建ぺい率・容積率とは|計算方法や調べ方、制限が緩和されるケース

建ぺい率・容積率とは|計算方法や調べ方、制限が緩和されるケース

建ぺい率と容積率は、建物の大きさを制限するための重要な数値です。

都市計画法や建築基準法により、地域ごとに上限が決められています。いくら広い敷地を所有していたとしても、建ぺい率や容積率の制限によっては希望する建物を建てられない可能性もあるため注意しましょう。

この記事では、建ぺい率や容積率の意味や計算方法、調べ方などをわかりやすく解説します。土地の購入を検討している方や、住宅の新築を考えている方は、後悔のないようチェックしておきましょう。

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建ぺい率とは?

建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。

敷地面積とは、戸建てやマンションといった建築物を建てる土地の面積のこと、建築面積とは、建築物を真上から見たときの面積(水平投影面積)を意味します。

ここでは、建ぺい率の計算方法や意味について詳しく解説しますので、確認しておきましょう。

建ぺい率の計算方法

建ぺい率は、以下の計算式によって求められます。
建ぺい率(%)= 建築面積(㎡) / 敷地面積(㎡) × 100

たとえば、敷地面積200㎡の土地に、建築面積50㎡の住宅を建てた場合の計算方法は以下のとおりです。

建ぺい率(%)= 50㎡ / 200㎡ × 100 = 25%

建築面積が大きくなるほど、また敷地面積が小さくなるほど、建ぺい率は大きな数値になります。

後ほど詳しく解説しますが、地域ごとに建ぺい率の上限が定められているため、その数値をオーバーしないように建築物を設計しなければなりません。

もちろん、細かな計算や設計はプロの建築士に任せておけばよいのですが、土地を買ったものの希望する大きさの家が建てられない、という可能性もあるため基本的な知識はもっておくとよいでしょう。

建ぺい率の制限によって適切な空地が確保される

地域ごとに建ぺい率の上限が定められているのは、建物と建物の間にある程度の空地を確保するためです。

自分で所有している土地だからといって、誰もが敷地いっぱいに建物を建てると、隙間のない街並みになってしまいます。建物が密集しすぎていると、日当たりや風通しが悪くなる、火事が起きたときに燃え広がりやすい、災害時に避難しにくい、といった問題が発生します。

そこで建ぺい率の上限を設定し、地域の良好な環境や安全性を確保しているのです。好き勝手に建物を建てられるわけではないため、土地を購入するときや住宅を建てるときは、事前に建ぺい率を調べておきましょう。


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容積率とは?

容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合のことです。延床面積とは、各フロアの面積の合計を意味します。容積率は、建ぺい率と同様に重要な数値のひとつです。

ここでは、容積率の計算方法や意味について詳しく解説しますので、チェックしておきましょう。

容積率の計算方法

容積率は、次の計算式によって求められます。
容積率(%)= 延床面積(㎡) / 敷地面積(㎡) × 100

たとえば、敷地面積200㎡の土地に、1階の面積が50㎡、2階の面積が30㎡の住宅を建てた場合の計算方法は以下のとおりです。

容積率(%)= (50㎡ + 30㎡) / 200㎡ × 100 = 40%

各階の面積の合計が大きくなるほど、また敷地面積が小さくなるほど、容積率は大きな数値になります。

また、建ぺい率と同様、容積率についても地域ごとに制限があるため、その制限を超えないように注意しなければなりません。

容積率の制限によって快適な住環境が維持される

容積率の上限が決められているのは、地域の快適な住環境を維持するためです。誰もが自由に大きな建物を建て、急に人口が増えると、水道や道路といったインフラ整備が追いつかない可能性もあります。

人口増加は街の発展ともいえますが、ある程度のコントロールをしなければ快適な住環境を維持できません。

そこで、エリアごとに容積率の上限を設定し、急に大きなマンションやアパート、住宅などが乱立することを防いでいるのです。土地を購入する場合は、建ぺい率だけではなく、容積率についても事前に把握しておきましょう。


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建ぺい率と容積率の上限は用途地域によって異なる

建ぺい率と容積率は建築基準法によって決められており、上限はエリアごとに設定されている「用途地域」によって異なります

用途地域とは、住環境の維持や効率的な経済活動のために、エリアごとに建築可能な建物の種類や大きさを定めたルールのことです。住宅系、商業系、工業系の用途地域が存在し、それぞれに異なる制限があります。

