建築予算と土地面積を入力してね

木造アパートの防音対策

株式会社ヴァンガードスミスによる「近隣トラブル」に関する調査結果(2023)によると、過去に経験したことがある近隣トラブルで最も多かったのが「生活音/騒音(61%)」でした。

騒音トラブルは、他の入居者の退去の引き金となります。入居率が下がれば、収益が減り、安定したアパート経営が難しくなります。

そのため、木造アパートを建築する場合は防音対策をしっかり行う必要があります。ここでは木造でもできる防音対策を紹介します。

間取りを工夫する

木造であれ、間取りを工夫するだけで防音対策になります。具体的には以下のような間取りを意識するといいでしょう。

コの字型の物件

隣の部屋との間が共用部や階段になっている物件をコの字型物件といいます。

このタイプの物件はワンフロアに2部屋しかないことが多く、隣の部屋との接地面が少ないので隣の部屋の音が聞こえにくいといった特徴があります。

設置面にスペースをつくる

居住スペースの間が収納になっていると、聞こえてくる音のクッションになり防音対策になります。

接地面をキッチンやトイレ、お風呂などの水回りにすることも防音対策として有効です。

ロフトを作らない

空間を広く使えるため、ロフトタイプの物件は人気ではありますが防音性においては劣ります。

ロフト部分は天井が近いこともあり、上の階の音が聞こえやすいです。一般的なアパートのロフト付き物件は木造なことが多く、より音や振動が響きやすいです。

床・壁を二重構造にする

音は床や壁が振動して他の部屋に伝わるため、床や壁を二重構造にして振動を減らす対策が必要です。

具体的には、石膏ボードを二重貼りにします。ですが、石膏ボード自体は高音と低音に弱点があり、二重貼りしても弱点は解消できません。そのため、防音効果を高めたい場合は、遮音制振ゴムを使用するなど工夫する必要があります。

遮音マットを床材の下に入れる

畳やフローリングの下に遮音マットを入れておくことで衝撃音を軽減できます。遮音マットとは、高い遮音性能と優れた防振効果があります。

また、足音や下の階から響く音など、振動を伴う重低音の対策を検討されている場合の防音対策としては出来るだけ厚みのある「防音マット」を試して頂くことをお勧めいたします。

窓の隙間に遮音テープを貼る

音は扉や窓の隙間を通しても伝わるため、隙間を埋めることで、防音効果を高めることができます。テープの素材をゴムウレタンなどの素材を選ぶとより高い効果が期待できます。

しかし、遮音テープを使用して窓の隙間を埋めただけでは完全な防音対策とは言えないため、その他の対策と併用しましょう。

内窓の設置

窓は音が入りやすいため、内窓を取り付けるで防音効果を高めることができます。

窓との間にできる空気の層がクッションの役割をし、窓の隙間から侵入する音を和らげられます。

遮音換気口に付け替える

換気口は音の通り道にもなります。窓は開け閉めが可能なため、締めることで多少の遮音効果がありますが、シックハック症候群を予防するためにも換気口は開けておかなければなりません。

そのため、換気口を遮音換気口に付け替える必要があります。遮音換気口とは、屋内外から配管内に伝わり侵入するノイズを軽減させる消音材です。発泡ポリウレタンの柔らかい素材のものが多く、簡単に付け替えることができます。

活用事例:スクエア型のモダンな外観デザインの2棟の戸建賃貸住宅

シンプルな色合いの中に、ダークなアクセントカラーのあるデザインです。(株式会社ユニホーの土地活用事例)

アパート工法の種類

アパート工法の種類は大きく分けて「在来工法」と「プレハブ工法」の2つがあります。

在来工法

アパートの工法②:在来工法

在来工法とは柱と梁によって建物を支える構造(軸組構造)が特徴です。

まずコンクリートの基礎に柱を立て、その柱に梁を組み合わせて骨組みをつくり、屋根を張った後に、壁などを取り付けて建築します。

プレハブ工法

アパートの工法①:プレハブ工法

プレハブ工法とは、壁で建物を支える構造(壁構造)が特徴です。

建築に使われるパーツや構成部品を工場で仕上げてから現場にて組み立てます。さらに3種類に分類されます。

2×4工法

2×4工法(ツーバイフォー)は木造でのプレハブ工法で用いられます。

1974年に三井ホームによりアメリカからもたらされ、その後洋風住宅建築において人気を博しました。名前の由来は、資材の断面が2インチ×4インチ(約50cm×約100cm)であるということからきています。

ツーバイフォーは、現在の木造アパート建築における主流となっており、各ハウスメーカーがラインアップしているアパートに使われていることが多いです。

パネル工法

パネル工法は、主に鉄骨造にて用いられるプレハブ工法の一つです。

パネル工法は木質パネル、鉄骨パネル、コンクリートパネルと3つの材料に対応しています。鉄骨系パネル工法は、鉄骨で作る骨組みで構成された耐力壁をもとに建物を建築します。

壁式PC

壁式PCは、鉄筋コンクリートを材料とするプレハブ工法の一つです。

主に5階建て前後のアパートや大規模なマンション建築において用いられる工法になります。

鉄筋コンクリート造はアパート建築に使われる材料のなかで最も耐久性能が高いという特徴があります。そのため、壁式PCはプレハブ工法のなかで最も頑丈なアパートを建てることができます。

アパート経営で「防音性」は成功の鍵

アパートの工法は「在来工法」と「プレハブ工法」の2種類です。さらには構造によって細かく分けられます。

工法を考えるうえで構造は極めて重要になります。よって自分の建てたいアパートを明確化し、目的に合わせて構造を選ぶ必要があります。

また、アパート経営を成功させるためには防音性に関して考える必要があります。

防音性が高ければ、騒音によるトラブルを回避でき、入居者に長い間住んでもらえる確率が高くなります。そうなれば、空室リスクの回避、安定した収入も望めます。

防音対策には、多少費用がかかりますが、アパート経営を安定させるためにも防音性における投資は必要になります。

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