用途地域ごとの建ぺい率と容積率の上限は、下表のとおりです。複数の数値が記載されていますが、そのなかから各行政の都市計画で定められた数値が適用されます。

用途地域用途地域の概要建ぺい率の上限容積率の上限
第1種低層住居専用地域小さな低層住宅を建てるためのエリア30
40
50
60
50
60
80
100
150
200
第2種低層住居専用地域低層住宅や小さなお店を建てるためのエリア
第1種中高層住居専用地域中高層住宅を建てるためのエリア100
150
200
300
400
500
第2種中高層住居専用地域中高層住宅、病院、大学などを建てるためのエリア
第1種住居地域住環境を維持するためのエリア(中規模店舗や事務所などは建設可能)50
60
80
第2種住居地域主に住環境を維持するためのエリア
(事務所やホテルなどは建築可能)
準住居地域自動車関連施設を建てつつ住環境を維持するためのエリア
近隣商業地域近隣住民が買い物などをするためのエリア60
80
準工業地域危険性の低い工場などを建てるためのエリア50
60
80
商業地域百貨店、銀行、映画館などを建てるためのエリア80200
300
400
500
600
700
800
900
1,000
1,100
1,200
1,300
工業地域さまざまな規模の工場を建てるためのエリア50
60
100
150
200
300
400
工業専用地域工場を建てるためのエリア30
40
50
60
用途地域の指定のない地域30
40
50
60
70
50
80
100
200
300
400

たとえば、第1種低層住居専用地域で建ぺい率の上限が60%、容積率の上限が150%と定められている敷地に、戸建てを建てるケースを考えてみましょう。その敷地の面積が100㎡の場合、建築面積の上限は60㎡、延床面積の上限は150㎡です。その数値以上の大きな戸建てを建てることはできません。

用途地域や建ぺい率・容積率の調べ方

自分が住んでいる場所や購入を検討している土地の用途地域や建ぺい率・容積率を知りたい場合は、市役所の都市計画課などに聞いてみましょう。

行政のホームページに都市計画図が掲載されているケースもあるため、検索してみるのもよい方法です。不動産会社が把握しているケースも多いため、購入前に確認しておくのもよいでしょう。


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建ぺい率・容積率の制限が緩和されるケース

建ぺい率や容積率に関する制限は、特定の条件を満たすと緩和されます。緩和措置をうまく活用することで、より大きな建物を建てられるため、概要だけでも把握しておきましょう。
ここでは、建ぺい率や容積率に関する代表的な緩和措置について解説します。

建ぺい率の制限が緩和されるケース

建ぺい率の制限は、敷地が角地の場合や、防火地域内に耐火建築物を建てる場合に緩和されます。それぞれの条件について順番に見ていきましょう。

(1)角地の場合:10%増加

敷地が角地であり2つの道路に接している場合は、建ぺい率の上限が10%増加します。

ただし、角地として認められる条件は、自治体やその地域の都市計画によって異なります。単純に2つの道路に接しているだけでなく、角の角度が120°以下、敷地外周の1/3以上接道している、といった自治体ごとの条件を満たす必要があるため、都市計画課などへ問い合わせて確認しておくことが重要です。

(2)防火地域内に耐火建築物を建てる場合:10%増加

防火地域内に耐火建築物を建てる場合は、建ぺい率の上限に10%加算されます。

防火地域とは、火災の発生や延焼を防止するために、都市計画によって指定されるエリアのことです。主に幹線道路沿いや住宅の密集地などが該当します。

耐火建築物は火事に強い建物ですが、建築基準法による材料や工法などの条件をクリアする必要があります。建設コストがアップする可能性もあるため、耐火建築物にして建ぺい率の緩和を受けるべきかどうかは、プロの建築士などと相談しながら決めましょう。

(3)上記(1)と(2)を両方満たす場合:20%増加

(1)と(2)の条件を両方満たす場合は、建ぺい率の上限に20%加算されます。たとえば、建ぺい率の上限が50%の敷地の場合は70%まで増えるため、より建築面積の大きな建物を建てられます。

容積率の制限が緩和されるケース

容積率は、延床面積をもとに算出されますが、以下のような部分は延床面積に含まれません。うまく利用すれば、容積率の上限を超えることなく広い建物を建てられるでしょう。

(1)住宅の地下室の部分

住宅の地下室の面積は、延床面積に算入されません。1階や2階だけでは生活空間が不十分という場合には、地下室の設置を検討するとよいでしょう。

ただし、地下室の天井は地盤面から1m以下とする必要があります。1mを超えてしまうと、延床面積に算入されるため注意しましょう。

また、面積不算入とできるのは、住宅全体の面積の1/3までです。地下室だからといって過剰に大きな空間を設計することは認められません。

(2)屋根裏やロフトの部分

屋根裏やロフト部分などは、建築基準法上は「小屋裏物置等」と呼ばれます。屋根裏やロフトの面積は、その階の面積の1/2までなら延床面積に算入されません。収納場所などとして設置すれば、容積率の制限をクリアしつつ、豊かな空間を実現できます。

ただし、天井高は1.4m以下とする必要があります。それ以上の大きな空間を作ると、ロフトではなく階のひとつとなり、延床面積に含まれてしまうため注意しましょう。

(3)住宅の車庫の部分

住宅に設けられた自動車車庫やガレージなども、延床面積に算入されません。ただし、面積不算入となるのは、住宅全体の面積の1/5までです。大きすぎる車庫やガレージは、延床面積に含まれるため注意が必要です。

(4)吹き抜けの部分

吹き抜けの部分には床がないため、当然、延床面積には含まれません。たとえば、2階の床がなく、1階の床から2階の天井までがつながっている場合は、2階の吹き抜け部分は面積不算入とできます。


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建ぺい率・容積率を考慮した間取り

上記のとおり、ロフトや吹き抜けなどを採用することで、建ぺい率や容積率の制限が緩和されるケースがあります。ここでは、実際に建ぺい率・容積率を考慮した間取りの例をご紹介します。

ロフトを採用した例

土地の面積が狭く、広い住宅が建てられない場合は、余剰スペースにロフトを採用することで容積率を超えずに面積を増やすことが可能です。

物置などの収納スペースとして活用するほか、リビングスペース近くに設けることができれば居間のような使い方も可能。ロフトを設けることで、家全体の広さを感じられるのでおすすめです。

吹き抜けを採用した例

上述のとおり、吹き抜けも2階の床面積には算入されません

戸建ての場合、2階部分に吹き抜けを採用することで視覚的に解放間が生まれ、空間に広がりを感じられます。2階部分にリビングを置いたり、天窓を作ったりするのも良いでしょう。

なお、吹き抜け部分に渡り廊下がついていたり、高い収納棚などが吹き抜け部分の高さまで及んでいたりする場合は床面積に算入される可能性があるため、設計時には念頭に置いておくようにしましょう。

活用する土地を決めるポイント

活用する土地を決めるポイントは以下の3つです。

  • 建築規制・利用制限
  • 土地面積
  • 賃貸の需要

それぞれ詳しくみていきましょう。

建築規制・利用制限

1つ目のポイントは建築規制や利用制限のチェックです。

土地によっては、建築規制や利用制限が掛けられている場合があります。建築規制や利用制限がある土地を活用する場合、建築できる物件に制限が設けられているため注意が必要です。

建築規制や利用制限のある土地を検討している場合、どのような制限内容になっているのか、詳細を必ず確認しておくようにしましょう。

土地面積

2つ目のポイントは土地面積をしっかり確認することです。

エリアによって敷地面積の最低限度などが定められており、土地面積によっては建築できる物件に制限が出てくるため、こちらも注意が必要です。

自分が検討している物件を建てることができる土地であるのかどうか、必ず確認するようにしましょう。

賃貸の需要

3つ目のポイントは、あらかじめ賃貸の需要を確認することです。

規制や土地面積に問題がなくても、賃貸の需要がない土地に物件を建ててしまうと、資産価値が下がってしまい後々後悔してしまうケースがあります。

もちろん、立地が良いからといって必ず空きが埋まったり売却できたりするとは限りませんが、土地を検討する際はエリアごとの賃貸の需要も考慮して物件を建てるようにしましょう。

建ぺい率・容積率の制限を守らないと違法建築物となる

建ぺい率や容積率の制限を守っていない建築物は、違法建築物として扱われます。

一般的な市場価値がないと判断されるため、住宅ローンを組むことや他人に売却すること、建物を担保にして金融機関から融資を受けることなどは難しいでしょう。

建物を新築する場合は、設計段階で建ぺい率や容積率の上限をオーバーしていると、確認申請に通らないため、建設工事を始めることすらできません。

建物完成後に増改築をする場合にも注意が必要です。増築や改築をする場合にも、建ぺい率や容積率の上限は守らなければなりません。

勝手に増改築を行い、建ぺい率や容積率の上限をオーバーすると、違法建築物になってしまうため注意が必要です。細かな計算が必要な場合も多いため、必ず不動産会社や建築会社へ相談するようにしましょう。


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今回は、建ぺい率・容積率の意味や計算方法、調べ方などについて解説しました。地域の良好な環境や安全性を確保するため、エリアごとに建ぺい率や容積率の上限が定められています。建ぺい率や容積率の上限を超えた建物は、違法建築物となってしまうため注意しましょう。

建ぺい率や容積率には緩和措置があるため、うまく利用することも大切です。緩和措置を活用すれば、上限が増えたり、面積不算入とできたりするため、法律に違反することなく豊かな空間を実現できます。

建ぺい率や容積率の計算や緩和措置には難しい条件なども多いため、勝手な判断はせず、プロの不動産会社や建築会社へ相談しましょう。

また、本記事をお読みの方の中には、中古住宅購入を検討している方もいらっしゃるかと思います。とはいえ、

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